あるくみるきく_瀬戸内シーカヤック日記

瀬戸内を中心とした、『旅するシーカヤック』の記録

『芸予ブルー』_テーマカラー of 印象派_”瀬戸内シーカヤック日記”

瀬戸内シーカヤック日記: しまなみ連泊ツーリング&『たこもみじ』

2008年04月30日 | 旅するシーカヤック
生名島の『おせったい』を体験した後は、妻と二人でフェリーに乗り込み、因島へと渡る。

因島の小さな町を自転車で巡り、いつもお世話になる銭湯へ。
昭和の匂いのする銭湯で、ゆったりまったりとした時間を楽しみ、潮と汗を流してスッキリ。 『じゃあ、晩ご飯の買い出しに行くか!』

先ほど自転車で町を巡っている時に見つけた、店の前にちょっとした生簀のある、小さいけれど雰囲気の良い、いかにも漁師町の魚屋さんという風情のお店へと向かう。
その小さな魚屋さんは、お客さんがひっきりなしに訪れ、注文に応じて生きた魚を捌いている。 忙しそうだ。

『あのー、刺身は造っていただけるんでしょうか?』 『何が要る?』 『イカを2杯』『うん、今は忙しいけえ、他の魚はだめじゃけど、イカだけなら造ってあげるよ。 ちょっと待ってくれる?』 『ええ、待ちます、待ちます』
『じゃあ、これが終わったらやっとくけん』 『お願いします』

待つ間にスーパーに行き、翌朝の朝食や酒類を仕入れる。

魚屋さんに帰ると、ちょっと落ち着いた様子で、他のお客さんは居なかった。 『戻りました。 どうですかねえ?』
見ると、俎の上には、捌く寸前の烏賊が載せられていた。 そして、『今ならねえ、他の刺身も作ったげるよ』 『じゃあ、お願いします』
***
『ハゲはねえ、メスがほとんど出てしもうたんよ。 お客さんに出すんならメスじゃけど、自分で食べるんならオスでもええよ』 『え、そうなんですか! 何が違うんですか?』 『オスはねえ、お腹の所の赤い身が多いけえ、見た目がようないよねえ。 じゃけえ、お客さんには出さんのよ。 まあ、味は変わらんけどね』
知らなかった。 ハゲの刺身は、お客さん用にはメスなんだ! いやあ、これはいい話を聞いた。

『ああ、メスが居ったわ。 じゃあ、これとこれね』 『それで幾ら位ですか?』と、半分ビビりながら聞くと、『うん。 イカ2杯とハゲ2匹で、1800円かねえ』 『じゃあ、それでお願いします!』
寸前まで生きていたイカとハゲでこの値段、これは安いなあ。

そして、因島でも行われた今日の『お接待の話』などを伺いながら、刺身が出来上がるのを待つ。
『はい、これ』 『ありがとうございました』
***
再び港に戻り、フェリーで生名島へ。

夕食は、先ほど買い込んで来た新鮮な刺身と、差し入れとして頂いたおいしいおでん。

美しいしまなみの景色を眺めながらおいしい夕食を食べ、酒を飲みながら、妻と過ごす静かな時間。
『どう、生名島は?』 『いいねえ』 『俺がここに通う訳が分かるやろ?』 『うん』

シーカヤックを漕ぎ、自転車を漕ぎ、『おせったい』を体験し、地元の銭湯に入り、おいしい魚屋さんを発見し、静かなキャンプ場で二人過ごす時間。 これ以上、何が要る?
『20周年で高級旅館には連れて行かれんかったが、生名島のキャンプツーリングも、これはこれでワシらしゅうてええもんじゃろ?』 『うん。 そうじゃねえ』 
先週、結婚20周年を記念して妻と二人で懐石料理を食べに行ったが、この生名島を訪れる旅も、20周年を記念する最高の想い出になった。
***
翌朝。 今日は、お散歩ツーリングの予定。
キャンプ場の目の前の浜からシーカヤックを出し、鶴島、亀島を巡るショートツーリングへ。

鶴島を回り、以前見つけた『投錨神社』へ。 ちょうど干潮の時間。 海から神社につながる階段の横に、小さな小さな浜ができていた。
『ちょっと、ここで待っていてくれる? 前からここが気になっていたんだ』

