あるくみるきく_瀬戸内シーカヤック日記

瀬戸内を中心とした、『旅するシーカヤック』の記録

『芸予ブルー』_テーマカラー of 印象派_”瀬戸内シーカヤック日記”

瀬戸内シーカヤック日記: 冬の生野島キャンプツーリング

2008年12月28日 | 旅するシーカヤック
2008年12月27日(土) この週末は、2008年の〆として静かな野営を堪能するため、お気に入りの『生野島』へ。

内海である瀬戸内では、一年中シーカヤックのキャンプツーリングが楽しめるのだが、冬のキャンプツーリングの味わいは、これまた格別である。
靄が少なく、遠くまでスッキリと見通せる眺望。 密度の高さが感じられる、凛と引き締まった空気。 寒いからこそ、その有難さが一層深く感じられる、パチパチとはぜる焚き火の暖かさと、日の出のうれしさ。 

高級品でなくても工夫したウエアリングと、暖かいシュラフがあれば、冬のキャンプは快適である。 小さな小さな焚き火で外から温め、おいしいお酒で内から温める。 ああ、冬のキャンプツーリング!
***
いつもの浜でシーカヤックを下し、荷物をパッキングして出発する。 もうすぐ転流だ、ちょうど潮に乗って行けるだろう。
 
12月末とは思えないくらい暖かい小春日和。 正にキャンプツーリング日和である。
***
穏やかな冬の海を快適に漕ぎ、1時間ほどで到着。 ケータイを取り出し、妻に無事到着との一報をメール。

何度かに分けて荷物を運び上げ、暖かいウエアに着替える。 『さあ、始めるとするか!』

まずは、袋を手に浜を歩く。 そう、冬のキャンプツーリングの一日は、薪集めから。 『うん、これくらいあればいいな』
海の見える東屋に陣取り、簡単な昼食。 缶ビールをゴクリ。 『あー、ええ気持ちや』
***
ここへのツーリングでは、『あるくみるきく』はない。 ただただ美しい瀬戸内の景色を眺め、飯を食い、酒を飲み、寝転がり、本を読み、音楽を聴くだけ。
昼食後は、ワインをチビリチビリと飲りつつ本を開く。 今日は、『コインロッカーベイビーズ』 この本も何度読み返したことだろうか? これまたお気に入りの一冊である。
***
昼食が少なかったので、少し小腹が空いてきた。 小さな焚き火を熾し、生名島でいただいた芋をアルミフォイルに包んで放り込む。 しばらく待つと、焼き芋の完成だ。

焼きたてホクホクの焼き芋、『うん、美味い!』
 
この東屋は、私にとってはお気に入りのバー。 安い酒しか置いてないが、眺めは最高だ。 瀬戸内らしい景色を眺めつつ、独り静かに飲む酒は、もちろん最高である。
***
夕方。 日が陰ると急に寒さが増してくる。 再び焚き火を熾し、夕食の準備に掛かる。
 
まずはウインナーを炙る。 表面に油が滲みてきて、皮が少し裂けると食べごろだ。
クレージーソルトをパラリと振り、パクリと齧りつく。 『うーん、こりゃあうまーい』 ビールをゴクリ。

今日のメインは、簡単一人鍋。 お湯を沸かし、うどんスープを入れる。 オピネルで白ネギと白菜を切り、エノキと鶏肉団子を投入。 完成! ポン酢に『柚子こしょう』を少しいれて食べると最高だ。

鍋をつつき、ビール、そして焼酎のお湯割りへ。 焼酎には、レモンをたっぷりと絞る。
凛と引き締まった冬の夜の空気の中、一人用にピッタリのサイズに調整した小さな小さな焚き火で暖まりつつ、この一年の旅を想い、独りでチビリチビリと酒を飲む。 もう、何も言うことは無い。 
***
翌朝。 シュラフの中で目を覚ます。 今朝は、あまり冷え込みは厳しくないようだ。
テントから出ると、外は霜が降りて凍っている。 やっぱり外は寒いんだなあ。
日の出とともに、気温が少しづつ上がってきた。 トランギアでお湯を沸かし、まずは温かいチャイを啜る。
 
朝食の準備。 お湯を沸かし、うどんスープを入れ、オピネルでネギを刻み込む。 残しておいた鶏団子を入れ、これまた残しておいた赤飯を入れて雑炊状態に。 おかずは、目玉焼きとハムソテー。
うーん、これは美味い! どんな旅にもうどん出汁を持って行くというシーカヤックガイドの方が居られたが、本当にうどんスープは万能だなあ。 凄い!
***
 
この島には、櫂伝馬が描かれたタイルがあった。 さすが、大崎上島地区だ。
荷物を片付け、ウエアを着替え、出発!
***
今年は天候に恵まれ、祝島での3日間の櫂伝馬漕ぎを含んで、このツーリングで56日目の海旅となった。 感無量。
『あるくみるきく_旅するシーカヤック』を、これからも楽しんで行きたいな!

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

瀬戸内シーカヤック日記: 家族で忘年会@鯛の里

2008年12月22日 | 旅するシーカヤック
2008年12月20日(土) この週末は、沖家室島にある一押しの宿、『鯛の里』で家族の忘年会!

12月に入り、家族旅行を計画していた。 『どこに行く?』 『今の時期、どっか空いとるかねえ』
『○○はどう?』 『うん、そこもいいかも』 ネットで検索。 『いやあ、調べてみたけどもう一杯じゃ』 『忘年会シーズンじゃもんね』
『ダメ元で、鯛の里に聞いてみようか。 だめじゃったら、△△にしようや』 『そうじゃね』
すぐに、鯛の里の松本さんに問い合わせのメールを打つ。 すると、しばらくすると返信が。 は、早っ!
なんと、キャンセルが出たばかりなので空いているとの事。 ラッキー!

すぐに電話し、予約させていただいた。 『こんかいは、息子二人を連れて四人で行きます。 よろしくお願いしまーす』
と言う訳で、今年なんと3回目となる『鯛の里宿泊&家族で忘年会』が決定した。 これも何かの縁。

不況で暗い話ばかりだし、おそらく来年はこんな贅沢はできないだろう。 久し振りの家族旅行、パーッと楽しむ事にしよう!
***
土曜日の朝。 家族を乗せたクルマで西へと向かう。
長男と交代で運転しながら、途中の岩国で休憩。 少し早いが、お目当ての中華そば屋さんへ。 ラーメン好きな次男のために、今日は『瀬戸貝うどん』ではなく、ラーメンを選んだ。 事前にネットで調べ、地元に詳しい同じ職場の方から情報を得て来たのだ。
今日のお昼ご飯は、『寿栄広』の中華そば。 少し早い時間なので店内はお客さんも少ない。 中華そば3つと大盛り中華そばを1つ注文。 次男と私の分は、『脂多め』でお願いした。 
 
食べてみると、見た目ほどのコッテリ感はなく、ラーメンと言うより中華そばというのがピッタリ来るあっさり目の味。
うん、なかなかおいしいなあ。 ラーメン好きな次男によると、麺はストレートでスープの絡みがもう少し欲しいところだが、スープはなかなか好い感じで、脂多めでちょうど良いとの事。
***
続いては、柳井へ。 白壁で有名との事だが、これまでゆっくりと町を歩いたことはなかった。
 
初めて訪れた白壁の町並み。 竹原の美観地区にも似て、これは良い雰囲気だ。 ゆっくりと散策。
***
周防大島に入り、まずは前回お気に入りになった展望台へ。
 
その後、『芋食島』へ行き、芋を使ったおいしいおやつを堪能。 芋を使ったケーキに、芋ソフト、芋ティラミス。
 
昔はサツマイモでも有名だった周防大島らしいメニューのそろった良いお店。 家族にも好評。 うん、これは良い所を見つけたぞ!
***
竜崎温泉で疲れを癒し、鯛の里へ。 『こんにちは。 よろしくお願いします』
午後6時過ぎ、待望であった家族での忘年会が始まった。
 
まずは刺し盛り。 鯛の刺身。 肝がたっぷりのカワハギの刺身。
刺身はコリコリ、カワハギの肝はネットリムチムチ。 あー、たまらん。
魚介類好きの息子達も、この刺し盛りでまずは大満足。 『どう、これだけでもすごいじゃろ』 『ほんまじゃねえ』
 
続いて、『ウチワエビ』 そして、『たっぷり野菜サラダ』
『これ、どうやって食べるん』と息子達。 これまで2回の宿泊で手慣れたものの妻は、『これ、こうやってここから割って』
プリプリのウチワエビ。 身は息子達に、頭の味噌部分は私がチュルチュルと。 うーん、美味い。
 
松本さんが、『今日は酒を飲まない人が二人居るんで、早めにご飯を出しましょう!』と、ジャーを持って来られた。
パエリアかと思っていたら、『今日は、炊き込みご飯にしました。 鯛に、サザエに、タコに、いろいろ入ってますよー』
ジャーを開けると、ビックリ。 これは旨そうだ。
息子達は、モノも言わずにパクリぱくりと海鮮たっぷり炊き込みご飯を胃に収めていく。 『これはおいしいねえ』
 
一人一つのアワビは、刺身とバター焼きで。 刺身は、白っぽいやつと肌色っぽいやつがある。 食べ比べると、歯応えが全く違う。 バター焼きは、出てくるエキスをキノコに吸わせてある。 うーん、シコシコやあ。 最高!
〆は、鯛のあら煮。 もう、何も言うことは無い。

最後の一品を出すと、松本さんも同席して乾杯。 酒を酌み交わしつつ四方山話。
*** 変身? ***
家族との楽しい忘年会。 おいしい魚料理に旨いビール。 いやあ、たまらんなあ。
飲むに連れ、次第に酔いがまわって来たようで、知らず知らずのうちに『変身!』。。。していたらしい。。。

最初は『かむろ針』や『漁』の話題だったのが、家族によるといつの間にやら『水戸黄門』や『柔道一直線?』そして『ウイーッシュ?』へ。 独りで歌を歌い、ウイーッシュで独り盛り上がっていたらしい。

柔道一直線??? ウイーッシュ??? 人間とはまか不思議な生き物である。 普段まったく興味のない『ウイーッシュ』がなんで出て来るのか? なぜ深層心理に刻み込まれているのか? いずれにせよ、気の置けない家族での忘年会と言う事で、一人で浮かれてなぜか盛り上がり、家族はそれをみて笑っていたとのこと。 いやあ、お恥ずかしい。

松本さん、おいしい魚料理ありがとうございました。 あんなおいしい魚料理は食べた事がないと、息子達には大好評でしたよ。
楽しかった家族での忘年会@鯛の里。 これにてお開き!

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

瀬戸内シーカヤック日記: しまなみ連泊ツーリング(3)

2008年12月18日 | 旅するシーカヤック
天候と出会いに恵まれた魚島への旅から帰り、因島の土生でビールを買い込んで、再び生名島のキャンプ場に戻った。
夕方。 魚島でたっぷりと歩いて疲れた今日は、少し早い時間から食事の準備。 今日のメニューは、ワンタン入りラーメンとカレーにしようかと思っていたが、キャンプ場に帰ってみると、嬉しいことに差し入れのオムレツが! 感謝、感激!

と言う訳で、今日の夕食は、ワンタン入りラーメンと、ジャガイモたっぷりのホクホクオムレツ。
ビールをグビリ、グビグビ。 途中からは、これまた差し入れのレモンをたっぷりとしぼった焼酎のお湯割りをチビリチビリ。
魚島での景色と会話を思い出しつつ、うれしい差し入れと、おいしいお酒を独り静かに楽しむ。 なんとも、これぞ最高の宴である。
***
2008年12月15日(月)
翌朝。 いつもの時間に目を覚まし、簡単な朝食を摂り、荷物を片付け、朝の散策。

今日も晴れ。 ようやく日が差し込み始めたキャンプ場の景色。 うん、いいなあ!
 
