遊び人親子の日記

親子で綴る気まぐれ日記です。

パレード

2010年10月20日 10時39分04秒 | 読書


               パレード         吉田修一(著)H16年4月発行
  
  これもまた娘の部屋から持ち帰った文庫本です。
  つい最近、モントリオール映画祭で主演女優賞を受賞した映画『悪人』が
  話題になっていますが、あの原作本が出版された時もかなり話題を呼び、
  評価も高かったです。
  『悪人』は読みましたが、『パレード』はまだ読んでいなかったので「どれどれ・・・」
  と家に持ち帰ってみました。
  『悪人』にいたるための土台を感じさせるこわ~い小説でした。
  話は、都内の2LDKのマンションに同居する男女4人の若者達の日々です。
  「上辺だけの付き合い?それくらいが丁度いい」
  お互いそんな距離感を保ちつつ、一見優しく怠惰な時間を送る共同生活。
  本当の自分を隠し、優しさというベールをまとい続ける擬似的生活には、
  いずれ破綻が訪れる。

  自分をさらけ出したり、相手を心配しながらもそんな態度を隠し、干渉しない。
  心の底から、互いに、怒ったり、疑ったり、喜んだり、泣いたり、、、
  そんなバカなことはしない、そんな疲れる無駄なことはしない。
  喧嘩になるようなこと、相手の気分を悪くすることはしない、言わない。
  これが今の若者達の優しさなのか?

  社会、家族、人間に希望が見出せない、否、絶望してしまっていると、
  生き延びるため、自分を守るために、こういう生き方になっていくのかもしれない。

  自分の子供達の年令の若者が主人公だけに、読んでいると心まで凍りそうに
  寒くなる。

    わがまま母
  
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