フネを降り、階段を上がり、『投錨神社』へ。 へー、こんな風になっていたんだ!
***
再び出発し、『龍神様』で安全祈願。

今日も南西の風が吹いており、生口島と岩城島との間、岩城島と生名島との間の海峡は、ザワザワとしている。
遠出はあきらめ、その後は亀島を回り、平内島へ。
***
キャンプ場に戻り、シーカヤックを片付け、着替える。
その後は、昼の高速船で一足先に帰る妻のために、お昼ご飯のうどんを作る。

妻を港まで送り、三原までの高速船を待つ。 このフネは、気になっていたんだよなあ。 『この船さあ、本当は俺が乗りたい位だよ』

一足先に帰るだけなのだが、それでも港を出て行く船を見送ると、なんだか寂しい感じがするものである。
***
それでも、三原港まで行く船に乗る妻には、大切なミッションを与えていた。
『前にさあ、ラジオで言っていた、『たこもみじ(蛸入りのもみじ饅頭)』を探して来てよ!

夕方、妻から『無事到着』とのメールが来た。 聞いてみると、三原で『たこもみじ』も手に入れたとの事! これは楽しみだ。

じゃあ、Sさんを迎えに行く事にするか。

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瀬戸内シーカヤック日記: しまなみ連泊ツーリング&『おせったい』(1)

2008年04月28日 | 旅するシーカヤック
2008年4月26日(土) 今日から連休。 連休前半は、ブログを通して知り合った『Sさん』と合流して、しまなみを一緒に漕ぐ事になった。
合流するのは日曜日の夕方。 妻はこの土日は空いているという。
『どう、せっかくだから一緒に行かないか? いつもお世話になっている生名島も見せたいし、しまなみを一緒に漕ごうや』と妻に聞くと、『いいよー』との返事。

という事で、土曜日の朝、タンデム艇を積んだステーションワゴンで、おきにいりの『生名島』へと向かった。

ここ生名島は、瀬戸内の中でも特にお気に入りの場所の一つであり、シーカヤックとキャンプを楽しむために年に何度も通う島。 ここの景色は、私のストライクゾーンど真ん中なのである。
***
念願であった、妻を連れての『生名島キャンプツーリング』
キャンプ場に付くと、管理棟へ。 『こんにちは。 今日は、妻と一緒に来ましたよ』と私。 『いつも主人が大変お世話になっています』と妻。
『今日はねえ、子供たちに留守番を頼んで来ましたよ』 すると管理人さんは、『良かったねえ。 なんか新婚さんみたいじゃね。 まあ、ゆっくりしていってください』
***
『じゃあ、ちょっと漕いで来ます』 『気をつけて行ってらっしゃい』 服を着替え、カヤックを浜に下ろし、出艇の準備完了!
『息子たちとは年に一度か二度はキャンプツーリングにいくけど、あんたと一緒に漕ぐのは久し振りじゃのう』 『そうよねえ』

さあ、出発だ。
少し風はあるが、空は明るい。 進路を南に取り、岩城島を目指して漕ぎ進む。
1時間ほど漕ぎ進むと、次第に空一面に雲が広がり、風も強くなって来た。 天気予報では、広島県南部に強風と雷の注意報がでているとの事。 気温も下がり、雲も低くなって来た。
『雷が鳴ったら嫌だから、岩城で昼ご飯を食べるのは諦めて、生名で食べようか』 『うん』

岩城島の小さな浜に上陸してしばし休憩。 岩に腰掛け、海を眺めながらお茶を飲み、おやつを食べる。
***
そこからUターンして、平内島へ。
このエリアでのおススメのスポットである、『平内島の七つ穴(スミマセン、勝手に命名してます)』へと案内。
『どう、ここは瀬戸内では珍しく海蝕洞があるんだよ』 『ここ、いいねえ』

今日は、天候の悪化で予定を変更したが、2時間ほどのツーリングを楽しんだ。
***
カヤックを運び、着替え、昼ご飯の調達のために、お弁当屋さんへ。
キャンプ場に戻り、ベンチに座ってお気に入りの景色を眺めながら、おいしいお弁当をいただく。 『わしゃあ、ここの景色がホンマに好きなんじゃ。 ええじゃろ』

弁当を食べ終わり、管理人さんと四方山話をしていると、地元のおばさんたちが歩いて来た。

すると管理人さんが、その方たちに『おせったい、もらって来た?』 『もろうて来たよ』そして手に持った袋を指差しながら、『これこれ』

『あのお、おせったい/お接待ってなんですか?』 『この時期にね、島のあちこちでお菓子や果物を配るんよ』
袋からちいさなお菓子を取り出して、『こんなお菓子』
『あんたらにも、これをあげるわ。 これも、おせったい。 いいことあるかもねえ』 『ありがとうございます』
***
へえ、この辺りには、『おせったい/お接待』という風習が残っているんだ。 これは良い時に漕ぎに来たなあ。
***
妻と因島の銭湯へ、潮抜きに行く事にした。
『すみません。 いつものように、自転車貸してもらえます?』 『ええ、もちろん』
今日は2台の自転車をお借りして、島の道を走る。 うん、一人旅も良いけど、家族で来るのはもっと楽しいなあ。

島の道を走っていると、『おせったい』を発見!
最初は、小さな祠の前に柑橘類が置いてある。 管理人さんに聞いた通り、小銭を置いて拝み、柑橘類を二つほどいただいた。
『ありがとうございます』

またしばらく走っていると、何か風景が心に引っ掛かった。
『ちょっと待ってー!』と妻を呼び止め、自転車をUターンさせて戻ってみると、奥まった家の前に台が出され、その上にお菓子が!
『やったー。 お接待、見つけたぞー!』 『よう見つけたねえ。 ぜんぜん分からんかったよ』 『嗅覚よ、嗅覚!』

田舎道を車で時速50km/hくらいで走っていても、周辺視野で『つくし』や『わらび』、『タラの芽』を見つける『動体視力』が活かされた。

これぞ、『あるくみるきく_旅するシーカヤック』 たまらんなあ。 ストライクゾーンど真ん中!
よおし、じゃあ銭湯に行くか。

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瀬戸内シーカヤック日記: おでんの『あわもり』、季節限定『たけのこ』のおでん!

2008年04月25日 | Weblog
明日からゴールデンウイーク! 楽しみにしていた連休に突入である。

夕方、お気に入りの飲み屋さんの一つである、おでんの『あわもり』へと向かった。

↑ 以前撮った写真 良い雰囲気の飲み屋さんである ここでは、ネクタイをしている人はほとんど居ない!

夕方、あわもりの暖簾をくぐり、仕事帰りの労働者や、既にリタイアされた方々に混じってカウンターの隅っこに腰掛ける。
『ビール大瓶お願いします。 サッポロで!』

グラスにビールを注ぎ、グイッと飲る! 『おお、やっぱビールはうまいのお』

『かわ。 もらえますか』 いつものように、最初に注文するのは、あわもり自慢の『かわ(皮)』 これが、温かいうちに食べると絶品なのだ。
ゆるく溶かれた『からし』をつけ、少し塩をパラリと振る。 口に入れるとプニュりと柔らかく、コラーゲンタップリ。
うーん、これはやっぱりうまい。 


↑ これも以前撮った写真 この年期の入ったおでん鍋が店の中心である

ビールを飲み、おいしいおでんを食べ、またまたビールを飲む。 ゴクリ、ハフリ。 ぱくぱく、パクリ。

***

しばらくすると、他のお客さんが、『たけのこー!』と叫んでいる???
たけのこ? よく見ると、おでんなべの中に、串に刺されたタケノコが!

『竹の子』あるんですか? 『うん、季節限定でね。 昨日から』 『じゃあ、私もタケノコをお願いします!!!』

皿に載せられた『竹の子のおでん』 うーん、これは初めてだ。 噛むと、シャッキリ、シャキシャキと、タケノコ独特の良い歯応え! そしておいしいおでん汁! 『これはおいしいなあ』

***

『他にも、季節限定のネタはあるんですか?』 『いいやあ、タケノコだけよ』 『そうですか! こりゃあ、ええ時に来たなあ』

時折お店のおばさんと話しながら、おでんを食べ、水を飲み、あわもりを飲む。 『あわもり、もう一杯いただけますか。 そして水も』

他のお客さんは、『おー、そのタケノコ、もう少し入れといてくれえや。 他の客に渡すなよー!』 そう、鍋の中のお気に入りのタケノコの串を指名&予約しているのだ。 こりゃあええなあ。

『じゃあ、私も一本予約してええですか?』 『はいはい!』

しばらくして好い茹で加減になった頃、皿にタケノコがやって来た。 『はい、これ』 待ちかねたように日本酒を頼み、シャッキリ、シャキシャキの歯応えを楽しみながら、日本酒をグビリ。

***

『ごちそうさまでした』 串を数え、あわもりや日本酒を飲んだ数を示すタイルの数を数え、そろばんを弾き、『じゃあ、1650円』
いやあ、安い! 『ほんとうにごちそうさまでした。 今日は、タケノコがあって好い時に来ましたよ!』 『このタケノコのおでんは、本当に短い期間だけなんよ』

さあ、明日から連休だ。

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瀬戸内シーカヤック日記: 周防大島パドリング&内田隊長講演会(2)

2008年04月23日 | 旅するシーカヤック


向かい風の強かった周防大島で漕いで鍛えられ、温泉で潮抜きをし、大畠では隠れた名物である『瀬戸貝うどん』を堪能して、内田隊長の講演会会場へと向かった。
***
夕方、会場の近くのイベントに行くと、瀬戸内横断隊員や、以前カヌーツアーでご一緒させていただいた方々などが居られ、まるで同窓会状態。

挨拶を交わし、近況を報告し、旧交を温めるひととき。

その後、光駅まで車で行って内田さんをピックアップし、会場まで案内した。

17時半開場。 荷物を運んだり、プレゼの準備のお手伝い。

***
ちょっとした事情があり、急遽、講演中に写真のスライドを操作する役目を仰せつかった。

18時に始まった講演会。
日本で昨年成立した海洋基本法から、日本の海洋文化、ハワイ移民の方々の事。
海が関わる地球温暖化の話題。

昔は、『平和』の対義語は『戦争』だったが、今では『地球温暖化』が、平和の対義語になっている。 まさに戦争なんてしている場合ではない。
子供の頃は、家で遊んでいると、『海に行って遊んでこい』と言われたものだ。 それがこの30年間、子供たちを海から遠ざけている。 海を体験する事、海で遊ぶ事で生まれる文化。 それが大事なのだ。

そして後半は、隊長が撮影された横断隊の写真を使いながら、昨年秋の『瀬戸内カヤック横断隊』の旅の紹介。
とても興味深いお話を伺うことができ、あっという間の充実した2時間であった。
***
夜はキャンプ場に移動し、横断隊仲間、カヤック仲間、そして初めてお会いした方々との楽しい宴。
自己紹介から始まり、お互いのこれまでの旅の想い出話。 それぞれのフィールド情報の交換などなど。
これまた、新たな出会いがあり、歳は離れていても同じ匂いのする方々との楽しい会話をつまみに酌み交わすおいしいお酒。
最高の一時!

あっという間に時間は過ぎ、車に戻ってシュラフに潜り込んだ。 いやあ、これは楽しいなあ。 来て良かった!

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瀬戸内シーカヤック日記: 周防大島パドリング&内田隊長講演会(1)

2008年04月20日 | 旅するシーカヤック
この週末は、山口県の光市で、『瀬戸内カヤック横断隊』の隊長である内田正洋さんの講演会がある。

講演会は土曜日の夜。 せっかく山口まで行くのだからと、ステーションワゴンにシーカヤックを積み込み、早朝家を出た。
向かうは周防大島。
***
今日は日帰りツーリング。 シーカヤックを浜に下ろし、安全装備と水だけを積み込んで出発。

今日は風が強いが、北寄りの風でここではオフショア。
漕ぎ慣れたナローブレードのアークティックウインドを相棒に、岸ベタで漕ぎ進んで行く。

それでも山から吹き下ろしてくる風、岬を回り込んでくる風が強く、逆潮もあって、先週末の錦川のんびり川下りとは打って変わって、久し振りに筋肉が鍛えられる感じ。
のんびりまったりツーリングではないが、今日はテントを積まない日帰りツーリング。 これはこれでいいなあ。
***
ほぼ1時間ほど湾に沿って漕ぎ、そろそろ沖合の小さな島へ向かう事にした。 バウを右に振り、斜め後方からの波を切って進んで行く。
島に近付くに従い、次第に風が強くなり、波が大きくなって来た。 空には低く暗い雲が広がり、北東から南西の方向に向けて結構な早さで流れて行く。

