あるくみるきく_瀬戸内シーカヤック日記

瀬戸内を中心とした、『旅するシーカヤック』の記録

『芸予ブルー』_テーマカラー of 印象派_”瀬戸内シーカヤック日記”

瀬戸内シーカヤック日記: ちょっぴり秋を感じた日帰りツーリング

2010年09月26日 | 旅するシーカヤック
2010年9月26日(日) 9月最後の週末は、土曜日が出勤日だったので一日だけの休日。 基本的にキャンプツーリング派の私ではあるが、という訳で今日は日帰りツーリングとなった。

日帰りツーリングということなら、地元でのんびりまったりというのが私の定番。 幸いな事に、下道で片道1時間以内に、お気に入りの出艇場所がいくらでもある。

***
安全装備とお昼ご飯のセットだけを積み込み、穏やかな海に漕ぎ出す。
 
まだ半袖Tシャツと短パンで充分OKだが、さすがに日差しはすこし柔らかくなっており、瀬戸内にもようやく秋の気配が感じられる。
長袖で漕ぐ日も近そうだ。 これでようやく、快適なキャンプツーリングの季節がやってきた!

きょうは丁度、ほぼ満潮の時間。 タイミングが合わないとシーカヤックでも潜ることができない狭い洞窟へ。
 
カヤックの幅ギリギリの狭い海蝕洞を抜けると、
 
そこはお気に入りのパラダイス。
***
 
小さな島をグルリと回り、静かな浜へ上陸した。 片道約1時間の、気持ち良いお散歩ツーリング。
 
シーカヤックを引き揚げ、PFDとスプレースカートを外すと、まずやることはテーブル探し。 私のシーカヤックツーリングでは、いつものルーチンワークである。

ちょうど良い感じの角材があったので、きょうはこれをテーブルに。 砂浜では、ちょっとしたテーブルがあるだけで、快適さがぜんぜん違ってくるのである。
***
今日のお昼ご飯は、インスタントラーメン。

ストームクッカーでお湯を沸かし、チャンポン麺を取り出す。 今日は、家から野菜と鶏肉、そして焼豚を一枚持ってきたので、ちょっぴり豪華、具沢山のインスタントラーメンだ!
 
穏やかな初秋の瀬戸内海を眺めつつラーメンを啜る。 こんなシチュエーションで食べれば、インスタントラーメンでもとてもおいしく感じられる。
食後は再びお湯を沸かして、ドリップコーヒーを楽しむ。

今年41漕ぎ目となった今日は、残念ながら日帰りツーリングではあったけれど、お気に入りのエリアでのんびりと過ごし、リフレッシュすることができた。
うん、なかなか良い一日じゃないか!

それにしても早いもので、2010年も残り3ヶ月。 あと何漕ぎ楽しめるかなあ。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

瀬戸内シーカヤック日記: 地元の島で体験&ロケハンツーリング

2010年09月20日 | 旅するシーカヤック
2010年9月20日(月) 三連休の最終日は、夏のシーカヤック教室でお世話になっている、地元の島にある施設の先生方との日帰りショートツーリング。
途中、今日のツーリングに同行する事となった同じ会社の方をピックアップし、島へと向かう。

9時前に本日の参加者が集まると、カヤックと道具を運び、出艇の準備。

今日は、伴走船に2人、タンデムカヤック2艇で4人、そして私の計7人である。
***
まずは装備を確認し、お互いに自己紹介。 その後は、ツアー開始時には必ず行う、ナビゲーションを中心とした出発前のミーティング。
今日の最新の天気予報を伝え、潮汐情報とそれに基づく潮流予測、そして予定ルートの距離と予想到着時刻、更にはこの辺りを何度も漕いだ経験からの要注意ポイントについてお話しする。

『じゃあ、出発しますか!』
***
いつも練習している港を出て、目の前の島を目指して漕ぎ出した。

直線距離なら、ほんの1kmとちょっと。 一人なら、ほんの10分程度で渡れる距離ではあるが、今回はシーカヤックでの島渡りは初めてのメンバーばかり。
周囲をしっかりとワッチし、声を掛け合いながら慎重に漕ぎ進んだ。
 
無事、目の前の島に渡り、そこからはタンデム艇を入れ替えて湾内を体験パドリング。 『どうですか? カヤックが違えば漕いだ感じも違うでしょう?』

今回、タンデム艇を漕いだペアは、初めての組み合わせもある。 そして、同じように見えても、船底の形や漕ぎ方の癖によって、漕ぎ易さも違ってくる。
見ていると、乗り換えた後のカヤックとの組み合わせの方が上手く漕げそうな感じ。 『うん、じゃあ帰りはこの組み合わせで行きましょう!』

浜にカヤックを引き揚げ、少し早いが昼食の準備を開始した。 手の空いたメンバーは、伴走船で釣りへ。
みんなそれぞれ楽しそうに静かな浜での一時を楽しんでいるようだ。
***
今日のメインは、施設の先生方のリクエストでカレーである。 食材は先生方、調理器具一式は私が準備する事になっているので、炊飯用に持ってきたアルミ製のダッチオーブンを出してみた。
カレー用には、同じく厚肉のアルミ鍋。 いずれもその昔、家族でのカヌー&キャンプツーリングの時に使っていた道具である。

一粒一粒の米が立った、まさにカレー向きのご飯が炊けた頃、釣り組から今日の獲物が戻ってきた。 見ると、カマス系の魚のようである。
さっそく鱗を取り、ハラワタを出して、ダッチオーブンの蓋の裏を使って塩焼きに。 焼けてきたら、持参したクレージーソルトをパラリと振って完成!
 
おいしそうに炊けたご飯を皿によそい、具沢山のカレーをたっぷりとかける。 準備されていた福神漬けもトッピングして、『いただきます!』
 
晴れ間の出てきた瀬戸内らしい海景色を眺めつつ、穫れたて焼きたてのカマスをつまみ、熱々でおいしいカレーをパクリ。 『うーん、最高だ!』

***
おいしいカレーを食べ、ストームクッカーでお湯を沸かして食後のコーヒーを楽しんでいると、急に風が強くなってきた。
『うん、これは撤収のタイミングだ!』

『コーヒーを飲んだらすぐに片付けて戻りますよ。 釣り組は、コーヒー無しで撤収してもらいましょう』
***
荷物を片付け、パッキングすると、集まって出発前のミーティング。 風は強くなってきたものの、これくらいならタンデム艇で問題なく漕ぎ戻れる事を話し、こんな状況では固まって漕ぐ事を伝える。 『ようし、少し頑張らないといけないけど、じゃあそろそろ行こうか!』

少し強めの斜め左からの向い風と向かい波の中、メンバーに声を掛け、伴走船の状況も確認しつつ、一漕ぎ一漕ぎしっかりと水をキャッチして漕ぎ進む。
『ようし、良い感じ!』 『こんなのは波のうちには入らないよ。 しっかり前を見て漕いで』 『そうそう、いいじゃない。 パドルを気持ち前に差し込んで、後ろまでしっかり引いてくる』 『うん、もう少し広めに、肩幅より少し広く持った方が漕ぎ易いよ』

『頑張れー! 自分の命は自分で守る。 荒れた海では誰も助けてくれないよ。 自分で漕ぐしかないんだ。 そうそう、まだまだ行けるよ』
***
いつもの港まで無事に漕ぎ戻ると、集まって今回の経験に付いてお話しさせていただいた。

午前中の絶好のコンディションでの島渡り。 だれもいない静かな浜での楽しい昼食準備とおいしいお昼ご飯。 そして初めて外に出たメンバーには少しキツかった帰路での体験。

その全てが、来年企画しようとしている、子供達を連れての日帰り島渡りツーリングにとても役立つ事をお話しし、経験者が同行している状況の中で少しずつ厳しい条件を体験していく事の大切さを伝える。

『今日はとても良いツアーだったと思うよ。 先生方がこんな状況を体験しておいたら、子供達を連れて島に渡ったときでも、多少荒れてもパニックにならずに済む。 自分達が、こんな状況で漕いだことがあるという経験があるかないかで、いざと言う時、それは精神的にまったく違いますよ』
***
メンバー全員、無事に出発地点に戻り、荷物を片付け、カヤックを運び、潮抜きして今日の体験&ロケハンツアーは終了した。

シャワーを浴びた後は、今日の参加者が集まって、会議室でミーティング。
『来年は、ぜひ子供達を連れてやりたいですよね』 『そう、こんなツアーを子供達とやるのが、長年の夢の一つだったんですよ』 『うん、ぜひやりましょう。 お手伝いさせて下さい』
***
今年3年目となった、地元の島の施設でのシーカヤック教室。 今回は、長年の夢であった子供達を連れての島渡りに向けた、職員の方対象のロケハンツーリングであったが、これを今回実行できたことで、来年のプランの具体的なイメージが固まってきた。

いやあ、これはほんと楽しみだ! 寮長さん、そして職員の方々。 ほんとうにありがとうございました。 来年こそは、長年あたためてきたプランを、ぜひ実現しましょう!

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

瀬戸内シーカヤック日記: のんびりまったり_真賀温泉

2010年09月20日 | 旅するシーカヤック
2010年9月18日(土) 酷暑だった夏も過ぎ、ようやく秋の気配が漂いはじめた3連休の前半は、夏の疲れを癒すため、先日見つけた静かな温泉へ。
今回は、のんびりまったりの、一人湯治旅。

幌を下ろしたロードスターで、朝早く空いた高速道路を快適なオープンドライブ。
***
 
ゆっくりと温泉に浸かり、
 
地図で見つけた、小さな滝のある森を訪れて森林浴を楽しみ、

道路脇の看板に誘われて入り込んだ眺めの良い高原をドライブ。
***
夕方、温泉の安宿へ。
 
元湯に浸かって今日一日の汗を流し、暑かった夏の疲れを癒す。 夜は簡単一人鍋をつつきながら、ゴクリ、ゴクゴクと、美味いビールを堪能。

夜寝る前に、再び元湯へ。 さすがに夜は人も少なく、一人静かに湯船を独占。 アルカリ性で少しヌルリとした、温めで柔らかい肌当たりのお湯を、ゆったりと楽しむ。

『ああ、好い一日だったなあ。 おやすみなさい』
***
2010年9月19日(日) ここの元湯が開く朝7時にはお湯に浸かり、体をほぐすと、部屋に戻って朝食。 昨日の鍋の残りにうどんを投入し、一晩たってしっかりと味の滲みた具材とともにズルリ、ズルズルと頬張る。 うーん、旨い! 食後は、川のせせらぎを聴きながらのドリップコーヒー。

帰りには再び元湯に立ち寄り、地元産のピオーネを、お土産に購入した。

うん、たった一泊だったけれど、これはなかなか良い湯治になったなあ。 さあて、家に帰るとするか。
***
 
帰路は、前から気になっていた勝山へ少し寄り道。
 
家々の玄関にはのれんが掛けられ、風情のある古い町並み。

かつては、荷物を積んで川を行き来した高瀬舟の船着き場跡の残る、川沿いの町。
 
川辺には、秋らしい涼風が吹き抜ける。
***
お昼ご飯は、これまた勝山で気になっていたお店へ。 そこは、『チキンショップ まつおか』

この夏何度かこの道の前を通ることがあったのだが、その度に気になっていた『チキンショップ』の看板。
 
気ままな一人旅。 ちょうどお昼ご飯の時間でもあり、立ち寄ってみた。 するとそのお店は、鶏肉専門店と、それに併設されたイートイン可能な食堂『コッコ』

やさしいおばちゃんに聞いてみると、ハンバーガーとドリンク、そして一品がセットになった398円のメニューがお得で人気なのだとか。
しかも、ハンバーガーにはフィッシュバーガーやエビカツバーガーなどもあるのだが、チキンショップらしい『チキンバーガー』や『フライドバーガー』などもあるのだそうだ。 しかも組み合わせは自由に変えられるという親切な設定。

今回は、ハンバーガーに牛コロッケ、たこ焼き3個とドリンクが付くという『トットセット』を基本にし、せっかくなのでフィッシュバーガーを、フライドチキンにタルタルソースが添えられるという『フライドバーガー』に変えてもらったセットを注文。
 
出てきたのが、このセット。 たっぷりのボリュームで、これでなんとサンキュッパ(¥398-)である! いやあ、これはリーズナブル。
食べてみると、さすがに鶏肉専門店が併設する、イートインのお店。 フライドチキンがなんともおいしい。 シャキシャキレタスもたっぷりで、バンズもしっかりしている。

うーん、これはまた良い店を発見した! 帰りには、手羽先塩と砂肝唐揚げを家族用のお土産に持ち帰り。 『いやあ、美味しかった。 ごちそうさまでした!』

帰りも、帽子をかぶり、サングラスを着用して、高速道路をオープンドライブ。 途中、何台かのロードスターを追い越し、追い越されたが、残念ながら他のロードスターは幌がクローズされていた。 家の近くで給油すると、今回の燃費は16.5km/L。  普段の通勤が15km/L台前半だから、やはり遠出をすると伸びている。
うん、なかなか良いじゃないか。 10万キロを越えて、今なおこの好燃費!

ロードスターでのオープンドライブと静かな温泉、風情のある町の散策、そしてB級グルメをたっぷりと堪能した、一泊二日の湯治の旅。 夏の疲れもしっかりと癒やすことができたなあ。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

瀬戸内シーカヤック日記: 『第1次瀬戸内カヤック横断隊』と『観光文化研究所』

2010年09月12日 | 旅するシーカヤック
先日、三原市で行われた森本孝さんの講演を聴いたときにふと感じたのが、宮本常一が所長をしていた『観光文化研究所(観文研)』と、内田正洋隊長がリーダーを勤められている『瀬戸内カヤック横断隊』との間には、共通するものがあるということ。

***

『観文研は、同じ志を持った人が集まる場であり、同じ志を持った人たちがつながった場である』
→ 第1次瀬戸内カヤック横断隊も、プロ/アマを問わず、シーカヤックの世界を極めたいという熱い志を持った個性豊かな面々が様々な縁で集まり、経験豊かな内田さんをリーダーとして隊が構成されていた。

『宮本常一は、観文研の研究員に対して、毎月一回講義を行っていた。 これを通じて、モノを見る力と視点を教えられ、研究員の育成にもなっていた。 この講義が、宮本常一が仲間を育成していくやりかたである。 そしてこの講義を受けてモノの見方を学んだ事が、観文研出身の研究者と、大学だけで学んだ研究者との最大の違い』
→ 第1次瀬戸内カヤック横断隊は、まさに実践版シーカヤックアカデミーとして企画され、初冬の厳しい瀬戸内の海を、キャンプ道具を積んだシーカヤックで実際に旅しながら、ひどく荒れた海と寒気の中、お互いに助け合い、経験や知識を教え合い学び合うという、とても貴重な実践の場であった。

『宮本常一は、古い文化を復興させ、それを地域の将来につなげていくことを考えていた』
→ これぞまさに、私が瀬戸内カヤック横断隊から学んだ、『瀬戸内海洋文化の復興、創造そして継承』そのものである。

私は、第1次から第6次まで、毎回数日間だけの部分参加をさせていただいていたのだが、その中で一番深く印象に残り、そして後のカヤックライフ/カヤックスタイルに大きな影響を受けたのが、『第1次瀬戸内カヤック横断隊』

2004年の秋にブログを書きはじめたのは、第2次横断隊の事を記録に残しておきたかった事がきっかけだったので、第1次横断隊の事はブログには書いていなかった。
もう7年も前の事なので記憶も定かではないが、せっかくなので、その時の事を想い出しながら、記録に残しておこうと思う。

***

2003年11月20日 親父のクルマにフェザークラフトK-1を積み込み、蒲刈の県民の浜へと送ってもらう。
偶然、先日知り合ったエルコヨーテさんから、この隊が企画されている事を教えていただき、隊長からメンバーに送られてきた『設立趣意書』に感動&共感して、参加させていただくこととなったのだ。
さて、これからの数日間、いったいどんな日々が待ち受けているのだろうか?

数日前に山口県を出発した、記念すべき『第1次瀬戸内カヤック横断隊』は、寒気と強風の中、小豆島を目指して東に漕ぎ進んでいる。 予定では、今日には蒲刈島へ到着するはずなのだが、厳しい風と波に難儀し、遅れているらしい。

県民の浜に到着し、ケータイ番号を教えてもらっていたハラダさんに連絡をとって合流する。 今回が、ハラダさんとの初対面。
隊の到着が遅れそうだということ、そして今日到着してもそのままここから出発せず、一泊する可能性が高いと言う事なので、『のんびり待ちますか』という事に。

まずは、フェザークラフトK-1を組み立てる。 普段の旅と違い、天候によってルートも日程もどうなるか分からないとの事なので、リジッド艇では合流や離隊後の回収が難しいと判断し、今回は、進退自由なフェザークラフトで参加してみる事にしたのである。

その後は、ハラダさん、カメラNさん達と、桟橋の岩ガキを採集してつまみの準備。

午後、ようやく隊は到着したが、連日の悪天候でみんな疲れ果てており、やはりここ蒲刈で一泊する事になった。

今でもいろいろとお世話になっている、地元のIさんの好意でB&Gの艇庫をお借りし、雨露を凌がせていただく。 ありがたいことだ。
内田さんとは、伊豆のアカデミーやジョンダウドと漕いだイベントなどで何度かお会いした事があったが、隊長以外の隊員達は、私にとっては、ほとんどが初対面のメンバー。 ビールを酌み交わしながら、ここ二日間の厳しい旅の状況を聞き、交流を深める。

今回は初日から荒れており、一日漕いだ隊員は疲れているのだが、二日目から合流したまだ元気な隊員がペースを上げて引っ張っていったのだとか。 初めてのこと故、ペース配分もよく分からず、お互い競争のようになってかなりハイペースになり、クルマでの陸上班伴走が始まってからは、みんな荷物を軽くしてなんとか付いて行こうと努力しているとの事。
うーん、そんなハイペースだと、スピードでは劣るフォールディングカヤックでついて行けるかなあ?

横断隊は5時起床&7時出発が基本とされたので、軽く飲んで、みんな早々にシュラフに潜り込んだ。

***

2003年11月21日 朝5時前に起床。 シュラフを片付け、コンロに火を点けて朝食の準備。 そそくさと食事を済ませ、荷物をパッキング。
Iさんが準備して下さっていた、『歓迎 第1次瀬戸内カヤック横断隊』の看板の前で記念撮影をして、7時に出発した。

今日も強い西風が吹いている。 岬に沿って漕ぎ進み、黒鼻を越えると。。。
そこは、瀬戸内とは思えない荒れた海が待っていた。 西から南西の強風で大きなうねりが入り、これまで経験した事がないような瀬戸内海の別の顔を見せつけられた。 それ以来、瀬戸内への見方が大きく変わった。

津軽海峡横断や、ジョンダウドと漕いだ西伊豆のイベント、沖縄でのツーリングなどでは、これよりも厳しい状況はあったが、まさか地元の瀬戸内でこんな状況に遭遇するとは。

斜め後ろから押し寄せてくるウネリと風浪に、時折ヒヤリとしながら豊島に向かって漕ぎ進む。 『おーい、ここから海峡横断だ。 みんな固まって漕げよ』と隊長からの激が飛ぶ。

上蒲刈から豊島へ、豊島から大崎下島へ。 大崎下島の南岸が厳しかった。
南西からの強風によるウネリ。 そのウネリと風浪が、岸壁にぶちあたり、その返し波と重なって複雑な三角波が押し寄せる。

荒れた海での安定性にすぐれた『フェザークラフトK-1』と、手に馴染んで強風に強い『アークティックウインド』との組み合わせなのだが、それでもまったく気が抜けないパドリング。
 
スケグ仕様のカヤックで参加していた経験豊富なメンバーが、こんな状況で漕ぐなら次回からはラダー付きにする、と言っていたのが印象的。

また、ラダーもスケグもないバイダルカは、保針に苦労しているのに加え、激しい波で浸水もあるようで、時折岸沿いに寄ってはビルジポンプで水出しをしている。
それを待つ間、沖縄で荒れた海を漕いだ時の経験から、岸壁から離れた場所で待機する。 近くに居た隊長が、『そう。 こんな時は、岸壁から離れた方が波が安定しているんだよな』

後で聞いた話では、バイダルカは潮流や風に応じて舟が行きたい方向があるのだそうだ。 それに従って漕ぎ進むには楽なのだが、今回の様に一団となって行動する場合には、必ずしも舟が行きたい方向と隊が進む方向が一致するとは限らず、操船にはかなり苦労したようである。

***

なんとか岡村島まで漕ぎ進み、観音崎を越えたあたり。 とつぜん目の前につむじ風が巻き起こり、海水のしぶきが空中に巻き上げられていく。
強風は隊員達をも襲い、風沈しそうになる。 『こりゃ、やべえ。 一旦上陸しよう』

小さな浜にシーカヤックを引き上げ、ほっと一息。 『観音崎に様子を見に行こう』ということになり、高台に登ってみると。。。
そこには一面真っ白な海が。 沖を行く大きな貨物船が向かい波に突っ込み、砕けた白波が高い船首を越えていくという恐ろしい光景。

皆一同に『こりゃあ絶対無理だな。 今日は岡村島泊じゃないか』、『いやあ、これは漕ぎたくないですねえ。 怖い怖い』とささやき合う。
でも隊長は、『ようし、じゃあ島の反対側を見に行ってみるか』 一部の隊員が同行し、小大下島との間の瀬戸をチェックしに行くことに。

歩きながら隊長は、『俺たちはダカールラリーに参加するトレーニングを受けていたんだ。 そこで教えられた事の一つが、どんな厳しい状況でも<後ろ向きの言葉は発しないこと>。 常に前向きに、どうやったらできるか考えるんだ』 なるほど!

小大下島との間の瀬戸と、島の北側は、少し荒れてはいるが、南側と比べると少しは波が低そうだ。 『どうだ、これならいけるんじゃないか』

再び漕ぎ出し、なんとか小大下島との間の瀬戸を抜け、大下島の北岸へ。 南側の海峡に比べると確かに少しはマシだが、それでも波は高い。
近くを海上保安庁の巡視艇が通る中、ヒヤヒヤしながらだが、なんとか無事に漕ぎ抜けた。

柏島を抜け、宗方の南岸まで進むと浜があり、奥には昔の学校の様な建物が。 少し早いが、今日も風と波に打ちのめされ、みなクタクタである。
シーカヤックを引き揚げ、キャンプできるかチェックする。

そう、初めてとなる第1次横断隊では、まだルートも確立しておらず、キャンプ地についての情報も不十分だったので、常に新たなルートとキャンプ地を開拓しながらの旅であったのだ。 正に、開拓者精神/パイオニアスピリッツで満ちあふれていたのである。

管理人さんに聞いてみると、ここは素泊まりもできる宿ということで、泊まらせていただく事になった。
 
着替えて濡れものを干し、風呂に入って体をほぐす。 夜はビールを飲みながら今日一日の旅を振り返る。

横断隊参加で初めて漕いだ日は、このように大変厳しい一日であったが、経験豊かで志も高く、個性的なメンバーと一緒に漕いだこの日を一生忘れる事はないだろう。 これぞ実践版シーカヤックアカデミー。

感謝、感激! そして 感動! こんな経験ができるなんて。 この日を境に、俺のシーカヤックに対する考え方や向き合い方が大きく変わった。 シーカヤッカー冥利に尽きるとは、まさにこの事である。

***

2003年11月22日 今朝も5時起床。 簡単な食事を済ませ、荷物をパッキングするとミーティング。 今日のルートを決めるのだ。

ルート案としては、大三島の南岸を漕ぎ抜け、鼻栗を抜けて生口島経由で因島に行くという案と、大三島の西岸を北上し、生口島の北岸経由で因島を目指すという案。

隊長が言う。 『みんな、自分の意見を言うんだ。 自分がどうしたいのか、なぜそうなのか。 話し合って結論を出そう』 メンバーは侃々諤々意見を述べるが、ここ数日痛めつけられてきた西風の恐怖がトラウマとなり、大三島の西岸北上案が大勢を占める。
『昨日の様な波は、もうたまりませんよ。 三原側に上がれば風も弱いかも』 『大三島の南側はエスケープできる場所もあまりなさそう。 北にいきませんか』

ほとんどのメンバーが北上ルートを主張し、その案で行く事に。 風が強い中、浜から出発して時計回り方向に漕ぎはじめた。 しばらく行くと、後ろから声が聞こえてきた。 『どうしたん?』 『一人、引き返す言うてます』
どうやら、あまりの風の強さに一人がリタイアを決めたらしい。 出発してまだ10分も経っていない。 いやはや。
浜までサポートする隊員を待ち、再び漕ぎ出した。

しばらく向い風の中を漕いでいる時、皆が気づきはじめた。 『え、今日は北西風じゃあないか!』 そう、風向きは日々変わるのだ。
宗方の南岸では、岬を回ってくる風で風向きが正しく判断できなかったのだが、北上ルートは向い風。

ここ数日の西風トラウマによって、より良い判断ができなかったのである。 今日は、大三島南岸ルートなら風裏だ。 でもこの時の『痛い経験』は、第2次横断隊以降のルート決定に活かされる事になった。

***

地図を見れば分かるように、大三島は大きな島である。 厳しい向い風の中を、一団となって時計回りに漕ぎ進む。

盛港を越え、生口島へ漕ぎ渡ろうとしたとき、斜め後方からの大きな波に、多くのメンバーのカヤックが翻弄された。 『隊長、ムリです。 戻りませんか』

一旦引き返し、盛港の中で一息いれる。 『みんな、怖かったら言えよ。 俺にはみんなが怖いと思っているかどうか、分からんからな』と隊長。 なるほど、様々な修羅場を漕ぎ抜けてきた隊長とメンバーでは、怖いと思うレベルが違うんだ。 自分が無理だ、怖いと思ったら、率直に伝える事も重要なんだなあ。

再び漕ぎ出し、井口港の方へ進む。 もし、井口港から三原行きのフェリーがあれば、それでエスケープしようという案も出たのだ。
港に近付くと、一隻の漁船が居た。 私は漁船に近付き、『こんにちは。 あの港から三原までフェリーは出ていますか?』 すると『いやあ、あそこからは高速艇しか出てないよ』との事。

『隊長。 残念ながら、あそこの港からはフェリーは出ていないそうです』 『そうか、じゃあ多々羅大橋の下を横切って生口島へ渡ろう』
『そして、漁師さんなどに話し掛けて、地元の情報を聞く事は大事だ。 これからも、そういうコミュニケーションをしっかりやって行こう』と一言。 『はい、わかりました』

***

多々羅大橋の下を漕ぎ渡り、再びバウを北に向けてサンセットビーチへ。
 
上陸して情報板を見ると、高根島との間の瀬戸は流れが厳しいらしい。 疲れきった隊は、完全に戦意を消失し、ここから因島まで、陸上班のクルマでエスケープすることになった。
ここのレストランでお昼ご飯を食べ、何回かに分けてカヤックと荷物、そして隊員を因島まで陸送。

11月の下旬である。 日没は早い。 全員がキャンプ地に揃ったのは、すでに暗くなってから。
 
テントを張り、食事の準備に取り掛かる。 数日間一緒に厳しい海を漕いできて、気心も知れた仲間である。 自然と役割分担をして、テキパキと調理を進めていく。

それを眺めながら隊長が、『ほんま、この隊のメンバーは最高やのう』とポツリと呟いた。 うん、俺も本当にそう思う。 なんて素晴らしい隊なんだ!

肉を炒めていると、『オリーブオイルは体に良いんだ』 『お、生姜を入れようぜ。 体が暖まるからのう』と隊長。 なるほど、寒い時には生姜が良いんだ。 こうして、一つ一つ知識が増えていく。 

酒を飲み、食事を摂り、今日一日を振り返りつつ、疲れた体を充電していく。 明日も5時起床である。

俺は、Oさんのテントの横にテントを張り、しばしバカ話を楽しんでからシュラフに潜り込んだ。 Oさんとは、この横断隊でお会いしたのが初めてなのだが、なんだか気が合うのである。 『おやすみなさい。 また明日5時に』

***

2003年11月23日 今日は快晴。 第1次横断隊で最高の好天となった。
 
気持ち良い朝。 もう既にルーチンワークとなった5時起床、簡単な朝食、荷物のパッキング、そして7時出発。
みんなの表情も明るい。
 
最高のコンディションの中、順調に漕ぎ進み、田島の近くを漕いでいたときの事、隊長のケータイに着信が。

それは、思いもかけず、隊長の友人の訃報であった。 このため、隊長は急遽予定を変更する事になり、この先で上陸されるとの事。
そのため今回の横断隊は、当初は小豆島を目指す予定であったのだが、残りのメンバーで白石島まで漕ぎ、そこをゴールとすることとなったのだ。
***
無事に漕ぎ進み、白石島に到着した。 私にとっては初めての白石島。

カヤックを引き揚げ、ゴールを祝ってビールで乾杯。 うーん、美味い!

夜は隊長も合流され、みんなで瀬戸内シーカヤックの歴史に新たな1ページを刻んだ画期的なこの旅を振り返りつつ、夜の宴は盛り上がった。

***

初めての試みで、ルートもキャンプ地も手探り状態だった第1次瀬戸内カヤック横断隊。 ショートカットや思いもかけぬ中断もあったが、出来るだけの事はやったという充実感の方が強かった。

経験豊富で志の高い隊員が集まり、初冬の厳しい瀬戸内の海を、助け合い、教え合いながら漕ぎ進んだ熱くて刺激的な日々。 それは、『共育』/『切磋琢磨』という言葉が正にピッタリと当てはまるような充実した旅であった。
そんなリアルな海旅の中、私は様々な局面で隊長が呟く一言を、まるで乾いたスポンジのように一滴残らず吸収し、咀嚼して、自分の心に刻み込んでいった。

『プロって言うのはなあ、お金をもらうからプロ、お金をもらわないからアマなんてもんじゃないんだよ。 シーカヤックを極めようと志し、それを通じて自分が目指すものを成し遂げようっていう意志を持って実行していくんなら、それはプロだ』

2003年の、あの最高の経験があったからこそ、シーカヤッカーとしての今の俺があると感じている。 そして昨年から、残念ながら諸般の事情により参加を見合わせているが、この画期的かつ純粋に実践版シーカヤックアカデミーとして企画&実行された第1次瀬戸内カヤック横断隊に様々な縁で参加させていただいた事、そして尊敬する隊長と個性的な隊員達との出会いには、今でも心底感謝している。

『全行程参加が基本』という横断隊では、第1次から第6次までの参加がいずれも数日間という部分参加であった俺は出来の悪い落第生ではあったが、これからも初心を忘れず、実践版シーカヤックアカデミーで学んだ『瀬戸内海洋文化の復興、創造そして継承』を実践していきたいと、強く想っている。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

瀬戸内シーカヤック日記: なぜか。。。竹原~大三島キャンプツーリング

2010年09月05日 | 旅するシーカヤック
2010年9月4日(土) 今日は、盆連休の島根半島&しまなみキャンプツーリング以来、約半月振りとなるキャンプツーリング。 目指すは生野島。

朝9時。 いつもの浜を出発する。 せっかく久し振りの生野島なので、ゆっくりと一周してみるかな。
 
バウを南南西に向け、契島に向けて漕ぎ進む。 途中で、西から大きなブイの様な物体が、白波を立てながらゆっくりと近付いてくるのが見えた。 ありゃなんだ?
しばしカヤックを停止させて待っていると、海上保安庁の消防艇。
 
契島は、亜鉛工場の島。 島のすぐ傍を漕いでいると、作業員の方が手を振って下さった。 うれしくなって、こちらも手を振り返す。 海のすぐ傍に居られた方からは、『お、どっから来たんや』 『竹原からでて来たんですよ』

『どこまで行くん?』 『ぐるっとこの島を回って、キャンプしようと思うてます』 『それにしてもその舟は、ひっくり返っても大丈夫なんか?』 『ええ、なかなかひっくり返らんのですよ』 『じゃあ、行ってきます』

海を独りで旅していると、こんなちょっとしたコミュニケーションでも、とてもうれしいものだ。
***
大崎上島との間の瀬戸を漕ぎ進み、生野島の桟橋に10時半に到着。 なんだか嫌な雰囲気。 人の気配がする。
 
桟橋を回り、浜が見えるところまで行くと、『ガーン。。。 いやあ参ったなあ』 浜には一隻のボートとジェットスキーが数艇。 いやはや。

久し振りの生野島キャンプを楽しみに漕いできたのだが、これでは諦めざるを得ない。 『さあて、どうしよう?』

大崎上島の西側には、大串海水浴場がある。 残念だがそっちに行ってみようか。 バウを西に向け、船島まで漕ぎ進んだ時に、ふと思い付いた。 『待てよ』
カヤックを停め、ペリケースからiphoneを取り出し、地図をチェックする。 『あ、やっぱりそうなんだ』 
***
ここからだと、大三島でよくキャンプする浜の方が近いじゃないか。 天気予報だと明日も風波ともに安定しているようだから、帰りも心配なさそうだし、大三島に変更するか。
再びバウを東に向け、垂水港近くの浜に一旦上がり、すぐ傍にあるコンビニで、お昼ご飯用のお弁当と熱中症対策のスポーツドリンクを購入。 『じゃあ、行きますか』
 
佐組島の南を抜け、神殿島を経由して、大三島の鏡崎へ。 それにしても暑い暑い。 漕いでいると、全身から汗が噴き出してくる。
当初の予定通りなら、生野島でのんびりまったりビールをプシュッと飲っているはずなんだけどなあ。。。

12時半。 浜にシーカヤックを引き揚げ、日陰に入ってお弁当を食べる。 水分を補給し、しばしきれいな海に浸かって体を冷やす。 『ああ、生き返る』

再び漕ぎ出し、13時半過ぎに、ようやく大三島の海水浴場に到着した。
***
ハッチを開けて荷物を取り出し、何度も往復してキャンプ道具と食料を運び上げる。 『ああ、疲れた』
休憩と買い出しを入れて、出発してから約4時間半のツーリング。 8月はシーカヤック教室と、お散歩ツーリングだけだったから、久し振りにしっかり漕いだなあ。

日陰に陣取り、クーラーバッグからビールを取り出し、『プシュッ』 独り静かに乾杯だ!
しばしのんびりと休憩した後は、テントを張り、荷物を放り込む。 さて、風呂に入りに行くとするか。
 
いつものように、島の道を歩いてまずはスーパーに行き、明日のスポーツドリンクと朝食用のパン、そしてビールの追加を仕入れる。 そこから『マーレグラッシア』へ行き、潮風呂とサウナ、水風呂のトライアングルをゆっくりと楽しみながら、潮抜きをし、体の疲れをほぐしていく。

午後4時過ぎに風呂から上がったが、まだまだ日は高い。 外に出る気がしないので、休憩所で5時までゆっくりと体を伸ばす。
***
日が傾き、少し南西寄りの風があるのでましではあるが、それでも歩いているとジワリと汗がにじんでくる。
浜に戻ると夕食の準備。
 
今日も、いつものように簡単手抜きメニュー。
ミートソーススパゲティとトマトソース煮込みハンバーグ。 薫製生肉と愛媛の青のりテンプラ、そして冷や奴。

そしてなにより大事なビールは、氷水でキンキンに冷やしてある。 こんな暑い日のキャンプでは、冷え冷えビールがなによりのごちそうだ!
まずはビールを『プシュッ』 『トクトクトクトク』 『いただきまーす』 『ゴクリ、ゴクゴク』 うん、もう一杯!

しだいに傾いて行く夕日を眺めながら、薫製生肉をパクリとやり、ビールをグビリと飲る。 至福の一時。
 
生野島の浜では、夕日を眺めることができないが、ここ大三島の浜では、夕日が大きな楽しみの一つ。 沈み行く太陽は、毎回違う景色を見せてくれるのだ。
***
2010年9月5日(日) メッシュテントでも、さすがにこの異常気象の9月初旬は、暑くてなかなか寝付けなかったので、半パンだけになり、団扇で煽いでいたら、いつのまにやら寝入っていた。 朝はさすがに涼しく、目が覚めると、寝ぼけ眼で探したTシャツを身につけ、もう一眠り。

テントから這い出したのは、ようやく明るくなりつつある5時半。
今日は、朝の7時半過ぎが満潮で、その後は引き潮になるため、出発が遅くなると逆潮となるのである。 と言う訳で、朝早く出発し、潮止まりを狙って竹原まで漕ぎ戻ろうと言う計画。

フライパンに少量のオリーブオイルを垂らし、昨日の残りの薫製生肉と玉子二つを放り込んで目玉焼きを作る。 食後は、ようやく顔を出した太陽に、テントやシュラフを干しながら、ドリップコーヒーをゆっくりと楽しむ。 
***
荷物をパッキングしていると、朝の散歩をしておられたおじいさんが。 『おはようございます』 『ああ、おはよう』
『どこから来たん?』 『はい、昨日は竹原から漕いできました』 すると驚いたように『え、竹原からか』 『ええ、そうなんです』

『今日は?』 『竹原まで戻ります』 『どれくらいかかる』 『そうですね。 2時間半か3時間くらいですかね』
『ところでこの舟は、ひっくり返らんのか?』と、定番の質問が。

様々なところでお話ししていると、カヤックを見て、『ひっくり返らないのか?』と、毎回のように聞かれるのである。 それはまるで、冬にロードスターをオープンにして走っていると、『寒くないのか?』と、半分呆れた様な顔で聞かれることに似ている。

いずれの例も、自分が体験した事がない事は分からないという事である。 シーカヤックはとても安定しており、余程の事がないと沈する事はないし、冬のロードスターも、ヒーターをかけていればとても快適なドライブが楽しめる。

『これは何人乗り?』 『これは一人用なんです』 すると笑いながら、『ほうか。 それにしても、こりゃあ恋人と来んにゃあいけんなあ。 一人じゃさみしいじゃろ』 私は苦笑いしながら『ええ、そうですね』 四十半ば過ぎのおやじに、そんな事言われたってねえ。。。 いったい何歳に見られているのだろう?

それにしても、やはりソロキャンプツーリングってさみしいイメージなんだろうなあ。 これも、体験した事がない事は分からない事の一例なのか? それとも、ソロキャンプツーリングが楽しめる人と、そうでない人が居るのだろうか?
***
荷物をパッキングし、カヤックに積み込んで行く。 それにしても、これだけの装備が運べるのはシーカヤックならでは。 バックパッキングや登山じゃあ、こうはいかない。
 
昨日より多めの水分を準備して、朝7時10分に浜を出発した。
 
今日も最高のツーリングコンディション。 風もなく波もない、まさに瀬戸内らしい穏やかな海。

今日は、竹原まで最短コース。 鏡崎まで30分。 神殿島までで50分。 唐島までは1時間半。
まだ朝早いので、太陽がギラギラ照りつける厳しさはないが、それでも汗が噴き出してくる。 途中、大音量で音楽を流しながら、若者グループが乗ったボートが、すごいスピードで前を横切って行った。
阿波島の辺りだったのだが、そのボートが契島辺りまで行ってもまだ音楽が聞こえてきていたから、どれだけ大音量で流していたかが分かる。 いやはや、夏の海も、いろんな楽しみ方があるものだ。

9時10分。 大三島の台から竹原の的場まで約13kmを、出発してからちょうど2時間で戻ってきた。
今年、38&39漕ぎ目となった、予定外の大三島キャンプツーリング。 とても暑くはあったが、久し振りにしっかりと漕ぐことができ、なかなか充実したツーリングとなった。 それにしても暑すぎる! 早く秋が来ないかなあ。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする