あるくみるきく_瀬戸内シーカヤック日記

瀬戸内を中心とした、『旅するシーカヤック』の記録

『芸予ブルー』_テーマカラー of 印象派_”瀬戸内シーカヤック日記”

瀬戸内シーカヤック日記: 2009年の漕ぎ納めは『しまなみ』生名島キャンプツーリング

2009年12月30日 | 旅するシーカヤック
2009年12月29日(火) 今年の漕ぎ納めは、年末恒例のしまなみツーリング。 生名島にある、お気に入りのキャンプ場をベースにした、一泊二日の旅である。

天気予報を確認し、年末年始に漕ぐなら29日しかないと確信した28日の朝。 生名島の施設に電話。
『すみません。 明日なんですけど、キャンプ場は使えますか?』 『え、明日ですか? 管理人さんに確認して折り返し電話します』との事。 ま、そりゃそうだ。 完全なシーズンオフで、かつ年末のこの忙しい時にキャンプ場を予約する人なんてあまり居ないよなあ。

しばらくすると電話が掛かってきた。 出ると管理人さんである。 『あ、こんにちは。 いつも年末年始の変な時にお願いしてすみません。 キャンプ場、大丈夫ですか?』 『ええ、全然大丈夫ですよ。 来て下さい。 いつものようにしときますから』 本当にありがたいことである。
***
29日朝、生名島に到着。 前日の強風が嘘のように治まり、瀬戸内らしい穏やかな海。 絶好のツーリング日和である。
 
今日はお気に入りの定番、岩城島一周コースの予定。 潮を確認し、時計回りで一周することにした。
ユニクロのヒートテックの上に、薄いフリースのシャツ、そしてスカノラック。 薄い作業用手袋とニットキャップで漕いでいると、ジンワリと汗ばんでくるほどの良い天気。

休憩無しで約1時間。 岩城島に到着。
 
クルマを洗っている人、スーパーに買い出しに行く人、帰省した人などなど、いつもの岩城島と違って人の気配が濃く、年末の慌ただしさと活気が感じられる。
***
岩城島一周コースがお気に入りになっている理由の一つが、『よし正』 ここの日替わり定食、『よし正定食』が安くておいしいのだ。 また、夜にここを定期船で訪れると、おいしい料理で一杯という楽しみもある。

ただ今日は、前から気になっていたお店に行ってみる事に。 ターミナル内にある『レモンハート』
ここには最近、『レモン豚丼』というメニューが加わっており、一度試してみたいと思っていたのだ。
 
運ばれてきたレモン豚丼は、ごはんの上に薄い千切りキャベツとソテーした薄切りの『岩城島名物、レモン豚』が載せられ、その上に目玉焼きが置かれて、ソースがかけられている。
目玉焼きの半熟の黄身を崩してレモン豚とごはんに絡めて食べると、これがロコモコ丼風でなかなかおいしい。
『ごちそうさまでした』 たまには、レモン豚丼も良いかも。
***
ターミナル内には、島の農家の方が作られた『岩城島特産のレモン』や野菜などが売られている。 今日の夜ごはん用に、『レモン豚の切り落とし』と『春菊』を購入。
 
また、芋菓子で有名な『タムラ食品』を覗いてみると、見た事のない一品、『黒糖、芋かりんと』が。 『これ、ありましたっけ?』 若いお兄さんに聞いてみると、『新製品です』との事。
『評判はどう?』 『うーん、おいしいって言う人もいれば、普通の芋菓子の方が良いと言う人もいますね。 まあ試してみて下さい』 と言う訳で、芋菓子一袋と黒糖芋かりんとを二袋購入。 味は、帰ってからのお楽しみである。
***
浜に戻り、出艇の準備をしていると、ちいさい男の子と女の子を連れた若いお父さんが歩いて来られた。 挨拶を交わし、しばし会話。 出発の時には、3人が手を振って見送ってくれた。

晴天の中、再び漕ぎ出し生名島へ戻る。 帰りは、抜けの良い景色を眺めながら、休憩無しの快適なパドリングで1時間と少しでゴール。
 
最高の天気と海のコンディションに恵まれ、良い漕ぎ納めとなった。
***
天気予報では明日は昼前から天気が崩れて荒れると言う事なので、カヤックや道具を水洗いし、片付けていると、バイクに乗ったおじいさんが浜に来られた。 『こんにちは』と挨拶。 みると、大きなビニール袋を持って防波堤の上に置いてある海藻を集め始められた。

『これ、畑に入れるんですか?』 『そう。 肥料にするんよ』 『昔は船を出して海藻を取りに行きよったそうですね』
『ほうよ。 せっかく浜に打ち上がってくるもんじゃけえ、今でも使いよる。 これを畑に入れたらええ野菜ができる』 『畑に撒くんですか?』
『まず雨にあてて塩を抜いて、それから畑に鋤き込むんよ。 土の上に載せるだけよりも、鋤き込んだ方がええ。 野菜の根っ子が海藻を巻き込むようにして成長しよる』 『なるほど。 そうやって海藻から栄養を吸収するんですね』
『またのう、海藻は少し塩が残っとるけえ、ナメクジなんかの虫があまり付かんのもええよ』 『そうですか。 お金も掛からんし、農薬もいらんし、それでおいしい野菜ができる。 こりゃあええですねえ』
***
キャンプ場で自転車をお借りして港まで行き、そこに自転車を置いて因島へ。
 
町を歩くと正月モードである。 もう、29日だものなあ。

いつもの銭湯の暖簾をくぐり、お金を払って脱衣所へ。
 
ガラリとガラスの引き戸を開けて浴場に入り、湯船をみると見覚えのある顔が。

おっちゃんも覚えていたのかニヤリと笑い、私もニコリと笑顔で挨拶。 『こんにちは。 また来ました!』 この方は、『前回、因島の銭湯で出会ったおっちゃん』である。 その時は、ヤンチャしていた時期の、波瀾万丈の一代記をおもしろおかしく聞かせていただき、二人で笑ったのだ。

