あるくみるきく_瀬戸内シーカヤック日記

瀬戸内を中心とした、『旅するシーカヤック』の記録

『芸予ブルー』_テーマカラー of 印象派_”瀬戸内シーカヤック日記”

瀬戸内シーカヤック日記: あるくみるきく双書_宮本常一と歩いた昭和の日本 25 青春彷徨

2012年10月28日 | 旅するシーカヤック
旅へ!

この週末は、無性に旅に出たくなった。 そのきっかけは、『宮本常一と歩いた昭和の日本 25 青春彷徨』
農文協から出版されている、『あるくみるきく双書』の最新刊である。

この本が出版されたのを知ったのは、森本孝さんからのメール。 地元『豊島』の家船の事を書いたブログにコメントを頂いたことがきっかけで時折やりとりをさせていただくようになり、今回、この本の編集をされたということで、紹介していただいたのだ。

早速amazonで検索して入手し、読み始めた。


***

その表紙の裏に、宮本常一の一文が引用されている。

『私はたいてい一人旅をしますから、いたって気らくで、それに予定ももたず、日の暮れたところで宿をもとめます。 (中略) したがって、谷間などがきれいな水がながれていると、つい水浴びをやったり、肌着の洗たくをしたり、そうしたものを木の枝にかわかしつつ、木陰で昼寝をすることも少なくありません。 (中略) 広い道はなるべくあるかぬようにたいてい旧道や間道を行くことにしていますから、人にあうこともすくなく、不作法なまねもできるわけですが、そうした旅で、一番印象に残るのが水なのです。』

いやあ、これは俺の旅と一緒じゃあないか。 もちろん俺の場合は調査のための旅ではないが、シーカヤックや自転車で一人、芸予諸島の島々を渡り歩き、誰もいない浜で海水浴を楽しみ、キャンプ場でタオルやシャツを洗って、樹木の間に張ったロープに干す。

うーん、これは。 ”つかみ”からストライクゾーンど真ん中である。

***

最初は、『宮本常一が撮った写真は語る 高知県・檮原町』 以前、周防大島でのイベントでお会いした、香月洋一郎さんの紀行文である。

檮原の鍛冶職人、影浦富吉さん。 この方は、打つ鍬ひとつひとつを、使い手の身長、体力、利き腕、その人の持っている耕地の傾斜や土質にあわせて、大きさ、ヒツの具合、鋼ののせ加減、焼き入れ具合などをこまかく調整して鍛造するというとんでもない鍛冶職人なのだとか。

坂本竜馬が泊まった部屋を常宿としていた話や、宮本常一の写真に対するプロのコメントなどなど。

(以下、引用) 『そのご主人が、宮本先生の写真については、ほとんどなにも言わなかった。 「撮り流しの写真が多いんだろうけど、宮本先生の写真には、なにかひとつの趣というか感覚がきちんと出てるんだよね」ある時、どこか不思議そうにそう話していたことがある。』 (引用、終り)

うん、そんな風に写真を撮れるようになりたいものだ。

***

その次の、『青春彷徨 ふうらい坊渡世 (稲垣尚友)』
これには圧倒された!

私レベルの稚拙な表現力ではなんとも表現し難いのだが、その文章から溢れてくるエネルギー、熱さ、行動力が、とにかくスゴいのである。

読み終わった後、あまりのパワーに当てられて、しばし体の力が抜け、心は呆然とし、しばらくの間この本を開く気にならなかったほど。

このインパクトのある記事については、とても私の文章力で紹介できるレベルではない。 合う合わないはあるかもしれないが、是非機会があればご一読を!

生涯不良、そして風に吹かれて東へ西への風来坊に憧れているのだが、これじゃあちょっとやそっとじゃ本物の風来坊にはなれそうもない。

いやあ、本当にすごい人がいるんだなあ。 降参。

***

そして、『ー宗谷岬から佐多岬までー 日本縦断 徒歩旅行(田中雄次郎)』

昭和52年当時19歳の田中さんが、テントなしのシュラフ&バックパックで、北海道から九州まで徒歩で縦断した紀行文である。

シュラフ一つで蚊に刺されながら野宿をし、多くの差し入れやお風呂、食事、宿など、多くの人に助けられ、応援してもらい、時にはホモに襲われそうになりながら、徒歩にこだわっての一人旅。

もらったスイカを夕食にしようと、中華料理屋で包丁を借りようとすると、(以下、引用)
『夕食は?』と聞かれ『夕食はこのスイカ』と答えたことをきっかけに、飯にみそ汁、そして明日の弁当にと握り飯をくれた。

貰ってしまってから、ひょっとして自分はこんなことを期待していたんじゃないだろうかと、少しばかり自責の念にかられた。

いつの間にか雲がなくなり星のきらめく気分のいい夜、食後のお茶を飲みながら『いつも人の世話になってばかりだ』と言うと『いいじゃない、今度いつかあなたが他の人にそうしてあげるのよ』と言われ、うん、全くそうだと思った。

毎日歩いていたら九州になった。 自分の後をふり返ったら秋田があり、新潟があり山口があるような気がする。 佐多岬には早く立ちたいが、今のような生活が終わると考えると寂しく思えた。 (引用、終り)

そうそう。 俺がフェザークラフトのK1で尺取り虫方式での瀬戸内横断を関門海峡を越えて終わるとき、これで瀬戸内横断旅が終わるのかと思うと感慨深く、ついつい眼が潤んでしまったと同時に、『これで終わりなんやなあ』と、なんだか寂しい気持ちになったことを思い出す。

(以下、引用)夜中、猛烈な雨音と数人のくつ音に目をさました。 雨にずぶ濡れになった四人、二本の傘に母親と一人の幼児、二人の小学生、いずれも女の子たち、が薄暗い教室に驚きの顔でかけこんできた。 落ちついてから話をすると、酒乱の夫から逃げて福岡へ行くという。
私はとっさにリュックから、缶詰とわずかを残して全財産のお金を渡した。
『自分の旅はほんとに多くの人たちに助けられました。 何かに使って下さい。 元気で』(引用終わり)

いやあ、やっぱ旅はええなあ。 昔、沢木耕太郎の深夜特急を読んだとき、『あー、こんな旅がしたい!』と強烈なインパクトを受けたことを思い出した。

その時は、既に30半ばで二人の子持ちサラリーマン。 とてもじゃないが、バックパック一つで世界放浪なんて、夢のまた夢。
読んだばかりの深夜特急の世界と、現実の自分を見比べて、出るのは溜息ばかりであった。

それから十数年。
50歳も目の前となり、リタイアまであと十年ちょっと。 二人の子供は既に成人となり、30半ばの時とは別の世界も見えてきたような気がする。

そして読んだのが、『日本縦断 徒歩旅行』である。

旅 旅 旅 、 旅イーッ! 

そう、これは旅に行くしかないでしょう!

***

2012年10月27日(土) バックパックを背負い、『じゃあ、行ってくるけん』と言うと、妻は『はい、忘れ物ない? 気をつけて』と、いつものように気持ちよく送り出してくれた。

週末はいつも遊んでばかりなのだが、自由奔放に放し飼いにしてくれる。 ほんま、ありがとう。

この土日は雨の予報。 シーカヤックでもなく、自転車でもなく、バックパックを担いでの一人旅。

この本を読んだので、クルマでの移動ではなく、徒歩とJRそしてバスを使っての旅を選んだ。
土日のほんの二日間だけではあるが、久しぶりにバックパック旅気分を味わうのである。

***

まずは徒歩で最寄りのJRの駅へ。
乗車券と、広島駅からの自由席特急券を購入。 さあ、旅の始まりだ。

広島駅からは、久しぶりとなる『こだま』 各駅停車で少しばかり時間はかかるが、空席も多くのんびりと旅を楽しめる。

朝の新幹線の中、コーヒーを飲みながら、本の続きを読む。


新幹線を降りると、ローカル線のホームへ。 しばし在来線に揺られ、目的地へ向かうバスがある駅まで移動。


そのころから、雨がポツリポツリと落ち始めた。 それでも今日は、シーカヤックでも自転車でもなく、温泉にゆっくり浸かってのんびりまったり読書三昧、ビール三昧の予定なので、全く気にならない。

駅から温泉まで1時間ほどかかるバスに揺られ、目的の温泉に到着した。
いやあ、運転は大好きだからクルマの旅も好きだけれど、やっぱ列車やバスの旅は楽しいな。

***

なんとか宿もとれたので、チェックインには少し早いが、宿泊客用の入浴券を購入するために宿へ。


『すみません。 ちょっと早いんですが、入浴券を買えませんか?』 すると奥から出てこられ、『あ、到着されたんですか。 早いですね』

『ええ、さっきバスで着いたんです』 『入浴券、これです。 もうすぐ入れますよ』

『荷物、預かりましょうか?』 『あ、いいんですか。 じゃあお願いします』
『タオル、これ使ってください。 あと、傘はこれをどうぞ』 『いやあ、いろいろとありがとうございます』

***

さっそく温泉へ。 この週末は雨だからか、あるいは少し時間が早いからか、お客さんは少なく、気持ちの良い温泉をほぼ独り占め。
少しぬるめのお湯にのんびりと浸かり『あー、天国天国』

最近は、ストレスフルな仕事が多く、昔のように有給休暇もあまりとれないし、帰りも前より遅くなった。 この週末は、たっぷりと温泉に浸かって、本を読んで、そしてビールを楽しんで、ゆっくりと静養することにしよう。

風呂から出ると、お昼ご飯。
おいしそうなランチとビールを注文。 『大瓶でお願いします』 すると、『すみません、中瓶しかないんですよ』
『生ビールなら大がありますが』 『じゃあ、それで!』 もちろん即答である。

バックパックを担いで電車とバスに揺られてはるばる来た温泉。

風呂から上がり、おいしいランチをいただきながら、昼から”幸せの”生ビール(大)。 これ以上何が要る?


***

『ごちそうさまでした。 うん、ここのランチはおいしいな』 食後、少し休憩して再び温泉で体を伸ばす。

外は雨と風で少し寒いくらいだが、体はホカホカと芯からあたたまって気持ちよい。

チェックインの時間になったので宿に入り、荷物をほどいて着替えると、こたつに入って本を開く。

途中、ちょっと部屋を出たところで宿の方に出会った。 『退屈じゃないですか』 早くから宿に入り、部屋から出てこないので気にしてくださったのだろう。

『ええ、本を読んでるんです。 この週末は、温泉と読書でゆっくりしようと思ってるんですよ』


***

夕方、再び温泉へ。 さて、そろそろ晩ご飯かな。

『コンコン』とノックの音。 『はーい』 『晩ご飯、準備できました』 待ってました!

ここの宿は部屋食。 『どうぞ、ごゆっくり』

リーズナブルな料金なのに、おいしそうな料理が並んでいる。 うん、これはおいしそうだ。 『いただきます』


『ごちそうさまでした』 大満足の夕食であった。

食後はゴロリと横になり、再び本を開く。

腹がこなれたところで再び温泉。 昼に温泉のおっちゃんに、『何回でも入って、元とってくださいね』と言われた事を思い出す。

***

翌朝。 目が覚めると雨は上がっていた。

しばし散歩し、そのまま朝風呂へ。 『いやはや、天国天国』




宿に戻り、ゆっくり朝食をいただく。
朝食を持ってきていただいたとき、ちょうどipodにスピーカーをつないでお気に入りの音楽を聴いていた。 『いいですね』 『ええ。 温泉に読書に音楽。 たっぷり楽しんでます』


朝ご飯もおいしく、ついついご飯二杯いただいてしまった。 『ごちそうさまでした』


帰る前にもう一度温泉に浸かり、これにて温泉は〆である。 『いやあ、たっぷり入ったなあ』

さて、そろそろ戻るとするか。 ここから再び、バス、電車、新幹線、在来線、そして徒歩のバックパックを担いでの旅の続き。

帰りはバスも列車も、往路とは別の初めて使うルートをたどるとしようか。
悲しいかな、サラリーマンの現実である週末二日間だけの”なんちゃってバックパック旅”であることは分かっているが、せっかくだから精一杯楽しみたいではないか。

お昼ご飯は、少し寂しくなった財布と相談して、温泉地の地元野菜を売る市場で『栗ご飯』を購入し、途中の駅で缶ビールと栗ご飯でちょっぴり節約。 うん、この栗ご飯、おいしいな。 そしてもちろんビールは美味い!


