2015年3月14日(土) 朝5時前に起きると、PCを開いて天気予報をチェック。
『えー、松江道は冬用タイヤ規制。。。』
3月も半ばになった事だし、天気がよければ島根半島ツーリングをと考えていたのだが、この状況では諦めざるを得ない。
再び様々な候補地の天気予報をチェックし、『よし、決めた』
コーヒーを飲み、服を着替えて準備完了。
まだ寝床でゆっくりしている妻に、『じゃあ行ってくるよ。 松江道は冬用タイヤ規制だから諦めて、今日は周防大島に行ってくる』 『はい、気をつけて』
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通い慣れた下道を通り、周防大島へ。
曇り空ではあるが、そのおかげで放射冷却もなく気温も高め。

9時前には出艇準備を完了し、春の海へと漕ぎ出した。
浮島に向けて漕ぎ進んでいると、次第に青空が覗き始める。

風もなく、絶好のシーカヤックツーリングコンディション。
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遠くに見える黒島の上に、白い雲が一つだけフワリと浮かんでいる。
青い海と青い空、さらに濃い島の緑、そして白い雲のコントラストが、なんとも美しい。 『あー、春の雰囲気だなあ』

ペタリペタリと春の芸予諸島の海を漕いでいると、『プシューッ』という聞き慣れた音が!
『あ! これはスナメリだ』
パドリングの手を止め、耳を澄ませて周囲をワッチ。
『プシューッ』 『あ、あそこだ』
カメラを取り出し、時折呼吸のために浮かんでくるスナメリを狙ってシャッターを押す。

スナメリを写真に収めるのは難しいのだが、なんとか写っていた。
今年の春も、この海域でスナメリに出会う事ができた。 嬉しいものである。
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再び漕ぎ出し、頭島の西側を通って黒島へ。

ここからは、黒島の西側を北上。

今日は、この黒島を巡って戻ろうと思っていたのだが、北を見ると良い感じの島が見えている。
幸い海のコンディションも良く、これならあそこまで渡れそうだ。
という訳で、2つの島が浜でつながっている島へと目指して漕ぎ進む。

漕ぎ出してから約2時間で、この島に上陸した。 距離にして13kmほど。

ここは、初めて訪れる島。 『伊勢小島』である。

2つの島をつないでいる浜は、細かい砂ではなく砂利のような石の浜。
少し早いが、ここでお昼ご飯。
砂利の浜に座り、コンビニで買い込んできたお弁当とお茶。 『いただきます』
初めて訪れた雰囲気の良い島で、春の芸予諸島を眺めながら、ゆっくりとお昼ご飯をいただいた。 『ごちそうさまでした』
せっかくだから、伊勢小島を一周してもどろうか。

ここからは、再び黒島へ。
帰りは黒島の東側を通る。

高台に集落が見えてきた。 さらに岬を回ると、港が。

いつか、この島もゆっくり散策してみたいものである。
この辺りから、少し南風が吹き始めたので、島の散策は諦めて早めに戻る事にした。
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黒島の南端を超えてからは、頭島や浮島の岸沿いではなく、出発した浜に向けてまっすぐ漕ぎ戻る事に。

風は徐々に強くなり、次第に海がザワついてくる。 ここから先は、写真を撮る気にもならないくらいの状況が続いた。
向かい風に負けないよう、ナローブレードのウッドパドルで、一漕ぎ一漕ぎしっかりと水をキャッチ。
波のリズムも利用して、粘り強く漕ぎ進んで行く。
カヤック肘が直ってから、初めてのマジ漕ぎである。
こんな時、もし自分の力では漕ぎ上がれなくなってしまったら、出発地点に戻れないことになる。
アクセルを踏めばどんな坂でも向かい風でも楽に進めるクルマでのドライブとは全く違う世界。
海の上でたった独り。
自分の体力と経験、そして気力を信じ、遥か遠くに見える出発地点を目指して、一漕ぎ一漕ぎ、まるで亀や蟻のようなゆっくりとした動きで前に進んで行くのである。
こうして漕ぎ続ける事、約1時間。

少し風が落ち、目指す浜も近づいてきた。
無事到着。

今日は結局5時間半、約25kmのツーリングとなった。 カヤック肘が完治して以来、初めての本格ツーリング。
スナメリにも遭遇できたし、伊勢小島も初めて訪れることができた。 充実した春のシーカヤックツーリング。
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冷たい風が吹く中、シーカヤックをカートップし、ドライスーツを脱いで、カヤックと道具を潮抜き。
『浜に無事戻ったよ』 無事を知らせるいつものメールを妻に打つ。
ようし、じゃあ買い出しして温泉に行くか!
周防大島に来ると、いつも買い出しに行く魚屋さんへ。

太刀魚と海老の刺身、そして”魚屋さんの醤油”を購入。
その後、コンビニとスーパーでビールと食材を買って温泉へ。

ゆっくりと温泉につかって、5時間半のツーリングで疲れた体を癒す。 『あー、やっぱ漕いだ後の温泉は気持ちええなあ』
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風呂から上がると、今日の宿泊地である浜へ。

少し風があるが、静かで眺めも良い浜である。

今日は車中泊なので、テントは張らず、東屋の下で夕食。
まずは、エビスビールで独り乾杯!

『グビ、グビ、グビリ』 『プハーッ。 やっぱ最高やなあ!』

今日のメインは刺身。
エビの刺身を、魚屋さんの醤油をちょっと付けてパクリ。

『おー。 これはなんたる旨さ!』
トロリとした濃厚の旨さを持つ海老の身は、最高に美味い。
刺身に付いている海老の頭も外して、濃い緑色のミソを啜る。 『おお、なんともはや!』
ビールを『グビリ』 これ以上、何が要る?
やっぱシーカヤックの楽しみは、キャンプツーリングに尽きるなあ。
まさに、至福の一時!
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夜は、LEDランタンのほのかな明かりで独り静かに酒を飲む。

なかなか良いキャンプの夜じゃあないか!
3時に雨音で目が覚めた。
『結構降るなあ。 今日はテントを張らず、車中泊にして正解だった』
5時過ぎに置きだすと、まだ雨が降っている。

東屋の下でお湯を沸かし、LEDランタンを付けて、スープとパンの朝食。
食後には、コーヒーをゆっくりと楽しむ。
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久し振りの周防大島は、スナメリとの遭遇、伊勢小島訪問、そして美味しい刺身でビールと、最高のキャンプツーリングを堪能する事ができた!
もう春はそこまで来ているゾ!
さあ、来週はどこ行こう?