あるくみるきく_瀬戸内シーカヤック日記

瀬戸内を中心とした、『旅するシーカヤック』の記録

『芸予ブルー』_テーマカラー of 印象派_”瀬戸内シーカヤック日記”

瀬戸内シーカヤック日記: オルガン座上映会、カヤック&フィッシング

2009年05月31日 | 旅するシーカヤック
2009年5月30日(土) 10時過ぎのバスに乗り、妻と二人でワーナーマイカルシネマズに行き、午後一番の『天使と悪魔』を見る。 『天使と悪魔』 スピード感があり、ハラハラドキドキのシーンも多く、なかなか面白い映画であった。 家に帰る妻をバス停まで送ったら、一人、街まで歩く。
今日のメインは、「すおうにうかぶあおいしま~祝島のそらとうみをおもう上映会~」。 祝島出身の明子さんのお誘いを受け、夜は『オルガン座』で行われる上映会に行く予定。

たっぷり時間があったので、街までウオーキング。 日頃歩かない裏通りを散策し、古書店を巡り、街を楽しむ。

そろそろ良い時間。 原爆ドームの前を通って、オルガン座に向かう。
 
明子さんに挨拶し、ビールを注文して、2階部分に相当する場所へ。 最初は、『ぶんぶん通信vol.1』の上映。 10分の休憩を挟んでトークセッション。 ぶんぶん通信は、神舞の櫂伝馬のシーンもあり、櫂伝馬を通じて知り合った祝島の方々が多く出ておられたので、楽しめた。 うん、やっぱり祝島は好いなあ!
***
本当は、打ち上げに参加させていただく予定だったのだが、終了したのが10時半過ぎと、私の想定よりかなり遅かったので、打ち上げ参加は諦めた。 『明子さん、ごめんねー。 呉の家まで帰れんようになるけん。 誘ってくれてありがとう。 また、祝島ででも、ゆっくり話ができるといいねえ』

最終の市電で広島駅まで行き、JR、タクシーと乗り継いで家に戻ったのが0時半。 朝は10時過ぎに家を出て、久方ぶりの午前様。 風呂に入り、1時過ぎに就寝。 バタンキュー!
***
2009年5月31日(日) さすがにいつもの5時には目が覚めず、7時過ぎに起床。 今週は土曜日に予定が入っていたので、久し振りに日帰りツーリングの予定。

キャンプツーリング/泊付きツーリングと日帰りツーリングは全く別ものであり、楽しみの深さは比べようもないが、たまにはそういう週末もある。
かの野田知佑氏も言っているではないか、『(全略)それも日帰りの川下りではなく、何日かかけて川を旅するリバーツーリングがいい』、『汚い水の川でちょっと漕いでごまかすより、一年に一回でいいから、理想的な川でフルに楽しんだ方がいいと思う』 

せっかくなので、そういう時には何か一つ小さな楽しみを加える事にしている。 例えば、昔使っていた懐かしいガソリンストーブやアルコールバーナーを引っ張り出してきて使ってみるとか、持って行くお菓子や食材に一工夫加えてみるとか、知り合いの漁師さんが居る島に行ってみるとか。
『カヌーをただ漕ぐだけでは楽しみに幅がないし、底が浅い。 カヌーに色々な遊びをとり入れると面白さが倍加する。 カヌーに釣り、潜り、泳ぎ、山菜採り、食べる事、キャンプ、旅行をつけ加えたものがリバーツーリングである(野田知佑)』

そして今回は、『カヤック&フィッシング』 春に訪れた島の駅で、店じまい3割引の格安釣り道具セットを手に入れていたので、それを引っ張り出してきた。 ということは、いつものあの浜だな!
***
途中で、青ゴカイを300円ほど購入し、出艇場所となる浜へと向かう。

準備を終えて漕ぎ出すが、今日は体が重い。 『あれれ。 やっぱ昨日の疲れが残ってるんだ。 もう若くはないなあ。。。』
浜に到着すると、さっそく竿を取り出し、仕掛けを付け、投げてみる。
 
10秒ほど待つと、竿を持つ手にビクビクと振動が伝わってきた。 もうちょい。 よし。
グイッと竿をあおり、リールを巻く。 ギザミ/ベラである。 20センチオーバー。 なかなか大きいじゃないか。 出足は好調!