***

もう、10代、20代のような旅はできないし、旅先で出会う人の対応も若者とは違うことは承知している。
それでも、40代には40代の、50代には50代の、そして60代には60代のバックパック旅、シーカヤック旅、自転車旅があるに違いない。

これからも、その歳・年ならではの旅をたっぷりと楽しんでいきたいな。
いやあ、やっぱり旅ってほんとうにいいもんですねえ。 ほいじゃあのう~!

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瀬戸内シーカヤック日記: とびしま海道_岡村島~大下島散策日帰りツーリング

2012年10月21日 | 旅するシーカヤック
土曜日は、久し振りに広島へ。 4月からのダイエットで夏までに9kg体重が減り、その後も減った体重を維持。 そのため、スーツが合わなくなったので、仕方なく新調する事にしたのである。

『こんな好い天気なのに、買い物だなんて。。。』

あれやこれや試着してみると、やはり着心地と値段は比例する。 『うーん。 ま、いいか。 そんなに毎年買うものじゃないし』
結局、気に入ったスーツを2着&その他諸々を購入して買い物は終了。

その後、少し早いが妻からの誕生日プレゼントということで、モンベルでサイクルパンツを買ってもらった。 『ありがとう。 嬉しいよ!』

『いやあ、予算を大分オーバーしたな』 『いいじゃない。 会社で変なもの着てたら、”あの人の奥さんは何しとるんじゃろ”言うて笑われるからねえ』
『まあ、そうやな。 それに、太って買い替えるんじゃなくて、痩せて買い替えるんじゃから、ええことにしとこうか。 よっしゃ、じゃあ昼飯じゃ~』

お昼ご飯は、最近お気に入りの『榮互』

私と妻は、ここの『牛丼』がお気に入り。

でも今日は、日替わりランチが気になるなあ。 『じゃあ、俺は牛丼にするから、お前は日替わりランチにしたら』 『そうしようかな』


妻は、日替わりランチ。

私は牛丼。 この牛丼は、最後の卵ご飯が最高に美味いのだ。

食後には、コーヒーとラスク。 『ごちそうさまでした』

***

2012年10月21日(日) 今日も朝から良い天気。 もちろん今日はシーカヤックである。
残念ながらこの週末は、昨日土曜日の買い物があったため、日帰りツーリングではあるが一日ゆっくり楽しもう!


途中、先日の『夏のシーカヤック教室の〆となる島渡りツーリング』の写真を施設に届けにいき、そのまま出艇予定地へ。

今日は、大下島を散策するつもり。 午前中は上げ潮に乗って大下島へ行き、帰りは午後の下げ潮に乗って戻ってくるプラン。

日帰りツーリングの安全装備&ランチセットで準備完了。

『さあ、出発しようか!』


正月鼻から出ると、すぐの岬では追い潮の波が。

だが、鼻を越えると穏やかな海。

この、瀬戸と灘のコントラストこそが、瀬戸内シーカヤックツーリング。

***


舫い綱兼パドルリーシュ。

岡村島から出発し、小大下島を経由して、1時間ちょっとで大下島へ。


小さな浜にシーカヤックを引き揚げ、しばし散策。

狭いが手入れの行き届いた山道を歩いて行くと、

小さく白い灯台が!

ここからの眺めは、瀬戸内らしい島と空と海の眺望。 うん、こりゃあいいや!


***

集落に戻り、再び散策。

神社にお参りし、今日の日帰りツーリングの安全を祈願。

中を拝見すると、手漕ぎ舟の模型も飾られていた。


しばし島内を散策し、

来島海峡大橋が望める海岸まで散歩。


大下小学校。

どうやら、休校か廃校になっている様子。


***

そろそろお昼時。

じゃあ、ちょっと気になる場所に行ってみようか!

瀬戸内の望める東屋。

今日は、ここで瀬戸内シーカヤックランチ。

ここからの眺めは気に入った。

おいしいラーメンのランチを終えると、お湯を沸かして食後のコーヒーを楽しむ。

その後は、PFDを枕に東屋に寝転がり、雲一つない瀬戸内の行楽日和の秋を楽しむ。

眼前には何度か訪れた事のある小大下島。 そして、瀬戸内とアラフィフの海坊主。

(決してハゲじゃあない。 ただただ坊主なだけ。 そりゃそうやろ。 おそらく。 たぶん。 まさか。。。)

いずれにせよ、ここは最高のロケーション!


***

秋の瀬戸内海を眺めながら、お昼ご飯をゆっくりと食べ、おいしいコーヒーを二杯程ゆっくりと楽しみ、帰路に。

今日は本当に穏やかで最高のパドリング日和。

秋の穏やかな瀬戸内の海は、アイランドホッピングを楽しむには最高のエリアである。

一漕ぎ一漕ぎ、好い感じのリズムで、心底体が/筋肉が喜んでいるのが感じられる。

順調に、出発した浜に戻ってきた。

***

帰りには大長に立ち寄って、息子に頼まれていたミカンを購入。

『どうぞ、試食してみて下さい。 試食は自由ですから』 そう言われて一ついただき、試食するとその美味い事!
キロ200円ということで、ミカンたっぷり&レモン数個を袋に入れるとちょうど2キロで400円也。 お金を支払おうと、ペリカンケースを空けて財布を取り出すと、
『これ、釣り道具入れかと思っていました』 『いやあ、これは防水の貴重品入れなんですよ』
『えらい、腕が真っ黒に焼けてますね。 釣りの帰りですか?』 『今日はシーカヤックで、大下島まで行ってきたんです』 『すいません、あまりこの辺りの島を知らないんで』 『あのクルマに乗っているカヤックで、ちょっと漕いできたんですよ』

『あ、あれですか。 自転車も載ってるんですね』 『ええ、カヤック漕いだり、自転車漕いだり。 今日は、息子に”島に行ったらミカンを買うてきてくれ”いうて言われとったんで、帰りに寄ってみたんです』 『そうですか。 今度はぜひご家族で遊びに来てください』









最高の秋晴れの一日。 岡村島を出発して、小大下島を経由して大下島を散策したツーリングを満喫。
横浜単身赴任時代に楽しんだ三浦半島や伊豆&外房、そして年に何度か通う島根半島の日本海とも違う、瀬戸内らしいシーカヤックでのアイランドホッピングツーリング 『うん。 今週も、なかなか好い週末だった』

ほんま、シーカヤッカーとして芸予諸島が目の前の呉に住んでいた良かった。 さて、来週はどこ行こう?
ほいじゃあの~!