今日も、名古屋に住んでおられた頃の話や、造船所関係の仕事の話、この通りの近くは『花街』だったことなどなどを聞かせていただいた。
『のう、兄さん。 この辺りは花街じゃったんで。 昔の花街いうたら別嬪さんがようけ居った。 今の飲み屋じゃいうたら、こーんな顔や、あーんな顔のおネエちゃんでも店に出とるがのう』と、手振り身振りを交えておもしろおかしく話をされる。

『まあ、いろんな所に住んで、いろんな事があったが、今じゃあみな、ええ思い出じゃのう』 こういう方が呟かれると、その一言に深みがある。

『いやあ、今日もありがとうございました。 じゃあ、先に上がります』 『おお、また会いたいの。 こっち来たらまた寄りんさい』 『はい、また来ます』 偶然の、そしてうれしい再会であった。
***
キャンプ場に戻り、管理人さんから最近の生名島や因島の様子などについて伺う。
夜は、釜炊きごはんと水炊き。 ホカホカつやつやの釜炊きごはんは、卵かけごはんにしていただく。 水炊きは、岩城島のレモン豚と春菊、そして豆腐。
水炊きを食べながらビールを飲み、焼酎を飲んで、独り静かな夜は更ける。
***
2009年12月30日(水) 朝、生名島を出発。
 
かなり工事が進んだ、生名島と佐島を結ぶ橋。
生名島から因島へと向かうフェリーは、クルマで満杯。 帰省なら逆のルートなのだが、管理人さんによるとこれは買い出しだとの事。 生協のスーパーくらいしかない生名島では、品数も少なく、値段も高いので、正月の準備などは因島や遠くは福山まで買い出しに行く人が多いのだそうだ。

*** 〆 ***

絶好の天気に恵まれ、お気に入りの生名&岩城エリアを漕ぐことができた『2009年の漕ぎ納め』 今年も様々な海旅&陸旅を楽しみ、多くの出会いに恵まれ、たくさんの貴重なお話を伺うことができた。 本当にありがたい事である。

またブログの方も、一週間に1度か2度しか書き込みせず、また1回分の文章がとても長いにも関わらず、多くの方に訪問いただいているようで、それもまた嬉しいことだ(訪問者数で100人~200人/日程度、ページビューだと150PV~450PV/日程度)。

2010年は、『旅する櫂伝馬プロジェクト』というワクワクする大きな企画も待っている。 来年も、ライフワークとなった『あるくみるきく_旅するシーカヤック』を通じて、出会いに恵まれるといいなあ。 では、みなさんも良いお年を! 

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瀬戸内シーカヤック日記: 忘年会@『鯛の里』in沖家室

2009年12月27日 | 旅するロードスター/アテンザ
2009年12月26日(土) この週末は、両親も招待しての家族での忘年会。 場所は、周防大島の南側に位置する『沖家室島』にある『鯛の里』 ここは、一日一組限定で、新鮮な魚介類料理がとてもおいしい民宿である。

鯛の里を知ったきっかけは、数年前に、『ホクレア号船長のナイノアトンプソン氏がお世話になったという、カワノヨシオさんのルーツ探し』で、シーカヤック仲間と共に泊清寺を訪れた時にお世話になったこと。 それ以来お気に入りの宿の一つとなり、何度か通っては、おいしい魚料理を堪能させていただいている。

10月初旬に鯛の里の松本さんに連絡を入れたところ、今年はどんどん週末の予約が埋まっているとの話だったのだが、幸いな事に家族全員の予定が調整できそうなこの日はまだ空いていたので、すぐに予約を入れさせていただいた。
***
土曜日の昼前。 2台のクルマで周防大島へと向かう。

昼食を食べ、大観荘でお風呂に入った後、3時のお茶にしようと言う事になり、最近お気に入りの『芋喰島』へ。
 
コーヒーやみかんジュース、芋ティラミスや黒ごま芋タルトなどを堪能。
***
夕方、沖家室島へ入る。 少し早いので、クルマを停めて昔のメインストリートを散策した。

瀬戸内の小島の漁師町ならではの風情を感じながらの散策。 ある空き家の窓からガラス越しに中を見ると、1960年のカレンダーが掛かっている。
うーん、これはスゴい! ここでは、約50年前のまま時間が止まっているのだ。

海沿いに出ると、漁港の端っこのスロープで、漁師さん達が焚き火をしておられた。 『こんにちは。 今日は大掃除ですか?』 『いやあ、わしらはいつも流木やゴミを集めて掃除しよるんよ。 ここにはえっと流れ着いてくるんじゃ』

『ところであんたら何しよるん』 『今日は、鯛の里に泊まるんですよ。 少し時間があるけえ、散歩しよるんです』 『おお、ほうか。 鯛の里。 そりゃええのう』 『わしゃあ、鯛の里のおやじの船で一緒に漁をさせてもろうた事があるよ』

私は一人スロープに降り、一緒に焚き火にあたらせていただきながら話を続ける。 そんな私を、家族はニヤニヤと笑いながら眺めている。

『ところで今の時期は何が獲れるんですか』 『鰤(ぶり)。 大きいのは、8キロじゃ10キロじゃいうくらいのが釣れる』
『えー、ここで鰤が! 網ですか』 『いやあ、ここは一本釣りよお』 『今は正月前じゃから、値もええんでしょうねえ』
『そうそう、今が一番ええよ』 『釣って戻ったら、あそこの生簀に入れとくんじゃ。 後であそこへ行ってみせてもろうたらええ』

『8キロくらいの鰤ゆうてみい。 頭だけでこれくらいあるんで』 『ほうよ。 あの頭を二つに割って焼いたら美味い』
『知っとるか? 頭を二つに割るんは、普通の包丁でええ。 ちゃんとした場所に包丁を入れたら、そがあに力を入れんでもきれいに割れる』

『ありゃあのう、片刃の包丁じゃ駄目なんよ。 両刃の包丁じゃないと。 片刃じゃあ、だんだん傾いて入っていくけん、途中で引っ掛かる』 『わしゃあ、それを知らんかったけえ、前は斧を当てて木槌でガンガン叩いて割りよったよ』

『ほうですか! いやあ、そがな話は知らんかったですよ。 面白いですねえ』 『まあ新鮮な鰤を食うてみい。 そりゃあ旨いでえ』
***
家族が待っていなければ、まだまだ話を伺いたかったのだがそうもいかない。 『ありがとうございました。 じゃあ、あっちに行ってみます』 『あっちへ行って、あそこの人らが生簀の鰤を見せてもらえいうて言いよったいうたら見せてくれるじゃろう』 『はい、ありがとうございます』

生簀の近くに行き、そこに居られた方にお話を伺うと、生簀の鰤は全部運搬車の水槽に移したとの事。 残念!
すると、その方は水槽の覗き窓を開けて下さり、なかの鰤を見ることができた。 おー、いっぱい泳いどる。

家族でしばらく見せていただき、お礼を言って再びクルマへ。
***
待ちかねた鯛の里での夕食。 忘年会の始まりである。 まずは『乾杯!』
高校生の次男は残念ながらまだお預けだが、二十歳になった長男は美味そうにビールを飲んでいる。
 
『鯛の里』といえば、もちろん新鮮な鯛の刺身。 新鮮でコリコリである。 カワハギ(はげ)の刺身は、肝を付けて食べるとなんともいえない濃厚で奥深い味わい。 『おー、このカワハギの肝はほんまに美味い。 最高じゃあ!』
 
一人一個の大きなサザエ。 とても大きな『オコゼ』の刺身。 刺身だけでも大満足である。
***
次に出てきたのは『ウチワエビ』 おー、待ってました! 松本さんは、いつも同じようなメニューで済みませんねえ、なんて言っておられたが、いつもと同じで嬉しいのである。 このウチワエビは、うちの家族にも大人気。
 
ちょうど良い塩加減の、茹でたての大きなウチワエビ。 真ん中から半分に割ると、プリップリの身が!
松本さんは笑いながら、『いやね、鯛の里って名前を変えようかと思ってるんですよ。 このウチワエビが大人気でねえ。 問い合わせの時に、そちらの宿ではウチワエビが食べられるんですよねえって、よく聞かれるんです。 そのうち、鯛の里じゃなく、海老の里になるかも』 ほんと、それくらい旨いのである。
殻入れのボールには、みるみるウチワエビの殻が積み上がっていく。
 
ころころサザエは、曲げる前の河豚釣り用針を使って身を取り出す。
***
アワビは、刺身とバター焼き、素焼きで。 刺身はコリコリ。 バター焼きは柔らかく濃厚で、ビールやご飯に合う。 素焼きはサッパリで焼酎にピッタリだ。
 
アワビの肝、最高! 〆は、牡蠣も入った海鮮炊き込みご飯。 『ごちそうさまでした!』 大満足!
 
***
食事が終わると松本さんも一緒になっての宴会が始まった。 おいしい芋焼酎『民宿、鯛の里』を飲みながら、様々なお話で盛り上がる。
夜が更けていくにつれ、まず両親が二階に上がり、しばらくしたらうちの家族も上がっていった。 そこからは、松本さんと二人で焼酎を酌み交わす。
 
松本さんが子供の頃の賑やかだった沖家室島の様子や、民宿を始める事になった経緯、宮本常一に関わる事になったきっかけ。
昔からの小学校の卒業写真を集めたアルバムを見ながら、沖家室島の歩んだ歴史や子供達の数の変遷などを教えていただく。

沖家室島の漁港によく来ていたという『豊島の家船』の話。 お互い気が強かった沖家室島の子供達と、豊島の家船の子供達との、子供らしい意地や見栄の張り合いの話は特に面白い。 『豊島の漁師も遠くまで行きよったけど、沖家室の漁師は、あのちいさな船でハワイまで行きよりましたからね』 『確かにそうですよね。 昔の人たちのパイオニア精神はスゴいですよね』

宮本常一の話。 『それにしても、私の周りでも宮本常一を知らない人は多いですよ』 『宮本常一はどちらかというとマイナーだからね。 宮本常一ファンは、結構アウトロー的な人が多いかも』 『なるほど。 それってよくわかりますねえ』

郷土大学の話。 以前訪問されたという見島の話。 以前調査されたという貴重な資料、『老人から学ぶ島の漁法と魚の生態』について。 現代の漁業が抱える様々な課題についてなどなど、話は尽きない。

夜もだいぶ更け、酔いも回り、眠くなってきた。 そろそろダウン寸前。 『じゃあ、そろそろ寝ます。 ごちそうさまでした!』 おいしい料理とおいしいお酒、そして楽しくかつ興味深いお話を堪能し、大満足で床についた。
***
翌朝は、茶粥に味噌汁、おいしい漬け物。 そして、昨夜は食べきれないということで朝食に回してもらったアラ炊き。 甘辛い絶妙の味付けが最高だ。
 
食後は、コーヒーを飲みながら『老人から学ぶ島の漁法と魚の生態』を読ませていただいた。 いやあ、これは本当に興味深く貴重な資料である。
***
『どうもお世話になりました。 ごちそうさまでした』 『また、遊びに来てください』
久し振りに訪れた『鯛の里』 両親も家族も大満足。 今年もまたまた最高の忘年会であった! 松本さん、ほんとうにありがとうございました、

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瀬戸内シーカヤック日記: あなごめし『うえの』&宮島散策

2009年12月20日 | Weblog
2009年12月20日(日) 天気予報通り、今日も朝から冷たい風が吹き続けている。
アテンザワゴンに乗り込み、目指すは『あなごめしの”うえの”』 ここは大人気のお店なので休日は人が多く、開店間もなく満席になる事も少なくない。
でもこの寒い日なら、宮島観光に行こうと言う人は少ないはず。 人が多い場所が苦手な私は、人気のお店やスポットに行くとき、天気が悪い日を選ぶ事が少なくない。 というか、天気が悪い日は残念ながらキャンプツーリングに出られないので、自然にそうなってしまうというだけの事かもしれないが。
***
宮島口に到着し、お店に入ると開店直後だというのに席はほぼうまっている。 やっぱ人気なのだなあ。
 
今日は、『穴子の白焼き』を一皿と、『あなごめし』の普通を二つ。
最初に運ばれてきたのが穴子の白焼き。 岩塩とわさびでどうぞ、ということであったので一口。
『おお、これは美味い!』 淡白だが奥深く、なんともいえない穴子の味わい。 岩塩とわさびであっさりと食べるのが最高!
これはお酒が欲しくなるなあ。 妻も気に入ったようだ。 
 
白焼きを食べ終わる頃には、あなご飯が運ばれてきた。 ボリュームたっぷりの穴子飯。 こちらはタレが香ばしく、白焼きとは違った味わいがある。
『ごちそうさまでした』 あー、お腹一杯である。 満足、満足。

店を出る時、普段の週末なら順番待ちのお客さんの列ができているのだが、今日はまったく列がない。 やっぱり、こんな寒い日に宮島観光に来る人は少ないのだ。 読みはバッチリ。
***
フェリーで宮島に渡る。 海は強風で白波が。 風も冷たく肌を刺す。 さすがにこの天気では、シーカヤックで海に出る気にも、浜でキャンプをする気にもならない。
 
厳島神社に参拝し、来年のプロジェクトの成功を祈願。
 
帰りには、いつも立ち寄る『岩村』の焼きたて粒あんもみじを食べ、息子達へのお土産として『うえのの穴子飯弁当』と『山田屋のもみじ饅頭』を買って家路についた。

是非とも次回は電車で来て、『うえの』の穴子の白焼きで、日本酒をキュッと一杯飲りたいなあ。

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瀬戸内シーカヤック日記: 大掃除&おでんの『あわもり』

2009年12月20日 | Weblog
2009年12月19日(土) 天気の悪い年末の休日は、毎年大掃除の日。 朝、まずはバリカンで自分の頭を刈る。 坊主頭は楽なようだが、実は短い分だけ少しでも伸びると気持ち悪く、ほぼ一週間から長くても十日毎に自分で散髪する必要がある。
坊主頭は結構めんどうなのだ。

自分の頭の散髪を終えると、午前中は、私の担当である風呂場とトイレの大掃除。 昼からは、年賀状を印刷して宛名を書き、投函。 これで、年末の準備はほぼ完了!
***
夕方、『ちょっと「あわもり」に行って来るけえ。 ちょっと飲んだらすぐ戻るわ』

*以下、写真は全て、以前撮影したもの。

ここ、おでんの『あわもり』は、私が唯一通う飲み屋さん。
初めて行ったのは何年前になるだろうか。 最初の頃は、カウンターの一番端っこに座らせてもらい、静かにビールを飲み、おいしいおでんを食べていた。

月に何度か通ううちに、店のおばちゃん、おじちゃんとも話すようになり、常連さん達にも顔を覚えていただいて、カウンターで自分が座る位置も決まってきた。

この、カウンターで座る場所というのが面白いもので、お客さんが一杯で、いつもと違う場所に座るとなんだか落ち着かない。
座る場所が違うと景色が変わり、おでんの釜やおばちゃんとの位置関係も変わるので、なんだかしっくりとこないのである。

自分だけかと思い、他の常連さん達に聞いても、やはり同じだという。 実際、違う場所に座っていても、いつもの席のお客さんが先に帰ったら、席を移動する人も少なくない。
***
ガラリと引き戸を開けて店に入るとお客さんが満杯である。 盛況だ。 寒い日の夕方、おでんで一杯という人が多いのだろう。
残念ながらいつもの席は空いていないが、私が好きなおでんの釜の傍の角の席が空いている。 ここはおでんの受け渡しが難しいのだが、幸い隣とそのまた隣は常連さん。 気を使う事もない。

いつもの『キリンビール、大瓶』を頼み、今日は厚揚げから。 『厚揚げ、浅めのをください』
ビールを飲み、厚揚げを食べ、テレビでやっているボウリングの番組を見ながら、『昔はボウリング、流行りましたよねえ』 『ほうよ、呉にも何軒ボウリング場があったじゃろうか』

『昔は広だけで3軒あったで』 『私が子供の頃には阿賀にもありましたよ。 子供会でもボウリング大会とかありましたもん』 『おー、ほうじゃったのう』
『テレビでもようやりよって、いっつも見よったわ』 『中山律子さんいうてよう聞きましたよねえ』 『そうそう、”りつこさん~、りつこさん~、な か や ま りつこさん~”、いうんがあったよのう』 『他には須田開代子いうのも居ったのお』 『わしらもようボウリング場へは行きよったわい』

『あいがも、入れてもらえますか! それとネギと』 『あ、日本酒ください』 『スジください。 肉っぽいところ』
その後も、お酒を飲みながら、3人でたわいもない楽しいバカ話で盛り上がる。
隣の方が、『ここに来とる人はそれぞれ仕事も違う。 ここでおでんを食べて、酒を飲んで、バカ話をして。 これが一番楽しいのう』 『ほんまですね!』

その後、その常連さんと店のおばちゃんに、『今年は大崎上島の人らと知り合いになって、櫂伝馬を始めたんですよ。 来年は、一泊二日で旅をしよう思うちょって、今年は大崎上島一周も漕いでみたんです』と話す。
すると、おばちゃんの地元にも櫂伝馬があって二艘で競漕していたこと、最近は漕ぎ手が減って競漕が難しくなっている事などを伺った。 『それにしても、そりゃあええ企画じゃねえ。 楽しそうじゃ。 頑張って!』
***

勘定を済ませ、店の前でバスを待っていると、同じ方向に帰られる常連さんが店から出て来られた。
『帰られるんですか』 『ほうよ』 『それにしても、遠い所からよう来ちゃってですねえ』 その方は、バスを乗り継いで約1時間ほどかかる所からこの店に通って来られるのである。

バスに乗り込むと、私の隣に座られた。
『あわもりは、前から通いよってんですか?』 『ほうやね。 わしゃあ昔は「東洋パルプ」いう会社に勤めよったんよ。 今は王子製紙になっとるが、わしは会社に入った時も、定年退職した時も東洋パルプじゃった』
『東洋パルプ、ありましたねえ。 なるほど、それで仕事の帰りにあわもりに寄りよっちゃったんですか』

『東洋パルプ、昔はどがなかったんですか?』 『退職する頃はようなかったが、入った頃はえかったよ。 昔は、東洋パルプの人の所なら嫁に行かしても大丈夫いうて、人気じゃったんよ』
『やめときゃええのに、競争じゃいうて本船を2隻もつくって。 呉丸じゃ、広丸じゃいうて名前を付けよった。 進水式や初荷の時にはスゴい盛大な行事をやりよったよ』
『東洋パルプは財閥がお金を出して作った会社。 その頃は、あまり苦労を知らん会社じゃったのう』 『昔は、東洋パルプの偉いさんも、あわもりに行きよったね』

『パルプはどこから運びよったんですか? インドネシアとか?』 『その頃はの、アメリカやソ連からよ』
『中国木材いう会社があろう。 当時は、ソ連から木のまま運んで来て、中国木材でええ所を木材にして、残った所をチップにしよった』 『そうなんですか。 そりゃあ知りませんでした』
***
興味深いお話を伺っているうちに、私が降りる停留所が近付いてきた。 『お先に失礼します。 またあわもりで!』 『じゃあの』

おでんの『あわもり』 ビールを飲んで、おでんを食べて、お酒や泡盛を飲んで、常連さんやおばちゃんと楽しい会話を楽しんで、千円ちょっとで楽しめる。 最高である。

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瀬戸内シーカヤック日記: 蕎麦の達磨&農家の宿_静

2009年12月13日 | 旅するシーカヤック
2009年12月12日(土) この週末は、妻と一泊二日のドライブ旅行。 今回の目的地は北広島町。
いつもは瀬戸内の島々や温泉地を訪ねる旅が多いのだが、たまには中国山地方面に泊りで行きたいねえ、ということでセッティングしたのが、『蕎麦の達磨』&『農家の宿_静』
***
最初に向かったのは、『蕎麦の達磨』
噂に聞いた事はあったのだが、これまで足が向くことはなかった。 今回、宿泊する宿が北広島町だということで、立ち寄る場所を探していた時に見つけたのである。 『おお、せっかくだから、ここに寄って蕎麦を食べてみようや』

連休などは、朝から大勢の人が並ぶと言う蕎麦の名店らしい。 朝一番、開店を狙って行ってみよう!
 
狭い山道を抜けると、忽然と現れるきれいな建物。 ここが、蕎麦の達磨である。
朝10時20分に到着したが、まだ準備中。 しばしクルマの中で待っていると、玄関の所に人が出て来られ、準備中の札を裏返すとこちらを見て会釈された。 『あ、もう入っていいらしいよ』
***
一番乗りで店に入ると、きれいで整然とした店内。 とても良い雰囲気。 まだ他には誰も居ないが、初めてのお店なので、カウンターの端っこに座らせていただく。 ここではメニューは一種類だけなので、枚数だけを指定して注文する事になる。 『じゃあ、私は2枚、こっちは1枚でお願いします』
 
しばらく待つと、白くて細い、いかにも江戸っ子が好みそうな上品な蕎麦が運ばれてきた。 『いただきます』
蕎麦の香り。 ほどよい歯応えとのどごし。 おいしいなあ。 『ごちそうさまでした』

食べている間にも、どんどんお客さんが増えていく。 聞こえてくる会話から、遠く神戸や岡山からも来られている様子。 
月に数日しか営業していないのだが、やっぱり人気のお店のようだ。 でも名人の店と言いながら、まったく気取った雰囲気はなく、接客もとても親切で気持ち良い。 おいしい蕎麦を気持ち良く堪能できた。
***
雨の中、再び山道を走り、島根の『香木の森』へ。 少し歩いてみると、地元の野菜を売っているお店がある。
何か珍しいものはないかと立ち寄ってみると、奥では店番をしているおばちゃん二人が、ストーブにあたりながらお昼ご飯を食べておられた。

こちらに気付き、『こっちに来て、お茶でも飲んでいきんさい』と声をかけていただいた。 私は、声をかけていただいたら基本的に遠慮しない事にしているので、『はい、ではごちそうになります』と、素直に座り、あたたかいお茶をいただく。
そうしていると、『ここにおむすびがあるから、これも食べんさい。 ここに来て遠慮しよったらいけんよ』 『ありがとうございます。 じゃあ、いただきます』と、妻と一緒においしいおむすびをいただいた。
『これ、おいしいですねえ!』 『そうじゃろ。 地元で採れたお米じゃけえねえ。 それに、胡麻のふりかけを混ぜとる』 『うん、ほんまに美味い』 『遠慮せんと、しっかり食べんさいよ。 そしたらお昼ご飯も浮くがね』 『はい』 本当にありがたいことである。

『あんたら、どっから来られた?』 『はい、広島の呉です』 『ほうね! 遠いとこから来たんじゃねえ。 私も一回だけ呉に行ったことがある』
『ここらは昔は、どがなかったんですか?』 『この辺りはねえ、昔はなーんにもなかったよ。 ほんま、山の中で猪がえっと出よった。 この人の家なんか、猪がよう挨拶に来よったよねえ』と笑う。 『ほんまよね。 昔はこの辺はなにもなかった』
『今でこそ高速道路ができたけえ、買い物は広島にでよるけど、昔は広島に行く事なんかほとんどなかったね』 『えー、買い物は松江や出雲じゃないんですか?』 『松江に行くいうたら時間がかかる。 広島の方が近いよ』

『昔はどうしよったんですか?』 『昔は行商の人らが物を売りに来よったよ』 『広島からですか?』 『いいや、浜田から』 『なるほど。 やっぱり昔は不便じゃったんですね』

その後、そのお店で、おむすびにまぶしてあったおいしい胡麻ふりかけとお餅を買い、『ごちそうさまでした。 おむすびも、漬け物もおいしかったです』
『ここは、月末で閉める。 そしたら3月まで休み。 自分の田舎じゃ思うて、また遊びに来んさい』 『はい、ぜひまた来ます!』 思い掛けずも、お腹も心も満腹になり、幸せな気持ちで再び出発。
***
今日の宿は、『農家の宿_静』

静かな山間にある古民家の宿。 きれいに改装された部屋に通され、お茶を出していただいて、お話好きな宿のご主人、静ちゃんとしばし歓談。
今年で開業6年目になるとの事。 開業するまでの驚きの経緯。 開業してからの様々なエピソード。 他のお客さんが来られるまでまだ時間があるという事で、なんだかとても波長が合う静ちゃんと、初対面とは思えないくらい打ち解け、時間を忘れて話し込む。
 
部屋で本を読んでいると、他のお客さんも全員揃われたとのことで、夕食の時間。 今夜の宿泊者4人で囲炉裏を囲み、挨拶や自己紹介をして、一緒に晩ご飯をいただく。 新鮮な刺身と、自家製野菜を使った料理。 酒を飲みながら会話もはずみ、おいしい晩ご飯。

静ちゃん特製の漬け物もパリパリとした歯応えが良く、囲炉裏にかけられた鍋も最高である。

午後9時過ぎ。 部屋に戻り、こたつに入って、ここに来る途中の店で購入した季節限定の『どぶろく』を飲みながら、森本孝さんに教えていただき最近購入した『鶴見良行著作集11、フィールドノート』を読む。
***
翌朝、ボリュームたっぷりでおいしい朝ご飯をいただき、早立ちされる他のお二人を見送ると、妻と二人で朝靄の山道をしばし散策。
 
部屋に戻ると静ちゃんから、『急がないんなら、ゆっくりしていきんさい。 こっちでコーヒーでもどう』と声をかけていただき、『はい、すぐ行きます』と囲炉裏の部屋へ。
妻と二人、おいしいコーヒーをいただきながら、これまで静ちゃんが経験してきた様々な仕事についての話、農業についてこれまで知らなかった話、奥さんとの馴れ初め、中山間地が抱えている問題、民宿経営の難しさなどなど、多くの経験に裏打ちされた、興味深くそして奥が深く面白い話を聞かせていただき、楽しい語らいの時間を過ごす。
気が付けば、アッと言う間に1時間半ほどの時が経っていた。 いやあ、ここに居ると、いつまでも話は尽きない。
 
帰りには、沢山できたから持って帰ってと、その場で掘ったニンジンをお土産にいただき、手を振って見送っていただいた。
***
おいしくたっぷりの夕食と朝食が付いて、しかも近くの温泉入浴券と温泉への送迎付きで、なんと一泊6000円という驚きのプライス!
そしてなにより、すばらしいキャラクターとお人柄の静ちゃんが迎えてくださる、『農家の宿_静』
これでまた、お気に入りの宿が一つ増えた。 古民家民宿に興味がある方、静かな宿でのんびり過ごしたい方、リーズナブルな料金で旅をしたい方、山菜採りを楽しみたい方、夏に宿の目の前の清流で遊びたい方、蛍狩りを楽しみたい方、そして『あるくみるきく』系の旅を楽しみたい方などなど、ぜひ一度泊まってみては如何?

実際に訪れ、じっくりと語り合ってみると、HPのイメージとは全く異なる静ちゃんに驚き、そして魅了されると思います。
今回も、近場ではあるが、一泊二日のとても充実した濃い旅を堪能できたなあ!

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瀬戸内シーカヤック日記: とびしま海道_斎島&豊島散策

2009年12月08日 | 旅するロードスター/アテンザ
2009年12月8日(火) 今日は先月分の休日出勤の代休。 週の半ばの一日だけの休みであり、キャンプツーリング派の私は海に出る気にはならないが、せっかくの晴天の一日。 たっぷりと楽しむ事にしよう!

***
今回の元々の目的は、数年前の『家船調査のフィールドワーク』で豊島を訪問した時に知り合った、『豊島合同回漕店』&『よりんさい屋』の北谷さんに久し振りにお会いするとともに、豊島名物である『ひじき』と『太刀魚一夜干し』を仕入れてくる事であった。

ところが、朝起きて晴れた空を眺めている時に、『斎島!』というキーワードが浮かんで来た。
おー、斎島。 シーカヤックで一度訪ねた事はあるが、ちょっと休憩しただけで、目的地である岡村島に向けて出発した。
この島には豊島から定期船も出ているし、小さな島だから船の時間次第では日帰り訪問できるかも!

すぐさまPCを起動し、定期船の時刻をチェック。 すると、お昼前後に約1時間半ほど滞在可能なタイムスケジュール。 これは、行くしかないでしょう!
***
北谷さんには、斎島から戻る午後1時過ぎに訪問する事を連絡し、豊島の豊浜港へ向かう。
同栄丸に乗り込み、斎島へ。
 
船を降り、対岸を眺めると豊島&大崎下島。 いつもと違う景色は新鮮である。
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『マナイタ浜』に向けて島の狭い道を歩いていく。 家は多いが、どうやらそのほとんどが空き家のようだ。
 
竹林の間を抜ける狭い山道を登り、峠を越えると目の前は四国の海。
 
どこまで続くのかと思うような長い下りが途切れると、唐突に目の前に海と浜が広がる。 ここが、マナイタ浜。
静かできれいな浜である。 キャンプにはピッタリだ!

浜辺に座り、テルモスに詰めてきた温かい紅茶を飲み、豊島の小さな商店で購入したコロッケを頬張る。 うーん、美味い!
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だれも居ない浜で、しばし一人だけの静かな時間を堪能し、再び急な山道を登って島の北側へと戻る。
 
漁港の隅っこに人影が見えた。 ちょっと行ってみるとしようか。
***
『こんにちは。 これはヒジキですか?』 『おー、こんにちは。 そうよ、ヒジキを干しとる』

『いつもは漁をしとられるんですか?』 『そうよ。 わしゃあ漁師。 あそこに舫ってある3隻の船はわしんよ。 何年か前までは、5隻持っとったが、売ってしもうた。 今は3隻』

『昔は、鯛や太刀魚、メバルなんかがえっと釣れよった。 最近は魚が減ったのう。 アビ漁? ありゃあ20年位前までやりよったよ』
そうこう話をしていると、手押し車を押しながら一人のおばあちゃんが歩いてきた。 『こんにちは』 『ああ、こんにちは。 何の話をしょうったんね?』 『ええ、島の昔の話を伺いよったんですよ』

『ほうね。 昔の話ね。 私が嫁に来た頃は、この島に200人くらい住んどった』 『じゃあ、外から嫁に来られたんですか』
『わたしゃあ、ここに産まれたんじゃないよ。 蒲刈から嫁に来た』 『ほうですか。 そのころはどうじゃったですか?』

『あの頃はねえ、人は多かったし、あちらこちらに畑を作って、麦や芋なんかをみんながつくりよったね。 でも百姓は、日中は畑で働いて、終わったら家に戻って、そんな家と畑の往復だけじゃけん、他の人に会ういうことはほとんどなかったねえ』
『ここは、漁師だけじゃなかったんですか』 『ほうよ。 百姓も、漁師も両方おったよ。 昔は除虫菊もようけつくりよって、風が吹いたら岡村島まで匂いが行きよったいうし、藍島あたりを通る船からも匂ってきたいうて言いよったわい』

『こんな小さな島じゃけど、集落ごとにいろいろあって、喧嘩が多かったねえ。 わたしゃあ、蒲刈から来た時に、こかあ喧嘩の島か、いうて思いよったくらい、なんかで集まって飲みよっちゃあ喧嘩ばっかりじゃったねえ』

『この島には会社がないじゃろう。 じゃけえ、ほとんどの人は飯を食うために外に働きに出て行く。 残っとったのは、この人や私らくらいよ』 『家はほとんど空き家じゃけど、盆や正月には帰ってくるけえ、人には貸せんのんがほとんど。 それでも今じゃあ、4人くらいの人がこの島に移ってきたけどの』

『これはヒジキ。 でもそんなにお金にはなりゃあせん。 今年は少ないけえ、頼まれた注文を断りよるくらい』
***
その後も、『どこから来た? 呉? わたしゃあ呉の武田製網で働きよったんよ』 『呉のあそこ、今はどうなっとるじゃろうか? ほうね、もう当分いっとらんけえね』 『昔はちんちん電車が走りよったよね。 あそこの十何丁目のところにあった○○は懐かしいね』などなど、ローカルな話題で盛り上がった。

『お、そろそろ船着き場に行ったほうがええよ。 乗り遅れたら夕方までないで』 『はい、ほんまにいろいろ聞かせてもろうてありがとうございました』 『またきんさいよ』 『ええ、また絶対来ますよ!』

朝の思いつきで突然訪ねた斎島。 偶然出会った漁師さんとおばあちゃんから、これまで知らなかった斎島の昔の生活を伺うことができ、思いがけなくも『あるくみるきく_斎島散策』となった。
***
豊島に戻り、『よりんさい屋』で北谷さんと1時間弱の楽しい一時。
夏に4回実施したシーカヤック教室の報告をして、来年の『旅する櫂伝馬プロジェクト』の応援をお願いし、とびしま海道を盛り上げる会についてのお話を伺った。 帰りには、妻から頼まれたヒジキと、私が好きな太刀魚の一夜干しを購入

その後少し遅いお昼ご飯にと立ち寄った、おいしいお好み焼きのマリちゃんは、残念ながら閉店準備中で、『あんたあ、なにしよるん。 もっと早うこんと!』 『えー、今日は終わりですか! 残念、また来まーす』と、ちょっとした落ちがついたものの、予想以上に充実した、平日の代休の一日。
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『あるくみるきく_斎島散策の旅』 こりゃあ、なかなかええ休みじゃったのお!

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瀬戸内シーカヤック日記: あるくみるきく_2009年の足跡

2009年12月07日 | 旅するシーカヤック
先週末は、とある事情があって久し振りに家で過ごす週末となり、年賀状のデザインを行ったり、『旅する櫂伝馬プロジェクト』での渉外活動準備としてプライベートの名刺を久し振りに作り直したりしていた。

毎年の事ではあるが、年賀状のデザインをする時には、この一年の写真をすべて振り返り、想い出深い写真をピックアップすることになる。 そのついでと言っては何なのだが、この一年、シーカヤックや櫂伝馬で海を漕いだ日数と、海旅&ロードスター/アテンザワゴンでの旅で外泊した日数も、ブログを遡って数えてみた。

基本的にここ5年くらいは、毎年40-50日程度を海旅に費やしてきたのだが、私自身にとっては、海に出た日数よりも、『あるくみるきく_旅するシーカヤック』が充実していたか否かが重要だ。
では今年は?

酒を飲みながらのカウントであり、多少の誤差はあるかもしれないが、今日時点で海に出た日数はシーカヤックと櫂伝馬を合わせて53日程度、その他の旅を含めて週末に外泊したのは38夜。 一年52週であるが、その週末で38泊ほど(正確には何度かの連泊があるので38週末ではないが)を、テント泊、宿泊、車中泊など家以外で泊まっていたとは自分でも驚きである。
***
でもこうやって振り返ってみると、今年も手漕ぎの小さなフネで瀬戸内を中心とした島々を訪問し、様々な出合いに恵まれ、『あるくみるきく_旅するシーカヤック』を堪能することができたようだ。

おかげさまで、またまた悔いのない最高の一年を過ごすことができました。 みなさん、ほんとうにありがとうございました。 感謝!

せっかくなので、今年特に想い出深い旅をリストにしておこうと思う。

*** あるくみるきく_旅するシーカヤック、2009年の足跡 ***

★★★瀬戸内シーカヤック日記: 四国遠征(2)_田井ノ浜で『あるくみるきく』
→ ああ、今年最高の『あるくみるきく』の一つ。 文化的で、懐が深く、遊び心を忘れず、そして旅人にやさしいおじいちゃんに、興味深い話をたっぷりと聞かせていただいた。 まさに至福の一時。 これがあるから、旅はやめられない。

瀬戸内シーカヤック日記: あるくみるきく_似島再訪自転車旅(2)
→ 地元で、しかも広島港からすぐ目の前の島。 そこに、こんな人情が厚く、漁師町の文化を色濃く残した集落が残っていたとは! 今年の冬も、ぜひ訪れたい島である。

瀬戸内シーカヤック日記: 大崎上島_櫂伝馬プロジェクト、始動
→ 旅するシーカヤックを続けてきて、それを発信していたブログが縁で、『旅する櫂伝馬プロジェクト』の立ち上げに参画することができた。 本当にありがたい事である。 旅するシーカヤックに続き、あらたなライフワークになりそうな予感!

★★★瀬戸内シーカヤック日記: あるくみるきく_高千穂峡、鉄輪温泉巡り、2泊3日ドライブ(1)
→ 妻の長年の念願であった高千穂峡を訪れる旅。 その途中、偶然立ち寄った通潤橋で、地元のおばちゃんから貴重なお話を聞かせていただくことができた。 久方ぶりの、偶然を装った必然の出合い。

瀬戸内シーカヤック日記: 高千穂峡、鉄輪温泉巡り(2)_生涯不良!
→ 高千穂で宿泊した宿のご主人と意気投合し、偶然知った『生涯不良』 座右の銘となるも、未だ『無頼』には成りきれない自分が情けないが、『焼酎_生涯不良』は最高に美味かった。

★★★瀬戸内シーカヤック日記: あるくみるきく_里ラムネ
→ ここ数年、毎年お世話になっている地元倉橋島の『里ラムネ』 今年は偶然、故障した機械の修理をする場に居合わせた。 古い機械を大切に修理しながら使っているご主人。 それを支える地元の職人さん。 地元の人々に愛され続けている、何物にも代え難い、この素晴らしい味と文化を末永く継承したいものである。

★★★瀬戸内シーカヤック日記: 夏のシーカヤック教室、4回目
→ 今年で2年目となった、島の子供達とのシーカヤック教室。 今年は計4回実施したのだが、終わってみると、子供達を教えているというより、私が子供達から様々なことを教わり、そして与えていただいたということを実感している。 教えるという事は、自分が学ぶ事。

***

瀬戸内シーカヤック日記: 宮本常一写真講座
→ 私が大ファンである、元観文研の森本先生とお話しする機会を与えていただいた、想い出深いイベント。

瀬戸内シーカヤック日記: あるくみるきく_お米について考える@下関(1)
→ 日本海は、ほんとうに興味深いフィールドワークのエリアである。 この小さな美しい漁港で、こんな興味深い話が伺えるとは! まだまだ訪ねてみたい港がたくさん残っている。

瀬戸内シーカヤック日記: あるくみるきく_なぜか日帰り、情島ツーリング
→ いつも通う地元の浜での思いがけない出合い。 お話を伺ってみると、思いも掛けない波瀾万丈の一代記。 それに比べて、サラリーマン一筋の私の人生は。。。 ジイさんになった時に、海からシーカヤックで訪れる若者に、私が語れる一代記はあるのだろうか?

***

★★★瀬戸内シーカヤック日記: たべるのむこぐ_バースデイキャンプツーリング(1)
→ 気の置けない楽しい仲間との、最高に盛り上がったキャンプツーリング。 『北吉鮮魚店、最高!!!』 それにしても、バースデイ島豆腐は流行るのか?

★★★瀬戸内シーカヤック日記: 『旅する櫂伝馬プロジェクト』 大崎上島一周、航海トライアル
→ 2009年最高の想い出。 大崎上島の人たちも未経験だったという、櫂伝馬での大崎上島一周。 長く、苦しい航海では有ったが、来年のプロジェクト実現に向け、大きな一歩となった。

***

さて、2010年はどんな出合いが待っているのだろうか!

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