地中海の十字路=シチリアの歴史 藤沢房俊(著)2019年6月発行
シチリアは、TVの旅行番組の映像を観て憧れを抱いていた地。
なんといっても、食いしん坊にとっては「食」の魅力に溢れている島で・・・。
島の大きなレモンや果物、火山の麓のワイン、カラスミパスタやウニなどの
新鮮な魚介料理、昔ながらのお菓子(カンノーロなど)、ピスタチオやアーモンド、
フレッシュな果実のジェラート、、、と、すぐに思いつくほど。
勿論、食だけではなく、今日まで美しく残っているビザンティン美術が溢れる教会や
古代のギリシア劇場などの遺跡、バロック芸術の街、そして素晴らしく青い海と空。
そして、シチリアといえば、映画の「グランブルー」での神秘的な青さの海が印象的。
でも一般的には「ゴッドファーザー」の強烈な影響で、マフィアが一番有名かも。
他にも「ニューシネマパラダイス」の舞台となった田舎の町とか、
ちょっと古いけど、没落貴族を描いた「山猫」も独特の世界観を感じたものでした。
と、とても魅力的な島なので、まずは歴史の復習をしてみようと本書を読んでみたら
予想以上に真面目な歴史本で、、、勉強になりました。
わがまま母
— 本書案内文 —
絶え間なく侵入した「よそ者」と、交錯する歴史の中で、この島の人々の誇り高い
アイデンティティは形成された。
古くはギリシア人とフェニキア人が覇権を争い、次にローマの穀倉となり、中世には
イスラーム勢力が、そしてノルマン人が栄光の時代をもたらす。
さらにフランス人、スペイン、イギリスなどの強国の確執・・・。
多様な文化と宗教に彩られてきた3000年を描き出し、シチリア島から世界史を照射する。
以下 講談社BOOK倶楽部 より転記
長靴の形をしたイタリア半島に蹴り上げられるように、地中海に浮かぶ最大の島、シチリア島。マフィアの故郷として知られ、人気の観光地でもあるこの島は、現在はイタリア共和国の一部となっているが、しかし、古くからここは「イタリア」だったわけではない。文明の先進地域・地中海とヨーロッパの歴史を常に色濃く映し出し、多様な文化と宗教に彩られてきたシチリア島。その3000年に及ぶ歴史を描き出し、シチリア島から世界史を照射する。
シチリアの覇権をめぐって最初に争ったのは、古代ギリシア人とフェニキア人だった。その後、ローマの「最初の属州」となり、ローマ帝国の穀倉となった。中世にはイスラーム勢力が柑橘類の栽培や灌漑技術を導入し、当時の先端文明と通商ネットワークをもたらしたが、北フランス出身のノルマン人たちがこれを屈服させて「シチリア王国」を建て、栄光の時代が訪れる。さらにドイツのホーエンシュタウフェン家、フランスのアンジュー家の支配が続き、ヴェルディのオペラで知られる「シチリアの晩祷事件」を境に、アラゴン・スペインによる「長く、暗い時代」に入る。フランス革命期にはイギリスの保護下に置かれるが、19世紀にはイタリアの統一運動、すなわちリソルジメントに巻き込まれ、イタリアに併合されていく。
絶え間なく侵入した「よそ者」と、宗教・文化の交錯の過程で、シチリア人の誇り高いアイデンティティは形成された。そして今、北アフリカから小さなボートで「新たなよそ者」が押し寄せているシチリアは、まさにグローバル化した世界の台風の目となっている。
〈目次〉
序章 シチリア島から世界史をみる
第一章 地中海世界と神々の島
第二章 イスラームの支配と王国の栄光
第三章 長くて、深い眠り
第四章 独立国家の熱望と失望
第五章 ファシズムと独立運動
終章 「シチリア人」の自画像
あとがき
参考文献
関連年表
シチリア王の系譜