カヤックで誰も居ない浜に行き、釣りをするとき、私は竿一本派である。 竿を何本も投げてクルマの所で待っている人をよく見かけるが、あれは数を釣るのが楽しいんだろうなあ。 私は、『魚が釣れた』よりも、『魚を釣った!』という方が楽しい。

本当は、釣りよりも潜って銛/ヤスで魚を突く方が好きなのだが、どうせ釣るなら手応えをリアルタイムに感じられる持ち竿の方が好きである。 ピクピク、ビクビクと魚が餌をつつく感触を確かめ、タイミングを見計らって竿をあおり、グイッと魚が掛かった重みを感じるとき、狩猟本能が満たされるのだ。
***
今日は、岩場での釣りと言う事で、先日試作した、『フェルトソール付きサンダル』を履いてみた。
 
カヤックを漕ぐ時も違和感なく、海藻が生えている岩場でもガッチリとグリップしてくれ、全く不安感なく釣りを楽しめた。 これはなかなか良いなあ。
***
投げて、少し待つと、毎回ビクビク、ピクピクと当たりがある。 やはりここは良い釣り場だ。
 
小さなコチ。 20センチ級のキス。 たまにクサフグや、カナコギが混じるが、ほとんど入れ食い状態。
***
釣りをしていると、徐々に空が暗くなり、南風も強くなってきた。 気温も下がり、あまりうれしくない状態。
家族で夕食に食べるくらいは確保したし、そろそろ引き揚げるとするか。

久し振りとなる日帰りツーリングであったが、『カヤック&フィッシング』にして正解だったなあ。 夜は、キスの塩焼きでビールをグイッと飲りますか!

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瀬戸内シーカヤック日記: 広島プリンスホテル_温泉&ランチでのんびりまったり

2009年05月25日 | 旅するロードスター/アテンザ
2009年5月25日(月) 平日の今日は、私も妻も休みを取り、近場でのんびりと『温泉&ランチ』を楽しむ予定。
先週の週末に休日出勤があった妻は、代休を取る事に。 『じゃあ、25日にせんか? わしは25日を休業にするつもりじゃけえ、どっかに遊びに行こうや』 『ほうじゃね。 じゃあ25日にしようかねえ』
***
と言う訳で、今日は昼前に家を出て、アテンザワゴンで広島グランドプリンスホテルへと向かう。
このホテルには、数年前に温泉施設ができたのだが、基本的には宿泊者専用。 ただ、ホテルで昼食を食べる客用に、『温泉&ランチ』という日帰りプランが用意されているのだ。

昨年、両親と一緒にお昼ご飯を食べに行ったとき、そのプランがある事を知り、『いつかゆっくり行ってみたいねえ』と妻と話していた。
プランには、今のシーズンはバイキングと懐石料理がある。 バイキングの方が料金は安いが、せっかく妻と二人でゆっくりと食事をするのだから、もちろん雰囲気重視で懐石料理を選んだ。

予約していたお店に入り、案内された席に着く。 席の場所も良く、今日は晴れて最高の眺望である。
 
『あれは?』 『あれが似島。 この前、俺が行った島よ。 またあの食堂に行きたいなあ』
『この辺りを櫂伝馬で漕いで、あそこにある宮島まで行ってみたいんよなあ』 『どこを通るん? いつになるかねえ』
 
今日はクルマなので、もちろんアルコール抜きだが、行き交う船と美しい瀬戸内の景色を眺めながら、ゆったりと食事を堪能した。 『ごちそうさまでした。 たまにはこんな料理もいいねえ』
***
1時間ほどで食事を終えると、今日のお楽しみ、ホテルの温泉である。 『広島温泉_瀬戸の湯
女湯は3F、男湯は2Fである。 基本は宿泊者専用であり、月曜日の午後1時過ぎでもあり、人は少ない。
先客は、3人ほど。 それが驚くほど体格が良い人ばかり。 厚い胸板、がっしりとした後ろ姿。 『これはどうみても、普通の人じゃあないなあ』
よく考えてみると、昨日今日は、zoom-zoomスタジアムで西武ー広島戦のはず。 ここはプリンスホテル。 これは、西武の選手に間違いないだろう。 やっぱりプロ野球選手は、体が違う! (帰りには、ホテルの前に西武の選手を迎えにきたバスが2台停まっていたから間違いない)

しばらくすると、3人は風呂から上がり、私一人で貸し切り状態に。 潮湯の露天風呂、スチームサウナ、ジェットバスなどをゆっくりと楽しむ。
***
1時間ほどでお風呂から上がり、ハーゲンダッツのアイスクリームを買ってアテンザワゴンに乗り込んだ。
『このプラン、なかなか良かったねえ』 『懐石料理をゆっくり食べて、静かで清潔な温泉に入って。 近場でこんなに楽しめるなんて』 『そんなに頻繁には来れないけど、たまには好いね』

3月末にアテンザワゴンが納車になって以来、シーカヤックに、ドライブ旅行にと、週末のほとんどを外出していたが、久し振りに家と近場でゆっくりと3連休を過ごすことができた。
新たな楽しみ『ホテルで温泉&ランチ』も見つけたし、このプランは妻も喜んでくれた。 これは、なかなか良い週末だったなあ!

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瀬戸内シーカヤック日記: 海仕様サンダル_シーカヤックスペシャルに改造

2009年05月24日 | 旅するシーカヤック
2009年5月23日(土) 朝、次男が通学に使っている自転車の前輪がパンクしたということで、修理をすることに。 空気は徐々に抜けると言う事なので、大きな穴ではなさそうだ。
まずは、虫ゴムをチェック。 問題無し。 やはりチューブのパンクである。

工具を取り出し、前輪を取り外す。 タイヤレバーを使ってタイヤをリムから外し、洗面器に水を入れてチューブのパンク箇所を確認。 『おー、ここや』 ピンホール発見!