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瀬戸内シーカヤック日記: しまなみ海道ドライブ_耕三寺、亀老山展望台、能島潮流観潮船

2012年10月15日 | 旅するシーカヤック
有休を取った金曜日の朝、偶然顔を合わせたお袋に、『おはよう。 どう、日曜日は何か予定があるん?』 『いいや、特にないよ』
『じゃあ、久し振りにドライブでもいこか』 『うん、じゃあ父さんに聞いてみるわ』 『おお、適当にプランニングしとくけん』

近所に住んではいるが、私は朝早くに家を出て夜帰ってくるし、彼らは彼らで平日は近所との付き合い、休日は温泉へのドライブなどなど、いろいろと出歩いて忙しい様なので、一緒にドライブや旅行に行く機会は滅多にないのである。

2012年10月14日(日) と言う訳で、今日は久し振りに両親を連れての日帰りドライブ旅行。 目的地は、普段彼らがあまり行かない、かつ私にとっては庭である『しまなみ海道』

70歳を過ぎた老夫婦と、50歳近い中年夫婦を乗せたデミオは東へ。 もちろん今日は、ナビゲーター役の私が運転である。

三原に出来た道の駅、『神明の里』を経由してしまなみへ。

朝9時。 生口島の耕三寺に到着。

聞いてみると、二人はかなり昔に来たことがあるようだが、あまりよく覚えていないらしい。 『じゃあちょうどいいじゃん。 行ってみようか』


東の日光、西の耕三寺と言われる、その独特の雰囲気。

まだ朝早いので人も少なく、ゆっくりと回る事が出来る。

ほんの少しだけ秋の雰囲気も感じられ、散策するには良い気候である。


***


結構アップダウンのある千仏洞地獄峡を歩くと、少し足のわるいお袋は疲れた様子。
『大理石のある丘もあるけど、もう疲れたんならここまでにしとこうか?』と話していると、掃除をしておられた耕三寺の職員の方が、『未来心の丘は、耕三寺の見所の一つなんですよ。 せっかくですから、少し休まれて、それから行ってみられたらどうですか』との事。

お袋も、『せっかくだから、行ってみようか』ということで、しばし休憩して『未来心の丘』へ。

ここは、イタリア産の大理石で造られた大規模な庭園。

『こんなにたくさんの大理石ってすごいねえ』

『こんな景色は初めて見た』と、二人とも嬉しそうだ。

西の日光と呼ばれる耕三寺らしい建築物と、大理石の庭園のコントラスト。 両親には喜んでもらえたようである。


耕三寺を出ると、商店街をしばし散策。 おいしいドルチェを食べ、お土産に蛸の干物やレモンケーキを購入。

***

次に向かうは、大島の亀老山。 狭い山道をデミオで登っていくと、展望台へ。

少し霞んではいるが、来島海峡大橋が眼下に望め、なかなかの景色である。 『ここの展望台は、しまなみの中でも三本指に入るお気に入りの眺めなんや』

***

山を降り、お昼ご飯を食べると、今日のメインイベントである『観潮船』

瀬戸内の中でも流れの速い、能島や舟折れ瀬戸を巡る遊覧船である。 今日は残念ながら中潮だが、大潮なら10ノットを超える潮流が楽しめる。

予め、13時の船を予約してある。 今日は13時半頃が最大潮流という事で、ベストタイミングでの観潮船を予約しておいたのだ。


能島の周辺は、中潮とは言え結構な流れ。

観潮船は、船長さんの巧みなコントロールで、ザワザワという音と白波を立てて流れるその潮流の近くに留まったり、まっただ中を遡ったり、そして渦に流されたりしながら、乗客を楽しませる。

『これはすごいねー』

『観潮船っていうけど、これって潮流体験じゃねえ』

舟折れ瀬戸では、能島の辺りとはまた一味違う、パワー溢れる流れと渦。



『渦潮いうたら、鳴門海峡しか知らんかった。 こんなに近くに、こんなに凄いところがあるんじゃねえ』
『耕三寺の大理石の庭園と、この観潮船はよかったよ。 いやあほんま、今日はええところに連れて行ってもろうたわ』 『まあね。 しまなみ海道は、わしの庭みたいな所じゃけん。 他にもええところがえっとあるよ』

久し振りとなった両親との日帰りドライブ。 帰りには、大三島のマーレグラッシアで潮風呂に入って旅の疲れを癒し、しまなみのエッセンスを織り込んだプランに満足してもらった様子。
まあこれで、普段わしがここらで色々と遊んどるんも少しは意味があったいうことじゃろう。 これからも、この庭で面白いスポットを開拓していくでえ。

ほいじゃあのー!

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瀬戸内シーカヤック日記: 『さしみ屋_北吉鮮魚店』堪能、倉橋カヤック&バイク・キャンプツーリング

2012年10月13日 | 旅するシーカヤック
2012年10月12日(金) 今日は、平日にしか出来ない用事があり、有休。 午前中に用事を済ませると、カヤックとマウンテンバイクを積んだクルマで、倉橋島へ。
まずは桂浜温泉館に行き、お昼ご飯。


何を注文しようか、とメニューを見ると、呉市制110周年記念で限定110食という、『三色ちりめん丼』を発見。 これは、頼むしかないでしょう!

登場したのは、これ。

見た目も美しい三色丼。 生ちりめんに、湯掻かれた『釜揚げ』ちりめん、そして乾燥して『梅の風味』が味付けされたちりめん。
それぞれ食感も味も異なり、場所を少しずつ変えながら食べ進めると、様々な味のバリエーションが楽しめる。 『ごちそうさまでした』

***

今日は少し風が強い。 じゃあ今日は自転車にしようか。
アテンザワゴンからセミスリックタイヤ仕様のMTBを降ろし、アンダーウエアの上に、Tシャツ&短パン、そしてヘルメットとグローブという姿で走り出した。
海沿いの道のアップダウンを漕ぎ進み、まずは尾立へ。

『あ、江後醤油さんだ!』

以前、北吉鮮魚店で初めて知り、うちの家族に欠かせない調味料となった、江後醤油。 ここの甘口の刺身醤油が、うちの定番である。

狭い路地を、軽自動車がギリギリのスペースで抜けていく。

私も、自転車一台がやっとという、瀬戸内の島らしい狭い路地をゆっくりと走り抜ける。


地元の神社に参拝。








***

室尾では、ちりめんを湯掻く湯気が、それぞれの水産会社からあがっていた。 そろそろ、ちりめん漁も終りに近いらしい。


更に漕ぎ進み、鹿島方面へ向かう。





今日の目的地である、鹿島瀬戸へ。

橋の上からの眺め。

風が強く、海はギラギラと輝いている。

うん、今日は自転車にして正解だった。

***

桂浜温泉に戻り、約2時間のサイクリングは終了。 温泉にゆったりと浸かり、汗を流して漕いだ疲れを癒す。


夕方4時前のバスに乗り、室尾へと向かう。

今回のキャンプツーリングの最大の目的である、さしみ屋こと『北吉鮮魚店』へ行くのだ。

既に暖簾はかかっており、ご主人の顔も見えた。 『いいですか?』 『はい、あまり料理はないですが、刺身くらいでよければ』

良ければも何も、ここの刺身とビールがあれば、それ以上何を望む?

娘さんらしき女性が『飲み物は何にしますか?』と聞かれたので、『生ビール、お願いします』

『いただきます』

『ゴクッ、ゴクッ、ゴクリ』 『プハーッ』 そう、これこれ。 漕いで、温泉入って、生ビール!
再び、『グビーリ。 グビグビ』 ああ、タマラん!

***

『注文は?』 『刺身と、湯引き』 『すみません、今日は湯引きがなくて、ゲソになるんですが』 『じゃあ、湯引きはいいです』
『内蔵、ありますか?』 『ちょっと待ってください』とご主人のところに聞きにいき、『はい、大丈夫です』

『じゃあ、刺し盛り二人前と、内蔵の煮込みをお願いします』

『お待たせしました』 こちらこそ、待ってました!

いやあ、ご無沙汰してました。 北吉鮮魚店の刺身。 いつ見ても美しい。

これにはやっぱ、江後醤油の甘口である。


『すみません、瓶ビール下さい』

***

おいしい刺身を食べていると、『できました』

待ちに待った『内蔵の煮込み』 この、魚の内蔵の煮込みが、私と妻は大好物なのである。

『一人前にしては多かったですかねえ』とご主人。 『いえいえ、これ、大好きですからしっかりと頂きますよ』

美味そうな肝をパクリ。 『いやあ、この肝、タマランなあ』 ビールをグビリ。
この煮込みには、やはり日本酒だな。 『すみませーん、お酒下さい』 『そのままでいいですか?』 『いえ、お燗でお願いします』

濃厚な肝や、プリプリの食感の内蔵を食べながら、日本酒をグビリ。 幸福!口福!好福!

島豆腐にも好い味が染み込んでいるし、なにより汁が旨い。 おいしい汁まで残さずいただき、『ごちそうさまでした』

『久し振りに来ましたけど、美味しかったです。 また遊びに来ます』

***

室尾の漁港で、バスを待つ。

ちょうど夕暮れ時、なかなか良い雰囲気だ。






***

桂浜温泉館に戻る。 今日の宿は、浜の片隅に張らせていただいたテント。

寝る前に、再び温泉に入ってのんびりまったり。

久し振りに北吉鮮魚店に行くことができ、本当に好い一日だった。
『オヤスミナサイ』

***

朝。 いつものように、5時過ぎに目が覚める。

昨夜は、夜中に突然ライトを照らされ、『すみませーん』と大きな声でたたき起こされた。 時計を見ると、11時半頃。  独り静かにテントで寝ているのに、真夜中に叩き起こされるって。。。
グッスリ眠っていたので、半分寝ぼけながらテントのジッパーを開けると、そこには警察官が二人立っていた。

『昼からテントが張ってあったんですが、誰も居られませんでした。 今来てみると、サンダルがあったので、人が居るんだと。 今日はどうされました? 宿が取れなかったんですか?』との事。 心の中で、(『いやあ、金がないだけなんだけど』)とツブヤキつつ、『ただのキャンプです』

昼間は自転車を漕いで、夕方からは北吉鮮魚店に行った事などなど、カクカクシカジカでと話すと、『ああ、あのボートと自転車が積んであるクルマですね』

『時々不良少年が出てくる事もあるので、いたずらされる様な事があったらケータイで連絡してください』と言って立ち去っていった。

これまで様々な場所でテントを張ってきたが、職務質問をされたのは初めてである。 いやはや。

***

朝の日が昇る前の時間。 キャンプツーリングの中で、私が好きな時間帯の一つ。

次第に明るくなっていく瀬戸内海を眺めながら、朝食の準備。

ストームクッカーでお湯を沸かし、コーヒーとパンの簡単な朝食。

食後には、再びお湯を沸かし、二杯目のコーヒーをゆっくりと楽しむ。

***

テントをたたみ、着替える。 今日も少し北風が強いようだ。 『どうしよう?』 そうだ、あそこを漕ごうか!
クルマで場所を移動し、お気に入りの日帰りツーリングエリアへ移動。 少し風はあるが、ここなら漕げそうだ。

