あるくみるきく_瀬戸内シーカヤック日記

瀬戸内を中心とした、『旅するシーカヤック』の記録

『芸予ブルー』_テーマカラー of 印象派_”瀬戸内シーカヤック日記”

瀬戸内シーカヤック日記: 似島日帰りツーリング_みなとや食堂と駄菓子屋さん

2009年02月28日 | 旅するシーカヤック
2009年2月28日(土) 不景気な風が吹き荒れている今年は、あまり遠出をせず、地元でこれまであまりキャンプしなかったり、ゆっくり訪れたことのなかった場所をツーリングコースとして発掘して行くことをテーマに、『あるくみるきく_旅するシーカヤック』を続けている。
***
今日の目的地は『似島』 広島湾に浮かぶ、『安芸の小富士』とも称される周囲16kmほどの島。
十年ほど前、シーカヤックの日帰りソロツーリングで訪れ、一周したことがあるが、当時は『あるくみるきく』なんて世界は知らなかったので、島の南側の静かな浜でお昼ご飯を食べ、ゆっくり休憩して帰ってきたことを覚えている。

今回はキャンプ道具も積んで行く事にした。 もし集落の近くにキャンプできる浜があれば、今回はゆっくりと歩いて見たいものである。
***
坂にある海水浴場から出艇。 テントやシュラフ、水も積み込み、準備完了。
 
峠島に向かって漕ぎ進む。 ここは、広島と江田島、広島と松山を結ぶフェリーや高速船などが頻繁に通る本船航路。
事前に時間をチェックしておいたので、本船が少ない時間に無事漕ぎ抜けることができた。

峠島を越えると、もう似島は目の前だ。 海は穏やか、日も差して気温も上がってきた。 広島名物の牡蠣筏の間を縫うように、快適なパドリングで漕ぎ進む。

船着き場のある集落を越え、少し南下すると広い浜があったので上陸。 近くにおられた方に、『すみません、ここにフネを置いてもいいですか?』と伺うと、『ここは、漁協があさりを育てよるけえ、掘っちゃあいけんけど、フネを置くくらいならええんじゃない』 そうか、これはキャンプは難しいかな?
『テントは張っていいんでしょうか?』 『どうかのう、漁協が管理しとるけん、分からん』 残念だが、カヤックツーリングでのトラブルだけは避けたい。 今日はキャンプは諦めよう。

『ところでここ、食堂がありますよね?』 『うん、船着き場のすぐ前にあるよ』 『ありがとうございます』
***
PFDとスプレースカートを脱ぎ、海沿いの道をテクテクと歩いて集落へ向かう。

船着き場の目の前に、『みなとや食堂』はあった。 『うーん、これは私の好みの雰囲気だ。 好いかも!』

ガラリと引き戸を開け、暖簾をくぐって店に入る。 まさに、私のストライクゾーンど真ん中の食堂である。
先客は3人。 地元のおじいさんが、おでんを肴にお酒を飲んでいる。 後は女性の二人連れ。 
 
***
『すみません、中華そば一つもらえますか』 そう、ここの食堂は、中華そばがおいしいと聞いていたのだ。
 
おでんも食べてみるか! 『おでん、何があります?』 『ここきて、好きなのを皿に取りんさい』 『はい』
じゃあ、スジに玉子。

中華そば。 うん、美味い。 スジ、あっさり目の味付けだが、柔らかく煮込まれていておいしい。 キャンプだったら、おでんを肴にビールを飲んで、のんびりまったりと過ごしたいものだ。
『ごちそうさまでした。 中華そば、おいしかったです』 するとおばちゃんはニコニコしながら壁に貼ってあるチラシを指差し、『ほうじゃろ。 前は、テレビが取材に来たけえねえ』 『そうですか。 おでんのスジも柔らこうて美味かったです。 また来ます』
***
少し時間があるので、集落を散策。 まずは、夷神社へお参り。

港に戻る途中、ふとある店の中を覗き込むと、懐かしいものが。。。
 
そう、懐かしい『駄菓子屋さん』である。 『こんにちは』と店に入ってみた。
木の枠とガラスでできたお菓子を整理する入れ物が、なんとも良い雰囲気を醸し出している。 出て来られたおじいさんに、『これ、いいですねえ』と言うと、『もう、50年位になるかねえ。 結構長く保つもんじゃね』

『駄菓子、懐かしいですねえ。 これとこれとこれ下さい』 『はい、じゃあ170円』
お金を払いながらふと見ると、プラスチックのケースに入った長い棒のようなお菓子が。 『そこにあるのは何ですか?』 『これは、チョコの付いたパン』 『いくらですか?』 『42円』 『じゃ、それも下さい』
すると、容器の蓋を開けて『はい、自分で取って』 うーん、なんとも懐かしいこの感じ。 しばし、子供時代に戻ったような気分。
***
『ここも、子供は減ってるんですか?』 『そう、若い人はみんな高校を卒業したら出て行く。 仕事もないし、人は減るばっかりじゃ』 『昔は、ガット船(石や砂利の運搬船)で賑おうた言うて聞いとりますが』 『そうよ、前はズラーッとならんどったよ。 今も、何隻かおるじゃろ』 『ええ、3、4隻停まっとりましたね』

『砂利船も、みんな千葉の方へ行ってしもうたんよ』 『この前は、メインストリートじゃけど、空き家ばっかり。 この隣も、あそこも、みんな空き家』 『ここにはフリースクールいうのがあって、それで外から子供は来よる。 ここに来たら、みんな元気になるそうな』 お店の中で、しばし島のお話を聞かせていただいた。

『どうもありがとうございました。 また遊びにきます!』 『なにもない静かな島じゃが、まあゆっくり見て行きんさい』
***
集落を抜け、海沿いの道を戻り、浜へ。 さあ、出発だ。
おだやかな瀬戸内海を似島に沿って反時計回りで漕ぎ進む。 最高のツーリング日和。
 
似島の南岸から、江田島の北岸に漕ぎ渡り、岸沿いを進む。 切串港に出入りするフェリーに注意して屋形石を越えると、ここからは再び本船航路。
左右を常にワッチしながら、ピッチを上げて対岸まで一気に漕ぎ渡る。 岸に近付くとバウを左に振って岸沿いを北上。
無事に、海水浴場まで戻ってきた。
***
カヤックを片付けていると、一人の方が歩いて来られた。 見ると、PFDを着けておられる。
『こんにちは』 『あっちで漕いでたんですが、カヤックが見えたんで来てみました。 なんか、ホームページで見たことがあるフネですね』 『はい、ブログやってます』
因島、白石島、島根半島、蒲刈、宮島などで、偶然出会ったカヤッカーの方々から、これまでも何度か、ブログで見たことがあると話しかけられたことがある。 嬉しいことである。
『今日は、似島でキャンプしようと思って行ったんですが、残念ながら集落の近くにテントを張れる浜がなかったんで帰ってきました』 『それは残念でしたね。 これから他に行ってキャンプですか?』 『今日は、家に帰ります』
しばし会話を交わし、『じゃあまた。 どこかでお会いできるといいですね』
***
キャンプツーリングにはならなかったけれど、良い雰囲気の食堂と駄菓子屋さんを知ることができ、また様々な出合いもあって、充実した一日であった。
さあて、次はどこを開拓するかな!

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瀬戸内シーカヤック日記: ”安近短”、地元の島でキャンプツーリング(2)

2009年02月23日 | 旅するシーカヤック
地元にある情島へのキャンプツーリング。 焚き火の前に陣取り、本を開き、ワインを飲み、音楽を聴いて、のんびりまったりと半日を過ごした。

そろそろ日も傾いてきた。 夕食の準備に掛かるとしよう。
***
クーラーバッグから、新鮮なワカメの根元の茎を取り出す。 『最初のつまみは、メカブ風でいくか』
 
浜で拾った発泡スチロールのトロ箱を台にして、まな板をセットし、オピネルを開く。 少し粘り気のある根元部分の茎を細かく刻む。

沸かしたお湯にくぐらせると、あっという間にきれいな黄緑色に変化した。 『うーん、上手そうやなあ!』

醤油をチラリと垂らし、少しかき混ぜて粘りを出し、パクリと頂く。 『おー、これこれ。 これぞ、春の味覚。 もう海は春じゃのお』
***
次は簡単鍋。
家から持参したキャベツをざく切りにし、エリンギを手で大きめに割く。 コッフェルにお湯を沸かし、液体のうどん出汁を適量加える。 そこにインスタントの豚汁を入れ、キャベツとエリンギを放り込む。
しばらく煮立て、ベーコンを加えてクレージーソルトをパラリと振って完成。

いやあ、これがウマい。 ビールにピッタリの簡単鍋!
***
食後はすっかり日も暮れて、周囲は真っ暗。 小さく小さくコントロールした焚き火の前に座り、暖をとりつつ、独り静かにお酒を楽しむ。
 
私にとって、なくてはならない貴重な時間。
***
食器を片付け、夜露に濡れないように仕舞い、焚き火を消してテントへ。 暖かいシュラフにくるまって、すぐに眠りに落ちた。
***
2009年2月22日(日) 朝起きると、いつもと同じ5時過ぎ。 外はまだ暗い。

昨日の時点では、日曜日は昼から雨の予報。 ケータイで177に電話を掛け、最新の予報をチェック。
やはり昼から雨の予報。 じゃあ、今日は早めに撤収だ!
 
まだ暗い中、ヘッドランプを点けて外に出る。 キッチンをセットし、トランギアのストームクッカーに火を入れる。

小さなスキレットをストームクッカーにセットし、オリーブオイルをタラリ。 今日の朝食は、ベーコンエッグと餅、そしてインスタントのみそ汁。 寒い日の朝は、熱いみそ汁が体を温めてくれる。
***
食事を終え、コーヒーを飲んでいると日が昇ってきた。

今日は早めの撤収。 荷物を片付け、ベンチの上に並べてみた。

これだけのキャンプ道具を運べるのは、シーカヤックの最大のメリット。 バックパッキングじゃあ、こうはいかない。
これでも、ほとんどは冬のキャンプツーリングに必要な道具である。 テントにマット、シュラフに調理道具、焚き火台。 食材に救急用品に着替え。 もし削るとしたら、快適装備のクレージークリークとフリースのブランケット位だろう。
***
片付けをしていると、次第に東寄りの風が吹きはじめた。 空も雲が広がってきた。
これは、早く撤収して正解だな。

さあ、出発!
***
身近すぎて、これまでキャンプ地として考える事もなかった地元の島。 なかなか好い浜じゃないか。
これから、お気に入りの定番のキャンプツーリングコースになりそうな予感。

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瀬戸内シーカヤック日記: ”安近短”、地元の島でキャンプツーリング(1)

2009年02月22日 | 旅するシーカヤック
この週末は、日曜日の午後から雨だが、それまでは高気圧に覆われて晴れの予報。 絶好のキャンプツーリング日和である。

風の強い週末が続き、なかなか海に出られなかった1月であったが、2月に入ってからは天候にも恵まれ、2週続けて『しまなみ』に泊付きツーリングに行くことができた。
さあて、2週続けて遠出した事だし、給料前でもあるし、この週末は近場でキャンプツーリングを企画する事にしよう。
***
金曜日の夜。 食事を終えて地図を眺める。 『さあて、どこ行こう?』
近場で、いままで泊まった事がなく、しかもキャンプできる好い浜がある島。 頭の中で、様々なシミュレーション。
あそこの浜は? イノシシの足跡をよく見るよなあ。。。 ここは? 日曜日に急に風が強くなったら。。。
それならこっちは? 。。。

『ようし、今回は情島に決めた』 シーカヤックを始めた16年位前から、日帰り定番コースである奥ノ内湾一周ツーリングの途中に立ち寄る島であり、顔見知りの漁師さんも居られるのだが、これまで一度も泊まった事のない島。
ここなら、広くてキャンプにちょうど良い浜もあるし、ばっちりだ。 まさにこれぞ『灯台下暗し』
***
2009年2月21日(土) 今日は近場ののんびりキャンプツーリング。 出発する浜までは、家から30分も掛からない。
朝からゆっくりとキャンプ道具の準備を開始し、シーカヤックをカートップして、ゆっくりと家を出た。

浜に降ろした愛艇ニヤックに、キャンプ道具をパッキングしていく。 近場でもキャンプ道具の量は変わらない。
ミニマムパッキングを基本とする私であるが、冬のキャンプを快適に過ごすには、やはり荷物が多くなってしまう。 シュラフは羽毛たっぷりの暖かいやつがいいし、広めのテントでゆっくり寝たいし、焚き火道具も捨てがたい。
 
パッキングが終わり、穏やかな初春の瀬戸内に漕ぎ出した。 目の前にある情島目指して、ゆっくりと漕ぎ進む。 やっぱ、海は気持ち良いなあ。
途中、情島の桟橋に寄ってみたが、釣り人だけで島の人たちの姿は見えない。 顔見知りの漁師さんにお会いできないかと期待していたのだが、残念だ。
***
情島の南端を回り込むと、そこからは北に向かって漕ぎ上がる。
 
海は澄み、海底からは春らしく海藻が長く伸びている。 海はもう春の気配。
途中の浜には、コンクリートの遺構が。 以前、島の方から伺った話では、太平洋戦争中に戦車を島に揚げるために作られたものなのだとか。
この情島は、音戸の瀬戸経由で呉港に向かう要所にあり、当時の主要な軍港の一つであった呉港を守るため、情島には様々な軍の施設が作られていた。
***
しばらく進むと、目的の浜。 これまで何度も上陸して休憩した事はあるが、キャンプするのは初めてである。
よろしくお願いします!

シーカヤックを引き揚げ、荷物を運び上げる。 浜には、石と石との間に長い板を渡してベンチが作られている。 『これは好い!』
おそらく、夏場にボートで遊びにきた人たちが、バーベキューや海水浴を楽しむために拵えたのだろう。 今日はこれを借りる事にしよう。

ベンチを中心に、キッチンと焚き火の位置を決め、調理道具や食材を入れたクーラーバッグ、水などをセッティング。
流木を拾い集め、テントを張り、着替えると、ここはもう私のプライベートビーチである。
***
もう12時過ぎ。 さて、そろそろお昼ご飯の準備に掛かろう。

今日は簡単節約キャンプ。 家の冷蔵庫を漁り、見つけてきたうどん玉とお揚げ。 いつもキャンプ用調味料セットに入れている『うどんスープの素』
トランギアのストームクッカーをセットし、お湯を沸かしてうどんを作り、食す。
『フーフー』 『ツルツル』 『ジュワワワ、ツルリ』 日は当たっているが気温は低く、少し強くなってきた南風で冷えてきた体を、あついうどんで中から温める。 ウマい。
***
お昼ご飯を終え、コッフェルを片付けると、もう何もすることは無い。
釣りをしに来た訳でも、島を探検に来た訳でもない。 夏なら目の前の海で泳いだり、潜って魚を突いたりできるが、今はまだ冬。 平日の仕事とは正反対の、ただひたすらにのんびりまったりとした時間を過ごすため、この浜に来たのである。
 
快適なベンチに、クレージークリークをセットし、海を目の前に本を開く。 『庶民の発見(宮本常一)』
そろそろワインも開けるかな。 朝、近くのスーパーで買ってきた、円高還元セールで400円弱だった安ワイン。
でも名前がいいじゃないか! 『DEL SOLE』 今の明るい気分にピッタリだ。
***
この浜は東向き。 後ろには山があり、午後2時を過ぎると日陰になる。 気温も低めであり、少し早いが焚き火に火を入れる事にした。

暖かい! やっぱり焚き火は好いねえ。 冬のキャンプツーリングは、焚き火抜きには考えられない。
冬は寒いのが当たり前。 そして、寒いからこそ実感できる、焚き火のありがたさ。

小さな小さな焚き火に当たりつつ、海を眺め、音楽を聴き、本を読む。 独り静かに過ごす島時間。
***
 
そろそろ夕暮れ。 早めに夕食の準備を始めるとしようか。
クーラーバッグから、新鮮なワカメの茎を取り出す。 小さく薄いまな板を取り出し、オピネルを開く。
『さあて、最初のつまみはメカブ。 いっちゃいますか!』

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瀬戸内シーカヤック日記: 『しまなみプチグルメ&シーカヤックツーリング』(3)

2009年02月17日 | 旅するシーカヤック
2009年2月15日(日) しまなみツーリング二日目の朝は、風もなく快晴。 景色の良いキャンプ場で迎える朝は爽快である。

***
公園の片隅に設置されているベンチで、朝食の準備。 パンとベーコンエッグ、そしてコーヒー。

温かい朝。 しだいに明るさを増していく、静かなしまなみの景色を眺めながら、ゆっくりと摂る朝食。
食後はフライパンと食器を洗い、着替えてゆっくりとコーヒーを楽しむ。
***
今日は、生名島一周の予定。

キャンプ場前の浜を出発し、緩やかな潮に乗って、生名島を時計回りに漕ぎ進む。
出発からほぼ1時間。 生名島の南側にある浜に上陸し、しばし休憩。 ここは流れが早く、人家も少ないので水がきれいだ。
 
岩には小さな『岩ガキ』が付いている。 『おお、これはこれは!』
PFDに装備しているレスキューナイフを取り出し、岩ガキを剥がして行く。 先端を差し込んで殻を開け、小さな身を外し、海水で洗って口に放り込む。 すると、潮の香りが口中に広がり、『うーん、うまい』
息子にもお裾分け。 『何これ?』 『岩ガキ。 さっき俺も食べたよ。 どう』 『うん、これは美味いねえ』
水のきれいな海域での、冬のささやかな楽しみである。
***
再び出発。 もう半周だ。
 
途中で見つけた岩。 『あれ、寝転がった人の横顔に見えんか?』 『おー、ほんまじゃ』
このあたりは潮流が複雑な海域。 ダブルのアークティックウインドで、ピッチを合わせて漕ぎ進む。

出発から2時間ほどで、キャンプ場に戻って来た。
***
想いもかけず2週連続となった『しまなみツーリング』 しまなみの海とプチグルメをたっぷりと堪能した。
もう海は春の気配!

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瀬戸内シーカヤック日記: 『しまなみグルメ&シーカヤックツーリング』(2)

2009年02月16日 | 旅するシーカヤック
2009年2月14日(土) 生名島周辺でのお散歩ツーリングを終え、フェリーで因島に渡る。 岩城島に行く前に、銭湯で潮抜きだ。

午後3時過ぎに銭湯の暖簾をくぐる。 今日は珍しく先客が二人居られた。 一人の方はしばらくすると帰られ、3人に。
湯船に浸かり、のんびりと疲れを癒す。
***
一緒に浸かっている湯船の中で、『どこから来た?』と声を掛けられた。 『はい、呉からです』 『ほう、わしも昔は呉に住んどったことがあるよ』

『昭和32年頃よ。 あの、仁義なき戦い言う映画があろう。 ちょうどあの頃じゃった』 『そうなんですか。 私もあの映画が好きで、よう観よるんですよ』 『あの頃は、呉も賑やかじゃった。 人が多かろう、じゃけえ歩きよったら肩が当たるわいのお。 そうしたらすぐ喧嘩じゃ』
『でもあのころは、さっぱりしとったよ。 喧嘩しても、その場で終わり。 訴えるじゃなんじゃいうのはなかったよ』

『因島もだいぶ寂れてしもうた。 橋が架かったら賑やかになる、観光客が来るいようったが、なあに便利がようなって日帰りばかり。 逆に泊まる人が減ったよの』 『この銭湯も入りきれん位人が居ったし、この辺りには飲みやがいっぱいじゃった。 今はもう、飲み屋も半分になってしもうたよ』
『まあでも、どこに居っても住めば都。 寝る家があって、布団があって、飯が食えりゃあ、それで充分。 ほうじゃろ』 『いやあ、確かにそうですね』

その後も、呉の今昔、大阪に住んでおられた頃の話、造船所で働く外国人の人が増えている事や、その人たちの仕事などについて、いろいろとお話を聞かせていただいた。

『生名島にカヌーを漕ぎに来たら、夕方にはここに入りに来よるんですよ。 生名には銭湯がないですからね』 『ほうか、時々来よるんか』 『またお会いできればうれしいです。 今日はありがとうございました』 『じゃあまたの』
***
銭湯を出て、港に向かう通りを歩いていると、プラモデル屋さんのショーウインドーに気になるものがあった。
覗き込んでみると、なんと『MB5(ホンダ)』のプラモデルではないか!

『これはMB5いうて、高校生の頃に初めて買うたバイクじゃ。 懐かしいのお』 原付免許を取って初めて買った中古のバイク。 三段峡、帝釈峡、大山。 このバイクで、いろいろとツーリングに行ったものだ。
当時は原付ブームで、50ccのスポーツタイプのバイクがいろいろ出ていた事を覚えている。 CBX、MBX、AR。
いやあ、これは好いものを見つけたなあ。
***
土生港へ。 ここから、高速船で岩城島に渡るのだ。
 
生名、弓削、佐島を経由して岩城島へ。
 
夕刻の岩城島。 目指すはもちろん『よし正』さん。 ここでゆっくりとビールを飲みながら料理を楽しみたかったのだ。
***
『生ビールください』 『おいくつですか?』 息子はもうすぐ二十歳だが、もちろんまだNG。 『一つで』
 
キンキンに冷えた生ビール。 刺し盛り。
 
白子の塩焼き。 レモン豚のハツ塩焼き。 レモン豚の生姜焼きに串カツ。 このわた。
旨い料理を食べ、ビールをグビリグビリと飲み、ぬる燗をクイッと飲る。 いやあ、来て良かった。

満足、満足。 お勘定を払っていると、お店の方に『前も来られましたよね』 『ええ、何度も来てますよ』
すると、黄色いペリカンケースを指差して、『それ、そのケース覚えてます』 『そうですか。 カヌーで生名から漕いで来た時は、お昼ご飯はここに来てるんですよ。 ごちそうさまでした』
***
ほろ酔い気分で、すっかり暮れた港へ。 
 
帰りは、初めて乗る船。 快速船『しんこう』
この船は、朝晩のみだが、岩城港~長江港経由で土生までをつないでいる航路。 途中、造船所の桟橋にも寄りながら夜の海を渡って行く。 まさに生活航路である。 うーん、いいねえ。
 
生名島に戻り、港に停めておいたクルマの運転を長男に任せてキャンプ場に戻ってくると、そこにはうれしいサプライズが!
いやあ、好い一日だったなあ。 明日はのんびりとツーリングを楽しもう。 では、お休みなさい。

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瀬戸内シーカヤック日記: なぜか2週連続_『しまなみグルメ&シーカヤックツーリング』(1)

2009年02月15日 | 旅するシーカヤック
2009年2月14日(土) この週末は、久し振りに19歳の長男の予定が空いているという。 『どう、尾道の朱華園でラーメン食って、生名島でシーカヤックを漕がないか?』 彼は二つ返事で『OK!』 ようし、この週末は、『しまなみグルメ&シーカヤックツーリング』だ!
***
尾道に向かう道中、運転しながら息子に『どう、最近仕事は?』 その会話の中の端々に専門用語が出てくるのだ。 うんうん、彼も一歩ずつエンジニアになりつつあるのだなあ。 感無量!
『そうか。 頑張れよ』
***
しまなみグルメ&シーカヤックツーリングの最初は、久し振りとなる尾道の『朱華園』へ。 息子達が小中学生だったころは、年に何度か通った店である。

開店時間に合わせて店に到着。
『何にする?』 『うーん、久し振りやから焼きそばにしようかどうか迷っとる』 『じゃあ、中華そばと焼きそばにしよう!』
注文は、『すみませーん、中華そば二つと、焼きそば一つ』
『どう、これでええじゃろう? 分けて食べようや』 『うん』
 
まず運ばれてきたのは中華そば。 うーん、ええ匂いや! 『いただきます』 まずはスープをゴクリ。 『お! やっぱり旨い』 竹原の太華園は、まさにこの系統である。
続いて焼きそば。 具がたっぷりの朱華園の焼きそばは、うちの家族にも人気である。 取り皿に取り分けて二人で食べる。『おお、美味い』 これでビールを『グビリ、グビグビ』と飲ったらたまらんやろなあ。
***
おいしいお昼ご飯を終え『ごちそうさまでした』と店を出る。 『じゃあ、行こうか!』
西瀬戸自動車道を走り、因島を抜け、フェリーで生名島へ。
少し風はあるものの、気温は高く春の陽気。 最高のパドリング日和である。 『じゃあ、今日は肩ならし。 この辺りを少し漕いで見ようか』

シーカヤックを降ろし、安全装備と飲み物だけ積んで出発。
 
『今日は、鶴島と亀島、平内島を回ってみよう! ここは、前にかあさんと来た時にも漕いだコースなんや。 まあ、1時間くらいかのう』
***
気温が異常に高い。 漕いでいると汗が噴き出してくる。 日陰になる島影で休憩しているときがちょうど良い。

ここの定番、私が勝手に名付けた『なんちゃって七つ穴』にも案内。
 
平内島の浜に上陸し、しばし休憩。 『鶴』という字が彫られた木片を発見! これは、幸先がいいじゃないか。
海辺の少し高い所に飾っておいた。 次回来る時に残っていると好いなあ。 楽しみである。
***
今日は、夕方から次のグルメターゲットに行く予定がある。 『じゃあ、そろそろキャンプ場に戻ろうか』

午後2時過ぎ。 キャンプ場前の浜に戻り、シーカヤックを運び揚げ、着替える。
管理人さんも来ておられた。 『どーも! 2週続けて来ちゃってすみません。 この週末は、彼の予定が空いているというもので』 『いいんですよ。 それにしても、今日は暑いねえ』
『ほんと。 漕いでたら汗をかきました。 今から因島の銭湯に入って、岩城島に行こうと思ってます。 因島の銭湯は、3時からでしたよね?』 『ええ、3時からですよ』
***
『じゃあ、行ってきます!』 『はい、ごゆっくり』

さあて、一っ風呂浴びて、岩城で旨いものを食いますか!

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瀬戸内シーカヤック日記: ロードスターで『とびしま海道』オープンドライブ

2009年02月08日 | 旅するロードスター/アテンザ
2009年2月8日(日) 今日は、ロードスターで『とびしま海道』を妻とドライブ。
『日曜日の予定は?』と私。 『特に何もないよ』と妻。 『じゃあ、シーカヤックツーリングから土曜日に戻ってくるから、日曜日はドライブに行こうか? まだ、豊島大橋を渡ってないよね』 『いいよ』
金曜日の休みを含めて3連休だったのだが、しまなみ連泊ツーリングで帰ってきたのはこのドライブの予定を決めていたためである。
風と波次第の、予定が有って無いようなシーカヤックツーリングと違い、ドライブは予定が立て易いので本当に気が楽だ。
***
とびしま海道までは近いので、朝はゆっくりと出発。
水筒に温かいお茶を詰め、フリースのブランケットを用意する。 いつもの様にBarbourのジャケットを羽織り、ワッチキャップと指先の出る手袋を着け、ロードスターの幌を降ろす。

今日は温かくて、絶好のオープンドライブ日和である。 iPodでお気に入りの音楽を流しながら、蒲刈の海沿いの道を快適に流して行く。
***

豊島大橋を越えた少し先にロードスターを停め、少し歩いてみる。
 
橋の上からは瀬戸内の景色が楽しめる。 少し靄がかかっているのは残念だが、なかなか良い眺めだ。
***

大崎下島の大長では、イベントが開かれていた。 せっかくなので立ち寄り、出店を見学。 1kgが150円と安い大長みかんを発見し、即購入。
 
会場の近くで、大長らしい『柑魂の碑』を発見。 これは良いものを見つけた! また、港の横保存してある『農船(やまてんま)』に妻を案内し、このあたりの農船の事を簡単に話す。
***
 
道を走っていると、『とんど』の準備も行われていた。 展望台には何台ものクルマが来ており、開通当初の異常なブームは沈静化したとはいえ、御手洗地区を訪れる人が増えている事が実感できる。
個人的には橋が架かる前の静かな御手洗の風情が好ましかったが、島の活性化という意味では、これはこれで良い事なのだと思う。
***
お昼ご飯を食べるため、岡村島の展望台に向かう。 狭くて急坂の山道を登り、展望台に到着。
 
展望台から岡村島の集落や大下島、四国を眺める。 ベンチにフリースのブランケットを広げ、水筒のお茶を出し、途中で買ってきたお弁当を広げる。
日差しも温かく、目の前に広がる瀬戸内の景色を眺めながらのお昼ご飯は最高だ。 妻と並んでベンチに座り、瀬戸内の海を眼下に眺めながらゆっくりとお弁当を食べ、温かいお茶を飲み、のんびりと過ごす。
***
『さあ、そろそろ帰ろうか』 狭くて急な坂道をローギアでゆっくりと降りていく。
 
ロードスターで行く『とびしま海道ドライブ』 今日は最高のオープンドライブ日和であった。
自然の中を旅して行くシーカヤックツーリングはもちろん最高だが、たまには気楽なオープンドライブも好いものだなあ。

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瀬戸内シーカヤック日記: しまなみ連泊ツーリング(3)_ぶらり因島

2009年02月08日 | 旅するシーカヤック
2009年2月6日(金) 生名島から岩城島に渡り、温泉と芋菓子、そしておいしいお昼ご飯を堪能したツーリングから戻ると、いつものように自転車を借りてフェリーで因島へ。
さあて、今日はどこ行こう?
***
自転車で箱崎へ。 ここは、家船で有名だった港町。
 
瀬戸内の港町らしく、狭い路地が迷路のように入り組み、家々がぎっしりと立ち並んでいる。 今でも港には、家船の特徴を残した漁船が多く残っている。
 
自転車を停め、少し路地を歩いてみる。
狭い路地のあちこちに、小さな祠がある。 板子一枚下は地獄と言われる漁で生計を立てる漁村は、信仰心の強い土地でもある。

通りには、駄菓子屋さんが健在だ。 子供達がこの店に集まり、男の子と女の子が一緒になって、楽しそうに遊んでいた。
都会では少なくなってしまった、子供達が通りで遊ぶ懐かしい風景。
***
再び自転車を漕いで土生に戻り、フェリーで生名島に渡る。
キャンプ場に戻ると、夕食の準備。 今日もメインは『牡蠣』である。
クーラーバッグに氷を入れて冷蔵しておいた残りの牡蠣を使った味噌仕立ての鍋。 水に出汁と味噌を入れて煮立て、タマネギと椎茸、長ネギ、そして最後に牡蠣を投入。
椀に取り、一味をパラリと振って食べる牡蠣の旨い事。 味噌仕立ての汁を啜ると、芯から体が温まる。
最初はビールをゴクリ。 途中からは焼酎の湯割りに、差し入れで頂いた地元のレモンを絞ってグビリと飲る。

つまみは、岩城島のスーパーで買ってきた『太刀魚のフライ串』と、『春菊とちくわの天婦羅』
うまい牡蠣鍋をつつき、太刀魚のフライをつまみ、焼酎の湯割りでホコホコと暖まる。 しまなみの島にあるキャンプ場で、独りの夜は静かに更けて行く。
***
2009年2月7日(土) 朝目が覚めると、ここ最近では一番穏やかな朝。 風もなく、気温も高めである。
絶好のお散歩ツーリング日和。 パンとベーコンエッグ、そしてコーヒーの朝食を摂り、着替えて出艇の準備に掛かる。


今日はツーリングと言うよりは朝の海の散歩程度。 ここでの最終日の朝は、いつもこのルートをお散歩パドリング。
 
鶴島を回り、箱崎沖の海にある龍神さまにお参り。 亀島、平内島を経由して、キャンプ場に戻る。
まるで春のような陽気の穏やかな海での、快適なのんびりお散歩パドリング。
***
浜に戻ると、管理人さんが来られていた。 『おはようございます。 戻りました。 今日は温かくて気持ち良いですね』
『ほんと、今日は温かいねえ』
道具を片付け、着替え、荷物をパッキング。 管理棟に行き、お世話になったお礼を述べる。 しばし、四方山話。
佐島との間を繋ぐ橋ができた後の上島町内のバスや船便の予定。 今年の夏に計画されているイベントの事。 サティが撤退した後の因島の土生の様子などなど。 さて、そろそろ帰ろうかな。

『ほんとうに、いろいろとありがとうございました』 『また来て下さいね。 息子さんも一緒にぜひ』 『はい、また来ます』
急遽予定を変更して『しまなみ連泊ツーリング』になったが、天候にも恵まれ、岩城島もたっぷりと堪能でき、生名島の静かなキャンプ場を独り占めしての牡蠣三昧。 好い週末だった!

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瀬戸内シーカヤック日記: しまなみ連泊ツーリング(2)_岩城島堪能

2009年02月08日 | 旅するシーカヤック
2009年2月6日(金) 牡蠣尽くしの夕食を堪能し、シュラフで目覚めた朝。 今日は天気も良さそうだ。
牡蠣尽くしツアーの朝食は、もちろん牡蠣。 今朝は、牡蠣うどん。

朝食を終えると、コーヒーを一杯飲み、着替えて出発の準備。
***
 
出艇準備をしていると、それまで穏やかだった海が少しザワザワし始めた。 風。。。
今年の冬は、なかなか”のんびりまったりツーリング”を楽しませてくれないようだ。 でもこれくらいなら全く問題ない。
出発ー!
***
岩城島の中で、これまで行った事の無い場所へ向かう。

この辺りは、岩城島とは思えない雰囲気。
 
今日の最初の目的地は、『菰隠温泉』 これまで気にはなっていたのだが、生名島まで漕いで帰ってから自転車&フェリーで因島の銭湯で潮抜きするのも、しまなみを旅する楽しみの一つであり、ここの900円という料金も引っ掛かって足が向かなかったのである。
***
温泉に着いたのは10時。 ちょうど、開業の時間である。
料金を支払い、浴場に向かう。 今日はまだ、他のお客さんは居ないようだ。 貸し切り状態である。
お風呂は広く、窓からは瀬戸内の海が見える。 浴槽で体を伸ばし、日頃の疲れをまったりと癒す。 うん、好い気分。

時々休憩しながら、たっぷり1時間お風呂を堪能。 少し高いけど、広いしきれいだし、眺めも良い。 これはいいなあ。
***
次に向かうのは、『芋菓子工場』
芋菓子には、細いのと太いの2種類あるのだが、前回訪れた時に聞いた工場の方の話によると、太い方が作るのが難しいそうである。
『細いのは簡単。 あの太いのを、均一に揚げるのが難しいんよ。 芋ケンピはだいたい自動化されとるけど、うちは人が見ながら揚げよるから調整できる』 『芋も、入ってくる時期やなんかでそれぞれ違う。 それを同じように仕上げんといけん』
 
今日は平日なので工場は稼働中。 中に入り、袋入りの芋菓子を購入。 今回は太い方を選ぶ。
お金を支払い、『すみません。 あのできたてのヤツを、1本でいいから試食させていただけませんか?』と頼んでみた。 前からやってみたかったのだ。 『あ、いいですよ』と、3本ほど渡して下さった。 『ありがとうございます』
工場を出て、歩きながら試食。 サクリとした食感と病み付きになる適度な甘さ。 うーん、美味い。
***
芋菓子工場を出たのはちょうど昼前。 お昼ご飯は、岩城島での私の定番、『よし正』さんへ。
店に着く前には、いつもの『よし正定食』ではなく、前回訪問時に長男が食べた『島豚焼肉定食』にしようと決めていた。
だが、店の前に置いてある、日替わりのよし正定食のメニューを見て、グラッと心が揺れた。
 
鯛のチーズ焼きに穴子天とは、私のストライクゾーンど真ん中。 その上に、ミンチカツとオムレツまでついて¥650-! これは、決まりでしょう。
ガラリと扉を開けて店に入り、いつものようにカウンターの端っこに座り、『定食一つお願いします』
鯛のチーズ焼きは最高。 法蓮草入りのオムレツもふんわり。 それに穴子天。 この内容でこの料金とは。。。
ゆっくりとおいしい料理を堪能し、『ごちそうさまでした』
***
帰りは、いつもと違うルートを通るとしよう。
 
久し振りに、津波島と赤穂根島との間の海峡を抜ける事にし、バウを南に向けて漕いで行く。
海峡は向かい潮だった。 ここは、大潮なら白波を立てて凄い勢いでそれこそ早瀬になる場所。 潮が小さい今日でも、ザワザワと音と立てながら大河のように滔々と流れて行く。
無事海峡を抜けると、バウを左に振って赤穂根島に沿って北上。 岩城島、生名島との間の海峡を北上し、無事にベースキャンプに戻ってきた。
***
『帰りました』と私。 『お帰りなさい』と管理人さん。 『今日は、菰隠温泉に行ってきたんですよ』 『どうでした?』
『貸し切り状態で、ゆっくりできました。 ちょっと高いですけど。 島の人なら500円なんですよね』
『銭湯で、誰かと話す方が好きなんじゃないですか?』と笑いながら管理人さん。 私も笑いながら、『ええ、そうなんですけどね。 まあ、景色も好いし、あの大きなお風呂を独り占めというのも、なかなか良かったですよ』

『じゃあ、また自転車をお借りできますか?』 『はい、準備してますから』 『いつもありがとうございます』
シーカヤックを引き上げ、着替えて自転車で因島へ向かう。 さあて、今日は因島のどこへ行ってみようか?

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瀬戸内シーカヤック日記: しまなみ連泊ツーリング_牡蠣尽くしツアー(1)

2009年02月07日 | 旅するシーカヤック
2009年2月5日(木) 久し振りに好天となりそうなこの週末。 今日(木曜日)はフレックスで昼までで、明日(金曜日)は休み。 近場なら昼から家を出ても夕方には島に着く事ができる。 久し振りにパーッと行きますか!
***
目指すは竹原。 お気に入りの生野島へ渡ろうという計画。
安芸津でクルマを停め、お気に入りの魚屋さんで新鮮な牡蠣を500gほど購入。 これだけあれば、たっぷり牡蠣尽くしが楽しめる。

安芸津を過ぎた頃から少し風が吹きはじめた。 空も曇っており、今にも降り出しそうな所もある。 確か、天気予報は晴れだったよなあ???
竹原の浜に到着。 クルマを降りると、風が木々の枝を揺すってザアザアと吹いている。 西風。。。

うーん。 この風なら出れなくはないが、あまり楽しくないよなあ。 さあてどうしよう?
***
しばし考え、ケータイを取り出し、電話を掛ける。 居られますように!
『はい、もしもし』 あ、居られた。 『カヤッカーです。 こんにちは。 急なんですけど、今日の夕方からキャンプできませんか?』 『あ、いいですよ。 大歓迎です。 今日もほかのお客さんは居ませんから』
『じゃあ、お願いします。 5時前には着きまーす』 『はい、気をつけて!』

と言う訳で、急遽予定は『生野島』から『生名島』へと変更。 予定なんて有って無いようなもの。 風の吹くまま気の向くままの、のんびりまったりツーリング。 出発する日の朝の天気や気分で、その週末の行き先を決めるなんていつものことだ。
これが私の海旅のスタイル。
***
竹原から国道を走り、西瀬戸自動車道を抜け、因島を走ってフェリーで生名島へ。 竹原から2時間弱で到着。
『こんにちは。 今日は急でスミマセンでした!』 『いいんですよ。 使ってくれる人が居た方がうれしいから』 『また、2泊でお願いできますか?』 『はい。 ゆっくりしてってください』
 
ここには年に何度通う事だろう? 管理人さんによると、このキャンプ場の年間最多宿泊者は、ここ数年どうやら私らしい。
まあそれくらい、シーカヤックツーリングのベース基地としてお気に入りの場所なのである。 
***
今夜も海辺のバーを開店。

今回は少しばかりリッチな雰囲気。 最初の一本にはエビスビールのロング缶を奢り、Goさんからいただいた最高級ラムも持参した。 庶民的な『いいちこ』には、差し入れで頂いた地元のレモンを絞るとしよう。

しまなみの夕暮れを前に飲む酒。 うん、これはなかなか好い感じじゃあないか。
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さあて、そろそろ夕食の準備も始めよう。

今回の発見は、里山コンロの着火に、トランギアのストームクッカーがピッタリだと言う事。 これならあっという間に炭に火が点く。 こりゃいいや。
 
今日のメインは牡蠣。 やっぱ、広島の冬のキャンプツーリングには牡蠣でしょう!
塩を少しふって牡蠣を洗い、準備完了。 調味料には、柚子胡椒にオリーブオイル、クレージーソルト。 ポン酢に醤油、味噌に粉チーズ。
***
 
里山こんろで牡蠣を炙り、クレージーソルトをパラリと振ってパクリ。 ジューシーな海の香りが口中に広がる。 そこでエビスをゴクリ。 プハーッ、こりゃあたまらんね。
肉厚の椎茸を炙り、程良い所でポン酢をタラリと、ひとっ垂らし。 ジュワーっとポン酢の湯気が立ちのぼるやつを一気にパクリ。 うん、この香ばしさ! 再びエビスをクイッと飲る。
うん、天国である。

炙りに飽きたら、スキレットを載せ、オリーブオイルで牡蠣を焼く。 味噌を付けてパクリ。 柚子胡椒でパクリ。 塩でパクリ。

〆はカキ丼だ。 出汁に薄切りタマネギと牡蠣を入れてしばし煮込み、玉子を落として半熟に。
しまなみの島で味わう牡蠣尽くしの夜。 ごちそうさまでした!
***

牡蠣を堪能した後は、本を開く。 『庶民の発見(宮本常一)』
ラムをチビリチビリと飲りながら、宮本ワールドに浸る。 最高の夜。

さあ、明日はしまなみツーリングだ!

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