遊び人親子の日記

親子で綴る気まぐれ日記です。

起終点駅

2013年02月18日 11時40分59秒 | 読書

   起終点駅
      ターミナル     桜木紫乃(著)2012年4月発行

  私は初めて読む作家さんの小説でした。
  若い女性から大人の女性まで広い年代層で、
  ほろ苦い共感が得られる小説ではないかと思います。

  表題となっている『起終点駅』を含む六つの短編からなり、
  それぞれの話には、特に関連性はないけれど、
  北海道出身の作者ならではといった感じで
  メジャーではない北海道の各地を舞台としていること、
  主人公が女性であること、が共通している。
  
 
  いずれの短編にも、様々な人生がギュッと濃縮して
  閉じ込められ、掘り下げられていて、なかなか濃く、
  主人公の等身大の女性の目線で捉え、思考していせいか、
  読んでいる側からも、共感を覚えやすい。
  登場人物はみな、特に幸福なわけではないし、
  彼女、彼等の暮らす環境も平穏とはいえず、
  むしろ、社会一般の生活からみたら、暗く辛そう、
  と見られそうな生活を営んでいる。
  社会や周囲から、不幸と見なされたり
  常識外れと批判されながらも、それでもなお
  主人公一人一人が、自分らしくと生きようとしている姿が
  淡々と描かれていて、
  そんな彼等の姿が、とても人間らしい。
  描き方が巧いです。
  この清々しい読後感は、
  彼等の自分らしく生きようとする姿勢が、
  こちらに伝わってくるからなのか。
  重たい人生を背負いながらも、
  ただ自分らしく生きようとする人達がいる。
  難儀な人生の一端を描いている短編ばかりなので、
  明るく楽しい小説ではないですが、
  決して暗くはないし、難しくもなく、
  むしろ心が穏やかになる、、、ような小説。
  読んでみては? と薦めたくなる。
  
  ただ、一言云わせてもらうなら「この装丁はどうなの?」
  もし、内容を知らずに本屋でこの表紙をみたなら
  私だったら、この本は手にとらないな~。
  何狙いなのかしら? 違和感ありすぎて残念。

    わがまま母
  
コメント
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