安全装備と飲み物、おやつの簡単装備で漕ぎ出した。

今日も、アンダーウエアの上にTシャツ&短パン、そしてサンダルである。 海水温は高く、裸足で海に入っても冷たくない。

沖に出ると、北風が強くなり、少し波もザワついてくる。


自然海岸が続く、このお気に入りのエリア。

風裏になる小さな小さな浜にシーカヤックをあげ、しばし休憩。 持参したおやつを食べて一休み。

待っていたが、風は弱まる気配がなく、今日は1時間ちょっとでお散歩ツーリングを切り上げた。

***


地元の倉橋島で三色しらす丼を食べ、自転車を漕いで温泉を楽しみ、お気に入りの北吉鮮魚店でおいしい刺身と内蔵煮込みを堪能した。
二日目は、これまたお気に入りのエリアでシーカヤックでのお散歩ツーリングも楽しみ、ほんとうに充実した二日間であった。

それにしても、クルマにサイクルラックを取り付けたのは大正解。 ここ数年ほとんど使わなかったので処分しようかと思っていた十数年もののスペシャライズドのMTBが大活躍するし、カヤックと自転車を持って行っておく事で、風が強ければ自転車を、カヤックを楽しんだ後でも夕方からサイクリングなど、遊びのバリエーションが確実に広がった。 ほんと、良い買い物であったなあ。

それにしても、
いやあ、こんなに楽しめるエリアが地元にあるなんて、なんて幸せなんだろう! 日々深まっていく秋を、もっともっと楽しむぞ。

ほいじゃあのー!

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瀬戸内シーカヤック日記: 旅する折り畳み自転車、Dahon SpeedTRで一泊二日の輪行ツーリング

2012年10月08日 | 旅するシーカヤック
2012年10月7日(日) 3連休の初日に、シーカヤック教室の島渡りを無事に終え、今日からはダホン/Dahon Speed TRで三原まで一泊二日の自転車キャンプツーリング。

今回は、竹原~忠海~三原と、海沿いを走る国道185号線を辿る約70kmのコース。
行きは漕ぎだが帰りはJRなので、充分一日でいける距離ではあるが、やはりそこはシーカヤックと一緒。 せっかくなら一泊二日でたっぷりと、そしてのんびりまったりと、旅を楽しみたいではないか。

***

朝4時過ぎに目を覚まし、天気をチェックし、ウインナーと目玉焼き、そして味噌汁で朝ご飯を済ませると、ツーリングの準備。
自転車に、キャンプ道具や着替え、簡単な工具などを詰め込んだ、オルトリーブの防水パニアバッグを装着。

6時。 『明るくなってきたし、じゃあ行ってくるよ』 『気をつけて』

日が昇っていないので、アンダーウエアは着ているが、半袖半パンではまだ少し肌寒いのでネックウオーマーを着けて漕ぎ進む。
まだ人もクルマも少なく、快適なペダリング。

しばらく漕いでいると、日が昇ってきた。

好い一日になりますように!


快調に、東へと漕ぎ進む。

前回の『尾道~今治、キャンプツーリング』では、ペダルはそのままであったが、今回はクリップを装着している。
私の場合はスピード命ではなく、のんびりまったりと普段着での旅を楽しみたいので、ビンディングペダルは選択肢に入らない。 そのため、所有しているスペシャライズドのMTBと同様、この『旅する折り畳み自転車』にも、クリップを装着してみた。

これがなんとも良い感じ。
足の位置が決まるため漕ぎの効率が上がり、登り坂でも平地の巡航でも、前回よりかなり快適に漕ぎ進める事が出来ている。 『うん、これは正解だったなあ!』


また、先日訪れた尾道で、『尾道帆布』に立ち寄ったとき見つけた自転車用のiphone&小物入れも持参してみた。
これが、スマホや財布、カメラなどを入れることができ、紐を付けると散策の時には肩からかけることもでき、見た目も好みなことに加え、とても便利で気に入った。


***

快晴の秋の休日。 海沿いの道を走るのは気持ち良い。

フロントの赤い防水バッグの中身は、折り畳んだ輪行バッグ。 リアの防水パニアバッグ左側には、テント、シュラフ、マット、シート、エア注入式の枕。 右側には、着替え一式と、簡易工具、本やipod、iphone用予備充電バッテリ、ヘッドランプなどなど。 そしてリアキャリアの上には、キャリアに簡単に取り付けられるようバックルベルトを後付けした、特別待遇すべき冷え冷えビール様運搬のためのコールマンのソフトクーラーバッグ。


安浦。

収穫の秋。


安芸津では、しばし休憩。

開店したばかりのお店で、安芸津名物のジャガイモを使ったコロッケを購入。 一個100円也。

自転車を漕いで疲れた体に、熱々ホクホクのジャガイモコロッケを補給。 『お、これはおいしいな!』
コンビニで売っているコロッケとは、一味も二味も違う。


9時前、竹原市に入る。 ここまで約3時間。

竹原では、お気に入りの『太華園』さんでお昼ご飯にする予定だったのだが、開店は11時。

まだ9時半前なので、竹原観光を楽しむ事にした。 まずは、道の駅へ。



『酒クリーム(しゅくりーむ)』 酒粕の入ったシュークリーム。
前にも妻とのドライブで竹原に来た時に食べたことがあるのだが、これは俺のストライクゾーンど真ん中。

三原の八天堂の『酒種あんぱん』


***

竹原の美観地区をしばし散策。




11時になったので、太華園へ。

店に入ると、受付のおばちゃんが、『今日は自転車ですか』
『ええ、呉から自転車を漕いできました』 『えー、呉から!』 『はい、3時間ちょっとでしたね』 すると厨房のマスターに、『今日は自転車で呉から漕いできたんだって』

普段は普通の『中華ソバ』、たまーに『元気ソバ』なのだが、今日は気になっていた『キムチソバ』

『いただきます』 おお、これはこれは!
キムチが入る事で、スープに独特のコクが。 なんとも旨い。 これは、疲れた体に効くねえ! 体が喜ぶ。
『ズズズズーッ。 ゴクリ』 いつものように、スープの一滴まで完食。

ご主人が見えたので、『ごちそうさまでした。 美味しかったです。 これで元気が出ましたよ』

店を出て、出発の準備をしていると、お客さんへのラーメン提供が一巡して落ち着いたご主人も出て来られた。
『これから、三原まで漕いで行こうと思ってるんです。 いつもはシーカヤックですけど、たまには自転車旅もいいかと思って』 『いろんな趣味があっていいですねえ』
『いえいえ、遊んでばかりで恐縮です』

『今日は忠海あたりでキャンプして、明日は三原からJRで戻ろうと思ってるんです』 『これ、積めるんですか?』 『はい、折り畳んでこの袋に入れれば、手荷物として持ち込めるんですよ。 重さも15kgくらいなんで、担げます。 まあ、15キロといっても、キャンプ道具は別ですけど』

『へえ、これで15キロ。 それで自転車の料金は?』 『昔は手荷物料金を取られていたらしいですけど、今はバッグに入れれば普通の料金だけですよ』

『ところで、バイクツーリングの方は如何ですか?』 『いやあ、最近忙しくてあまり乗れてないんですよ』 以前、シーカヤックツーリングの帰りに立ち寄ってラーメンを食べ、お話させて頂いたとき、バイクツーリングがご趣味と伺っていた。
『そうですよね。 お店が忙しいですもんね。 じゃあ、そろそろ出発します』 『じゃあ、お気を付けて』 『はい、ほんとうにごちそうさまでした。 また来ます』

***







竹原から約1時間で忠海へ。 今日は、岩風呂で有名な『岩乃屋』さんで汗を流すつもり。
何年か前には、年に何度か通っていたのだが、最近ご無沙汰していたのである。

自転車を停め、『お風呂、入れますか?』と聞くと『ええ、入れますよ。 初めてですか?』
『いいえ、何度か入ったことがあります』 『じゃあ、ごゆっくり』

自転車から、岩風呂に入るための海水パンツを出していると、旅館の若い方が『私も自転車やってるんですよ』と話し掛けて来られた。
『あ、あそこに自転車のパーツが置いてありましたよね』 『そうなんです。 しまなみを走るために、自転車をここにも置いてるんです』

しばし話をしていると、昔は長野の方でダウンヒルもやっておられたのだとか。 『それは本格的ですね。 恥ずかしながら私も横浜単身赴任時代に、富士見パノラマでの素人クロスカントリーレースに、職場の仲間とチームを作って出たことがあるんです。 自転車で草原を下るのは、本当に気持ち良かったですね』

『ところで、向こうに見える浜。 あそこでキャンプしても大丈夫でしょうか?』 『ええ、あそこはよくテントを張っておられますよ』
『そうですか。 ありがとうございます』 『せっかくなんで、ここにテントを張れるか聞いてあげましょうか』
『え、テント張ってもいいんですか?』 『私は決められないので、聞いてきてあげますよ』


『大丈夫。 テントあの上に張ってもいいそうです』 『いやあ、助かりました。 ほんと、ありがとうございます』

太華園のご主人といい、ここ岩乃屋の方といい、今回の自転車旅では様々な人との縁に恵まれている。 ありがたいことである。

***


今日の宿泊地が決まったので、久し振りの岩風呂へ。

思ったよりも人が少ない。 これは、ゆっくりと入れそうだ。

まずは水着に着替えて、ぬるい方へ。 『ああ、この感じ、この雰囲気。 懐かしいな』
モバと呼ばれる海藻が敷き詰めてある暗い空間へ。 しばらく座っていると、全身から汗が噴き出してくる。 『うん、これこれ。 やっぱ、普通のサウナとは違うなあ』







岩風呂に入って汗を出し、休憩所に戻って水分を補給し、しばし体を休める。 これの繰り返し。

休憩のときは、ドンゴロスを敷いて木の枕で横になり、半分寝入りながら火照った体を休める。 今日は音楽を聴きながら休憩するのだが、最近は初代のiPod-shuffleに回帰しているのだ。
歴代のiPodを使ってきたが、軽くてシンプルな初代の良さを再認識。 500MBしかないので、数十曲しか入らないのだが、お気に入りの音楽を入れ替え差し替え聞くには充分である。 旅には、初代iPod-shuffleで決まり!

汗を流しながら、『今日は人が少ないですね』と聞いてみると、『3連休じゃけえ、みなどこかへ遊びに行っとるんじゃろう』とか、『今は農繁期じゃけ、少ないんじゃないかの』との答え。 なるほど。

***

約3時間程岩風呂で汗を流し、体を休めた。 今日、55kmほど漕いだ疲れは完全に回復。
ちょうど風呂を出る頃、雨が降り出した。 通り雨のようである。


そんななか、屋根の下にテントを張らせていただく。 いやあ、浜でキャンプじゃなくて本当に良かったなあ。 縁に感謝!


雨が降り止むのを待って、近くのコンビニに買い出しへ。 荷物なしでのDahon Speed TRの軽い事。
今日も、途中でロードバイクに軽々と抜かれていった。 タイヤの太さも、もちろんなにより体力の差もあるが、荷物満載での自転車ツーリングってやっぱスピードが出ないはずだ。 納得。

今日は、焼うどんとコロッケ、焼き鳥、そしてこれが主食のビール。 『いやあ、本当に良い一日だった。 乾杯!』





宿のご主人に、『夜、また岩風呂に入ればいいよ』と言ってもらっていたので、寝る前にもう一汗。 『あー、気持ち好い』

『じゃあ、オヤスミナサイ』

***

翌朝。

日の出前に目が覚める。 良い雰囲気の瀬戸内の朝。

夜明け前のこの時間、そしてこの雰囲気。 キャンプツーリングの楽しみの一つである。






そして日の出。 今日も、良い一日でありますように。

***

6時半、出発準備を終えて岩乃屋さんを後にする。 『本当にお世話になりました』







三原までは、1時間とちょっと。
『あー、お腹空いた。 今日の朝飯は、久し振りにガッツリと食べたい気分だなあ』 そう、二日間で約70km、キャンプ道具を満載しての自転車旅で、体がエネルギーを欲しているのが分かる。


食堂で、朝定食。 『いただきます』

『あー、いっぱい喰ったなあ。 ごちそうさまでした』

***

三原駅。

今日は快晴だが、風が強い。 この3連休の後半は風が強くなりそうだとの事で、シーカヤック旅をやめて自転車旅にしたのだが、どうやら正解だったようだ。

『じゃあ、そろそろ片付けるか』

Dahon Speed TRの場合、本当に組み立て、片付けが簡単である。 MTBでの輪行では、いかにクイックリリースとは言いながら、前輪を外し、後輪を外し、チェーンの処理などなど手間がかかるのだが、この自転車ではサドルを下げ、ハンドルを折り畳み、本体を二つ折りにすると、あっという間に袋に収まるのだ。

これで、輪行に行くハードルがかなり下がる。
ちなみに肩ひもには、自作のパッド。 見た目は悪いが、これで肩に担ぐ時の負担がかなり楽に。 こんな工夫も、これはこれで楽しいのである。


いつものように、邪魔にならない場所に荷物一式を置き、家路へ。


天気に恵まれた3連休。 初日はシーカヤック教室での島渡り、後半二日はダホンの旅する折り畳み自転車で海沿いを漕ぎ進むキャンプツーリング。
やっぱりカヤックはリジッドが好いが、自転車は折り畳みもいいなあ。
アラフィフの中年オヤジは、秋の3連休を自由自在にたっぷりと満喫することができた。

それにしても、やっぱ自転車旅はエネルギーを消費するようだ。 あれだけ喰って飲んだのに、帰ったら体重が1kg減っていた。
楽しくダイエット。 一石二鳥や!

『遊びをせんとや生まれけむ』 いやあ、本当に好い休みだったなあ! さあ、次はどこ行こう?

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瀬戸内シーカヤック日記: 夏のシーカヤック教室_秋を感じたツーリング

2012年10月06日 | 旅するシーカヤック
2012年10月6日(土) 8月に予定していた『夏のシーカヤック教室』を締めくくる日帰りツーリングが、なんやかんやで10月に実施する事となった。
でも、この日帰りツーリングをやらないと、シーカヤック教室のけじめがつかない感じがする。 今日は、なんとか実施できるといいな。

***

朝、島に向かう途中の海は、風が思ったより強くてザワザワしている。 うーん、これは。。。

出発予定地に到着すると、風裏になっており、思ったより風は弱くてなんとか実行できそうだ。 ホッと胸を撫で下ろす。

10時の出発予定に向け、みんなで準備を開始。
今日は、高校三年生と高校一年生の男子二人と、先生5人、サポートしてくださる経験豊富なカヤッカーの方、そして私の計8人。 楽しみだ。


準備が完了し、『じゃあ、そろそろ出発しますか!』 簡単なミーティングをして、海に漕ぎ出す。

今日は、高校生が一人乗りのシーカヤックが良いというので、急遽私は自艇を彼に貸し、タンデム艇を一人で漕ぐ事にした。

漁港を出ると、少し風がある。 この辺りは、潮が速くて複雑な事に加え、今日は風もあって少しザワつく瀬戸内海。


それでも、シーカヤックは波を乗り越え、順調に進んでいく。

私はしんがりを務めながら、全ての艇を確認し、時折高校生達に『大丈夫かー。 これくらいの波なら全然OKだから、しっかり漕いでー』などと声を掛ける。

そう、海においてはコミュニケーションがとても重要なのである。 初心者や経験が少ない人は、少し荒れてくると不安になる。
不安になると黙りこくってひたすら漕ぐのだが、どんどん不安は募り、心理的な影響や緊張感から体は動きが悪くなってくる。 そうすると、ますます黙りこくるようになる。 荒れた状況では、こんな悪循環があるのである。

そんな時に、声を掛けてもらえ、そして自分も声を出す事で心に余裕ができ、多少荒れた状況でも漕ぎ進むことができるのだ。 実際、ちゃんとしたシーカヤックならかなりのコンディションまで安定して漕ぎ進む事が出来るポテンシャルを持っている。

ボランティアでのシーカヤック教室ではあるが、子供達の安全を確保するという自分の役割として、常に状況を把握し、適宜声をかける事で、多少荒れた状況でも『大丈夫だ』と不安を和らげて漕ぎ進めるようにサポートする事の大切さは、これまでの約20年の経験から身に沁みて分かっているつもり。

***


ザワつく海を、二人の高校生や先生達はしっかりと漕ぎ進み、無事目的地の島へ到着。

少し曇っていはいるが、休日の一時を静かに過ごすのには良い場所である。

***


先生と子供達は、伴走のボートで釣りに出掛け、私たちはお昼ご飯の準備に掛かる。

今日は、昨年同様カレーである。

『やっぱり、外で食べるカレーはおいしいね』 『ほんまですね』

食後のデザートには、おいしい梨も供され、のんびりまったりの島時間。
『おお、風が落ちてきましたね』 海を眺めながら、この夏の出来事などなど、四方山話を楽しんだ。

おいしいカレーに、ジューシーな梨でお腹いっぱい。 『ごちそうさまでした』

***

『じゃあ、そろそろ戻りましょうか』


来た時とは違い、風も治まってべた凪の絶好のコンディション。

高校生の一人が景色を楽しそうに眺めているので、『どや、ここの島は初めてやろ?』 『はい』
『なかなかええ景色じゃろう』 『そうですねえ』

そのまま真っ直ぐ帰るには、あまりにコンディションが良いので、岬を回り込んで少し回り道をしてみた。


『うーん、ここは好いねえ。 なんだか秋の雰囲気だ』


しばし良い景色の海岸線を漕ぎ進み、『じゃあそろそろ戻ろうか』






***

無事に出発した港まで漕ぎ戻り、『お疲れさまでした!』
今日の朝は少しザワついていたが、しっかりと漕いで無事に島に渡り、静かな浜でのんびりまったりと過ごしておいしいカレーを食べ、帰りは絶好のコンディションでパドリングを楽しむことができた。
『あの高校生達に、ほんの少しでもシーカヤックで島に渡ってのんびり遊んで、そして海辺でカレーを食べたんだ、っていう想い出になってくれれば、これ以上の喜びはない』

『やっぱ、このツーリングをやらないと、夏のシーカヤック教室が終わった気がしませんねー』 『来年は、ぜひキャンプツーリングをやりましょう!』
無事に終わってホッとした、2012年の夏のシーカヤック教室。 来年は、どんなプランにしようかな!

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