それでも島に向けて漕いでいたが、なんとなく、波と風が嫌な感じになってきた。
***
急に気が変って、上げていたラダーを下ろし、ラダーを切り、右スイープを入れ、バウを左に振ってUターン。
その瞬間からどんどん強くなる向かい風の中を、一漕ぎ・一漕ぎ、ワッシ・ワッシと水をしっかりキャッチしながら岸に向けて漕ぎ戻る。

そこからは、再び向かい風の中を、湾に沿って岸ベタルートで出発地点の浜へ。

フネを揚げると、12時のサイレン。 強い向かい風の中、休憩無しでぴったり2時間、しっかりと鍛えられた。
***
上陸して沖を見ると、一面がザワザワとしており、島の回りでは白波が立っていた。
うん、あの時引き返していて正解だった。 危ない状況変化を感じ取る『嗅覚』が、今日はちゃんと機能したようだ。 良かった。

服を着替え、温泉に移動して潮抜き。 心地よい潮湯で、向かい風に鍛えられた筋肉がほぐれて行く。
やっぱ温泉は気持ちええのう!
***

いつもとは違う道を走り、高い所から久賀の町並みを眺める。

これぞ宮本常一の視点。『知らない場所へ行ったときは、高い所に上がって見よ』
***
少し遅めのお昼ご飯は、大畠と言えばここ、『瀬戸貝うどん、瀬戸貝めし』で有名な『ちどり食堂』

暖簾をかきわけ、引き戸をガラリと開けて店へ。 もう午後2時に近く、お客さんはだれも居ない。
『こんにちは』 すると、私を見てニコリとし、『息子さんは合格しちゃった?』
そうか、防府天満宮の帰りに寄ったときの事を覚えていて下さったんだ。 うれしいな!
『ええ、おかげさまで無事に合格しました』 『そりゃあ良かったねえ。 素直な息子さんじゃったもんねえ』

『じゃあ、瀬戸貝うどんをお願いします』 『良いときに来たねえ。 最近は瀬戸貝が採れずに切らしとる事もあるんよ。 今日はあるよ』 『いやあ、そうなんですか。 良かったなあ』

『いただきます!』 貴重な瀬戸貝がたっぷりとはいった、おいしい瀬戸貝うどんを食べながら、おばちゃんと四方山話。

『今日は、大島でカヌーを漕いで、温泉に入って来たんですよ。 少し遅うなるけど、せっかくなんでここでお昼ご飯を食べようと思うて、腹が減ったのを我慢しとったんです』 『そうね』
『今から、光市に行くんですよ』 『そういやあ、昨日のテレビで、光でイベントがあるゆうて言いよったねえ』 『それですよ』

瀬戸貝は高価で、普通ならこんな値段では瀬戸貝うどんは出せないのだが、親戚から仕入れる事でなんとか頑張っておられること。 休日の過ごし方、長門の温泉の事、家族の事。 最近の物価高の事、橋ができた当時の事などなど。 楽しい一時。
『ごちそうさまでした。 おいしかったです。 今度はぜひ、夜に飲みに来たいなあ』 『まあ、遠いけんね。 来れたらきんさい』 『はい』
***
しっかり漕いだし、温泉も入ったし、おいしい瀬戸貝うどんも食べた。 じゃあ、講演会に行くか!

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瀬戸内シーカヤック日記: 春の錦川、お花見リバーツーリング

2008年04月12日 | 旅するシーカヤック
2008年4月12日(土) 春になり、暖かくなって桜が咲く時期になると、無性に錦川を下りたくなる。

久し振りに『アクアテラのスペクトラム』を引っ張り出し、カートップして錦川へ。
1992年にカヌーを始めた時は、中古のフジタカヌーのSG1(シーグース)というファルトボートで海や川を漕いでいた。
***
シーカヤックをやるにしても川下りのテクニックが役に立つと言う事を本で読み、島根にできたばかりの『カヌーの里おおち』のスクールやツアーに通ったものだ。
初めてカヌーの里のイベントに参加したのは、当時は年に何度もカヌーの里を訪れておられた『ローリーイネステイラーさんと堀田貴之さんが指導役を務めるリバーツーリングスクール』
今思えば、とても贅沢なリバーツーリングスクールであった。
 
↑ これらの写真は、ローリーさん、写真家の梅田さん達と江ノ川の中流域を下った時の想い出の写真

ローリーさん。 カヌーツーリングやシーカヤックツーリングに対する考え方やノウハウ、そして自然に対する接し方などなど、何度もご一緒させていただいた江ノ川の河原で、いろいろ教えていただきました。 本当にありがとうございました。

***

川下りを楽しみながらも、海に出る機会が多くなって来た事から、その次に購入したのが、当時の定番の一つであった『アクアテラ・スペクトラム』
当時のシーカヤックは、ポリ艇である『アクアテラ・チヌーク』が定番で、スピード派は『アクアテラ・シーライオン』、そして海でも川でもという『アクアテラ・スペクトラム』という、今では考えられないようなポリ艇主体のラインナップ。
悩んだ私は、短いので海も川も両方使えて、しかもカートップが容易だとう理由で、『スペクトラム』を選んだのだ。

その後、スペクトラムで倉橋島~保高島まで片道7km(往復では14km!)ほどの海峡横断などもやっていたが、今思うとちょっと無謀だったかも。
海でも川でも使えると言う事は、結局海(シーカヤックツーリング)でも川(ダウンリバー)でも使えないという事だと思う(私の場合、瀬遊びしながらの川下りはダウンリバー、のんびりまったり川下りはリバーツーリングと言葉を使い分けています)。
そのためその後、海旅用には『カレントデザインのソルスティスSS』を、ダウンリバー用には『ダンサープロライン』を購入(どちらのフネも、今ではもうカタログに載っていない古いモデルになってしまった!)。

そんなこんなで、今では年に数回のリバーツーリング専用となってしまった『スペクトラム』
今日は残念ながら日帰りツーリングだが、スターンには防水の隔壁もあり、最小限のキャンプ道具を積んで、のんびりまったり川を下るにはちょうど良いフネである。

***

スタート地点である『南桑』の川辺に、カヌーと道具一式を置き、ゴール予定地である『南河内』へ移動。

↑ 駅の周辺は、黄色い菜の花と、桜のコントラストが美しい

↑ 錦川清流線の列車は、新型車両になってきれいになっていた。 驚き!

↑ 川沿いを走る列車からは、錦川の景色が堪能できる。 瀬の状況を確認するのにもぴったりだ。

***

南桑で列車を降り、カヌーを置いた河原に向かう。 着替えて荷物を準備し、出発!

今日は暖かくて、パドリングジャケットも要らないほど。 念のためにヘルメットを着用し、久し振りの錦川を下っていく。
数日前に降った雨で水量は適度にあるが、濁りはそれほどでもない。 今日は、絶好のツーリング日和。

お昼になったので、桜と菜の花がきれいな河原に上陸し、お昼休みにする。

コンビニで買って来たお弁当と、水筒に詰めてきた温かいお茶。 うん、うまい。

***

昼食を終えると、再び川面に。 春のうららの錦川。 ゆるやかな流れに乗って、爽快に下っていく。
川沿いには、桜。 そして菜の花。 こんなに天気がよいのに、他にカヌーでツーリングをしている人を見かけない。 最近は、カヌー人口が減っているのかなあ?


漕ぎ出してから約3時間。 沈下橋を越えてゴール予定地の河原に到着した。 やっぱたまには川下りも楽しいな。
春の錦川、お花見リバーツーリング。 おススメです!

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瀬戸内シーカヤック日記: 春のしまなみ、お花見キャンプツーリング(2)

2008年04月08日 | 旅するシーカヤック
2008年4月5日(土) シーカヤックを漕いで岩城島に渡り、海抜0メートルから歩く事1時間半で積善山の山頂へ。
360°の瀬戸内の眺望と7分咲きの桜を堪能。 山を降りて再び海を漕ぎ、平内島での偶然のカヌーイストとの出会いと浜でのお茶席を楽しんで、ベースキャンプに戻って来た。

↑ お気に入りのキャンプ場

***

『山に登って汗をかいたので、因島の銭湯に行ってきます』と私。 『じゃあ、自転車を使う?』と、私の行動パターンをお見通しの管理人さん。 さすがである!
『ありがとうございます。 助かりますよ』 『ゆっくりして来てくださいね』 ありがたいことだ。

自転車を漕いでフェリー乗り場に行き、110円を払って因島へ。
今回は、風呂に入る事を想定していなかったので、入浴道具一式を持って来なかった。 スーパーに行き、100円ショップでタオルを購入してお風呂屋さんへ。

↑ 因島の銭湯(写真は前回訪れた時のもの)

昭和の雰囲気がしっかりと残っている銭湯の暖簾をくぐり、番台で400円を払う。 脱衣所で着替え、まるで骨董品のような渋い木製ロッカーに荷物を入れて風呂場へ。

先客は、年配の方が一人。 軽く会釈をして浴槽に浸かる。

しばらくの間、お互い無言で浴槽に浸かっていたが、そのうちその方が一言、『にいさん。 ぬるい事ないですか?』
『ああ、ぬるかったら熱い湯を入れていただいていいですよ』 『そうでっか』
それから、会話が始まった。

『にいさんは造船関係?』 『いいえ、今日は呉から生名島に遊びに来たんですよ。 岩城島に遊びにいって、積善山に登って汗をかいたので、銭湯に入りに来たんです』 『ほお、わしゃあ岩城の生まれなんよ』 お話を伺うと、その方は岩城島で生まれ育ち、大坂に出てから40年ほど経つそうだ。

因島にある家の事。 毎年、年に2回ほど因島と岩城島に帰ってくる事。 岩城島の昔の様子。 因島の造船所の移り変わり。
今でも大坂では週に3度は通うと言う温泉の話などなど。
お湯に浸かり、湯船から出て体を冷やし、それを繰り返しながら様々なお話を伺う。

私が風呂道具を持って来ていないのに気づかれ、『にいさん。 わしの石鹸を使いんさい』 『ありがとうございます。 じゃあ、遠慮なくお借りします』

お借りした石鹸で体を洗っていると、『あんた、タオルに石鹸を付けてしっかり洗わんと』 『はい、じゃあもう一度お借りします』 本当にありがたいことである。

頭と体を洗い、再び湯船につかる。 『ありがとうございました。 おかげさまで、すっきりしましたよ』

***

途中からは地元の年配のお客さんも加わって話に花が咲いた。 あっという間の1時間。
『じゃあ、お先に失礼します』と、銭湯を後にした。

やっぱ銭湯はいい。 あるくみるきく_旅するシーカヤックでは、地元の銭湯は外せないなあ。

***

スーパーに寄り、夕食の食材を買い出して、キャンプ場に戻った。

↑ いつもお世話になる『いきなスポレク15号!』(これも前回の写真@フェリー乗り場)


↑ キャンプ場からの夕日

***

翌朝。 6時過ぎにシュラフから這い出した。 今朝も晴れの良い天気。
朝食をすませ、着替え、シーカヤックを浜に下ろして『朝のお散歩ツーリング』の準備完了。

今朝は、生名島を軽く一周してみるか!
浜を漕ぎ出し、時計回りで海岸沿いに漕いでいく。 潮は動き出しており、複雑な潮流の中を、よく観察しつつ漕ぎ進む。

↑ 生名島の南端にて。 目の前には、昨日登った標高370メートルの積善山が見える

出発から約1時間半。 無事、出発した浜に戻って来た。

***

海を眺めながらしばし休憩し、荷物を片付け、準備完了。
『じゃあ、そろそろ帰ります。 また遊びに来ますから』と私。 『また、遊びに来てくださいね』と管理人さん。

春のしまなみお花見キャンプツーリング。 漕いで、歩いて、花見をして。 偶然の出会いと浜でのお茶席。 そして銭湯での語らい。
ああ、ほんとうに好い旅だった! 

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瀬戸内シーカヤック日記: 春のしまなみ、お花見キャンプツーリング(1)

2008年04月06日 | 旅するシーカヤック
2008年4月5日(土) この週末は、お気に入りの”しまなみ”で、『シーカヤックで行くお花見ツーリング』を楽しむ予定。

土曜日の朝、いつもより少し早めに家を出て、今回もベースキャンプ地としてお世話になる生名島へ。

今日は漕ぐのは、ほんのちょっぴり。 今日のメインは、生名島の隣にある、青いレモンの島としても有名な『岩城島』の桜の名所、『積善山』への山登り。

*** 海を渡って岩城島へ ***


いつもの浜から漕ぎ出し、春の海を小さな手漕ぎ舟で渡っていく。
港に近い、小さな浜にシーカヤックを引き揚げ、バウから取ったロープで、シーカヤックが流されないように舫う。
ここからは、歩きだ。 海抜0メートルの世界から、370mの山頂へ!

今日は少し霞んではいるが、晴れで絶好のお花見日和。
気温も上がり、スカノラックは脱いだものの、下はニッカボッカに見えるパドリングパンツと、長靴のようにも見えるパドリングブーツ。 そしてサングラス。
そんな怪しい姿で、汗を拭き拭き、山道をひたすら登る。
 
この積善山は、お花見の名所の様で、曲がりくねった狭い山道を多くのクルマが上っていく。 歩いて登る人も少なくない。
登るほどに展望が開け、しまなみの景色が楽しめる。

*** 頂上へ ***

歩く事、約1時間半。 最後の登りは急勾配だ。 年配の方は、手すりを持ち、息を切らせながら登っておられる。
ようやく積善山の頂上に到着。 370mの山頂にある展望台からは、360°の瀬戸内らしい景色。
 
景色を眺め、写真を撮る。 山の上では、桜は7分咲きといった感じ。 来週辺り、満開になるのだろう。
少し降りた所にあるベンチに座り、海を眺めながら、持参したお弁当を食べる。
岩城島には何度も漕いで渡って来たが、積善山に登ったのは初めてだ。 念願の頂上に、それも桜の時期に来る事ができ、大満足。

*** 平内島へ、そして思わぬ出会い ***

登って来た道を戻り、再び海抜0メートルの世界に。
浜では、小さな男の子とお母さんが遊んでいた。 フネを下ろし、PFDとスプレースカートを付け、シーカヤックが気になっている様子の男の子に『バイバイ!』と手を振って浜を離れる。 男の子とお母さんも、手を振って見送ってくれた。

帰りは、平内島を回って帰ろう。
ここは、海岸沿いの地形が面白く、小さいながらも、人が通れるくらいの洞窟もあるのだ。

漕ぎ進んで岩を回り込んだ所で、一艘のカヌーが居た。 コールマンのカナディアンに二人。 湾内でフネを停め、平内島独特の海岸を見ておられた。

『こんにちは』 お互いに挨拶を交わし、しばし四方山話。 お話を伺うと、地元の方との事。
『いやあ、瀬戸内を漕いでいても、なかなか他のカヌーやカヤックに遭う事って少ないんですよね』と私。 そう、三浦半島や伊豆は別にして、瀬戸内では一部を除いて他のシーカヤックに出会う事はあまりない。 シーカヤッカー人口が比較的少ないのの加えて、楽しめる海域/コースが多くあるのがその理由だろう。 静かに旅を楽しみたいシーカヤッカーにとっては、恵まれたエリアであると言える。

『ちょっとお茶でもどうですか?』 『ありがとうございます。 じゃあ、遠慮なくいただきます』 裏の浜に移動し、フネを揚げる。

一人の方がお茶の準備をしておられる間、もう一人の方と話していると、『あの、ホームページやっておられますか?』
『ええ、ブログですけど。 ご存知ですか?』 『見た事があります。 冬でも漕いでおられますよねえ』

世間は狭いものである。 こんな所で、私のブログを読まれた事がある方とお会いするとは。 でもやっぱりうれしいな。

話をしながら準備されたのは、なんと『抹茶』! 茶碗と茶筅を持参しておられたのである。 うん、春のお花見ツーリングにぴったりではないか。
お菓子は、もみじ饅頭。 もみじ饅頭を食べ、抹茶をいただく。

お茶をいただきながら、様々な興味深いお話を聞かせていただいた。 それにしても、この近くに家があるとはうらやましい限り。 ほんのちょっと漕ぐだけで、こんなに良い場所でのお散歩ツーリングを楽しめるのである。
やっぱ、瀬戸内、そしてしまなみは好いなあ!

『ごちそうさまでした。 また、お会いできるのを楽しみにしています』

*** ベースキャンプへ ***

お二人と別れ、平内島を一周して、生名島のベースキャンプに戻って来た。
フネを揚げ、荷物を片付け、着替えてキャンプの手続き。

『すみません。 山に登って汗をかいたんで、因島の銭湯に行ってきます』 『じゃあ、自転車使う?』と管理人さん。
『ええ、お願いします。 助かりますよ』 と言う訳で、今回も『いきなスポレク15号』にお世話になる事に。

『じゃあ、行ってきます』 『気をつけて。 ゆっくりして来てくださいね』
***
漕いで、山に登って、花見を楽しんで。 そして海での偶然の出会い。 今週末も、なかなか好いスタートだ。

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