今日は、少し高台にある展望台にも上がってみた。 ここからみるキャンプ場も良い雰囲気だ。
***
定刻に管理人さんが来られ、お礼と挨拶を交わし、家路に着いた。 『また来て下さい』 『はい、また来ます。 その時は、よろしくお願いします』

快適なドライブ。 その帰りには、海沿いにある人気のレストラン『黒浜』で昼食。 少し値段は張るが、今から旬の『カキフライ定食』
ボリュームたっぷり。 噛みしめるとジュワーッと潮の香りが口中に広がる。 うん、これぞ牡蠣!

連泊ツーリングの〆は、おいしいカキフライ定食でバッチリ。 ごちそうさまでした!
***
昨日の夕方、魚島で仕入れて来た『デベラ』をつまみにすることにした。
せっかくなので、島のおばちゃんに教えていただいたように、小さいデベラをテンプラにしてみることに。 ネットで調べてみたが、出てくる調理法は、炙るか唐揚げばかり。 どうやらテンプラにするのは珍しいようだ。
 
教えてもらった通り、まずはデベラの頭を落とす。 その後、家の外に出て、石を土台にデベラの身をしっかりと金槌で叩く。 とんとんトーン、とんとんトーン。
下に敷いた新聞には『景況感は更に悪化』と書いてあるが、これから酒のつまみにするデベラを、ひたすら金槌で叩く私の『高揚感はアップ』
 
衣には、おばちゃんおススメの通り少し砂糖を入れ、テンプラに。
***
今回は、生名島でいただいたサツマイモも一緒に揚げてみた。
テンプラを揚げていた妻が、『これ、食べてみて』とサツマイモのテンプラを持って来た。 揚げたて、アツアツのイモ天である。 パクリ。 『おー、これはホクホクで甘くておいしいなあ』 『ね、おいしいよね』
『デベラは?』 『揚がってるよ』 『どれどれ』 パクリ、ムシャリ。
『おお、これは柔らかくておいしいなあ。 食べてみれば!』 『うん、天婦羅は初めてだけど、これはいいね』

この日は、おいしい魚島産デベラの天婦羅と、生名島のサツマイモの天婦羅で晩酌を楽しんだ。 上島町、最高!
お世話になった方々へ。 本当にいろいろとありがとうございました。 そして、ごちそうさまでした!

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

瀬戸内シーカヤック日記: 上島町連泊ツーリング_魚島訪問(2)

2008年12月16日 | 旅するシーカヤック
2008年12月14日(日) しまなみ連泊ツーリング、2日目。
午前5時。 生名島のキャンプ場のシュラフの中で目を覚ます。 外に出ると、少し風があり雲も多いようだ。
最新の天気予報を確認すると、昼前後から晴れてくるとの事。 ようし、この様子なら晴れて観光日和になるだろう。 予定通り魚島に行ってみるとしようか!
***
ヘッドランプを点けて簡単な朝食を済ませ、着替えて、自転車で生名島の立石港へと向かう。 ここからフェリーに乗り、因島の土生港へ。 今日は人だけなので、片道60円。 安いものだ。
土生港から数分歩いて、しまなみ航路のハブ港である中央桟橋。
 
朝焼けの桟橋に独り佇み、定期船の到着を待つ。
定刻の約10分前、『ニューうおしま2』が到着。 比較的新しい船体がなんとも頼もしい。 同乗の乗客は、そのほとんどが本格的な釣り道具を持参した釣り客である。
***
魚島へと向かう途中、豊島を経て高井神島へ寄港。 初めて見た高井神島は、印象的な風景であった。

ほとんど平地がない島の北側の斜面に、へばりつくように集落がある。 ここに、約50人の方が住んでおられるとの事。
学校はあるが、おそらく飲み屋さんも、スーパーも、その他の娯楽施設もないであろう。 ここでの生活は、どのようなものであろうか? 今回は魚島訪問だが、次回はぜひ時間を取ってこの高井神島を訪れてみたいものである。
***
僅かな荷物を下ろすと、ニューうおしま2は高井神島を出航し、魚島へ。
警笛を鳴らし、魚島港へ入港。 港には人影は少なく、静かな離島のイメージそのままである。
今日は特に予定はない。 午後1時過ぎの帰りの便まで、のんびりまったりと島を散策するのみである。
***
島の短いメインストリートをプラプラと歩いていると、あちらこちらに魚が干してある。 これは『デベラ』かな?
魚島漁協の建物の所に来ると、干した魚を吊り下げた木枠を運んでおられるおばちゃんが居た。
『おはようございます。 これは、デベラですか?』 『そうよ』 『あそこに干すんですか?』 『そうそう。 最近は、夜露がおりるじゃろう。 じゃから、毎朝ここに出して干すんよ』
 
『そりゃあ大変ですね』と、私もデベラを吊るした木枠を運ぶのを手伝いながら、お話を伺った。
『デベラは冬ですか?』 『そう、12月から3月までじゃね。 それから後は禁漁になる』 『じゃあ、季節によって漁は変わるんですか?』 『うん。 春は鯛やイカ巣漁。 夏はタコ。 そして冬はデベラ』
運んだ木枠を渡すと、『これはねえ、誰のかによって、干す場所が決まっとるんよ。 これはだれのじゃろうね』 『なるほど。 ここに名前が書いてありますよ』
 
『これはねえ、カラカラに乾くまで干さんといかん』 『大きいのはそのまま炙って食べるし、小さいのは衣を着けてテンプラにしたらおいしいよ。 衣には、少し砂糖を入れるんよね』 『ちいさいのはねえ、小さく切って佃にしてもええんよ』 『うちのデベラは、この小さいのでも内蔵を取ってあるん。 これは手間がかかるけど、やっぱりおしいいよ』

木枠を運び終わり、全部を吊るすと、今度は木枠どうしを縛っている。 『なんで縛るんですか?』 『そりゃあね、風が吹いたらぶつかるじゃろ。 そうならんように縛るんよ』

『漁は昔と変わりましたか?』 『私らが娘じゃったころは、魚は凄い採れよった。 今は、だいぶ少のうなったよね。 人も昔は多かった。 学校でも、今は生徒が5人くらいしかおらんけど、昔は1クラスに数十人おったよ』
***
漁のお話を伺いながら、ふと建物の中を見ると、散髪屋さんのものらしい椅子が。

『あれって、散髪屋さんの椅子ですよね?』 『そうよ。 ここには月に一度、伯方島から散髪屋さんが来るんよ。 二階はパーマ屋さんになる』 見ると、2階にはパーマ用の懐かしい釜が見える。 いやあ、月に一度の出張散髪屋さん。
どんな光景が繰り広げられるのか、拝見してみたいものである。
***
『いろいろなお話を聞けて楽しかったです。 ありがとうございました』 おばちゃんにお礼を述べ、島の散策に向かう。
おばちゃんによると、島の食堂は休業中と言う事で、唯一ある商店に寄り、パンを購入。 その商店で道を教えていただき、景色が良いという石鎚公園への道を登っていく。

『初めての土地では、高い所に登ってみよ』 宮本常一のお父さんの言葉をここでも実践。
***
亀居八幡宮に参拝し、石鎚公園を通り、島をグルリと廻る道を歩く。 ここからの眺めは最高である。
 
南に開けた瀬戸内海の風景。 瓢箪島の眺め。 瀬戸内らしい雄大で静かな風景が、独り静かに堪能できる。

***
約1時間半の散策で、港に戻って来た。
 
漁港らしく、あちらこちらに蛸壺や漁網が置かれている。 船の燃料は、給油した人がそれぞれ名前と給油量を記録するシステムになっているようだ。
***
帰りの船までまだ2時間ほどある。 今度は集落の中を散策してみる。

狭くて急坂ばかりのこの島では、手押し車が必需品だ。 クルマなんて、ほんの僅かのメインストリートしか走ることはできない。 家と家との間になる狭い通りは、手押し車の独壇場である。

このあたりは、上島町のガイドブックによると石垣の町並みが有名だとの事。 坂を登るが、なかなか石垣が分からない。
たまたま出会った方に聞いてみた『あのう、このあたりは石垣が有名だと聞いたんですが?』 『ん、石垣? そういやあ、何日か前の新聞に出取ったなあ』

『あんた、どっから来たん?』 『はい、呉からです。 昨日は生名に泊まって、せっかくなんで今まで来たいと思っていた魚島に来てみたんです』
『ほうか。 石垣は、あっちの方よ』と、庭から出て道を先導していただいた。 歩きながら、魚島の事をいろいろと伺う。
40年程前は、魚がとてもたくさん採れていた事。 ここは、瀬戸内の東西の真ん中でもあり、南北の真ん中でもある、まさに瀬戸内の臍のような場所である事。 魚島というのは、魚が盛り上がるほど集まっていた事が名前の由来で、柳田邦男の著書にも出ている事などなど。
『じゃあ、ここも大分人が減ったんでしょうね。 空き家も多いんですか?』 『そうよ。 じゃけえ、空き家も増えとる。 関西からIターンして来た人も何人か居るよ。 釣りが好きな人にはええじゃろう。 あんたも、定年したら来てくれたらええんじゃけどなあ』
『新聞に出取った石垣は、もう一つ向こうの通りじゃ。 ここを上がって歩いてみたらええ』 『はい、ありがとうございました。 時間はあるんで、ゆっくりと歩いてみます』
短い時間ではあったが、様々なお話を伺えた。 ありがとうございました。 
***
午後1時10分。 予定通り出航。 帰りは冬とは思えない暖かい日差し。 船のデッキに上がり、白い航跡が印象的な瀬戸内の船旅を楽しむ。
 
4時間ほどの滞在ではあったが、島のおばちゃんと、しんせつなおじさんに様々なお話を伺え、のんびりまったりの島時間と、瀬戸内らしい美しい景色を満喫。
今回の魚島訪問では、『あるくみるきく_旅するシーカヤック』を、たっぷりと堪能することができた。 いやあ、来て良かった!
魚島、いいなあ。 ぜひ次回はシーカヤックで訪問???

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

瀬戸内シーカヤック日記: しまなみ堪能、上島町連泊ツーリング(1)

2008年12月15日 | 旅するシーカヤック
2008年12月13日(土) この週末は、月曜日に有給休暇を取り、3連休の連泊ツーリングで『しまなみ』へ。
今回のベースはもちろん、年に何度も通うお気に入りの『生名島』にあるキャンプ場。 私がシーカヤックツーリングでキャンプ場を常用するのは、ここだけである。

木曜日の夕方、キャンプ場に電話。
『もしもし。 カヤッカーです、ご無沙汰してます。 この週末、行きたいんですがいいですか?』 すると管理人さんは、『こんにちは。 もちろんいいですよ。 他に予約は入っていませんから』
そう、貸し切り状態の静かな雰囲気が気に入っている私は、他にキャンプする人が居る場合には泊まらない事を管理人さんはご存知なのである。 これで週末の予定は決定! 約3ヶ月振りとなる”しまなみツーリング”、しかも今回は連泊である。 ゆっくりと楽しもうじゃないか。
『じゃあ、お願いします。 いつものように午前中からシーカヤックを漕いで、キャンプ場には夕方に入ります』
***
海沿いの快適な国道を走り、しまなみ海道こと西瀬戸自動車道に乗り、フェリーで生名島に到着。 快適なドライブである。
シーカヤックを降ろし、ウエアを着替え、お湯を沸かして紅茶をポットに詰める。 12月半ばとは思えない暖かいツーリング日和。 さあ、行こうか!
 
まずは目の前にある平内島をグルリと巡り、岩城島の東岸に沿って南下していく。 今日は大潮だが、今はタイミング良く追い潮である。 パドリングが心地良く、少しピッチを上げると汗ばむほどの陽気。
***
岩城島のいつもの浜にシーカヤックを引き揚げ、お昼ご飯を食べに行く。 目指すはいつもの『よし正』さん。
 
ここの定番であり、お昼の一番人気でもある、日替わりの『よし正定食』 これが安くておいしいんだ!
***
食後は集落を散策。 浜に戻る途中、岩城名物の一つである『芋菓子(芋ケンピ)』工場の前を通ると、いつもより多くの人が働いていた。 扉が開いていたので邪魔しないようにソッ覗いてみると、奥にはここで作られた芋菓子の販売コーナーがあった。
 
おねえさんに、『あのう、ここで買えるんですか?』 『ええ、買えますよ』
見ると、いつも買う芋菓子と、それより細くて表面の砂糖が少なそうな芋菓子の2種類がある。 『味はどう違うんですか?』 『こっちの細い方は、蜂蜜と生姜で味が付けてあって、少しあっさりしてますよ。 生姜もそんなにきつくないですし』 『じゃあ、両方ともください!』

後でキャンプ場に戻って管理人さんに芋菓子工場に行って買った事を話すと、『そうそう、芋菓子は他のお店で買うよりも工場で買った方がおいしいって、わざわざあそこに買いにいく人もいるらしいよ』との事。 またここで買うと、数十円だが値段も安いのだ。 これは今回のヒットである。
***
帰りは岩城島の西岸を北上。 途中、生口島へ漕ぎ渡り、小さな島に立ち寄ってみた。
 
この島は、第5次瀬戸内カヤック横断隊で風よけとしてお世話になった小島である。 鳶ノ子島。
見覚えのあるお地蔵様。 帽子を脱ぎ、手を合わせ、『あの時は、風よけに使わせてもらって助かりました。 お世話になりました』、とお礼を述べる。
 
造船所の目の前にある鳥居。 完成したばかりの大きな船。 うん、しまなみらしい良い雰囲気だ。
計4時間、実漕ぎ3時間のツーリング。 無事、生名島の浜に戻って来た。

***
シーカヤックを運んでいると管理人さんが居られた。 『こんにちは。 今回もよろしくお願いします』
道具を片付け、シーカヤックをカートップし、着替える。 そう、今回は連泊ツーリングだが、シーカヤックツーリングは今日だけの予定。
『明日は天気次第ですが、魚島に行ってみたいと思ってるんですよ。 今回は定期船で』と私。 すると管理人さんは、『私は高校生の時に一度行ったきりね』
『上島町の中で、魚島はまだ行った事がないんで。 ゆっくりできる今回は、ぜひ行ってみたいと思ってるんです』

荷物を片付け、銭湯で塩抜きするために因島に行く準備。 『あのー、自転車貸してもらえます?』 『はい、もう準備できてますよ!』 いやはや、いつもの行動パターンなので、すべてお見通しである。 『ありがとうございます』
自転車を借りるための手続きをしていると、紙のメモを渡された。 『はい、これ。 魚島行きの船の時刻。 料金は片道1000円くらいかかるらしいよ。 明日は雨は降らないみたい』
私が片付けをしている間に、電話でいろいろと聞いて下さったようだ。 ありがたいことである。 感謝!

『じゃあ、銭湯に行って来ます』 『ごゆっくり』 お借りした自転車に乗り、フェリーで土生に渡って銭湯へ。
 
他にはだれも居ない銭湯で、のんびりまったり潮を抜き、疲れを癒す。 スーパーでビールと食材を買い出して、港に戻る。
さすがに12月。 5時を過ぎると真っ暗だ。

キャンプ場に戻り、簡単な夕食の準備。 今日は、えのき茸と肉団子を入れた湯豆腐。
うどんスープで出汁をとり、あつあつの豆腐をポン酢に付けて食す。 うーん、旨い。 ビールをゴクリ。 いやあ、これまた美味い。
湯豆腐をつつきながらビールをグビリ。 途中から、焼酎のお湯割りに切り替えて、独りの静かな夜を堪能。

さあて、明日の天気はどうなんだろう。 魚島に行けるといいな!

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

瀬戸内シーカヤック日記: 第6次瀬戸内カヤック横断隊_祝島~上関

2008年12月06日 | 旅するシーカヤック
2008年12月1日(月) 上関を出発し、祝島を一周してから、漁港の端っこにある小さな浜に静かにゴール。

祝島の方々が準備していただいた3カ所のお風呂に別れて順番に入らせていただき、潮を抜き、疲れた体を癒す。
風呂から上がり、乾いたウエアに着替えるとホッとする。 
***
夜は、祝島の方々がセットして下さった歓迎会。 本当にありがたいことである。 感謝、感謝。
近くで採れたイカやヤズの新鮮でおいしい刺身。 祝島豚のハンバーグ、旨い!
差し入れの牡蠣。 室津のてんぷら。 ご飯に豚汁。 いやあ、ビールが美味い!

途中からは席を移動し、神舞の時にお世話になった方々との宴。

『こんにちは。神舞ではお世話になりました』 『おう、来とったんか!』 どうやら顔を覚えておいて下さったようだ。 うれしい限り。
今年は、これで5回目の祝島訪問である。 ビワ狩りツアー、櫂伝馬の練習、入船神事、出船神事、そして今日の横断隊ゴール。 いやあ、我ながら良く通ったものだ。
『神舞の櫂伝馬は、本当に良い経験をさせてもらいました。 本当に楽しかったですよ』 『次もまた頼むよ』
『ええ、もし漕がせてもらえるんならぜひ』 『どんどん人が減っていくからのう。 次のときは、茅刈りから来てもらいたいの』 『そうですよね。 あれは大変そうですもんね。 お年寄りの方が多いのにスゴいと思いながら、ホームページを見よりました』

『それにしても、次はもっと練習して、櫂をきれいにそろえて漕ぎたいですねえ』 『ほうよのう』
『昔は櫂伝馬競漕もしよったんですか?』 『うん。 神舞の行事が終わって、港に戻る時に競漕しよった。 今年はやらんかったなあ』

『広島の大崎上島では、今でも櫂伝馬競漕をやっちょるそうですよ。 本格的な競漕で、若い人らが年に3回の大きな大会で競いよるそうです。 長い距離になると、1.2kmも漕ぐそうです』 『それは凄いな。 祝島じゃあ若い人も少ないし、なかなか難しいのう。 じゃが昔は、祝島でも10艘を越える櫂伝馬が出よった頃もあったんよ』
『それは凄かったでしょうねえ。 見てみたかった』 『そういやあ、櫂伝馬が足りずに木江いうところに借りに行ったこともあったよ』 『木江! そこが大崎上島ですよ!』 『ほうね。 わしが船を出して借りに行って、引っ張って帰りよったんよ』

いやあそうか、祝島と大崎上島が、こんなところで繋がっていたんだ。
なんだかうれしいな、今日は本当に来て良かった。 『あるくみるきく_旅するシーカヤック』

『大崎上島の人が、櫂伝馬好きの人を集めて競漕しようと企画しておられるんですよ。 練習して出られると好いですね』 『ほうじゃのう。 でもここの櫂伝馬は、神舞の時しか出しちゃいけんというきまりになっとるんよ。 だから競漕も、神舞が終わったあとなんじゃ』 『なるほど。 そういう難しさがあるんですね。 でもせっかくなんでしっかり練習して、神舞の後の競漕くらいは復活させたいですね』

祝島や神舞、櫂伝馬にまつわる楽しい会話を肴に、おいしい濁り酒を酌み交わし、楽しい夜の宴は続く。
***
2008年12月2日(火) 横断隊ゴールの翌朝。 祝島の美しい日の出。

9時過ぎ。 ウエアに着替え、荷物のパッキングを始める。 明日から仕事で朝も早い。
一足早く帰るため、午後からのイベントに参加する他の隊員達と離れ、独りで上関に漕ぎ戻ることにしている。

準備をしていると、一人のおばあちゃんがやってきた。 『あんたら、これで来たんね?』とシーカヤックを指差しながら隊員達に話しかけている。 『ええ、そうなんですよ』と一人の隊員が応える。

私も話の輪にまぜていただく。
『私ももうすぐ88歳になるんよ』 『じゃあ、米寿じゃないですか。 おばあちゃん、元気ですね』
『祝島は昔と変わりましたか?』 『いやあ、ここは田舎じゃもの。 そーんなには変わっとらんよ』
『え、そうなんですか』 『でもね、前は漁港がなかったから、この浜に船を揚げよったねえ』 『じゃあ、昔はここにずらっと船が揚がっとったんですね』
『そうよ。 ここに轆轤があるじゃろう。 これに木の棒を刺して、みんなで回して船を揚げよったんよ』 『なるほど』

『おばあちゃんも手伝いよったんですか?』 『ほうよ。 私もじいちゃんと一緒に漁に出よったからねえ。 昔は畑じゃ食べられんかったから、海に出てタコを捕ったり、鯛を釣ったり』
『今も息子が漁をやりよるけど、大分採れる数が減っとるねえ』 『活きとるタコは漁協に卸して、残ったタコは干物にして』
『今でも漁に出たいねえ』

もうすぐ88歳になるという祝島のおばあちゃん。 おじいちゃんと一緒に漁に出ていた頃の事は、良い想い出なんだろうな。

『じゃあ、気をつけて行きんさいよ』 『はい。 おばあちゃん、楽しい話を聞かせてもらってありがとう』
***
10時。 他の隊員に挨拶し、独り祝島の浜を漕ぎ出す。 今日はべた凪で、最高のコンディション。

のんびりツーリング気分で景色を楽しみながら、岸沿いを漕ぎ進む。

約2時間半で、クルマをデポしておいた中の浦へ到着。 私にとっては、第6次瀬戸内カヤック横断隊の本当のゴールである。

嵐の中を漕ぎ、蒲刈の方々に篤いサポートをいただき、高速道路を移動し、祝島の山道を登り、祝島の方々との楽しい宴を楽しんだ。 海抜0メートルの旅に加え、様々な想い出の詰まった今回の横断隊。
サポートを頂いた多くの方々、そして一緒に漕いだ隊員達へ。 本当にお世話になりました、ありがとうございました。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

瀬戸内シーカヤック日記: 第6次瀬戸内カヤック横断隊_蒲刈→上関~祝島

2008年12月05日 | 旅するシーカヤック
2008年11月30日(日) 突然の嵐で岡村島に緊急上陸し、シーカヤックを蒲刈のB&Gまでポーテージ。 快適な艇庫の中で一晩ゆっくりと休ませていただき、ようやく迎えた朝。

予定より大幅に遅れているため、今日も4時に起床。 だが、艇庫の外からは風の音がしっかりと聞こえてくる。

みんな無言でシュラフから抜け出し、それぞれが黙々と朝食の準備。 
***
出発予定の6時になっても、まだ風は落ちていない。 天気予報を聞いても、全国的な荒天の予報。
少し歩いて海岸まで出てみると、まだまだ南西の風が強く、海面には白波が立っている。 うーん、これは。。。

7時、8時頃には、メンバーが集まってのミーティング。 テーマはもちろん、『これからどうするか?』
『今の状況が分かっていないヤツはいるか?』と隊長。 『それぞれ、自分の思いを言ってみろ』
この一言をきっかけに、悪天候の張りつめた雰囲気の中、コアメンバーを中心に様々な意見が出され、討議が始まる。

『今日は、海に出る状況じゃない』 『少し待って行けるところまで行ってみては』 『漕ぐ事にこだわるなら、去年と同じルートを漕いでそこでピックアップしてみては』 『中途半端に進むと、ピックアップが難しくなる』 などなど、様々な意見が出された。

最終的に、今回の横断隊では、12/1に祝島にどうしても到着していなければならないということで、ここ蒲刈のB&Gからカートップして上関まで移動する事となった。 
***
クルマの手配が始まる。 シーカヤックを何艇運ばなきゃいけないのか? 人は何人? クルマは何台必要? そのクルマには、何艇積める?

結局、地元の私も急遽クルマを出す事になり、GOさんに家まで送ってもらって、クルマを取りに戻ることになった。
今回の横断隊では、カヤックのピックアップが難しいため、この日曜日に倉橋島か周防大島でGOさんと共に離隊し、家まで送っていただく予定だったが、自分のクルマを上関まで持って行くのなら、祝島まで漕げるじゃん!
ということで、バックアップのために取っておいた12/2までの有休を利用して、このまま一緒に行動する事にした。
***
私が参加した今回の横断隊の中で、もっとも緊迫した判断の場が、この朝のミーティングであった。
12/1に祝島に到着しなければならないと言う制約があり、そのために、単にここで風待ち/潮待ちをする訳にはいかないという事情が、判断を難しくさせていたことは否めない事実である。
***
シーカヤックを載せたクルマは、広島市内を抜け、高速道路を走り、無事に上関の中の浦へ。

夕方、カヤックを降ろし、荷物をパッキングし、テントを張り、夜の宴へ。
***
翌朝は、快晴。 風も弱く、絶好のパドリング日和。
今日は、横断隊として初めて祝島を一周する予定である。 楽しみだ!
 
追い風に乗って快適に漕ぎ進み、途中の浜でしばし休憩。 そこから祝島に漕ぎ渡り、時計回りに漕ぎ進んで行く。
***
祝島に着いたとたん、横断隊モードからツーリングモードへ!
初めて海から眺める祝島の南岸を堪能しつつ、のんびりまったり、祝島一周ツーリングを楽しむ。

人の手の入っていない貴重な自然海岸。 うーん、来て良かった。

***
神舞の櫂伝馬でも訪れた、三浦海岸に上陸し、お昼ご飯。

せっかくなので、氏本農園へ見学に行こうと言う事になり、横断隊は狭い山道を登って行く。
今回の横断隊では、嵐の海を漕ぎ、高速道路を走り、山道を歩き、祝島の豚を見学するなど、海抜0メートルの旅に縛られる事なく、『あるくみるきく』に通じる多様な旅のスタイルを堪能させていただいた。
 
祝島の豚については、興味深いお話をいろいろと伺ったのだが、それはまた別の機会に。
***
浜に戻ってお昼ご飯を食べ、少し休憩して再び漕ぎ出した。

時計回りに漕ぎ進み、無事にいつもの浜に到着!
第6次瀬戸内カヤック横断隊のゴールである。 つづく。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

瀬戸内シーカヤック日記: 第6次瀬戸内カヤック横断隊_大島~蒲刈

2008年12月03日 | 旅するシーカヤック
2008年11月29日(土) 早朝4時。 しまなみの大島で目を覚ます。
外はまだ真っ暗で星がきれいに瞬いている。 シュラフから這い出し、着替え、荷物をパッキングして簡単な朝食を摂る。
今朝は、前日に買っておいたパンと、炭火で炙ったホカホカの酒饅頭。
***
5時頃には浜に移動。 まだ真っ暗な中、ヘッドランプの明かりを頼りに荷物をシーカヤックにパッキングしていく。

少し明るくなりかけた6時過ぎ、『さあ、そろそろ行こうか!』
 
海に出ると隊員の一人が海上保安庁に一報を入れ、大島を出て蒲刈の県民の浜を目指す事を伝える。
少し風はあるが、全く問題ないレベル。 波もそれほど高くない。 最初は大島の北岸に沿って漕ぎ進み、最短距離のところでバウを北西に向けて大三島へと漕ぎ渡る。
本船航路の横断となるので周囲をしっかりワッチしつつ、船が見えたらお互いに声を掛けて注意し合う。

***
大三島の南岸沿いを進み、廃校になった学校を利用した宿泊施設の前にある浜に上がる。
少し早いが、ここでお昼ご飯。 朝食も4時過ぎと早かったので、お腹も減っている。

お昼ご飯は、おにぎり2個。 ポットに詰めた温かいお茶を飲みながら、おにぎりを頬張る。 今回の横断隊では、行動食や食事を最低限に抑えてみようと思っている。
第1次、第2次横断隊の時に辛い目にあった経験から、第3次以降は行動食も食事もこれでもかというくらいしっかり摂るように心がけていたが、今回はどの程度なら適量かを知るためのプチテストにトライしてみることにしたのだ。
ただし、イザと言う時のために、デッキバッグにはしっかりとこれまでの横断隊でテスト済でお気に入りの行動食の準備はしておいた。 
 
小さな焚き火を熾し、暖をとる。 この時期、風に吹かれながら漕いでいると体が芯から冷えてくる。 そんな時、焚き火の有難さがしみじみと感じられる。
***
休憩を終え、再び出発。 ザワザワと波立つ追い潮の中を、大三島から関前の大下島へと漕ぎ渡る。

大下島と小下島との間の海峡は、潮流と風がぶつかり、一面に複雑な三角波が立っていた。 ラダーのないカヤックは左右に振られ、保針が大変そうだ。
ここではいったん大下島の岸沿いを南下し、最短距離を海峡横断。
***
小下島の北岸を越え、岡村島に取り付く。 ここまで来れば、県民の浜まであと2時間ほど。 少し風が強くなって来たなか、岸ベタぎみでジリジリと漕ぎ進む。

岡村島の北端を越えたあたりで様子が変わって来た。 風が上がり、空がいっそう暗くなって、終いには雨も落ちて来た。
この雨が顔に当たると痛いほど。 前を向くことができない。 風も、突風と言っていいほど強くなった。

『内田さん。 ここの後方に小さな浜があります。 あそこに避難しませんか!』と進言。 この辺りでは、この浜を逃すと当分護岸で上陸が難しいのだ。 また、この浜の上にはキャンプ場があり、駐車場などのスペースがある事も知っている。
内田さんも合意され、『おーい、後ろの浜に避難しろー』

急に波が高くなり、プチサーフ状態の中を無事上陸。 フネを浜に引き揚げ、道路に上がって海を見ると、あっという間に風浪で真っ白になっていた。 いやあ、避難して良かった!
 
しばらく様子を見ていたが、今日はとても漕げそうもない。 ここから蒲刈のB&Gまでのポーテージが決定された。

蒲刈でいつもお世話になっているIさんに電話を入れると、サポートしていただけるとの事。 他のサポートメンバーや、今日合流予定の隊員とも連絡をとり、ポーテージのクルマの到着を待つ。
クルマが到着し、カヤックと荷物、そして隊員の搬送が始まった。 今回は、Iさんの知り合いの方まで来ていただき、助けていただいた。 おかげで、夕方には無事にB&Gへのポーテージが完了。

***
本日の漕行距離は、大島から岡村島までの約20km。
悪天候の中、B&Gの艇庫で心休まる一夜を過ごさせていただいた。
お忙しい中お世話になった蒲刈のIさんと漁師さん、本当にありがとうございました。 隊員一同、たいへん感謝しております。

艇庫の外は、嵐のような雨と風。 さて、明日は無事に漕ぎ出せるのだろうか?

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

瀬戸内シーカヤック日記: 第6次瀬戸内カヤック横断隊_合流

2008年12月02日 | 旅するシーカヤック
瀬戸内カヤック横断隊の季節がやって来た。
第6回目となる今年は、11/25に高松を出発し、12/1にゴール予定地である祝島を目指す予定。
相変わらずの部分参加ではあるが、今年も参加させていただく事となった。
***
2008年11月29日(金)

夕方、いつもより少し早めに家に帰り、遠路はるばるピックアップに来て下さったシーカヤック仲間であるGOさん、レ隊長さんと合流。
駐車場で私のシーカヤックをGOさんのクルマに積み替え、横断隊が到着したと言うしまなみの大島へと向かう。

部分参加の隊員としては、どこで合流するか、どうやってシーカヤックを運ぶか、いつどこで離脱するか、どうやってシーカヤックを回収するかといった、合流離脱プランやその判断、艇のロジスティクスも含めた全てが横断隊なのある。
***
海沿いの道を走り、竹原へ。 良い時間だと言う事で、ここで夕食を摂る事に。
『何が好いですか?』と訊いてみる。 すると、『なんでも。 魚定食でも、ラーメンでも、中華でも』
『じゃあ、ラーメンで好いですか? この近くに私の好きな店があるんですよ!』

私のお気に入り、『大華園』の定番である中華そばと、にんにくや唐辛子がたっぷり入った元気ラーメン。
グルメのGOさんにも気に入っていただいた様子。 よかった!
***
ラーメンを食べながら、ふと思いついた。
『ここまで来たら、忠海から大三島行きのフェリーはどうですか? ちょっと、時間を調べてみますよ』
お店の方に伺ったが、残念ながら時刻表はなかった。

ケータイを取り出し、家に電話。 妻に、家に居た次男にネットで検索してくれないかと依頼。
しばらくして電話がかかって来た。 どうやら最終のフェリーにばっちり間に合いそう。 うん、いいねえ。

とはいえ、何か間違いがあってはいけないので、念のためにフェリー会社の電話番号をメールで入れてもらうようにした。
ケータイに送られて来た番号に電話してみると、今は港の工事中で、出発時刻と到着する港が一時的に変更されているとのこと。 おお、やっぱ確認してみるもんだなあ。
まさに『備えよ!』である。
***
食事を終え、フェリー乗り場へ。 ちょうどよい待ち時間で無事乗り込み、客室へ。 

『大島へ行くんなら、このルートが最短ですね』 『高速道路をグルッと大きく廻るより、この方が楽だし早そう。 それに旅気分も味わえるし』 『なかなか好い選択だったかもしれませんね』
合流する移動も楽しめるなんて、これはなかなか好いじゃないか。 なんだかワクワクしてくるなあ。
***
フェリーの客室で、のんびりまったり過ごしていると、大三島に到着。 
ここからは、ほんの少し走れば大島である。 『早いなあ』 『あっという間ですね』

一旦、横断隊がお世話になっている家を訪ね、挨拶をしてシーカヤックを置いてある場所を確認し、そこに移動。
真っ暗な中、ヘッドランプを点けてシーカヤックを降ろし、荷物をパッキング。

ふう、これで準備完了だ!
***
みんなが泊まっている場所に戻り、しばしの酒宴。
予定より大幅に遅れているので、短い時間ではあったが、再会を祝し、一年振りの旧交を温める。

お開き。 『明日は、4時起床。 6時出発』と通達が出た。
シュラフに潜り込むと、あっというまに眠りについた。
***
2008年11月30日(土)
4時に起床。 外はまだ真っ暗で、星がきれいに瞬いている。
シュラフを畳み、着替え、簡単な朝食を済ませる。 炭火で軽く炙った、地元の酒饅頭もいただく。 ほかほかで、香ばしい皮もおいしい。 ごちそうさまでした。

浜に移動し、まだ真っ暗な中、ヘッドランプを頼りに荷物をパッキング。
お世話になった家で暖かいお茶をいただき、ポットに詰めてデッキバッグに。 この時期の海旅には、暖かい飲み物はありがたいものだ。 くまさん、ありがとうございます。

行動食もしっかり確認。 準備完了!
みんなで協力してシーカヤックを水辺まで移動。 6時、少し明るくなって来た。
『ようし、行こうか!』

GOさん達にピックアップしていただいたおかげで、しまなみの大島から合流することができた第6次瀬戸内シーカヤック横断隊。 さあ、今年はどんな旅が待っているのだろうか!

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする