あるくみるきく_瀬戸内シーカヤック日記

瀬戸内を中心とした、『旅するシーカヤック』の記録

『芸予ブルー』_テーマカラー of 印象派_”瀬戸内シーカヤック日記”

瀬戸内シーカヤック日記: 大崎上島、十七夜祭

2010年07月24日 | 旅するシーカヤック
2010年7月24日(土) 海開きとなり、海水浴の季節に入ると、私のシーカヤックシーズンは基本的にOFFとなる。
今日は、大崎上島の十七夜祭。 限られた時間ではあるが、せっかくの機会なので、妻と一緒に応援に行く事にした。
 
大崎上島での櫂伝馬競漕。 一度、妻に見せてやりたかったのである。
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2年前から何度この島に通った事だろう。 だいぶ顔見知りも多くなった。
 
木江の櫂伝馬と言えば、切っても切れない縁のある厳島神社に参拝し、競漕前の櫂伝馬を見学。 あの、宮島までの旅を行った『いつくしま』も舫われている。 うん、今日は櫂伝馬が競漕を前にワクワクし、喜んでいるのが感じられるなあ。
***
『旅する櫂伝馬』では、大崎上島の各地区が協力してのプロジェクトであったが、今日はそれぞれが敵同士。 良きライバルである。
 
今回は、4つの地区のうち、3つの地区は旅する櫂伝馬で知り合った人が船頭である。 うん、やっぱり旅する櫂伝馬は精鋭の集まりだったのだなあ!
***
最初のレースは、湾内の短距離競漕。
 
この競漕は、啓志君が船頭を勤める天満地区が一位でゴールした!!!

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第一レースの後は、神輿が載った御座船の出番。
 
これが単なるレースではなく、神事である事が良く分かる。
***
次の競漕まではしばらく時間があるので、しばし昔の町並みを散策する。
 
昔の風情を色濃く残す大崎上島、木江地区の商店街。 ええなあ!

ある家の車庫に、昔懐かしい『コスモ』のポスターを発見。 『ラグジュアリースポーツ、コスモAP』 涙ものの懐かしポスターである。
***
お昼ご飯を終え、港に戻ると、餅撒きの時間。 老いも若きも一緒になって、餅撒きを楽しむ。

餅撒きを終えると、第二レースの始まりだ。 今回は、港を出て約10分の長距離レース。
 
抜きつ抜かれつ、大熱戦の櫂伝馬競漕を堪能。 このレースも、最後の追い込みで天満地区が追い抜き、まさかの逆転勝利! すばらしい。
***
残念だが、今日は私たちはここまでで、大崎上島を後にする事に。

地元のバスに乗り、フェリー乗り場へと向かう。 バスの車窓からの、瀬戸内らしい景色は素晴らしい。
 
乗客は、私たち二人だけ。 走りながら写真を撮っていると、運転手さんが、『停めましょうか?』と親切なお言葉。

『あ、いいですよ。 大丈夫です。 それにしても、この景色は好いですねえ』 『わたしら、毎日みよるからなんということもないけどねえ』 『そりゃあそうですよね』

『今日は十七夜祭の櫂伝馬を見に来たんですよ。 先週も、大三島の鶴姫まつりの応援に行ったんで』 『へえ、じゃあいろいろ付いて回られてるんですか』
『いやあ。 今年大崎上島から宮島まで櫂伝馬で漕いだんですが、その計画を一緒に立てた縁で』 『え、そうなんですか。 あの宮島までの航海は、私の同級生もも参加してたんですよ』

『最初はねえ、宮島までなんて行けるわけないって言われてたんですけどね』 『そうそう、私もそう思ってましたよ。 いやあほんま、よう行きましたねえ』

さすがに島である。 やはり世間は狭いなあ。 思わぬ櫂伝馬談義に盛り上がりつつ、降りるバス停に到着した。
『ありがとうございました』
***
行きは高速船だが、帰りはフェリー。 快晴の瀬戸内の景色を堪能しつつ、船は竹原港へと向かう。
 
大崎上島、夏の十七夜祭。 いやあ、櫂伝馬競漕を堪能し、本当に楽しい一日であった。

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瀬戸内シーカヤック日記: 大三島キャンプツーリング&『旅する櫂伝馬』in鶴姫まつり(2)

2010年07月19日 | 旅するシーカヤック
2010年7月18日(日) テントの中で目を覚ます。 朝5時。 いつもの起床時間だ。
気温はそれほど高くなく、メッシュテントでは、薄いシュラフを上に掛けてちょうど良い感じ。 快適な目覚めである。
 
外は靄の瀬戸内海。 さあ、今日は鶴姫まつりの日だ!
***
東屋の下で朝食を摂り、テントを片付けて着替える。 今日は朝の高速艇で大崎上島に渡る予定。

大崎上島は、鶴姫まつりの櫂伝馬競漕には前から出場しているのだが、これまでの2つの地区に別れていた。 それが今年は『旅する櫂伝馬』で宮島まで行ったことを切っ掛けに、『旅する櫂伝馬チーム』として出場することになったのだそうだ。
さらに、これまでは船で大三島まで渡っていたのだが、今年は初めて櫂伝馬で渡ることになったのだ。 なんとも嬉しいじゃないか!

そして競漕そのものは真剣勝負なので、経験もなく年寄りの私には出番はないのだが、大崎上島から大三島までの航海では水夫の一人として漕がせてもらえるとのこと。 『旅する櫂伝馬』が大好きな私は、そんなオファーに、一も二もなく飛びついた。
 
一貫目の桟橋に着くと、メンバーが集まりはじめていた。 そして今回も、宮島編に続き、広島テレビさんが密着取材である。

『こんにちは。 またよろしくお願いします』 『それにしても、今日は暑いねえ。 こんな暑さじゃあ、宮島まで行かれんね』
『大三島の宮浦いうたらどっちの方向になりますか?』 『それはね、あっちの方よ。 距離にして8キロほど、櫂伝馬で1時間じゃね』
『いやあ、あそこじゃったら見えとりますもんねえ。 宮島に比べたら楽勝楽勝』
 
いやあ、嬉しい限り。 宮島までの一泊二日の旅を経験したことで、目の前にある大三島までの『海の道』がつながったようだ。

そう、経験を積めば積むほど、海に対する見方が変わってくるのだ。 私も、瀬戸内海をシーカヤックで兵庫県の家島から山口県の下関まで漕ぎ、その後、下関から日本海を北上して島根半島までつないだ経験は、私のカヤックスタイルに大きな影響を与えていると実感している。

『旅する櫂伝馬』で瀬戸内海の海の道を繋げていくこと。 これぞ、『瀬戸内海洋文化の復興、創造そして継承』である。
***
さあ、出発だ。 櫂伝馬一艘と、伴走船で出発。
『ヨイサ』 『ホイサ』 『ヨイサ』 『ホウリャ』 『トントントン』 『トントントン』
太鼓に合わせ、船頭と声を掛け合いながら、猛烈に蒸し暑い海を漕ぎ進む。 額からは汗が流れ、目にしみる。

それでもなんでも気持ち良い。 櫂伝馬を漕いで島に渡ると言うのは、なんとも楽しいものである。 動力船がなかった昔は、みんな手漕ぎだったんだからなあ。

漕いでいる途中、大横島を超えた辺りで、『トビウオ』の飛翔を見た。 一匹だけであったが、珍しく瀬戸内で見つけたトビウオ。
三浦や日本海では何度か見たことがあるが、瀬戸内では本当に珍しい。 これは良い事ありそうだ!
***
11時。 予定通りほぼ1時間で大三島の宮浦に到着。
 
櫂伝馬競漕は13時半からなので、まだまだたっぷり時間がある。
桟橋でメンバーと話していると、ブログを拝見している大崎上島の『やっさん』さんがシーカヤックを漕いで来られた。 『櫂伝馬競漕があるんで、来られているんじゃないかと思っていたんです』との事。 嬉しいなあ。

今朝、一貫目の桟橋で、昔シーカヤックのイベントでお会いした人と再会した事、その方から『やっさんさん』が、シーカヤックを手に入れた経緯を伺った事などをお話しした。 いやあ、世間は思ったより狭いものである。
***
 
お昼ご飯は、今治名物? 焼豚玉子飯をセレクト。 日陰に入り、しっかりと混ぜ込んで、おいしいご飯をぱくつく。
 
***
午後1時半。 櫂伝馬競漕が始まった。
 
トーナメント方式のレース。 啓志君に聞くと、大崎上島の得点方式のレースと違って、トーナメント方式は特別の緊張感があるとの事。 そのうえ、ここ大三島の櫂伝馬は、舟の大きさも櫂の大きさも、大崎上島の櫂伝馬とはかなり違っており、漕ぎ難そうだ。

そんななか、出番が近付くとみんな真剣な表情/戦闘モードに入り、気分は盛り上がる。 今日は、元気な若手を中心とした選抜メンバーでレースに参戦だ。
 
予選では、激しい接戦を制して1着でゴール。 本戦の初戦も、これまた熾烈な戦いであったが、鼻の差で一着ゴール。 手に汗握る展開だ。
 
準決勝。 強豪相手に、頑張ったが、残念ながら2着となり、ここで『旅する櫂伝馬チーム』の、今日のレースは終わった。
 
『みんな、ご苦労さん。 全力を出し切ったから仕方ない。 でも、これで良いわけじゃない。 来年こそは、今回の経験を活かして絶対勝とう』
皆の悔しそうな顔が印象的であった。 そう、櫂伝馬競漕は、出場する事に意味があるわけじゃないのだ。 勝つために練習を重ね、真剣勝負で勝つ事こそが目標なのである。

『スマートで、目先が利いて、几帳面、負けじ魂、これぞ船乗り』 まさにこの通りである。 この負けじ魂があれば、櫂伝馬は安泰であろう。

梅雨の明けた瀬戸内海。 土曜日は大三島でシーカヤックツーリング&無人島での海水浴を楽しみ、翌日は大崎上島から大三島まで、『旅する櫂伝馬』のメンバーと島を渡る航海を堪能した。
今年30漕ぎ目が櫂伝馬になったことは、なにより嬉しいことである。 ああ、瀬戸内にも夏がやってきた!

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瀬戸内シーカヤック日記: 大三島キャンプツーリング&『旅する櫂伝馬』in鶴姫まつり

2010年07月19日 | 旅するシーカヤック
2010年7月17日(土) 台海水浴場に到着。 この週末の目的地は大三島。 明日18日に大三島の宮浦港で『鶴姫まつり』が開催されるのだが、そこでは櫂伝馬競漕も行われる。 今回、大崎上島からは、『旅する櫂伝馬チーム』として参加するとの事で、明日はその応援なのだ。

今日はこの海水浴場&キャンプ場をベースに、大三島をのんびりまったりと堪能する予定。
***
7月からは、このキャンプ場がオープンするので水もトイレも利用でき、出艇にも便利な最高のベースキャンプ。
管理棟で手続きを済ませ、テントを張る。 今日から夏仕様のメッシュテント。

管理人さんに伺った話では、さすがにお盆の時期はキャンプ場の利用者も多いが、子供が減っているから海水浴を含め、年々利用者は少なくなっているとの事。

『橋が架かっても、特にお客さんが多くなった言う事はないねえ。 やっぱり子供が減りよるからね。 それより、こんなに整備される前は、松並木のある海水浴場で、ええ雰囲気じゃったそうな。 その頃は、島にも子供が多うて、海水浴場も賑やかじゃったいうよ』

それでも見ていると、駐車場の車は神戸や大阪など関西方面のナンバーが多い。 高速料金も安い今、雰囲気も水質も良く、関西方面から子供連れで海水浴&キャンプに来るにはちょうど良い場所なのだろう。
 
『いやあ、今日は暑い。 テントを張るだけで汗が噴き出してきましたよ』 『どうやら梅雨が明けたらしいよ』 『そうですか! 今日は、のんびり大横島まで漕いできます』 『じゃあ気をつけて』
***
先日の大雨が嘘のような、梅雨明け直後の穏やかな瀬戸内に漕ぎ出す。
 
こんな暑い時期は、チョロっと漕いで誰もいない静かな浜に行き、のんびり海水浴を楽しむのが一番だ。
 
静かなプライベートビーチ。 日陰に座り、きれいな海を眺めながら、途中で買い込んで来たお弁当を食べる。
おなじ『しまなみエリア』と言っても、大きな島の海水浴場と、少し離れた無人島では、その水質の差は歴然としている。 ちょっと沖に出るだけで、こんなに気持ち良い海があるのだ。

食後はもちろん海へ。 パドルフロートを枕代わりに、透き通った海に浮かび、空を眺めながらプカプカと漂う。 『おお、なんと気持ちええことよのう』 40代半ば過ぎのオヤジがすることか? なーんて気もするが、好きなものは仕方がない。 ほんと、頭の中が空っぽになるくらい気持ちヨイのだ。

俺はどちらかというと、漕ぐことが好きと言うよりは、こんな場所に自分の力で自由に行くことができる手段としてのシーカヤックが好きだ。 行きたい場所が15分の場所なら15分漕げば満足だし、目的の浜や島が2時間先にあれば、2時間漕ぐだけのこと。

ここは無人島の浜。 誰が見ているわけでもないし、独りの時間をたっぷりと楽しむこととしよう。 プカリ、ぷかぷか。 ふわり、フワフワ。
***
無人島の『なんちゃってプライベートビーチ』で、たっぷり1時間半のリゾート気分を満喫し、キャンプ場に漕ぎ戻る。
明日は櫂伝馬競漕の応援なので、シーカヤックの潮抜きをし、道具を片付けた。
 
シャワーを浴びて着替えると、歩いて近くの温泉、マーレグラッシアへ。 ここの潮風呂がまた気持ちよいのである。
サウナでたっぷりを汗を出し、水風呂で体を冷やして準備完了!
 
目指すは、もちろん『大漁』
 
開店と同時にお店に入り、まずは生ビール。 『いただきまーす。 ゴクリッ。 グビグビ、グビリ』 『あー、旨い。 最高』

タコブツはコリコリ。 海鮮丼はボリュームたっぷり。 ビールは冷え冷え。 魚卵はサクリ。 うーん、やっぱり良い店だ。
〆は大漁名物の一つ、麦味噌のお味噌汁。 『ごちそうさまでした』
***
午後6時過ぎの最終バスに間に合った。 歩いても2,30分なのだが、せっかくなのでお世話になる。
乗り込むと乗客は私一人。 海水浴場最寄りのバス停までは、90円である。

浜に戻ると、ちょうど日没前。 火照った体を海で冷やし、水道水を浴びてサッパリする。
 
東屋の下に陣取り、沈み行く太陽を眺めながらビールをプシュッ。 グビリ、グビグビ。 プハーッ、ウマい。
 
日没前後は、刻一刻と空の表情が変わっていく。 そんな空を眺めながら浜でビールを飲む一時。 キャンプツーリングの一日の中でも一番好きな時間である。
 
耳を澄ませると、遠くから太鼓の音が聞こえてきた。 あ、あれは天満で櫂伝馬を練習している太鼓の音だ!
十七夜祭に向けて、毎日行われている櫂伝馬の練習。 対岸の大三島にまで、その太鼓の音は聞こえているのだなあ。

櫂伝馬の太鼓の音を聴きながら、宮島への旅を想い出し、また明日の櫂伝馬競漕のことを思いつつ、ビールをゴクリ。 うん、今日は良い夜だ!

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瀬戸内シーカヤック日記: 生名島キャンプツーリング&ビアパーティー

2010年07月12日 | 旅するシーカヤック
この週末は、お気に入りの生名島でのキャンプツーリング&地元呉でのビアパーティ。
***
土曜日は生名島をベースにツーリングを堪能。 今年、28漕目である。
 
潮目で遊び。
 
藻場を漕ぎ。
 
海水浴を楽しんで、キャンプ場に戻ってきた。
***
買い出しはいつもの因島へ。
  
ターミナルにある、雰囲気の良い飲屋街。 南京錠での1ドア3ロック。

小早名人のポスター。
***
雨となった日曜、定番のお散歩ツーリングは取りやめ、生名島を後にする。 今日は夕方から、お花の先生とのビアパーティー。

先生には、小学校高学年から中学生時代に次男がご指導いただき、中学1年の時には年に二度も優秀華(100点)&その年の年間優秀賞に選ばれ、とてもお世話になった方である。 そして今も妻が引き続きお世話になっているのに加え、私が載った『Tarzan』や、先日の『旅する櫂伝馬の中国新聞の記事』なども見ていただいており、先日街で偶然お会いした時に、先生から妻と一緒に飲み会のお誘いをいただいたのである。
***
『先生、こんにちは。 ご無沙汰しております。 今日はとても楽しみにしてきました!』

以前、次男の研究会に同行したとき、先生から伺ったお話が、とても興味深いものであった。

<もちろん基本はあるが、花は一つ一つ曲がり方も、葉の生え方も違う、 その花の特徴を活かすように生けるのが大切であり、また難しいとのこと。
師範といえども、昔の知識や経験だけにこだわるのでは進歩は無い。 常に、好奇心を持ち、チャレンジ精神を持って自分を高めて行く事が大切である。>

まずはおいしい呉ビールで乾杯。 料理を食べ、ビールを飲みながら、先生のお話を伺う。
***
日本には3つの大きな流派があるけれど、各地域に小さな独自の流派があり、すべて合わせると300~500は流派があるのではないかとの事。 驚きである。

『先生/師範になってからがスタート。 一生勉強よ。 本も読むし、勉強会があればどんな遠くにでも出掛ける』 『これだけ勉強しても、自分より凄い人がまだまだ居る。 自分が偉いと思ったらそれで終り。 進歩しないよ』

『昔の指導と違って、今の生徒さん達は、なぜそうするのかという理由/理屈を説明する必要がある。 だから先生はきちんと基本を理解して、それを伝えるための知識が必要。 100ほど勉強して、ようやく1を教える事ができる』

『人を育てるには、外に出して経験を積ませる事が大事。 どんどん研究会に出して、偉い先生の評価を聞く。 そうすると、普段私が指導している事の意味が分かる』 『おたくの知君は、研究会に出て1年で2回も100点を取ったけど、あれはすごい事。 今でも支部の語り種よ。 学校のテストじゃないんだから、100点なんて滅多に出ない。 一生100点がとれない人も大勢居る。 准教授までで中断したけど、受験が終わって時間がとれるようになったら、またぜひ教えたいものね』

『やっぱり基本が大事。 基本を分かった上であえて違う生け方をするのは『自由華』。 基本を知らないで生けるのは『我流』って言うの』 『そうは言っても、やっぱり時代とともに花も変わる。 基本という幹はしっかりと守りながら、時代に合わせて変えていく/進化させていくことも大切』

『お金をもらって指導しているのなら、金額に関わらず、先生には責任がある。 お弟子さんが辞めていくのは先生の責任』 『先生/師範になったからには、一人でもいいから、立派な後継者を育てる事が必要』
***
いやあ、やはり高い志を持って一つの道を究めようとしておられる先生の話はとても興味深い。 『瀬戸内海洋文化の復興、創造そして継承』の志とも共通すると言う事で、先生との会話は更に盛り上がった。

旨いビールを飲みつつ、とても楽しく充実した時間の後は、先生の行き付けの店でカラオケを歌ってお開き。 先生、ごちそうさまでした。

秋にとても重要なイベントが控えており、それに向けて大作の構想を練っておられること。 楽しみだ。

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瀬戸内シーカヤック日記: 『海女』中村由信写真集、解説/宮本常一(マリン企画)

2010年07月06日 | 旅するシーカヤック
2010年7月6日(火) 夕方、宅配便が届いた。 その中身は、一冊の本である。
『海女』中村由信写真集、解説/宮本常一。 昭和53年にマリン企画が発行し、宮本常一が解説している写真集である。

2500部の限定出版であり、今では見られない貴重な海女の写真が収められているため、宮本常一ファンの間ではとても希少かつ貴重な文献の一つとなっている。
***
今回、幸運にも手に入れることができた。
 
Amazonの古書で検索しても、2万円以上する高価な希少本であるが、なんと本体価格7,000円で入手。
当時の定価が9,500円だから、定価より安く手に入れることができたことになる。 それも新品、いわゆるデッドストックというやつである。

興奮もさめやらぬまま、歴史を感じさせる紙包みを開封。 ワクワク、どきどき。
厚紙の箱から取り出し、本を開くと、まさにこれは新品である。 人の手に触れた古本とは違う、まっさらの感触。 なんとすばらしい!
 
震える手でパラパラとページをめくると、興味をそそられる写真が次から次へと現れる。 ああ。。。 感涙。
***
さっと目を通した中で、目を引いた一文だけ簡単に紹介しておく。

<以下、引用>
舟の上で焚火を囲んで、汗の出るまで暖をとる。
若い海女たちは村の若い衆のウワサ話に花を咲かせ、何の屈託もなく再び青い海へ飛び込んでゆく。
<引用終り>

うーん、これはまさに女子会の光景にそっくりじゃあないか。 今も昔も、人の本質って変わらないのだなあ。 納得。
***
それにしても、まさか本当にこの本が自分の手に入るとは。 『旅する櫂伝馬』に始まり、今年は様々な出会いに恵まれているなあ。 感謝。

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瀬戸内シーカヤック日記: 広島市現代美術館_都築響一と巡る社会の窓からみたニッポン

2010年07月04日 | 旅するシーカヤック
2010年7月4日(日) 梅雨の休日は、本を読んだり、DVDを見たり、海道具を片付けたりと、普段海に出ている時には出来ないことをするチャンス。 でもたまには、もっともっと知的好奇心を刺激し、満たしてくれるものにも出会いたい。

そうは言っても、東京のような大都会と違って、地方都市の広島では美術館や博物館も少なく、また歌舞伎や寄席などの伝統文化に触れる機会も極々限られているのが実情である。
海で、そしてシーカヤックで遊ぶには、『瀬戸内海』という最高のロケーションに恵まれているのだが、こと文化面では地方都市、田舎である事を痛感させられる。
***
今日は、『広島市現代美術館』で興味深い企画展が行われているというので、朝から妻と広島へ。
 
天気予報は外れ、蒸し暑くはあるが、晴れ間も覗く良い天気。
 
『都築響一と巡る社会の窓からみたニッポン』 写真撮影もOKという、なんとも太っ腹な企画展である。
 
<以下、引用>
『珍日本紀行』
温泉、郷土料理、地酒。 これが現在の旅行メディアのすべてだ。 フロとメシ。 かつては旅することの添え物でしかなかった要素が、いつから主役にのさばるようになったのか。 有名な温泉も地酒もなく、メディアの感心からこぼれ落ちた地方はただ寂れゆくのみ。
(中略)
結局、『秘境』は遠くじゃなくて君のすぐ近くにあるってことだ。
<引用終り>
 
都築響一氏のこの文章は、とても心に響き、共感するとともに、自分のブログの旅行記を振り返ると恥ずかしくも感じてしまう。
『うんうん、実際、瀬戸内海だってある意味秘境だよなあ。 本多勝一の北海道探検記じゃあないけど、瀬戸内海探検記が書けるくらいだ。 でも、温泉、郷土料理そして地酒。。。 うーん、俺の場合はB級グルメにディープな温泉、安酒ではあるけど、やっぱりまだまだフィールドワーカーとしての修行が足らんなあ』

野にある者、フィールドワーカーが見るべきモノの本質は何なのか? 日本という国はいったいどんな国なのか? 自分達が住んでいる地方って、いったいどんな場所なのか? 今って、本当はどんな社会なのか? 日本人って、実はどんな生活をしているのか?
 
都筑氏は、日本の各地にあるB級テーマパークや賃貸アパートに住む人々、変人とも言えるくらいの超個性的な人々、デコトラ/アートトラック、暴走族の改造バイク、日本独特の文化とも言えるラブホテル、カラオケスナック、秘宝館などなど、メジャーなメディアにはなかなか取り挙げられる事のないディープな、しかしある意味実にアーティスティックな世界に光を当て、彼らから本音を聞くことでその本質を炙り出し、そして展示を見る人々に静かに問いかけをしてくる。

<以下、引用>
『そしてどこにも住まないこと』
百万円の家賃を払うよりも、十万円のアパートを世界の十都市に持つ方がクールだ。 人生をたかが一軒の家に注ぎ込むよりも、洋服を着替えるように家も住み替えるほうが楽しい。 どこかに永住しなくてはと思うから、人生は複雑になる。 定住するのではなく、移動しつづけること。 どこにも住まないために。
<引用終り>
 
企画展では、『遊行するこころ』、『巣ごもりするこころ』、『我が道を行くこころ』、『歌い踊るこころ』、『かぶくこころ』、『闇に向かうこころ』というテーマ別に写真とセットになった文章が展示されており、どれも興味深いものである。

この企画展を見て感じるのは、やはり面白いのは『人そのもの』だということ。 これこそ(都筑さんには怒られるかもしれないが)、現在の『宮本常一』、そして『あるくみるきく』じゃあないか。 本当に素晴らしいの一言である。

今回は、いきなり頭をガツーンって殴られたほどの衝撃を受け、そして感動した。 俺がやっている『あるくみるきく』なんて、やっぱりサラリーマンカヤッカーの趣味レベルに過ぎないことを痛感させられた。

思いも掛けず、ディープでダイナミック、そしてめくるめく都筑ワールドをたっぷりと堪能させていただいた梅雨の休日。 いやあ、来て良かったなあ!

*今回の写真はすべてiphone3GSで撮影した。 決して美しいとは言えないがブログ用には十分だなあ。

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