ヤスリを掛けてセメントを塗り、乾いた所で張り合わせて金槌で叩く。 しばし待ち、洗面器の水で漏れがない事を確認。
チューブとタイヤをリムにはめ、自転車に組み込んで修理完了。 『OK、OK。 でけたどー!』
***
一仕事終えると、妻と二人で広島市内へ。 ロードスターの屋根を降ろし、海沿いの道をオープンドライブ。
今日は、妻と映画を見る日なのだ。 今日のタイトルは、『消されたヘッドライン』 ラストは残念ながら『竜頭蛇尾』感が残ったが、全体としてはなかなか見応えのある映画であった。

その後、街に出てお昼ご飯を食べ、買い物をして帰宅。
***
『さあて、じゃあもう一仕事やりますか』 今日、広島市内のアウトドア用品店で、フェルト補修セットを購入してきた。
これを使って、サンダルを改造しようと言う魂胆である。

数年前からはやりのサンダル。 履き心地もよく、開放感もあり、シーカヤックツーリングに最適である。
ただ難点は、スロープや雁木でのグリップ。 この難点はサンダルに限った話ではないが、使い易いサンダルにグリップが備われば最強のアイテムになるはず。

と言う訳で、ひと月前ほどに『フットパーク』のセールで数百円で購入した新品のサンダルを取り出し、底をフェルトに改造することにした。
***
サンダルの底の形に合わせてフェルトを切り出し、接着剤で張り合わせる。
 
手作りなので、まあ見た目はカッコ悪いが、なんとか完成した。 試しに室内で履いてみるが、特に違和感もない。

はてさて、手作りの海仕様_シーカヤックスペシャルサンダル。 リアルなフィールドで威力を発揮してくれるだろうか?
こういうちょっとした工夫を凝らし、道具に一手間掛けるのが楽しいんだよなあ。

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瀬戸内シーカヤック日記: 笠岡諸島グルメツーリング_白石島(2)

2009年05月22日 | 旅するシーカヤック
2009年5月16日 白石島から真鍋島往復のシーカヤックツーリングを楽しんだ後、夕方、民宿”はらだ”でくつろぐ。
夕食前に、みんなでしばし白石島を散策。
 
特徴のある神聖なエリア。 人気の少ない静かな狭い通り。 昔ながらの風情を残す懐かしい風景。
うーん、いいなあ! これぞ、瀬戸内の島。
***
散歩から帰ると、お待ちかねの夕食。 バンザーイ!!!
 
魚介類好きには、もうたまらない世界が繰り広げられるのだ。
 
これでも、すべてを写真に残していない。 もう、『酒池肉林』ならぬ、『酒池魚貝森』である。
これ以上何が要る?
***

お酒は、生ビール、ワイン、そして『生涯不良』
宮崎で仕入れてきたこの焼酎は、Goさんと飲まずして誰と飲む? という感じである。 この白石島ツーリングが決まったとき、妻が『じゃあ、今回は”生涯不良”を持っていかんとねえ』と言ったくらい。
『そりゃそうよ。 生涯不良と言やあ、Goさんと儂じゃあ。 まあそうは言うても、わしゃあまだまだヒヨッコじゃが。 やっぱ、今回持っていかにゃあのう』
***
おいしい魚を食べ、貝を頬張り、ビールを飲む。 魚の卵を食し、生涯不良を飲み、四方山話で盛り上がる。
イカスミ料理を堪能し、おいしい海鮮サラダをパクリ。 ビールをゴクリ、ゴクゴク。 ワインをチビリ。
焼酎を口に含み、刺身を一口。 漬け物をバリバリ。 鯛の皮のコリコリ感を楽しむ。

酒、料理、そして腹を抱えて笑う楽しい話題。 気の置けない仲間との、なによりうれしい一時。 ほんと、白石島に来て良かったあ!
***
 
翌日は、おいしい朝食をいただいたあと、タンデム艇2艇を出し、曇天をついて近くの無人島までツーリング。
時折雨は振ったが、そこそこのコンディションで二日間のツーリングを終えた。 カヤックや道具を片付けていると、空から大粒の雨が。 『あー、ええタイミングでしたねえ』

民宿に戻り、道具を片付け、着替えて風呂で潮抜き。 『ああ、気持ちええなあ』
その後は、おいしいお昼ご飯、海鮮雑炊をみんなでいただいた。 『ごちそうさまでした! あー、旨かったあ』

久し振りの『笠岡ツーリング』 やっぱ、良い仲間と過ごす週末は最高やなあ!
みなさん、本当にありがとうございました。 

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瀬戸内シーカヤック日記: 笠岡諸島グルメツーリング_白石島~真鍋島

2009年05月17日 | 旅するシーカヤック
2009年5月16日(土) この週末は、カヤック仲間/横断隊仲間であるGoさんに笠岡ツーリングのお誘いをいただいた。
横断隊仲間でもある白石島の民宿『はらだ』をベースに、笠岡諸島を漕ごうというプラン。 ありがたいことである。
もちろん速攻で返信。 『行きます、行きます! よろしくお願いしまーす』
***
白石島に到着すると、いつもお世話になっている民宿『はらだ/原田』へ。 荷物を置かせていただき、着替えて、コーヒーを飲みながらしばし歓談。
新しく建てたという艇庫からカヤックを出し。Goさんと私の二人で真鍋島に向けて出発した。
 
残る二人は、今日は高速艇で真鍋島に向かい、向こうで合流する計画である。
後半は少し向かい風であったが、追い潮で快調なツーリング。 約1時間半で、真鍋島に到着。
ほぼ同時に、二人の乗った高速艇も真鍋港に入ってきた。 Good timing!
***
浜にシーカヤックを引き揚げ、静かな島の道を歩いて行くと、ベンチが置いてある。 そこには、島のおばちゃん三人が座って居られた。
 
『こんにちは』と挨拶すると、『こんにちは』と返ってきた。 『ここは、花の栽培で有名な島ですよねえ』 『昔はねえ、そうじゃったけど、今はみんな年寄りになって山に行くんも大変じゃけん、あまりやりよらんのよ』 『そうなんですか』

『ところで、映画の撮影の時はどうじゃったですか?』と聞くと、『そりゃあ賑やかじゃったよ。 祭りみたいじゃった』 そう、この島は、『瀬戸内少年野球団』のロケ地になった島なのである。

『夏目雅子はきれいじゃったですか?』 『うん、そりゃあ別嬪じゃったねえ』 そうだろうなあ、映画で見ても本当にきれいな女優さんであったもの。
『今日は島弁(島弁当)を頼んどるんです』 『ほうね。 そりゃあええね。 まあゆっくりして行きんさい』 『はい、ありがとうございました』 うん、上陸して最初に会った方々の第一印象はバッチリ! こりゃ、なかなかええ島やなあ。
***
船着き場で、予めGoさんが予約して下さっていた『島弁』を受け取り、島を散策。
 
ロケに使われたという学校へ。 木造で雰囲気の良い校舎。 子供達の歓声が聞こえてきそうな校庭。 古き良き時代の日本の風景が、ここには残っている。
***
 
再び港に戻り、待合室のベンチで『島弁』をいただく。 うん、これはおいしいなあ。 『ごちそうさまでした』
***
食後は、城跡があるという山に散策へ。 塩飽水軍の流れを汲む、真鍋水軍の城跡だとの事。
 
山から下りると浜に戻り、出艇準備。 『じゃあ、先に出ます。 また白石で!』 と言う訳で、高速艇での移動組に見送られ、再び白石島へと漕ぎ戻った。
***
今日は少し雨は降ったものの、潮も良かったし、風もそれほど吹かず波もなくて、なかなかのツーリング日和であった。

さあ、これから民宿『はらだ』名物の夕食だ! という訳で、ちょっとだけ予告編。
 
これで、ほんの一部。 ああ、辛抱たまらん。 ビールや! ワインや! 焼酎やあ!

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瀬戸内シーカヤック日記: 大崎上島_櫂伝馬プロジェクト、始動

2009年05月10日 | 旅するシーカヤック
2009年5月9日(土) 今日の目的地は、大崎上島。 瀬戸内らしい眺めが楽しめるフェリーで島へ。
 
シーカヤックを積んでは来たが、今回の目的は『櫂伝馬プロジェクト』の打ち合わせと、櫂伝馬の体験である。
***
今回声を掛けて下さったのは、大崎上島出身の熱烈な櫂伝馬フリークであるKさん。 若いが、人望もあり、熱い人だ!
昨年祝島の神舞で櫂伝馬を漕いだブログを見て連絡をいただき、それ以来やりとりをさせていただいていた。 また、島外からは、私以外にもう一人、櫂伝馬に関心をお持ちだというプロの船乗りであるAさんも招かれていた。
 
島の居酒屋に有志が集まって酒を酌み交わし、櫂伝馬の話で盛り上がる。 今回のプロジェクトはまだまだ柔らかい構想段階だが、今は競漕にのみ使われている櫂伝馬で、2日か3日の旅をしてみようというのが最終目標である。

そう、本プロジェクトのテーマは『旅する櫂伝馬』 リーダーはもちろん、言い出しっぺのKさん。

と言う訳で、途中からはテーブルの上に海図を広げ、酒を飲みながら、島の人たちはこれまで櫂伝馬を漕いだ経験から、そしてAさんはプロの船乗りの視点から、はたまた私は尺取り虫方式での瀬戸内横断旅や、瀬戸内カヤック横断隊での経験などを踏まえて、 『あそこに行ってみるのはどうだろう?』 『こっちのルートは?』 『ここは潮流が厳しいですよ』 『巡航速度はどれくらい?』 『泊まりはどうします?』 『こういう目的で旅をするのはどうでしょう』 『あそこにも声を掛けてみたら』 などなど、夢が広がる楽しい一時。

まずはあせらず、数年掛かってもよいから徐々に距離を伸ばして、櫂伝馬の航海性能を確かめてみようと言う事に。
そして最終目的地は○○(上記のディスカッションを経て、当初の目的地から変更しました)。 旅する櫂伝馬プロジェクト。 楽しみだなあ、今からワクワクするよ!
***
翌朝。 櫂伝馬を漕がせていただけると言う事で、艇庫のある場所に移動。
そこには、すでに地元の方々が数名待っていただいていた。 島外から来た私たち二人のために、わざわざ櫂伝馬を出して下さり、漕ぎ手としても加勢してやろうとのうれしい心遣い。 感謝感謝!
 
ここの艇庫がなんともいい感じ。 下が水路となっており、満潮時にはチェーンブロックを使ってそのまま櫂伝馬が海に浮かべられるようになっている。 なんだか、サンダーバードの秘密基地のようである。

また、ここの櫂伝馬は幅が狭く、ハルはV字。 さすが競漕用のフネ、なんとも早そうだ。
***
 
キャッチの良さそうなワイドブレードの櫂。 そしてなんともいえない威圧感の感じられる『大櫂』
***
 
大櫂を櫂伝馬に留めるための部品は、地元のおじいさんの手作り。 『これは作られたんですか』 『そうよ。 針金を芯にしてロープを編み込んでつくるんよ。 ここは色を変えてあるけえ見た目がええじゃろう!』 『ほんまですね。 かっこええです』 『ここの所は、赤と白に塗ってもかっこええでえ。 わしがつくったんじゃけえ、塗ってもええ言うて言いよるんじゃがのお』 『そりゃあ、紅白じゃったら映えるでしょうねえ』
昔はバリバリ漕いでおられたという、いかにも櫂伝馬が好きだというオーラがでている大先輩である。 ええなあ。
***
準備をして海へ出る。
 
今日はまだ本格的な練習が始まる前の時期に、Kさんの計らいで特別に櫂伝馬を出していただいたと言う事で、大櫂と太鼓、そして漕ぎ手は6人程度で3番櫂まで。 それでも、私たちのために貴重な時間を割いていただいているのである。
本当にありがたいことだ。
 
太鼓に合わせて声を出し、漕いでみる。 うん、祝島の時の感覚を体が徐々に思い出してくる。 Aさんも、カッターや櫓櫂船を漕いで居られるという事で、うまく漕いでおられる様子。
休憩のとき、私たちに対して、『おお、最初にしちゃあなかなかええじゃない。 初めての人じゃったら、櫂がぶれたり、なかなか合わせられんもんじゃが』
***
『どうや。 大櫂もやってみるか?』 『はい、ええんですか?』 『せっかくじゃけえ』 ということで、大事な役目である大櫂も初めて体験させていただくことに。
『曲げる時は少し深めに沈めて。 回り終わったら浅めに。 肩幅で足を開いて。 そう、こんな感じ』

太鼓に合わせて6人が漕ぎ、私が大櫂で舵を取る。 漕いでいる間、徐々に舳先が曲がろうとする。
そこを、舳先と行きたい方向を見て、まっすぐ進むように大櫂を微妙にあやつる。 ラダーを上げたシーカヤックで、バウが左右に振れながら、微妙にパドリングで調節し、真っ直ぐ進むようにする感じである。
『お、なかなか上手いじゃない。 真っ直ぐ進ませるんが難しいんで。 ええ感じじゃあ』 『ありがとうございます。 少し左右に捻るだけで充分コントロールできますねえ。 舳先の振れ方、修正の仕方なんか、シーカヤックと似た感じです』
『ほうか、シーカヤックやっとるんか。 それで感じが分かるんじゃな』

再び漕ぎ手に戻り、穏やかな瀬戸内の海を 漕ぐ、漕ぐ、漕ぐ。
最後は、櫂伝馬競漕の雰囲気を味わおうという事で、数分間の全力漕ぎ。 顔からは汗が噴き出し、息が上がる。
フーッ、こりゃあキツいが楽しいのう!

『ありがとうございました。 これはええですねえ。 楽しかったです』
櫂伝馬を片付け、Kさん、Aさんにシーカヤックを体験していただいた後は、島の方々も交えてしばし歓談。 それにしても皆さん、本当に櫂伝馬が好きなんだなあ。 ええ島や!
***
Kさんに声を掛けていただいてスタートした櫂伝馬プロジェクト。
まだまだ始まったばかりで、これからいろいろなハードルが待ち受けているだろうが、それらを一つ一つ乗り越えていくのも楽しみだ。 櫂伝馬の航海性能についても興味津々。

『瀬戸内海洋文化の復興、創造、そして継承』 瀬戸内の海を、シーカヤックが、そして櫂伝馬が、ごくごく普通に旅する姿が見られるようになるといいなあ。

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瀬戸内シーカヤック日記: HORIZONしまなみキャンプツアー&三原名物『たこ三昧』

2009年05月04日 | 旅するシーカヤック
2009年5月2日(土) 今日明日は、HORIZON尾崎さんにお誘いを受けた『しまなみキャンプツーリング』 今回の企画は、生名島を出発し、弓削をキャンプ地として上島町の島々を巡るアイランドホッピングツーリングである。

絶好のツーリング日和の土曜日。 生名島の浜に集合したのは、関東からのお客さんお二人と、関西からのお客さんお二人、そして尾崎さんと私。 今回は、シングル艇6艇でのキャンプツーリング。
***
メンバーの方々に、準備しておいたツーリングコースの地図をお渡しし、潮流情報、気象情報と、本日の予定コース&注意ポイント/見所ポイントを説明する。
 
出発準備完了。 生名島の浜を出発し、まずは平内島、亀島、鶴島を巡る。
 
因島の造船所の傍を漕ぐと、時折珍しい船を見ることができる。 今回は、調査捕鯨船と、木造の掃海艇。
掃海艇は、機雷に反応しないように木造となっているのである。
 
弓削に渡り、神社の前にあるお気に入りの浜にフネを揚げて、少し遅めのお昼ご飯。 私は、今朝出がけに妻に作ってもらったお弁当である。 『いただきます!』
青空と白い砂浜、そしてきれいな海の色。 最高の気分である。 まさに黄金週間。

再び出発し、弓削島の北端を回ってそこからキャンプ予定地を目指して南下していく。 途中、少し向かい風があったが、無事到着。
フネを揚げ、着替えてテントを張り、お風呂で潮抜きをしてキャンプの夜。
***
2009年5月3日(日) 朝食を食べ、荷物を片付けると出発準備。 尾崎さんとルートを相談し、出発前に予定ルートの概要をナビゲーション。
 
弓削島の南端から佐島の南端へ。 そこから赤穂根島の南海岸に渡り、きれいな浜で少し長めの休憩を取る。
パンや飲み物で腹ごしらえしたら、津波島と赤穂根島との間の水路を追い潮に乗って進み、赤穂根島をグルリと回って、岩城島へ。 そこから岩城島と生名島との間の海峡を北上して、出発地点に戻ってきた。
 
『お疲れさまでした!』 シーカヤックと荷物を片付け、着替えて、シーカヤックツアーは終了。
尾崎さん。 この連休は、徳島としまなみでいろいろとお世話になり、本当にありがとうございました!
***
今日は、この後も楽しみが待っている。
妻と三原で待ち合わせて一泊し、三原名物たこ料理を楽しもうという計画である。

JRでやってきた妻と駅で落ち合い、町を散策。
 
たこ入りもみじ饅頭を購入。
 
町の総菜屋さんにも、名物のタコ天が。 もちろん、夜のつまみ用にゲット。
***
夜ご飯は、予約していたお店へ。
 
もちろん今日は、たこ尽くし。 活きたこ刺身。 たこ天。 たこの酢の物。 たこ飯。 そして、生たこ寿司。
いやあ、このお店は雰囲気も良いし、料理は美味い。 これは良いお店を見つけたなあ!
『ごちそうさまでした。 本当においしかったです』 するとご主人がニコリと、『そうですか。 ありがとうございました』

ホテルに戻り、総菜屋さんで買ってきたタコ天をつまみに、妻と二人で再度乾杯。

連休最初は山口県の上関でキャンプツーリング。 その後は四国遠征で、三泊四日の『あるくみるきく_旅するシーカヤック』を堪能。 そして最後は、しまなみでのツーリングを楽しみ、帰る途中で一泊して三原名物たこ料理を妻と楽しんだ。
うん、これはなかなか充実した黄金週間になったなあ!

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瀬戸内シーカヤック日記: 四国遠征(4)_蒲生田岬&日和佐ツーリング、そして今治焼き鳥

2009年05月02日 | 旅するシーカヤック
2009年4月29日(水) 船瀬温泉の近くにある公園の駐車場で目を覚ました。 車中泊二日目の朝。
午前3時。 まだ外は暗い。 風の音は聞こえず、クルマの窓から見る空には星が瞬いている。 静かである。

ラジオを聞きつつ、夜明けを待つ。 今日は、HORIZON日和佐ツアーの前に、昨日漕ぐことができなかった『蒲生田岬』を漕いでみるつもり。
***
5時前。 しだいに明るくなってきた。 幸い風も上がってこない。
クルマから降り、ニヤックを降ろして海岸まで運ぶ。 着替えてパドルとレスキュー道具だけ持って準備完了。

5時5分。 日の出前に浜を出た。
 
ちょうど、港から漁船が出港する時間のようだ。 多くの漁船が連なるように海に出て行く。 漁師町の朝。
いくつかの小さな岬を越えて灯台が見える場所まで来ると、日が昇ってきた。 気持ちのよい朝。
灯台の方に近付いていくが、日が昇ると徐々に風が吹きはじめた。 北寄りの風。 強くならないうちに戻ろうか。

出発した浜に戻ると、1時間とちょっと。 ちょうど良い朝のお散歩ツーリングになった。
シーカヤックを再びカートップし、道具を片付け、着替えて朝食を摂る。
***
さあ、HORIZONの日和佐ツアーへ出発だ!
今日のメンバーは、男性3人、女性2人、そして尾崎さんと私。 タンデム2艇とシングル3艇のツアーである。
 
カヤックが初めての人、海で漕ぐのは初めてという人も居られ、まずはパドリングのレクチャーからスタートした。
今日は北風が強い。 沖は白波が立ちはじめている。 ロックガーデンを岸ベタコースで楽しみながら進んでいく。

それにしてもこのあたりは眺めが良い。 ダイナミックでスケールの大きな景色。 海もきれいだ。 コバルトブルーで潜れば熱帯魚もいるらしい。 まるで、伊豆やケラマで漕いでいるような感じさえ受ける。
『ここ、良いですねえ。 最高! 来て良かったですよ』
 
風待ちで上がった浜には漁師さんも来られた。 聞いてみると、ヒジキをこれから採るのだそうだ。 でも今年はヒジキが少ないらしい。 やはり海は変わりつつあるのだろうか?
***
しばらく待ったが、風は落ちず、白波は増えていく様子。 お昼ご飯を済ませた後、『ちょっと別の浜に移動しましょう』ということになり、漕いで来たルートを戻る。 途中では、尾崎さんの案内でシーカヤックで入れる洞窟探検も堪能。
 
風裏でポカポカと気持ちよい浜に上陸し、ゆっくりと休憩。 洞窟を散策したり、ビーチコーミングをしたり、四方山話にも花が咲いた。 楽しい一時。

午後2時半頃、ツーリングが終了。 『いやあ、ここは本当に良い場所ですねえ。 景色も良いし、海もきれい。 最高のエリアですよ。 声を掛けてもらって本当に良かったです。 ありがとうございました』 『じゃあ、気をつけて帰って下さい』
***
徳島まで戻り、高速道路に乗って今治へ。 今治に到着したのが7時半過ぎ。
うーん、今から帰ったら10時過ぎか。 飯喰って寝るだけになるなあ。 せっかくだから今治に泊まって、気になっていた『今治焼き鳥』を食べて帰ろう!

ケータイを取り出し、ビジネスホテルを予約。 そして家に電話。 『今、今治まで帰ってきた。 せっかくじゃけえ、今晩はここに泊まって明日帰るわ』 『いうことは、焼き鳥を食べて帰るいうことじゃね』と妻。
『そうそう。 二晩の車中泊で疲れたし、四国に来てから外食もしとらん。 せっかく来たんじゃけえ、名物の一つも喰ってみたいし、今日はビジネスホテルに泊まって焼き鳥にするわ』

チェックインしてシャワーを浴び、フロントで紹介された『鳥林』さんへ。
 
まずは、なによりの大好物である生ビールで一人乾杯。 そう、今晩は四国遠征ツアーの打ち上げである。
ご主人に、『何がおススメですか?』と聞くと、『そやねえ、皮とせんざんき、それからレンコン』との事。 じゃあ、それ下さい。
 
おいしい焼き鳥を堪能し、大好きなビールをたっぷりと飲み、お店のご主人、そして横に座られた老夫婦のご主人との四方山話を楽しんだ。 最高の打ち上げ。
『ごちそうさまでした。 いやあ、美味かったです。 特に皮が気に入りました。 こんな皮、いままで食べた事ないですよ』 『ありがとうございます。 また来て下さい』
***
事前に計画も立てず、出発した4月27日の朝の天気予報と気分で決めた今回の四国遠征。
今治の七五三ヶ浜、徳島の田井ノ浜、蒲生田岬、日和佐と、三日間で4カ所のエリアを堪能し、様々な出合いもあった。
コンビニのおばちゃん、田井ノ浜近くの浜で出会った元漁師さんと、漁港でお話を伺った漁師さん。 そしてHORIZONツアーでご一緒させていただいたメンバーの方々。

別件で電話した尾崎さんからのうれしいお誘いで、予定外の徳島まで足を伸ばす事になり、そして強い北東風を避けるため偶然訪れた浜で出会った元漁師さん。 その元漁師さんから伺った話で興味を持ち、歩いてみた湊町でお話を聞かせていただいた漁師さんなどなど、一つの出合いが次の出合いに繋がっていった。 これぞ、風来坊一人旅の醍醐味であり、すべては縁(えにし)である。

『さて、どちらへ行かう 風が吹く(山頭火)』 旅するシーカヤック、次はどんな旅が、そして出合いが待っているのだろうか?

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瀬戸内シーカヤック日記: 四国遠征(3)_由岐漁港で『あるくみるきく』

2009年05月01日 | 旅するシーカヤック
田井ノ浜で元漁師さんにお話を伺い、かつては湊町として栄えていたという由岐に興味を持った。

せっかくだから町を歩いて見よう。 浜のベンチでストームクッカーを使ってお湯を沸かし、ラーメンでお昼ご飯を済ませると、町まで移動。
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クルマを停め、町を歩いてみる。 まずは、八幡様に参拝。
 
さすが湊町である。 海上安全の神様であった。
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通りには、かつての名残を残した建物も多く残っている。
 
ある家では、玄関の軒下に貝が吊り下げられていた。 おお、これは!
沖縄あたりでは、このようなトゲトゲの突き出した貝を、魔除けとして飾る習慣があるが、そのような流れの一つだろうか。 うちでも、この貝とは違うが、沖縄の浜で拾って来たスイジ貝を庭に置いている。

漁港にやって来た。 カゴの中には、自然の石を利用した錘。 そして他の石には屋号か名前が書かれている。

石も、大切な道具なんだなあ。
***
 
舫ってある漁船を眺め、写真を撮っていると、一人の方が自転車でやって来られた。 見ると、自転車の後ろには”仕掛け”が積まれている。 漁師さんだ。
『こんにちは。 ここの船は、何を獲る船なんですか?』 『今は太刀魚じゃね。 延縄漁』
『ここに積んであるのは、その仕掛けですか?』 『そうよ。 これははえ縄の最後に付ける板よ。 ここに鉛を付けとるからしっかり沈んで、長い延縄の糸が弛まずに、海の底から船までしっかり伸びるようにするもん』 『これは手作りですね』 『そうよ。 自分で作る』

『昔は藻ジャコ漁いうのをやりよった』 『はい、さっき浜で出会った元漁師さんから話を伺いました』
『あれはな、切れた流れ藻に居着くブリの子供を獲るんよ。 網で流れ藻を囲って捕まえ、生簀で活かす。 そうして編み目の大きさを何段階にも変えて、大きさで分けていくんや』 『なんでですか?』
『混じっとったら、大きなやつが餌を全部たべてしまうやろ。 じゃから同じくらいの大きさのやつを集めて一ヶ月ほど育ててから出荷しよった』 『なるほど、そうやって歩留まりを上げてたんですね』
***
『ここの船は、キャビン言うんですか、操縦室が大きくて立派ですねえ』 『昔は吹きっさらしじゃったがなあ。 快適になっとるよ。 今の若いもんは冬の寒さや厳しさには耐えられんじゃろうなあ』
 
『あの、上に付いとる丸い輪っかみたいなのはなんですか?』 『あれは方向探知機。 方探いうて言いよる。 無線で連絡したら、それで電波を出した船の方向が分かる。 仲間の船を近くに呼ぶ時に便利なんよ』
『今じゃあGPSがありますよねえ』 『それがな、GPSで場所を言うたら、仲間じゃない他の船にも位置が分かってしまうじゃろう。 そしたらせっかく釣れよっても、回りに船が集まって来たら漁がしにくいじゃない。 じゃから、今でも方向探知機がええんよ』 『なるほど。 同じ漁船でも、地域や港でいろいろ違うんですねえ』
***
『漁師さんにもいろいろ話を聞くんですが、GPSじゃ、レーダーじゃ漁探じゃいうて、お金が掛かるらしいですねえ』 『ほうよ。 結構掛かる。 でも今の若い漁師は、ああいう機械を使いこなすけえ、早う一人前になりよるなあ』と笑う。
『昔は山立てして、底の地形も覚えて、いうて一人前になりよったんじゃが、今じゃあ同じ場所に行こう思うたらメモリーしときゃあええんじゃけん』

『ここの船も、漁がえかった頃は6年位毎にエンジンを載せ換えよった。 けど、今じゃあ15年もののエンジンがほとんどよ』 『そうでしょうねえ。 エンジンも高い言うて聞いとります』
***
『ところで、私の地元、広島の呉には、家船を使った太刀魚漁で有名な豊島』いう島があるんです。 ここでも太刀魚の延縄漁をやられとるいう事ですが、聞かれたことはありませんか?』 『うん、たしかに昔は、広島から夫婦で旅して来る漁師がおったのう』 『え、そうですか!』

『船の前の方にテントを張っとる船じゃろ。 ここの港には入りよらんかったが、わしらも淡路島の方まで漁に行きよった頃に一緒になったことがあって、それで知っとるんよ』
『あの人らは、短いときでも一潮。 長い時には半年ほど、家船で夫婦で遠くまで出掛けたそうです。 対馬や大分、長崎。 こっちの方では和歌山の方にも行きよったいうて聞いとります』

豊島の家船と、実際に一緒に漁をしたことがある方に、ここ徳島で出会うことができた。 感慨無量!
まさに旅は『縁』である。 四国に漕ぎに来て良かった。

***

様々な出合いに恵まれた今日一日の幸せを噛みしめながら、蒲生田岬の近くにある『船瀬温泉』に戻り、ゆっくりと風呂につかって潮を抜き、体の疲れを癒す。
 
今日は、この近くで車中泊。 明日は風が落ちてくれるといいなあ。

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