パレード 吉田修一(著)H16年4月発行
これもまた娘の部屋から持ち帰った文庫本です。
つい最近、モントリオール映画祭で主演女優賞を受賞した映画『悪人』が
話題になっていますが、あの原作本が出版された時もかなり話題を呼び、
評価も高かったです。
『悪人』は読みましたが、『パレード』はまだ読んでいなかったので「どれどれ・・・」
と家に持ち帰ってみました。
『悪人』にいたるための土台を感じさせるこわ~い小説でした。
話は、都内の2LDKのマンションに同居する男女4人の若者達の日々です。
「上辺だけの付き合い?それくらいが丁度いい」
お互いそんな距離感を保ちつつ、一見優しく怠惰な時間を送る共同生活。
本当の自分を隠し、優しさというベールをまとい続ける擬似的生活には、
いずれ破綻が訪れる。
自分をさらけ出したり、相手を心配しながらもそんな態度を隠し、干渉しない。
心の底から、互いに、怒ったり、疑ったり、喜んだり、泣いたり、、、
そんなバカなことはしない、そんな疲れる無駄なことはしない。
喧嘩になるようなこと、相手の気分を悪くすることはしない、言わない。
これが今の若者達の優しさなのか?
社会、家族、人間に希望が見出せない、否、絶望してしまっていると、
生き延びるため、自分を守るために、こういう生き方になっていくのかもしれない。
自分の子供達の年令の若者が主人公だけに、読んでいると心まで凍りそうに
寒くなる。
わがまま母