あるくみるきく_瀬戸内シーカヤック日記

瀬戸内を中心とした、『旅するシーカヤック』の記録

『芸予ブルー』_テーマカラー of 印象派_”瀬戸内シーカヤック日記”

瀬戸内シーカヤック日記: しまなみ、島豚堪能キャンプツーリング

2009年08月31日 | 旅するシーカヤック
2009年8月30日(日) いつものようにニヤックを積んだアテンザワゴンを東に走らせる。 今回の目的地は『しまなみ海道』
夏休み最後の週末だが、日曜月曜のキャンプなら、さすがに人も居らず静かだろうという事で、いつもお世話になっている生名島のキャンプ場へと向かった。

最近の生名島と言えば、やり投げで銅メダルを獲得した村上さんの出身地という話題で盛り上がっている。 このニュースで生名島も全国区になり、上島町ファンの一人としては、うれしい限りである。

キャンプ場に着くと、管理人さんが居られた。 『先日はお世話になりました。 一緒に来た妻を、ようやく”よし正”さんに連れて行くことができてよかったですよ。 彼女も喜んでいました』

それから、やり投げの村上さんの事や、キャンプ場は今年は海水浴に来る人が少なかったけれど、デイキャンプはそこそこあり、また合宿に来る人たちのバーベキューで夜は賑わった事など、生名島の近況を教えていただいた。

『今回もゆっくりしていって下さい。 今日は少し風があるけど大丈夫?』 『ええ、これくらいなら問題ないですよ。 涼しくていいくらい。 今日は、岩城を一周してこようと思ってるんです』 『気をつけて!』
***
今日は、生名島をベースにしたツーリングなので、レスキュー用品と飲み物だけを積み込んで出発した。
 
空は曇っており、東から北東の少し強い風が吹いている。 今日の潮を確認し、岩城島を時計回りに一周する事に。

手に馴染んだアークティックウインドで、ロングストローク&スローピッチのパドリング。 生名島に沿って南下し、赤穂根島をグルリと回り、快調に進んでいく。
***
1時間ほどで、岩城のいつもの浜に上陸し、しばし町を散策。
 
芋菓子工場に描かれた、サツマイモのキャラクター。 漁港の端っこにある小さなお堂に奉られた、木彫りの恵比寿様。
なかなか良い雰囲気だ。

お昼ご飯は、よし正さんで『島豚焼肉定食』 岩城島名物となった島豚/レモン豚を堪能するのが、今回のキャンプツーリングの目的だ。
 
この島豚は、特に脂がおいしいのが特徴。 噛みしめると、あまくてジューシーな脂が口に広がる。 決してしつこくなく、旨味たっぷりのこの島豚は、ビールがあればいくらでも食べられそうだ。 『ごちそうさまでした』 

食後はターミナルに行き、レモンアイスをデザートに。 その後、このターミナルで『島豚ロース』と『岩城島のレモンを使った焼肉のたれ』を購入。 これで、夕食の準備はバッチリである。


帰りは、岩城島の西側に沿って北上。 潮もよく、少し向かい風はあるものの、快調に漕ぎ進む。
時間に余裕があるので少し大回りし、2時間弱で浜に戻った。 今日は、合計3時間ほどのパドリング。
***
生名島に戻り、フネを片付け、道具を洗って干し、シャワーを浴びて着替えると、いつものように管理人さんが準備していただいていた自転車をお借りして、因島へ買い出しに。 因島のスーパーで、ビールと豆腐、納豆を購入して桟橋に戻る。 
フェリーに乗り込もうと歩いていると、後ろから『ご苦労さま』と声を掛けられた。 みると、キャンプ場の管理人さんである。
『あ、買い物に行かれてたんですか?』 『そう』 『今日は、岩城で買い出ししようと思ってたんですが、日曜日なんでJAも休みでした。 因島(地元では、いんとう)の商店街も休みの店が多くて』 『日曜日じゃから、今日は銭湯も休みよねえ』 『ええ、今日はシャワーで我慢します』
『それにしても、因島のスーパーが無くなったのはさみしいですね。 行くところがないんですよ』 『そうそう、寄る処がなくなったよねえ』

『そういえば、因島に渡ったら選挙のポスターも違ってて、あ、やっぱり生名は四国なんだって実感しましたよ』 『最近はねえ、ケーブルテレビを契約して見られるようになったんだけど、松山の放送なのよねえ。 ここだと、やっぱりニュースでも広島のやつじゃないとなんだかしっくりこない』
『前に岩城に行った時に聞いた話でも、高速代が高いから買い物は今治じゃなくて広島に行くいうて言いよられました。 やっぱり生活圏は広島なんですよねえ』

『生名と因島との間に橋が架かる事は当分ないじゃろうけど、つながったら便利ですよね』 『フェリーもね、始発は6時じゃし、夜中は渡れんしね。 昼までもちょっと待つ5分、10分が長いんよねえ』 『ほんまですね』

そこに実際に住んでいないので、なんとも言えないのだが、広島県の因島が目と鼻の先にあり、生名だけでなく、弓削や岩城と因島の土生港を結ぶフェリーも多く発着している。 まさに生活圏は広島なのだが、行政区画の話は難しいことがたくさんあるのだろう。 これで、もし仮に道州制が導入されたら、状況はどのように変化するのであろうか?

『それにしても、夏場くらいはキャンプ場をもっといろんな人に使ってもらいたいですよねえ。 十数年前のキャンプブームの頃は多かったでしょう?』 『そうね、キャンプ場ができた頃は多かったね。 でも常連さん達も、お子さん達が中学生くらいになると忙しくなって、子供が付いてこなくなると、キャンプにも来なくなる人が多いんですよ』
『へー、そうなんですか』 『やっぱりね、子供と一緒に来て、海水浴したり、一緒に釣りしたりするのが楽しいんだって。 子離れした後に、一人でキャンプしに来る人はほとんど居ないねえ』と、私を見て笑う。
私もつられて笑いながら、『子離れした後の、自由な一人のキャンプが最高なんですけどねえ!』

でも確かに、他の人のブログを見ても話を聞いても、年に何度も一人でキャンプツーリングに行っている人はほとんど居ないようだ。 やっぱり普通は、ソロキャンプツーリングって、それほど楽しくないのかなあ?

生名島までの数分間、客室に並んで座り、世間話。 フェリーが港に到着。 『じゃあ、キャンプ場までチャリで帰ります!』
***
キャンプ場に戻ると、夕食の準備を開始。 まずは、小さな釜に無洗米を入れ、水を満たす。 米粒が水を吸うのを待つ間に、焼肉の用意を進める。
今回も、もちろん炭火焼き。 使い込んだ里山コンロを取り出し、炭火を熾す。 家から持参した野菜を切ると準備完了。
 
瀬戸内の夕景を眺めつつビールをグビリと飲り、炭火で炙った島豚をパクリ。 ジュワーッとおいしい脂が口に広がり、それをビールで流す。 再び島豚をサクリ、お釜で炊いたおいしいご飯をパクリ。 ビールをグビリ。
まさに、至福の一時である。

8月も終わり、海水浴シーズンもようやくオフを迎えた。 待ちに待った海旅の季節が到来!
どんな秋が、そして出合いが待っているのだろうか? 楽しみだなあ。

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瀬戸内シーカヤック日記: 夏のシーカヤック教室、4回目

2009年08月29日 | 旅するシーカヤック
2009年8月29日(土) 今日は、今年4回目となるシーカヤック教室の日。 いつものようにPFDとパドルを積み込んだアテンザワゴンで島へ。
毎回参加してくれている小学校低学年の女の子達とすれ違うと、笑顔で『今日も漕ぐよー!』、『先生さみしいじゃろうけん、今日も行ってあげるよー』などと声を掛けてくれる。 『ほうかほうか、ありがとう。 今日も楽しもうな!』 ほんと、うれしい限りである。
お昼ご飯の後、みんなで手分けしてカヤックやパドルを運び、準備する。 今日は曇りの予報だったが、雲間からは夏を思わせる太陽が覗く絶好のパドリング日和。 幸運な事に、今年のシーカヤック教室は4回とも、そこそこ天候に恵まれている。

今日は、小学校低学年の子供達を中心に、先生を入れて計8人。 装備を確認し、フネ割りを決め、『もうみんな慣れたよねえ。 じゃあ、海に出てみようか』

いつものように漕ぎ方を復習しながら、湾内をグルリと回る。 『うーん、みんな上手くなったねえ』
1時間弱経つと、女の子達が『先生、泳ぎたーい。 いいでしょう?』 『ようし、じゃあ浜に戻って泳ぐか。 その間に、先生達にレスキューの練習をしてもらおう』

戻る途中、男の子が『ようし、俺、ひっくり返ってみる』と言って、ザブーンとカヤックを横倒しにした。
じゃあ、ということですぐ彼の横に着け、『カヤックを起こせー! パドルは離すなよ』

なんとかカヤックを起こした後は、『ようし、そうそう。 じゃあ、そこから乗り込んでみ』と、抱え込みレスキューの練習。
カヤックの中には結構水が入っており、不安定な状態でなんとか乗り込めた。 そこから、『じゃあ、これで水を出すんよ』とビルジポンプを渡し、水出しの体験。
シュッポシュッポとビルジポンプで水出しするが、たっぷり入った水は全く減っていかない。 『ね、カヤックの中に水が入ったら大変じゃいうのが分かるじゃろ。 海でひっくり返るいうことは、本当に大変な事なんよ』
***
みんなで浜に戻り、子供達はPFDを来たまま泳ぎ出した。 一人の先生に子供達を任せ、残り二人の先生方にレスキューの体験をしてもらう。
『じゃあ、せっかくなんでパドルフロートを使ったセルフレスキューを試してみましょうか』
まずは、私が乗り込み方を実演。 『泳ぎながらパドルにパドルフロートを取り付けて、カヤックに固定して。 こうやって右足をパドルに乗せて、左足をカヤックに入れて。 重心を低くしたまま乗り込んだら体をくるっと回す』

『じゃあ、やってみようか』 初めて経験する先生方は、なかなか上手くいかない。 『そう、もっとカヤックに体を預けて。 重心を低くして』 やってみると、重心が偏りすぎてパドルフロートが沈んだり、乗り込んだと思ったら反対側にひっくり返ったり。
先生の一人は、シーカヤック教書を読んで勉強していたのだが、『ね、やってみると難しいでしょう?』 『そうですねえ』
『この、波の無い海でこれですから。 本当に荒れた状態でレスキューする事を想像してみて下さい。 ね、大変でしょう!』 『いやあ、ほんとそうですね。 今日はいい経験になりました』
***
その後、先生方だけで抱え込みレスキューの体験をしてもらい、女の子が『一人で漕ぎたーい』というので、再びフネ割りを変えて、海に漕ぎ出した。

まだ小学校2年生のちいさい女の子。 最初は上手く漕げなくて私がロープで引っ張ったのだが、途中からは自分一人で曲がったり、バックしたり、自分の行きたい方向に行けるようになっていった。
エルコヨーテのGパドルを操り、一人で漕ぎ進む小学校低学年の女の子。 『そうそう。 右だけ漕いで。 左にブレーキを入れてみようか。 いやあ、すごく上手くなったねえ!』 すると先生方も、『すごいねえ。 上手い上手い』と感心。
***
約2時間弱の楽しい時間を終え、カヤックを浜に揚げた。 この夏は、今回が最後のシーカヤック教室。 本当に楽しかった!

シーカヤックが縁で始めた夏のシーカヤック教室。 昨年は2回、今年は4回、子供達そして先生達と一緒に楽しい時間を過ごすことができた。
毎回、参加者の年齢や経験を勘案しながらプログラムやフネ割りをその場で考え、安全第一で気を配りながらも、小さい子供達に楽しんでもらう工夫もした。
また、先生方にも機会あるごとに安全や装備確認の大切さをお話し、セルフレスキューや人のレスキューを体験していただいた。 私にとっては、本当に楽しくかつ充実した夏のイベント。

先生方の話だと、この夏のシーカヤック教室でカヤックを好きになった子供が何人も居るとの事。 これに勝る喜びはない。
みんな、本当にありがとう。 とても楽しかったよ! 来年もまた一緒に漕ぎましょう!

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瀬戸内シーカヤック日記: 夏のシーカヤック教室(3)

2009年08月23日 | 旅するシーカヤック
2009年8月23日(日) 今日は、今年3回目となるシーカヤック教室の日。 シーカヤックが結ぶ縁が切っ掛けで始めたこのシーカヤック教室も、今回で計5回目。

『瀬戸内海洋文化の復興、創造そして継承』をテーマとする、私のシーカヤックライフの重要な転機の一つとなった『第1次瀬戸内カヤック横断隊』に参加させていただいた一員としての意志を継ぐものとしての自覚を持ち(今思い返しても、第1次横断隊が私にとってはこれまでで最高の経験をさせてもらい、強烈な影響を受けた横断隊であった)、ボランティアとは言え安全確保がなによりも大事な私の役目ではあるが、毎回子供達の笑顔で逆に元気をもらっており、私自身がとても楽しみにしている活動である。
***
昼食の後、手分けしてカヤックやパドル、ライフジャケットなどを運び、シーカヤック教室の準備をする。 今回は、先生二人と、小学校低学年の女の子3人、高学年の男の子2人、そして高校生が一人。 ほとんどの子達は、これまで参加してくれており、もう顔見知り。
『さあ、無理せずにみんなで運ぼう。 小さい子はパドル、先生達はカヤックを。 途中で疲れたら休みながらでいいからね』

***
準備を終えると挨拶をして、フネとパドルを決めていく。 これは、私の大事な役目の一つである。
シングル艇とタンデム艇。 シングル艇でも、大きくて安定したカヤックや、練習用の小さめのカヤックもある。 年齢や体格、経験、そして本人の希望も聞いた上で、安全かつ楽しめるように割り振る事が必要だ。
『じゃあ、これに乗ろうか』 『先生が後ろに乗って、あと二人は前に乗ろうね。 それでいい?』 『こっちのパドルを使った方がいいですよ』 などなど。

一人の男の子がやってきて、『これ、使っていいんですか?』と聞いてきた。 彼が指差したのは、エルコヨーテのワークショップで自分で仕上げた『桧製のグリーンランドパドル』
私はニコリと笑い、『これ、前に気に入ってたよねえ! じゃけえ、あんたのために持ってきたんよ。 使いんさい!』 すると彼はうれしそうに『ハイ』と返事をしてグリーンランドパドルを手にした。 やっぱりこれが気に入ってたんだ。
前回も持参したのだが、彼は残念ながら参加していなかった。 もしやと思い、今回も持って来たのだが、やっぱ持って来て良かったなあ。
***
今日参加された先生方は、私のシーカヤック教室は初めてだったので、まずは安全確保の基本であるライフジャケット/PFDの着の注意点についてお話しする。 実際に着けている状態を一人一人確認しつつ、サイズは合っているか、ベルトはしっかり締められているかなどを確認し、サイズが合っていない場合は交換していった。

『お待たせ! さあ、漕いでみようか!』
最初に、カヤックに慣れた高校生に海に出てもらい、漕ぎ出して行く子供達のケア/ワッチを頼む。 その後、カヤックを順番に海に下ろし、乗り方を教え、パドルを渡して沖に押し出す。 一艇一艇、これの繰り返し。

みんなが無事に出た後は、今日が初めてと言う先生方をメインに漕ぎ方の講習。 フォワードストローク、止まり方、曲がり方、その場での回転などなど。 『ようし、じゃああっちまで漕いでみよう』
***
みんなの状態をしっかり確認しながら、それぞれのスキルと経験に合わせて楽しみながら漕いでもらう。 『パドルが左右逆になってるよー』 『そうそう、止まる時は後ろにブレーキを入れるんだ』 『海じゃあ、もう少し低めに構えて漕いだ方がいいよ』 『体は起こして。 そう、全力で漕ぐ時には少し前屈み気味でもいいよ』

しばらく漕いだ後、高校生の彼を呼び、『これ、乗ってみるか』と言うと、『はい、乗ってみます』との事。
一旦上陸し、私が乗っている『ニヤック』に彼を乗せ、彼が乗っていた『スペクトラム』には、シングル艇に乗ってみたいと言っていた先生に乗ってもらう。 そして私は、女の子を前に乗せた『キウィ2』に。

高校生の彼はニヤックを一漕ぎし、『こりゃあ速い。 少し漕いだら分かりますよ!』 『そうじゃろ。 同じカヤックでもぜんぜん違うんよ。 それにテントを積んだら、どこまでも行きとうなるじゃろう』 『はい。 ほんまにどこまでも行けそうです!』とうれしそうに応えてくれた。
そうそう、それが本物のシーカヤックの感覚。 乗ったらその自由さ、そして旅に出たくなる感覚がわかるじゃろう! それこそ、旅するシーカヤックなんだ。
***
小さい女の子達は、『先生、泳ぎたい。 泳いでいい?』 『寒くないかー。 大丈夫なら泳いでいいよ!』というと、さっそくカヤックから降りて岸壁から海にドボーン! やっぱ元気だなあ。

みんなの状態を確認しながらの練習。 『おーい、疲れてないか?』と男の子に聞くと、『ええ、手が少し疲れただけです。 大丈夫です』との返事。 すると、Kiwi2の前に乗っていた女の子が、『疲れたら、○○先生に引っ張ってもらえばええんよ。 先生がロープを持っとるけえ』と、私を指差す。
そう、前回デモンストレーションした、トーイングロープでのレスキュー練習を、この女の子は覚えていてくれたのだ。 これは本当にうれしいなあ! シーカヤッカーとして必要な知識や経験を、少しずつでもこの子達に経験として伝えていけているんだ。

漕いで、泳いで、練習して、元気な子達と競漕して、楽しい1時間半はあっという間に過ぎていった。

『ようし、じゃあそろそろ3時。 今日は終わりにしよう』 『はーい』 最初と同じく、みんなで手分けして道具を片付ける。

最後に、『今日は楽しかったねえ。 お疲れさまでした』と挨拶すると、女の子達が『また遊ぼうね!』と声を掛けてくれた。 うれしいなあ、シーカヤック教室を楽しみにしてくれている子供達がいるんだ。
今日もやっぱり来て良かった! 気持ち良く、仕事が待つ月曜日が迎えられそうだ。 『みんな、ほんとうにありがとう!』

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瀬戸内シーカヤック日記: 刎島、馬島ツーリング&周防大島ドライブ

2009年08月22日 | 旅するシーカヤック
2009年8月21日(金) 今日の目的地は山口県の平生町。 お気に入りのエリアの一つ、刎島周辺をのんびりと漕ぐ事にしよう。

海水浴シーズンは、『旅するシーカヤッカー』にとっては出艇場所に悩む時期。 海水浴の人が多く、また駐車場の問題などから海水浴場からシーカヤックを出す事は難しい場合が多く、また普段目的地にしている浜も、サメ避けや安全対策のために沖にネットが張られているため上陸できない場合もある。

そのため、島根半島に行ったり生名島に行ったりするのだが、今回は夏の定番の一つ、刎島を訪れることにした。

***
下道を走り、10時過ぎにいつもの出艇場所に到着。 少し風があり、山の上に設置されている風力発電機の羽根は勢い良く回っているが、幸い南寄りの風。 ここは、西風が吹くと手がつけられないのだが、これなら問題なく出せそうだ。

まずは馬島に向かい、刎島との間を抜ける。 正面に、牛島と祝島が見える。 刎島の裏を抜けて佐合島へ。
 
再び刎島に戻り、いつもキャンプする浜に上陸した。
 
暑い。 シーカヤックを引き揚げるとTシャツを脱ぎ、海へドボン。 あー、気持ちイイ!
ここの海は透明で、泳いでいても気持ちが良い。 しばし、プライベートビーチ状態の夏の海を堪能する。
 
キャンプしたいところなのだが、大潮で満潮時の浜が狭く、また雷注意報が出ているので、今回は残念ながら日帰りツーリング。 次回はゆっくり訪れたいものだ。

再びシーカヤックに乗り込み、馬島の裏側を回って、1時半に出発地点へと戻ってきた。 約3時間ほどのお散歩ツーリング。
***
道具を片付け、周防大島へ。

周防大島では、最近お気に入りのお店に行き、少し遅めのランチ。 メニューは日替わりだが、500円/ワンコインでおいしいランチが楽しめるのがこのお店。 今回は、+150円で食後のコーヒーもゆっくりと楽しんだ。 『ごちそうさまでした!』
  
4時過ぎに『星野哲郎記念館』へ。 その後は、これまたお決まりの『竜崎温泉』にゆっくりと浸かり、汗と潮を流す。
 
今日は、周防大島で久し振りの車中泊。 せっかくだから、外で食事をすることにしよう。
お店は、これまで何度か訪れた事のある『慶』 メニューを開くと、『のんた定食(平日のみ)』というのを見つけた。 店員さんに聞くと、3品の定食だとか。 『じゃあ、のんた定食をお願いします』

やってきた定食を見て驚いた。 刺身に、アジの塩焼きが2匹、タイの餡掛けも2匹。 たしかにメインは3品だが、そのうち2品は2匹ずつとは。。。
それに茶碗蒸し、漬け物、みそ汁、ご飯とボリュームたっぷり。 これで1100円! 安いなあ。

冷えた生ビールと、おいしい魚。 これまた絶品の茶碗蒸し。 あー、タマラんなあ。 来て良かった。
***
翌朝。 クルマの中で目を覚ます。 今年は夜が涼しいので、この時期の車中泊でもなんとか寝ることができた。
空は曇り。 天気予報では、雷注意報が出ており、午前中は雨が降るかもしれないとの事。

車中泊した海岸付近を1時間ほどウオーキングした後、沖にある島へと続く防波堤で海を眺めていると、地元のおじいさんが歩いてこられた。 『おはようございます』と挨拶すると、『おはようございましたのんた』と返ってきた。

『この道は、昔はなかったんよ。 昔は、潮が引いたら向こうの島まで釣りに行きよった』 『そうなんですか。 いつ頃この防波堤ができたんですか?』
『そうじゃなあ。 わしがこっちに帰ってきたんが昭和35年ころじゃから、たしかその頃じゃなかったかの』 『この辺じゃあ、真珠の養殖をしよったらしいですね』 『ほうよ。 じゃけえこの防波堤の道を造る前は、竹を組んで並べて、向こうの島まで歩いて行けるようにしとったよ。 わしらも、前は釣りに行っても潮が満ちる前に帰らんといけんかったが、竹の橋ができてからは、いつでも帰られるようになったけえ便利じゃったよ。 その頃は、竹の橋に筵を敷いて、その上に座って釣りしよったなあ』

『この辺りは2回に分けて埋め立てられとるんじゃ』 『ええ、前に聞いたことがあります。 昔は下田神社のすぐ下が海じゃったそうですね』 『ほうよ。 最初は国道のとこまで。 その次はこの道の駅の方まで』
『この防波堤ができるまでは、このあたりはええ浜で、アサリがえっと採れよった。 あそこの集落の人らは、干潮になったら掘りに来て、えっと背中に背負って帰りよったもんよ』 『そんなにたくさん採れたんですか!』 『ほうよ』
『それとな、干潮の時には杖を突いて歩くんよ。 そしたら、所々でシャーッと潮が噴き上げる。 そこを掘って、大きな貝を獲りよったなあ。 あれは、なんちゅう貝じゃったろうか』

『昔はそがあに貝や魚が居ったんですねえ。 埋め立てたり、防波堤を造ったりしたら潮の流れが変わる言いますけん、そういう影響があるんでしょうね』 『そうじゃろう。 アサリの小さいのを撒いたりしよったが、それでも最近は育たんらしい。 それに昔は、この辺りでも浜のすぐ傍まで大きなチヌが寄りよったもんじゃが、最近は滅多に見んようになったよ』 『ほうですか。 さっき、ここの前にこれくらいのチヌは一匹だけ見かけました』
***
その後しばらく話すと、おじいさんは帰っていかれた。 『いろいろ聞かせてもろうて、ありがとうございました!』
今日は、この辺りを漕ぐつもりだったのだが、空は次第に暗くなり、風も出て、小さい雨粒も落ち始めた。 ほんと、今年は安定した天気が長続きしない。

昨日は晴天の中、刎島付近を漕いで海水浴も楽しんだし、周防大島では温泉と食事を堪能して、短い時間ではあったが地元の方からこの辺りの昔のお話を伺うことができた。 満足満足。 さて、ゆっくり帰るとするか。

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瀬戸内シーカヤック日記: 知人が描いてくれたイラスト!

2009年08月19日 | 旅するシーカヤック

仕事が縁で知り合った『asamiさん』に、シーカヤックを漕いでいるイラストを描いていただいた!
宮島の鳥居の前、インチューンパドルでフェザークラフトK-1を漕ぐ私。

今日の夕食時に、一緒に食卓を囲んだ家族に見せると大好評。 やっぱり写真とは違って独特の味がある。 うれしいなあ!
***
このasamiさんは、先日のブログでも紹介したのだが、『ミディーのおさんぽ(さく:いのうえゆきひこ、え:いのうえあさみ)』という絵本を山口県限定で自費出版されている。
 
asamiさんのお父さんは、元山口放送のアナウンサーで、”熱血テレビ”のメインキャスターとしても活躍されたと言う『井上雪彦さん』 ネットで調べると、山口県ではかなり有名なアナウンサーだったとか。

そのお父さんが描かれた絵本の文章に、娘さんが絵を描かれたのが、この『ミディーのおさんぽ』である。
主要書店に置いてあるそうなので、山口県の方はぜひ手に取ってみてください!

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瀬戸内シーカヤック日記: 島根半島、猪目海岸キャンプツーリング

2009年08月16日 | 旅するシーカヤック
2009年8月14日(木) 朝4時起床。 この週末のツーリング候補地は、毎年夏に訪れている瀬戸内の無人島と島根の猪目海岸。 アテンザワゴンにはキャンプ道具一式とニヤックは既に積み込んでおり、いつものように、その日の朝の天気予報次第でどちらにするか最終決定するため、パソコンを立ち上げ、天気予報を確認した。

『お、日本海は穏やかな予報。 ようし、今回は猪目海岸に決定だ!』 早速着替えて4時半に家を出た。
島根半島の西側に位置する猪目海岸をベースにしたキャンプツーリングでは、これまで様々な出合いに恵まれて地元の貴重なお話を聞かせていただくことができ、お気に入りの場所の一つである。

*** 一昨年、昨年の猪目海岸ツーリングの記録 ***
2007年:
日御碕へ
ローカルバスで『あるくみるきく』
浜で『あるくみるきく』(1)
浜で『あるくみるきく』(2)

2008年:
浜で『あるくみるきく』
***

ほぼ一年振りとなる猪目海岸に到着。 ただ、いつもと雰囲気が違う。 コールマンの大型ドームテントがいくつも張られ、キャンプに来ている人が大勢居るようだ。 うーん、今年は。。。
私は、人が多い賑やかな場所でキャンプしたり、カヤックを漕いだりするのは嫌いなので、もう帰りたくなってきた。

とはいえまだ朝も早く、浜で泳いでいる人は居ないので、シーカヤックを降ろし、漕ぎ出した。
 
今日は日本海側の高気圧に覆われ、穏やかな晴れになるとの予報なのだが、海にはまだうねりが残っている。 湾から出て、1時間ほどお散歩ツーリングを楽しんだが、この様子なら、おそらく昼頃からは穏やかな凪の日本海になるだろうから、昼から漕ぎ出す事にしよう!
 
一旦浜に戻り、テントを張る。
***
そうこうするうちに、どんどんとクルマがやって来て、浜には人が増えてきた。 今日は久し振りの快晴で、お盆休みのまっただ中。 『うーん、誤算だった』 これじゃあ、昼間にカヤックを浜から出す事はできそうもない。
 
昼から日御碕方面を目指すのは諦め、流木に腰掛けて缶ビールをプシュッと開け、海を眺めながらお弁当を食べると、バス停へ。 せっかくだから、出雲大社にお参りする事にしよう。
一日に数本しかないローカルバス。 クネクネと曲がりくねった狭い峠道を登って下り、出雲大社へ。
 
立て替えが行われている最中の本殿は、立派な雨風避けで覆われており、ここは工場か? と思わせるような外観に驚いた。
お盆休みの旅行で大勢の人が参拝する中、私も旅の安全を祈願。 しばし町中を散策し、いつものスーパーで買い出しをして、帰りのバスに乗り込んだ。
バスに乗った時、一昨年楽しいお話を伺った運転手さんにお会いできないかと期待していたのだが、今回は往路復路とも若い運転手さんであり、残念ながら再会はかなわなかった。 もう、退職されたのかなあ。
***
浜に戻ると、更に人が増えている。 引越しかと思うくらい多くの荷物を運んで来てテント村を作っているグループもある。 ああ。。。
しばし海に浸かって頭と体を冷やしたり、猪目洞窟へ散歩に行ったり。
 
私の苦手な賑やかな浜から脱出するため、再びバス停へ。 せっかくなので、これまで気にはなっていたが乗った事のなかった、平田駅方面への『生活バス』を利用させていただく事にした。 楽しみだ!
 
このバスは、ワンボックスカーがベースのマイクロバスである。 これまた一日に数本と本数が少ないので、乗り込む時に聞いてみた。 『これ、平田のバスターミナルで折り返しですよね。 途中で降りて、平田のスーパーで買い出しする時間はありますか?』 すると、運転手さんは時刻表を見ながら、『そうじゃねえ、20分くらいあるんじゃない』との事。 『じゃあ、お願いします』とバスに乗り込んだ。
バスは海岸沿いの狭い道を走り、驚くような狭い山道を抜け、平田市街へ。 もう一人乗っておられたおばあちゃんも、スーパーの傍のバス停で一緒に降りた。 『料金はなんぼですか?』 『200円』 えー、これは安いなあ。
『帰りもこのバス停から乗れるから、時間頃にはここに出とって』と運転手さん。 『はい、よろしくお願いします』
***
スーパーでビールとつまみを買い出しし、時間前にバス停へ。 到着したバスに乗り込むと、乗客は私一人であった。
『ありがとうございました。 おかげさまで買い出しできましたよ』 すると運転手さんは笑いながら『どっから来られた?』
『はい、広島からです。 猪目には、毎年夏にカヌーを漕ぎに来よるんですよ』 『ほうね、キャンプしよるん? でもクルマで来とるんじゃろ』 『はい、キャンプしてます。 クルマで来ちょるんですが、昼にビール飲んだし、地元のバスに乗るのも好きなんで』
『お盆なのに、墓参りはせんでもええんかね?』 『ええ、ここに来る前に墓参りはしてきましたから』

『それにしても、どこまで乗っても200円言うのは安いですねえ。 驚きました』 『ほうじゃろ。 もっと長い路線じゃったら、終点まで1時間いうのもある。 それでも200円よ。 一区間乗っても、1時間乗っても200円』
『前は、タクシーの運転手をやりよった。 生活バスの運転手は、元タクシーの人が多いんよ』 『そうなんですか。 じゃあ、狭い道でも慣れたもんですねえ。 もしタクシーで平田駅から猪目まで乗ったらどれくらい掛かるんですか?』 『そうじゃねえ、3000円以上掛かるね』 『それがこの生活バスなら200円! やっぱり安いなあ』

『猪目分校があるじゃろう。 あそこには今も3人の子供が居る。 その子らが週に3回、別の学校に行くんよ。 その時にこのバスを使う。 もし、あの子らが居らんようになったら、このバスもなくなるかもしれんなあ』
***
『ところで、さっきは山の中の狭い道を走られましたが、あそこで乗る人も居るんですか?』 『たまには居るよ。 バス停もあるが、このバスはフリー乗降じゃから、手を挙げたらそこで停まって乗せてあげる』 『冬の雪は大丈夫なんですか?』 『なあに、このバスは4WDじゃから、何にも問題ない』

『そういやあ、猪目じゃあ鹿が出るいうて聞きましたが、やっぱり居るんですか?』 『ああ、鹿はよう見るよ。 お盆には、お墓に供えた花を食べに来るし、雨が降った後は、よう里に降りて来る』 そしてあるところで減速し、『ほら、これが鹿が降りて来る通り道よ』と指差し、教えていただいた。

↑ 翌日の帰り道に撮影した、鹿の通り道

その後も、生活バスの話、猪目付近での釣りの話、十六島(うっぷるい)の東側での冬の大波の事、磯での密漁監視の事などなど、様々なお話を伺っているうちに、猪目へ到着(一昨年のツーリングの時にも話を伺ったが、地元の漁師さんは、サザエやアワビの密漁で本当に困っておられます。 サザエの1個でも密漁です。 罰金は数年前に一桁上がり、300万円ほどとか。 罰金は別にしても、自然保護と地元の方々との交流を大切にする心あるシーカヤッカーなら、絶対に密漁はしませんよね!)。
『あんた、ここでキャンプしとるんよね?』 『はい、あの小さいテントです』 『じゃあ、そこの前で停めてあげよう』
バスが停まり、200円を支払って降りる。 『ありがとうございました』 『気をつけてな』
***
夕方5時。 さすがに海水浴客の多くは帰り、キャンプする人たちも夕食の準備を始めている。 絶好のチャンス。 シーカヤックを海に浮かべた。
 
穏やかな日本海。 傾いた陽の光が良い感じで海岸線を照らし、気持ちの良いお散歩ツーリング。 十六島を目指し、漕ぎ進む。 遥か彼方には、うっすらと隠岐の島が見える。
30分ほどで十六島へ。 そこから折り返して海岸沿いに猪目に戻る。
 
海に落ちる小さな滝、海岸洞窟、そして浜に戻る頃には美しい夕焼け。

シーカヤックを浜に揚げ、買ってきた食材で夕食。 暮れ行く日本海を眺めながら、冷えたビールを飲み、出雲の割り子蕎麦を食べる。 イカをつまみにビールをゴクリ。 うーん、旨い!
食事をしていると、後ろの道を生活バスが通る。 見ると先程の運転手さんだ。 会釈をすると、手を振って応えていただいた。 旅先では、こんなちょっとした出合いやコミュニケーションがうれしいものだ。

日御碕までは行けなかったけれど、朝と夕にツーリングが楽しめ、生活バスでの出合いもあり、なかなか良い一日であった。
***
翌朝は、テントを叩く雨音で目が覚めた。 天候不順な今年らしく、天気もコロコロと変化する。 昨日、漕いでおいて良かったなあ。 テントの中でゆっくりと朝ご飯を食べ、荷物を片付けてシーカヤックをカートップ。

帰りには、日本海ツーリングからの帰りの定番となっている、一福さんの蕎麦と、ラムネ温泉を堪能。
今回の教訓は、猪目にキャンプツーリングに行く時は、お盆の休みを避けるべきであるという事。 また、機会があれば静かな時期に訪れてみたいものだ。

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瀬戸内シーカヤック日記: 大崎上島_住吉祭り&櫂伝馬競漕

2009年08月13日 | 旅するロードスター/アテンザ
2009年8月13日(木) 今日は大崎上島で住吉祭りが行われる。 祭りでは、櫂伝馬競漕も行われるということなので、見学に行くこととした。

ロードスターの幌を降ろし、海沿いの道を快適なドライブ。
 
***
竹原港にロードスターを停め、フェリーで大崎上島へ。
 
白水港に着くと、そのすぐ傍には飾り立てた海賊船が! 白水と書いた旗が見えているので、これは櫂伝馬競漕に関係のある船に間違いない。 大崎上島は、櫂伝馬競漕でかなり盛り上がっているようだ。

海賊船の前にたむろしている人々の中に、先日櫂伝馬の練習で訪れた木江でお世話になった方々の一人を発見。 『こんにちは。 先日はいろいろお世話になりました』と挨拶。 立ち話で伺ってみると、競漕に参加する各地区では、この日のために小型のフェリーや客船などをチャーターし、予備の漕ぎ手や飲み物などを積んで海上で待機しておくのだそうだ。
 
***
その後、『旅する櫂伝馬プロジェクト』の最初の打ち合わせと櫂伝馬体験で訪れた古江に行くと、いつもお世話になっているFさんが居られた。 挨拶を交わし、先日の木江での競漕の結果や、一緒に櫂伝馬プロジェクトに関わっており、木江に長期滞在して連取に参加し、櫂伝馬競漕では漕ぎ手にもなったAさんの話などを伺った。 『今日は頑張って下さい!』
 
開会の式典が行われ、神輿を船に運び、スタートの準備。
 
***
13時40分。 スタート!
私は、教えていただいたゴール付近の桟橋に陣取り、カメラを構えた。 少し風はあるが、薄曇りから時折晴れ間がのぞく、快適な天気である。
 
だんだんと近付いて来る。 追い風に乗って、なかなか良いペースだ。
 
桟橋を越えると、生野島との間にある旗の立ったブイを回って戻って来る。 ここでのターンも見所の一つ。
***
桟橋前では、ゴール前のデッドヒート! 抜きつ抜かれつの全力競漕である。
 
ゴールした櫂伝馬を、観客みんなで拍手でねぎらう。 スタートからゴールまで、全力漕ぎでなんと15分の長丁場。
これはキツいなあ。 若くないと漕げないと言うのが納得できる。
***
競漕が終わり、桟橋から上がろうとした時、これまた先日の木江でお世話になった方を見かけた。 『こんにちは。 先日はお世話になりました。 ごちそうにもなって、ほんとありがとうございました!』 『お、今日は見に来たん?』 『ほうなんですよ』

『今日は島に泊まるん?』 『いいえ、今日は帰るんです。 ところで今日のは出られんかったんですか?』 『おお、今日のは長いけん。 きついわ』 『ほうですよねえ。 時計を見よったら、15分くらい掛かりよったですね』
***
『じゃあ、失礼します。 また遊びに来ますけん』
今日は、これまで二度の島訪問で顔見知りになった、何人もの方にお会いすることができた。 櫂伝馬が結ぶ縁。 本当にうれしいことである。
大崎上島の櫂伝馬競漕、必見です! でもやっぱり本音は、見るよりも漕ぎたいなあ!!!

*** 備考 ***

 
↑ この角度から見ると、大崎上島の櫂伝馬は競漕用にスピードを重視した幅の狭い船である事が分かる。 櫂はワイドブレード。
 
↑ こちらは祝島の櫂伝馬。 こちらは神事が主な用途であり、今では競漕には使われていない。 大崎上島の櫂伝馬に比べて幅が広く、船の高さも高い。 櫂はナローブレード。 大崎上島の中でも地区によって舟底の形は違うそうだから、櫂伝馬の地域と舟形の分析も、なかなか興味深いものである。

また、昨年の横断隊で祝島を訪ね、島の方々と酒を酌み交わしながらお話を伺ったとき、かつて祝島の櫂伝馬が老朽化し、新しい舟を造るまでの間、大崎上島の木江まで櫂伝馬を借りにいったことがあるとのお話を伺って驚いたことがある。
瀬戸内における櫂伝馬の歴史を紐解いてみるのも、これまた面白い話が発掘できそうな予感。

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瀬戸内シーカヤック日記: シーカヤッククラブ活動サポート(2)

2009年08月12日 | 旅するシーカヤック
2009年8月12日(水) 今日は、この夏2回目となる『シーカヤッククラブ活動』サポートの日。 朝から曇り空だったのだが、昼前には小雨が振ったり上がったり。 微妙な天気でどうなることかも思ったが、午後1時頃にはなんとか雨も上がり、クラブ活動を開始した。
***
今日は子供達も学校行事や用事などで忙しいらしいが、そんな中でも、前回も参加してくれた小学校低学年の女の子と、昨年一緒に漕いだのだが前回は野球で参加できなかった中学生の男の子など、子供3人と先生3人が参加していただいた。
中学生の男の子は、私のクルマが到着するのを玄関で待ってくれていたし、小学校の女の子は、ニコニコと笑いながら私を出迎えてくれた。 いやあ、やっぱり来て良かったなあ! 子供達が今日のカヤック教室を楽しみにして待っていてくれていた事が、私にとっては何よりもうれしい。
『天気がコロコロと変わってどうなることかと思いました。 雨も上がったし、じゃあ準備しますか!』 先生や子供達みんなで手分けしてカヤックと道具を運ぶ。

準備が整うと、みんなで挨拶してシーカヤック教室をスタート。 今日はせっかく少人数なので、いろいろと体験してもらう事にしよう。

最初は、一人でカヤックに乗り込む練習から開始。 『こうやって、パドルを支えにして乗り込むんよ。 体を低くして、こっちに体重を掛けたまま支えて。 じゃあ、やってみようか』 一艇一艇カヤックを浮かべ、乗り込み方のコツを話しながら乗り込んでもらう。 『そうそう。 そんな感じ』 『片足づつ入れて、そう、体をできるだけ低くして』

フェザーとアンフェザーの違いと使い分けを説明し、フォワードストロークの復習をした後は、しばし自由に漕いで楽しむ。
『手元を見ずに、行きたい方向を見て漕いでみよう』 『そうそう、低く構えて、反対の手は押すようにね』 『いいじゃん、ウマくなったねえ』
***
『ようし、もう少しあっちまで行ってみよう! もう少し集まって漕ごうか』 『ほら、ここを出たらあの島がみえるじゃろ。 あそこまで10分もあったら着けるんよ。 いつか、みんなであそこまで漕ごうや!』

『暑い! 泳ぎたい!』との声に応え、子供達にはカヤックから飛び込んで泳いでもらう。 『あー、気持ちいい』
『せっかくじゃから、レスキューの練習もしようか』 安定性の良いタンデム艇では、そのまま乗り込む練習を、シングル艇は抱え込み方式でのレスキューの練習をデモンストレーション。
『カヤックから脱出したらパドルを離さないで。 そしてカヤックを起こす。 助ける人は、しっかりカヤックを持って。 乗り込む人は、できるだけ体勢を低くして。 そうそう。 そんな感じ』
『乗り込んだら、これを使って水を出す』と、ビルジポンプを使っての排水も体験。

レスキューの手順や必要な装備についての話をしながら、先生方にも、レスキューの練習やトーイングの体験をしてもらう。
『どうです。 水が入っていたら不安定でしょう?』 『PFDも、サイズが合ってないと駄目です。 そして、ベルトはしっかり締めて。 小さい子供達用のPFDは、ベルトを股の下を通して』
『こういう装備がないと、もし子供達が沈した時にレスキューできないんですよ。 先生方は、最低でもこんなロープや装備を持ってないと』 『こういうレスキューも、一度体験していたら、いざというときに少しはゆとりができますからね』
***
みんなと一緒にパドリングを楽しみ、様々なレスキューを実体験し、装備についての知識を共有化する。 湾内で漕ぐことと、外海に出る事の違いを、ほんの少しだが体験していただく。 わいわいガヤガヤと楽しい2時間は、アッという間に過ぎていった。

お疲れさまでした。 今日は子供達が少なかったから、先生方にもいろいろな体験をしてもらえて、良いクラブ活動になったと思います。
まだまだ夏はこれから。 一緒に楽しみながら、安全なカヤッククラブ活動が先生方だけで運営できるよう、徐々にステップアップしていきましょう!

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瀬戸内シーカヤック日記: キャンプツアー_『よし正』&しまなみお散歩ツーリング

2009年08月08日 | 旅するシーカヤック
2009年8月7日(金) 今回は、『しまなみ』にあるお気に入りの生名島のキャンプ場をベースに、岩城島にある『よし正』さんを訪ね、おいしい夕食を楽しむ事が目的である。 生名島には、それこそ数えきれないくらい通っているが、そのうち二度は妻も同行している。
しかしながら、一回目はタンデム艇で出たものの、途中で風が強くなったため引き返し、岩城島に行く事ができなかった。
また二度目は、連休中のため予約がいっぱいとの事で、またまた私がお気に入りの『よし正』さんに、妻を連れて行くことができなかったという、妻にとっては近くて遠い、念願のお店なのである。
***
 
いつもお世話になっている、生名島のキャンプ場。 天気に恵まれ、真夏の青い空と白い雲、そして濃い緑のコントラストが素晴らしい。
***
 
キャンプ場で荷物を片付け、しばし休憩。 夕方には、高速船で岩城島へ。 しばらく時間があるので、ターミナルで岩城島名物のレモンを使ったシャーベットをいただく。 うーん、レモンが濃い! おいしいなあ!
***
夕方5時。 予約していた『よし正』さんへ。
 
まずは、刺し盛りと生ビール(大)を注文。 『いただきまーす』 妻には後で運転してもらうため、申し訳ないが私だけで『グビ、グビ、グビリ。 プハーッ。 ウマい』 もちろん、ここの刺身は最高だ。
 
レモン豚/島豚。 おー、これはこれは。 脂がすごく好い味だ。 ご飯がおいしいなあ。
 
レモン豚の串カツ、キス天、タコの唐揚げ。 パクリ、パクパク。 グビリ、グビグビ。 ああ、たまらん!
『やっぱ、よし正さんはおいしいなあ』 『ほんまじゃね。 これは、長男が気に入る訳じゃねえ』

いやあ、三度目の正直でようやく妻と一緒に来る事ができた。 よかったなあ。 『ごちそうさまでした』

しまなみの夕暮れは、とても良い雰囲気。 キャンプ場に戻り、再び静かに乾杯した。
 
***
2009年8月8日(土) 朝食を終え、荷物を片付けると、一人で海へ。
今日は、妻には留守番してもらい、一人で朝のお散歩ツーリング。 その間、妻は木陰でのんびりと読書である。
 
いつも漕いでいる海域ではあるが、瀬戸内らしい箱庭的な景色が堪能でき、潮流も感じられるこのエリアでのツーリングは楽しい。 真夏ではあるが、朝のうちは涼しく、お散歩ツーリングにはピッタリである。
 
1時間ほどのツーリングを終え、浜に戻る。 あー、気持ちよかったあ。
2009年の夏休み。 なかなか良いスタートじゃあないか!

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瀬戸内シーカヤック日記: ホルモン焼うどん/焼そば in 呉

2009年08月05日 | Weblog
先日、妻との日本海ドライブの途中で偶然出会った『津山のホルモンうどん』 このブログを見ていただいたFさんから、呉にも『ホルモンうどん』があるとの情報をいただいた。

え! 呉にもホルモンうどん(ホルモン焼うどん)があるんだ! それはぜひ行ってみなければ。
***
ということで、今日の夕方、教えていただいた『まるわ屋さん』へと向かった。
 
店に入るとおばちゃんが、『何にする?』 メニューを眺め、『うーん、じゃあホルモンと、ホルモンうどんください』
『ごめんねー。 今日はうどんが終わったんよ』 『えー、やっぱりうどんが人気なんですか?』
『いやあ、そうじゃないんよ。 今日はうどんの入荷が少なかったんじゃけど、持ち帰りの人がうどんが多かったけえ、売り切れてしもうた』 『そうですか、残念。 じゃあ、ホルモン焼きそばで』
***
『初めて?』 『ええ、そうなんですよ。 前に、岡山の方へ行ったとき、ホルモンうどんを食べておいしかったんじゃが、そしたら人が、呉にもあるよ言うんで、今日は来てみたんです』
『ほうねえ。 岡山にもあるん』 『ほうですよ。 津山いうところじゃあ、町起こしじゃいうて、町中の店でホルモンうどんを出しよるらしいですよ。 観光客が来て、賑わっとるらしいです』 『ほうねえ。 そりゃあええ考えじゃねえ。 いっぺん行ってみんといけんねえ』
 
おばちゃんは、話をしながら鉄板でホルモンを炒め、焼きそばを焼く。 『ホルモンのええ匂いがしますねえ。 たまらん。 ビールください』

『おばちゃんは、ホルモンうどんとそばと、どっちが好きなんですか?』と聞くと、笑いながら『私はうどんやそばは食べん』と正直な答え。 ふむふむ、そうだよなあ。 おでん屋のおばちゃんも、あまりおでんは食べんいうて言いよったし。 そんなもんじゃろうなあ。
***
『いただきまーす!』 手を合わせ、ビールをグビリと飲り、ホルモンをパクリ。 うーん、ウマい。
再びビールをグビグビ。 喉を潤し、焼きそばをガブリ。 お、美味いじゃん。

ビールを飲み、ホルモンをつまみ、焼きそばを食べながら、おばちゃんとの四方山話を楽しむ。
ここで、五十数年営業している事。 昔はホルモンを出す店は少なかったが、最近ではどの焼肉屋でも出している事。
呉の焼肉屋では、ホルモンうどんを出す店も少なくない事。 そして、趣味としてやっておられる太鼓や鐘などの演奏会の事などなど。

今日初めてこの店に来たのだが、おばちゃんの人柄か、なんだか常連さんのような感じで自然に店にとけ込み、おばちゃんとの楽しい会話。 気さくで、気軽で、ほんま一杯飲りにくるにはええ店やなあ! Fさん、ありがとうございました。
***
ホルモンと、ホルモン焼きそばを食べ、生ビールと瓶ビールを飲み、満足して会計に。 お金を払おうと、いつもの『黄色いペリケース』を開くと、おばちゃんがそれを見て『へえ、変わった入れもんじゃねえ』 『ほうでしょう。 いつも海で遊んどるからこんな防水バッグを持っとるんです。 ええでしょう!』
『ごちそうさまでした。 焼きそばウマかったです。 また来ますよ』 『ほうね。 ありがとう。 また来てね』

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