あるくみるきく_瀬戸内シーカヤック日記

瀬戸内を中心とした、『旅するシーカヤック』の記録

『芸予ブルー』_テーマカラー of 印象派_”瀬戸内シーカヤック日記”

瀬戸内シーカヤック日記: ロードスターで沖家室島へ一泊旅行(2)

2008年09月27日 | 旅するシーカヤック
2008年9月21日(日) 沖家室の民宿、『鯛の里』でおいしい魚料理を堪能した翌朝。
今日は、ボランティアガイドの方に東和町の案内をお願いすることになっている。

朝から、雨が降ったり止んだり。 あがってくれると良いのだが。
***
鯛の里を辞し、周防大島文化交流センターへと向かう。
途中、ふと思いついて片添の浜に降りてみた。 するとそこには、見た事のある車とトレーラーが。
そう、この週末は、ダイドックの周防大島キャンプツアーがあるとHPに出ていたので、もしやと思ってこの浜に寄って見たのである。

だが浜にテントが無い。 ケータイで電話をかけてみると、前夜は近くの島でキャンプして、浜に戻って来ている途中との事。
9時からガイドの方をお願いしているので、『じゃあまた、気をつけて!』
***
周防大島文化交流センターの駐車場で、今日ガイドをして下さるTさんとお会いした。
『おはようございます』 挨拶を交わし、興味のあるテーマや見てみたい場所についてお話しして、Tさんがルートを決めて下さった。
『天気が良ければ白木山に行ってみるんですが、今日はこの天気。 上がっても景色が見えないので、まずは下田八幡宮に行きましょう』 『はい、よろしくお願いします』
***
車に同乗させていただき、下田八幡宮へ。
『こんな近くにあったんですね。 いつもこの前の道はクルマで通っているんですが、気が付きませんでした』

お話を伺うと、昔はこの鳥居の前は遠浅の浜だったそうだ。 今は埋め立てられて、当時の面影は無い。
階段を登り、そこで昔の様子を聞かせていただく。
『ここは、昔は広い場所だったんですよ。 近くの学校の運動会をやったりもしていたんです』 『ここには小高い丘もあったんですが、近くの池を埋め立てるのにその土を使って平らになりました』

宮本常一も遊び場にしていたと言う、下田八幡宮の昔を想う。

『本の中に、ドングリ合戦というのが出て来るんです。 でもね、そのドングリというのは、実は松ボックリのことなんですよ』
『この神社は、近くの大工さんが細工をしてるんです』『それって、長州大工ですよね』 『ええ、そうです』 『以前、沖家室の泊清寺さんで、立派な細工がされているのを見せていただいた事があります。 あれは凄いですねえ』
***
境内をグルリと巡りながら、お話を伺う。
ふと、なんだかいつもと違う感じを受けた。 『あの、こちらが表ですか?』 『はい』
そう、ここは、下の道から鳥居をくぐり、階段を登っていくと、神社の裏手になるのである。 これは珍しい!

『いやあ、海に近い他の神社では、海側から参拝するようになっているのが多いと思うんですが、ここは逆なんですね』 『そう、こちらが表ですね』
『このあたりは、もしかして漁師さんは少ないんですか?』 『ええ、ほとんどは農業や養蚕、大工さんだったようです』
『なるほど。 漁師さんが多い集落なら、おそらく海から参拝できるようになっていたはずですよね』 『そうですね。 気が付かれたように、この神社の南側にある集落の人々がお参りした神社なんです』
***
クルマでその付近を案内していただいた後、服部屋敷に近い真宮島へ。
少し雨が落ち始めたが、『ちょっと行ってみますか?』 『はい、ぜひお願いします』
『今日は、ちょうど干潮の時間なので、沖の島まで歩いて行けると思いますよ』
島へとつながる道を歩きながら、昔の様子や、真珠養殖を行われていた頃のお話を聞かせていただく。

『ここです。 宮本常一の写真で、おばあさんが孫を連れて薪を取りに行ったのが向こうの島です』
『いやあ、やっぱりクルマを降りて歩いてみると、いろいろ見れて好いですねえ。 いつもは周防大島にカヌーを漕ぎに来るんで、なかなかゆっくり歩いて廻る機会がないんですよ。 今日は良かったです』
***
きれいな海を眺めながら四方山話。
『私たちは、特に決めたルートはないんです。 お客さんの希望に合わせて案内しています』 『あの、この近くに村上水軍の墓があると聞いているんですが』 『ええ、ありますよ。 行ってみますか?』
『いいんですか?』 『ええ、まだ時間はありますから。 せっかくだから行きましょう』
***
移動の車中で、村上水軍の話しを聞かせていただく。 それにしても、よく勉強されているなあ。 感心しきりである。
クルマを停め、少し歩くと村上武吉の墓のあるお寺に到着。 『いやあ、ここは案内していただかないと、なかなか分かりませんね』

お寺はちょうど改修中。 ご好意で中も拝見させていただき、村上武吉の仏壇も見せていただいた。 また、お墓も立派である。

少し離れた所にある、村上家の別のお墓も訪問し、Tさんから様々なお話を伺った。
『じゃあ、これで帰りますか』 『はい。 本当にお世話になりました。 周防大島にカヌーを漕ぎにくる時は、なかなか町を歩いてみる事が少ないんで、今日はとても良かったです。 ありがとうございました』
***
沖家室の民宿でおいしい魚料理を堪能し、また宮本常一と村上水軍の足跡を巡った周防大島ドライブの旅。 大満足。
また遊びに来たいなあ。

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瀬戸内シーカヤック日記: ロードスターで沖家室島へ一泊旅行(1)

2008年09月21日 | 旅するロードスター/アテンザ
2008年9月20日(土) この週末は、妻と二人で周防大島&沖家室島を楽しむ一泊ドライブ旅行。
***
山陽自動車道を降りて快適な一般道を走り、周防大島に入る手前でちょうど昼前。

お昼ご飯は、大畠に来るといつも立ち寄る『ちどり食堂』
ガラリと扉を開け、『こんにちは』 すると、『おや、こんにちは。 今日はねえ、残念ながら瀬戸貝がないんよ』
『そうですか。 最近は、瀬戸貝が無い事もあると聞いてたんで、無かったら他のものを食べてみようと思って来たんですよ』

妻と並んでカウンターに座り、メニューを眺める。 『日替わり定食は何ですか?』 『今日は、メバルの煮付け』
『じゃあ、日替わり定食とラーメンをお願いします』

調理されているあいだ、瀬戸貝の話しや夏の間の様子、おばちゃんの休日の過ごし方などなど、楽しい四方山話。
『息子さんはどう?』 『はい、上は研修も終わって仕事してますよ。 下は、宿題やら試験やらいうて、勉強が忙しそうです。 クラブも頑張ってますけどねえ』 『ほうね、それは良かったねえ』
『はい、親が一番気楽に遊んでますよ』と笑う。

『そうそう、前に、あなたの知り合いじゃと言う人が来たよ』 『ええ、聞いてます』 『見たらクルマにカヌーが積んであったから聞いてみたんよ』 『そうなんですか。 他にも、自転車で訪ねて来た人も居るんですよ』

カウンターにラーメンと日替わり定食が並んだ。 『いただきます!』
妻が頼んだ日替わり定食には、メバルの煮付けが二匹と、肉じゃが、みそ汁、そして見た事が無いものが。
『おばちゃん、これは何ですか?』 『これは、トリ貝のひも』 『そうなんですか。 うん、ウマい。 (笑いながら)これはビールが欲しくなるなあ』 するとおばちゃんも笑いながら、『今日はクルマじゃけだめじゃねえ』

『ごちそうさまでした。 また寄りますよ』 『気をつけて行ってきんさい』 『はい』
***
今日は、これまで行った事が無い所に行こう!
まずは嵩山へ。 くねくねと曲がりくねった細い山道を、ローギア、セカンドギアでゆっくりと登って行く。

頂上からは、北側と南側のいずれも眺望が開けており、絶景である。 『ここはいいねえ』
休憩所のテーブルに座り、途中で買い込んで来た飲み物とお菓子でおやつタイム。
***
山を下りると、次は星野哲郎記念館へ。

きれいな建物。 中は演歌の世界なので、お客さんの年齢層も高い。 入口近くにあるシアターでは、十数分の映像で、北島三郎の演歌が堪能できる。 うん、サブちゃん、やっぱりいい。 海の男は演歌やのう。
これまで知らなかったのだが、私が好きな『男はつらいよ』の主題歌も、星野哲郎さんの作詞であった。
***
片添に寄り、フラのイベントを少しだけ見学。
 
夏の名残がたっぷり残った美しい浜を前に、ハワイの音楽が流れ、フラが踊られる。 のんびりまったり、なかなか良い雰囲気である。
***
夕刻、沖家室島へ。
 
今日の宿は、『鯛の里』
ちどり食堂のおばちゃんに、今日は沖家室の鯛の里に泊まるんですと話すと、あそこは食べきれんくらいのおいしい魚料理を出すらしいねえと言われたくらい、魚料理で知られた民宿である。 また、宮本常一ファンにも有名な宿。

ガラリと戸を開け、『こんにちは。 今着きました。 よろしくお願いします』
ここにお世話になるのは2回目である。 以前は、シーカヤック仲間であるエルコヨーテさん、エクストリームNさんと共に、カワノヨシオさんのルーツを探すためにやってきたのだ。
***
お風呂に入ってさっぱりと汗を流し、待望の夕食。 妻に、ここの魚料理をぜひ食べさせたかったのだ。

食事をとる部屋に入ると、刺し盛りがドーンとおかれていた。 『これはすごいねえ』 『ここは、ほんとうに魚がうまいんだよ』
鯛、おこぜ、そしてカワハギ。 それとは別に大きなサザエ。 この刺身だけでも来た甲斐があるというものだ。
***
『じゃあ、カンパーイ!』
 
ビール、刺身、ウチワエビ、ころころサザエ。
 
妻が一番楽しみにしていた『アワビ』 一つは刺身で、もう一つはバター焼きで。 そしてアラ煮、炊き込みご飯。
最高の贅沢である。
***
途中からは、松本さんも一緒にお酒を酌み交わし、昨年のホクレア号の話しで盛り上がる。
私が知らなかった、周防大島でのナイノア船長とのエピソードなど、興味深い話しも聞かせていただいた。 また、もちろん宮本常一の話しも。
飲んで、食って、会話して。 楽しい夜は更けて行く。

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瀬戸内シーカヤック日記: タンデム艇で大崎下島キャンプツーリング(2)

2008年09月19日 | 旅するシーカヤック
2008年9月15日(月) 朝5時、スピーカーから流れてくる大きな音で目が覚める。
中山間地と島嶼部の七不思議の一つ、早朝と夕方に町に流される大きな音のメロディーである。 みんな目覚まし時計は持っているはずなのに、なんで。。。
***
テントから這い出すと、まだ雨は降っていない。 天気予報を聞いてみると、昼前までは曇りの予想。

でも空を眺め、空気の湿り気を肌で感じる限り、いつ雨が降り出してもおかしくない雰囲気。

ゆで卵とウインナー炒め、そしてパンという簡単な朝食の準備をしていると、息子が起きて来た。
『おはよう』 『うん、おはよう』
***
朝食を腹に収め、コーヒーを飲み、ゆっくりと朝の時間を過ごす。
二人で道具を片付け、テントを畳み、パッキングして行く。
『雨が降って来る前に、早めに出発しよう!』

***
今日は風が無いので、昨日と同じ南側ルートを漕ぎ戻る事にした。
7時半、出発。 『目標は、9時半に蒲刈の浜に戻ること』
***
どんよりとした曇り空の下、ペアのアークティックウインドで淡々と大崎下島の南岸を漕ぎ進む。

大崎下島を超え、豊島に渡る海峡を漕いでいる時に、雨が降り始めた。 『だいじょうぶ、しっかり漕いで行こう』

豊島の南岸を漕ぎ進み、最後の海峡横断、蒲刈までの島渡り。
北側を見ると、妖し気な雲が掛かり、風も少し強くなりつつある。 雨も、だんだん強くなって来た。
でも幸い雷は鳴っていない。 昔、四万十川を下っていた時に雷が激しくなり、泣きそうになりながら漕ぎ下った時のトラウマから、雷だけは勘弁してほしいのだ。
『ようし、対岸まで渡ればなんとかなるから、ここは一丁頑張ろう!』

『エイサ、ホイサ。 エイサ、ホイサ』 声を掛けながら、パドリングのピッチを合わせ、かなりのスピードで漕ぎ進む。
次第に雨は強くなるが、まだ雷は聞こえて来ない。

『エイサ、ホイサ。 エイサ、ホイサ』 無事、蒲刈の岸沿いに到達した。 『ここまで来れば、大丈夫。 なんとでもなるさ』
***
9時半過ぎ、無事に県民の浜の到着した。 『お疲れさま!』 『あー、疲れた』
途中でおいしいうどんを食べて家に戻り、道具を片付けると息子と一緒に近くの銭湯に行く。
『やっぱ銭湯は気持ち良いなあ』 『うん、だいぶ楽になったよ』

家族と過ごした充実した3連休。 さあ、秋はこれからだ。

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瀬戸内シーカヤック日記: タンデム艇で大崎下島キャンプツーリング(1)

2008年09月15日 | 旅するシーカヤック
3連休の後半は、今年から社会人になった長男と大崎下島へのキャンプツーリング。 彼と一緒に漕ぐのは、祝島ビワ狩りツアー以来である。
***
土曜日。 3連休初日は、妻と一緒に映画を見に行く。 ロードスターの幌を降ろし、バルト11へ。
今日のお目当ては、本日が公開初日となる『パコと魔法の絵本』
この映画は面白い! 好き嫌いはあるだろうが、妻と私のストライクゾーンにビシッと入る快作であった。
***
映画から帰るとしばし休憩し、翌日から出発するキャンプツーリングの準備に取り掛かる。

大人二人がゆったりと寝る事ができるテント。 まだシュラフは要らないなあ、シルクのシーツとインナーシーツだけにしよう。
PFD、スプレースカートを2セット。 パドルは『アークティックウインド』を2セット準備する。 ツーリングには、なんといってもこのナローブレードで長いパドルが好いのだ! その長さは、270cm。

メニューを決めて近くのスーパーへ歩いて買い出しに行く。 ようし、準備完了。
***
2008年9月14日(日)
朝起きてPCで天気予報をチェックすると、今日は晴れだが明日は雨とのこと。
雨とはいっても、それほど強く降るわけではなさそうだ。 波の高さも0.5mの予想。 うん、これならいいだろう。

蒲刈のいつもの浜で出発の準備。 シーカヤックを運び、荷物を運び、パッキング。
『ようし、じゃあ行こうか!』 今日は風もなく、海も穏やか。
『今日はだいたい2時間くらいの予定。 急がなくていいから、前に言ったように漕ぎ方に気をつけて。 ゆっくりと、でもしっかりと水をキャッチするように』

『今日は大潮だけど、今はちょうど潮止まり。 この辺りは潮流が複雑なんだ』 『正面が豊島。 その奥が大崎下島』
初めてこの辺りを漕ぐ彼に、このエリアの事を説明しながら漕ぎ進む。
『右に見えて来たのが斎島。 ここが呉市の最南端。 昔はアビ漁で有名だったんだよ』

ペダルの位置がなんだかフィットしないというので、途中の浜に一度シーカヤックを揚げ、ペダルを調整。
『どう、これくらいで』 『うん、好い感じ』
***
以前は、タンデム艇で長男と漕ぐ時には『アークティックウインド』は使わせなかった。 細いが270cmもあるこのパドルは、キャッチがとても良いのだが、人によっては抜けるような感じがすると言って嫌う人も少なくない。

そのため、オーソドックスなワイドブレードパドルで漕がせていたのだが、今年の5月連休に日本海に行ったとき、試しにアークティックウインドで漕がせてみたら、彼はこの方が漕ぎやすいという。
スターンを漕ぐ私の方も、同じ長さのパドルだとピッチが合うので、パドリングのリズムが合わせやすいという大きなメリットもある。 それ以降、彼と漕ぐ時には、ペアでアークティックウインドを使う事にした。
今日も同じ長さのパドルを使う事で、自然に心地良いピッチで漕ぎ進む事ができる。 アークティックウインドは見た目も美しいし、うん、やっぱり好い感じだなあ。 タンデム艇にはこれである!
***
『あそこの防波堤を回り込んだら今日のゴールだ』 予定通り、約2時間のパドリング。
荷物を揚げ、シーカヤックを揚げて、まずはお昼ご飯。 『ちょっと待ってて、ビール買ってくる』 『コーラがあったら一緒に買って来てよ』 『OK』
近くの商店でビールをコーラを買い込むと、ベンチに腰掛け、海を眺めながら買って来たお弁当を頬張る。

食後は御手洗の町を散策。 ここでは、古い町並みを歩いて楽しむことが観光のメインである。

夕方まで、ターップリと時間があるので、大長まで足を伸ばしてみた。 宇津神社にも参拝する。
***
商店でジュースを買い、日陰となる雁木に腰掛け、大長の港を眺めながらしばし休憩。

『あそこに見える青い舟。 あれが農船って言って、ここの人たちが近くの島にミカンの出作に行く時に使う舟。 漁業用じゃなくて、農作業用の舟なんだ』
***
のんびりまったり散策し、島時間を堪能。
キャンプ地に戻り、日陰でゴロリと転がった長男は、いつの間にやら気持ち良さそうな寝息を立てていた。
その横に私も転がり、海を眺めながらラジオを聞いたり、本を開いたり。 のんびり、まったり。

***
夕方5時前。 そろそろ夕食の準備を始めるとするか。
彼にも手伝ってもらいながら、簡単な夕食をつくる。

ミートソースをかけたパスタ。 小さなステーキ。 ゆで卵。 そして冷や奴。 『どう、こんなもんでええか』
『うん、充分』 私はビール、彼は水で食事。 よく冷えたビールが、最高に『ウマい!』

ゆっくりと食事をしていると、岡村島の上に月が昇って来た。 そう、今日はお月見だ。

『きれいやのう』 『外でご飯を食べるのはいいねえ』 『たった2時間じゃけど、自分達の力で漕いで島に渡ってキャンプするちゅうのは、ええもんやろ』 『うん』

酔眼に、中秋の名月が美しい。 ビールがウマい、月がきれい、月光に照らされて妖しく光る海がなんとも美しい。
息子と過ごすキャンプツーリングの夜。 来て良かった。

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瀬戸内シーカヤック日記: しまなみキャンプツーリング(2)

2008年09月10日 | 旅するシーカヤック
弓削島一周ツーリングを終え、シーカヤックをキャンプ場に運ぶ。 そうこうしているうちに、管理人さんがやって来られ、キャンプ場の利用手続きを済ませる。 『また、お世話になります!』
今年の夏のキャンプや海水浴の利用状況や、生名島の最近の様子などなど、四方山話をしながら書類に記入。
今日も、ここに泊まるのは私一人。 夜は、宿泊施設で合宿されている方々がバーベキューに来られるとのことだが、それまでの時間と、その後の時間は独占状態。 たっぷりと楽しもう。
***
暑い中、久し振りに25kmオーバーとなったツーリングで疲れもあり、簡単な食事で済ませる事にした。 乾いた喉は、豪華な食事よりも、冷えたおいしいビールを待っている。

ソフトクーラーバッグに氷を入れてギンギンに冷やした『エビスビール』を取り出し、プルタブを『プシュッ』
缶から直接飲むのではなく、カップにビールを注ぎ、細かい泡で蓋をした状態で『ゴクリ』と飲る。
『うーん、最高!』 『グビリ』

生名島で穫れたという差し入れのキュウリをオピネルでざっくりと切り、海人の藻塩をパラリと一振りしてガブリとやる。
エビス、そして生名島産のキュウリ。 買って来たコロッケをサクリ、そしてスーパードライをゴクリ。
こうして、独りの夜は更けて行く。
***
2008年9月7日(日) マットの上にゴロリと寝ていたが、朝方、さすがに少し涼しくなってインナーシーツに潜り込んだ。
しばし、休日の朝の2度寝を楽しむ。

6時過ぎ。 起き上がるとまずはお湯を沸かし、インスタントのチャイ。 朝食は、かき揚げを乗せたうどん。

食後のコーヒーをゆっくりと楽しみ、朝のお散歩ツーリングの準備にかかる。
***
シーカヤックを浜に運び、準備をしていると、地元のおじさんが散歩に来られた。
『おはようございます』 『こんにちは。 今日はどこまで行くん?』
『はい、今日は呉に帰るんで、朝ちょっとだけ、鶴島や亀島辺りを散歩しようと思っています』 『そう、呉から来とるん。 いつも、カヤックを持って来よる人が居るなあと思うとったんよ』
『そうですか。 この島が好きで、よくこのキャンプ場に泊まらせてもらって、岩城島を回ったりしているんです。 昨日は、弓削を一周して来ました』 『おお弓削を。 遠かったじゃろう』 『はい、約4時間ほどかかりました。 暑かったですしねえ』

『この辺りは国立公園じゃし、あの亀島は特別指定されておるから、建物なんかも立てられんし、景色が変わらんよお』 『そうですか、それは好いですねえ。 このまま残ってほしいものです』
『ここらは、潮も速いじゃろう。 まあ、そのカヤックはスピードがでるから大丈夫じゃろうけど』 『ええ、ここらはほんまに潮流が複雑ですね。 まあ、今日は小潮なんであまり影響無いと思います』
『まあ、それじゃあ気をつけて』 『ありがとうございます』
***
さあ、定番の朝のお散歩ツーリングに出発だ。

平内島をグルリと周り、亀島、鶴島へ。 いつものコースである。

朝なので、まだ空気が少しひんやりして気持ち良い。

あっちへフラフラ、こっちへユラユラと、1時間弱ほどお散歩ツーリングを楽しんでフネを揚げた。
***
9月に入り、本格的なシーカヤックシーズンが戻って来た。
その手始めとして、お気に入りの生名島にやってきたら、昨日、今日と、二日続けて出艇準備中に地元の方に話しかけられた。
それにしても、お二方とも私がよくこの島に漕ぎに来ているのを知っておられたのには驚いた。 結構地元の方は見ておられるのだなあ。

いつもお世話になっているキャンプ場の管理人さんはもちろん、これまたいつもお会いする、因島からミカンの出作に来られている方とも親しくなったし、今回新たに二人の地元の方とも話す事ができた。
生名島に年に何度も漕ぎにくるシーカヤッカーとして認知されつつあるようで、なんだか嬉しい。

『あるくみるきく_旅するシーカヤック』 さあて、次はどこ行こう!

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瀬戸内シーカヤック日記: しまなみキャンプツーリング_弓削島周遊

2008年09月07日 | 旅するシーカヤック
2008年9月6日(土) 夏休みが終わり、海水浴シーズンも過ぎて、ようやく本格的なシーカヤックの季節が戻って来た。
いざ、『しまなみ』へ!
***
朝9時過ぎ、生名島のいつもの浜に到着。
シーカヤックを浜に降ろし、出発の準備をしていると、いつもここで出会う因島からミカンの出作に来ておられるおじさんと出会った。 午前中の農作業を終え、防波堤に舫ってあるフネで、因島に帰られるところである。

『おはようございます』 『おお、おはよう』
『今日は少し帰るのが早いんじゃないですか』 『そうそう。 今日はどこへ?』
『久し振りに、弓削を一周してみようと思っとるんですよ』 『ほお、弓削。 どれくらいかかる?』
『そうですねえ、よく覚えてないんですが、ザッと3時間くらいですかねえ』

『じゃあ、気をつけての』 『はい、行ってきます』
***

パドルを持って浜に降りて行くと、今度は別の方が寄って来られた。
『こんにちは』 すると、『よくあのクルマで来よるよねえ』 『ええ、年に何度かカヌーを漕ぎに来るんですよ』
『生名に知り合いでも居るん?』 『いいえ。 この辺りは島が多くて漕ぐのに楽しいですし、景色が好いですから。 そしてあのキャンプ場にお世話になるんですよ』

『そうね。 私はこの近くで畑仕事をしよるけえ、時々来よるなあと見よったんよ』 『そうなんですか』
『カヌーは一度乗った事があるが、少しフラフラするからやっぱり講習を受けた方がええんじゃろうねえ』 『そうですね。 シーカヤックは川用に比べると安定性が高いんですが、やっぱり潮の流れや風が吹いたときにどうするかとか、いろいろありますからね』

『今日はどこへ行くん?』 『はい、いつもはここから出て岩城島を一周して帰って来る事が多いんですが、今日は久し振りに弓削島を回って来ようと思ってます』
『じゃあ、気をつけて』 『はい、行ってきます!』
***
10時。 浜を出発。 少し靄ってはいるが、晴天の『しまなみ』ツーリング。

生名島の北岸を東に抜け、フェリー乗り場を越えると生名島に沿って南下して行く。 この辺りは船舶交通の要所である。
行き交う高速船やフェリー、貨物船などに注意しながら、佐島の北端に。

今日は小潮。 潮が複雑なこの辺りを漕ぐにはちょうど良い潮廻り。 風も弱く、波も穏やか。 少し蒸し暑いが、絶好のツーリング日和である。
弓削大橋を抜け、今度は弓削島側に渡り、南端の『長磯の鼻』に向けて漕ぎ進む。
***
ここからは舳先を北東に向け、休憩予定地である松原海水浴場へ。
11時半過ぎ。 松原海水浴場に到着。 『あー、喉が渇いた』
シーカヤックを浜に引き揚げ、自動販売機を探索。 ようやく見つけた自販機でコーラを買い、プルタブを開けてゴクリと飲る。 『うーん、ウマい』
今日は9月に入ったとは思えない蒸し暑さ。 水分が体中にしみわたるのが実感できる。
***

松原の中にある木陰のベンチに座り、ジュースを飲みながら昼食のサンドイッチを頬張る。
涼しい木陰で海を眺めながら、しばしの休憩。

***
ここまで、行程の約半分。 さあ、出発だ。
半時計回りに弓削島を回って行く。 時折釣り船とすれ違い、会釈を交わす。 本当に静かな瀬戸内の初秋。
百貫島が見えて来た。 そろそろ弓削島の北端が近い。
因島が見えてくると、馬立ノ鼻を周り、バウは徐々に南へと向きを変えて行く。

神社の前の美しい浜で一休みした後は、因島側へ。
『瀬戸内カヤック横断隊』でもキャンプ地としてお世話になった『折古の浜』を眺めながら漕ぎ進み、造船所が立ち並ぶエリアへと入って行く。
大きな船の船腹に、『RESEARCH』と書いてある。 いったい何の調査船なのだろうと思いつつ進み、船尾を見ると、

『なるほど!』 これは調査捕鯨船なのだ。
初めて実物を見る調査捕鯨船。 船尾はこういう構造になっているんだ。
***
午後2時過ぎ、ようやくゴールの浜が見えて来た。 そのとき防波堤の所から、見慣れた舟が出発するのが見えた。
そう、今朝も出会った因島から出作に来ておられるおじさんの農船である。
漕ぎながら、徐々におじさんの舟の方に寄って行く。 するとそのおじさんも、速度を落としながら私の方に近付いて来られた。

舟を停め、おじさんは、『おおい、早かったなあ』 私は、『帰りました。 思ったより時間が掛かりましたよ!』
『やっぱり弓削一周は長いですねえ。 今日は暑かったし、疲れました』 『じゃあまたなあ』 『はい、失礼します』
***
生名島を出て、弓削島一周。 距離にして約25kmを、半時間ほどの昼休憩を入れて約4時間のツーリングであった。

それにしても、今日は蒸し暑さがこたえたなあ。 さあて、この週末は久し振りのキャンプツーリング。
ゆっくりと片付けて、気持ち良いシャワーを浴び、ビールと夕食の買い出しに行くか!

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