あるくみるきく_瀬戸内シーカヤック日記

瀬戸内を中心とした、『旅するシーカヤック』の記録

『芸予ブルー』_テーマカラー of 印象派_”瀬戸内シーカヤック日記”

瀬戸内シーカヤック日記: 地元の『さしみ屋』さん_北吉鮮魚店

2008年10月26日 | Weblog
2008年10月25日(土) 今日の夕方は、久し振りに家族全員で晩ご飯を食べに出掛ける事にした。
お店は、地元のおいしい『さしみ屋』さん、そう『北吉鮮魚店』である。

地元とはいえ、島にあるのでクルマで1時間ほどかかる。 家族4人で長男のクルマに乗り込み、出発した。
***
夕刻、暮れゆく海沿いの景色を楽しみながらのドライブ。

『おお、ここは好いじゃないか! ちょっとクルマを停めようよ』 しばし休憩。
***
夕暮れの景色を堪能した後は、再びクルマに乗り込んで南へ。 しばらく走ると『北吉さしみ』。

暖簾をくぐり、『こんにちは。 よろしくお願いします』
女将さんは、顔を覚えておいた下さった様子。 笑顔で、『いらっしゃい』

今回は、昨日予約の電話を入れておいた。
『料理は準備しておきますか?』 『何がありますかねえ?』
『おまかせにしてもらえれば』 『じゃあ、”おまかせ”でお願いします! 予算は、4人で。。。』 『はい、ではお待ちしてます』
という訳で、今日はお任せコース。 楽しみである。
***
私はビールを注文。 妻と長男、次男はお茶をお願いする。
最初に運ばれて来たのは『鱧と烏賊の湯引き』

北吉名物の一つ、鱧の湯引き。 これを、からし酢味噌にちょこんと付けて食すのである。
鱧、ビール、烏賊、ビール。 ときどき烏賊は『刺身醤油』で、これまた違った味わいを楽しむ。
***
次に運ばれて来たのは、今日の主役である”刺し盛り”。
艶々としたその切り口。  鯛、ヒラメ、ハマチ、蛸、烏賊、サザエ、そしてエンガワと皮。 これこれ!

この刺身を、甘口の刺身醤油に付けていただく。 『うん、コリコリ!』 『うまいねえ』 『おいしいな』
家族も大好きな、ここの”刺身” やっぱ、来て良かったなあ。

ここまででもかなりのボリュームである。
次は何だろう?
***
運ばれて来たのは、『アラ炊き』 おー、こんなにいっぱいあって、食べきれるかなあ?

長男がおいしそうな色をした豆腐を更に取り、一口食べる。 『おー、これは美味い!』
どれどれ、私も豆腐をいただくか。 うん、これはおいしい。
熱燗をチビリチビリと飲りながら、良い味がしみ込んだ豆腐、目の周りのゼラチン質、骨に付いた身のところ、様々な部分の異なる食感と味を堪能。 それにしても、たしかにこの豆腐は絶品である。
***
次は、天ぷら。 魚の天ぷらと、これまた魚やタコ、イカが使われたかき揚げ。

特に次男は、この天ぷらが気に入った様子。
揚げたてホクホクの天ぷらを、天つゆに付けてパクリ。 サクサクのかき揚げをパクリ。 『うーん、旨い』
私は日本酒を飲りつつ、そして家族はご飯といっしょに、アラ炊きと天ぷらを食す。
***
いやあ、ごちそうさまでした。
久し振りに来た甲斐があったなあ! 家族も大満足である。
地元では”さしみ屋さん”と親しまれている『北吉鮮魚店』 こんな良いお店が、地元にあるのはうれしいものだ。

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瀬戸内シーカヤック日記: 秋のお散歩ツーリング to 大黒神島

2008年10月18日 | 旅するシーカヤック
2008年10月18日(土) 好天の秋の週末。 今日は久し振りの”日帰りツーリング”。
***
今日は気軽な日帰りツーリング。
マルキルのアルミ製の水筒に水を入れ、カセットガスが使えるイワタニのガスバーナーと小さなコッフェル、シェラカップを準備する。
ペットボトルに『ビワ茶』を詰め、妻が準備してくれた小さなランチジャーのお弁当と一緒に防水バッグにパッキングして出発!
***
クルマで30分。 予定していた浜に到着。
だが、東風が強い! 木の葉はザワザワと揺すられ、海はオンショアの風で白波が立ち始めている。
うーん、これは。。。 先週、竹原で風待ちした時と似たような状況である。
だが今日は既に晴天。 風が変わりそうな気がしない。

じゃあ、西側に行ってみるか。 そう、これが島が多い瀬戸内の利点の一つである。
様々な場所から出艇することができるので、風が強い日でも場所を選べば、風裏での安全なツーリングが楽しめるのである。
***
浜に着くと、狙い通り風は弱い。 これならOKだ。
シーカヤックを降ろし、安全装備と最小限の荷物をパッキングして出発した。

沖では、多少北東の風が抜けてはいるが、岸沿いを進む限りまったくの穏やかな海。 のんびりまったり、秋のお散歩ツーリングである。

まだ少し風が残っているので、島渡りは様子見とし、小さな浜に上がってお昼ご飯とする。

浜を散策して、”風よけ”に使えそうなカゴを見つけた。 カヤックの傍に小さなキッチンをセッティング。
今日のお供は、イワタニのガスバーナー。 コンパクトでかつカセットボンベが使え、更には自動点火装置もついているという便利さ。 お手軽日帰りツーリングには最適である。
20年ほど前から使っている、ベコベコ、真っ黒になった薄いアルミのコッフェルでお湯を沸かし、インスタントの豚汁をつくる。

『いただきます』 妻が用意してくれたランチジャーのお弁当を食べ、秋らしさが漂い始めた海を眺め、温かい豚汁をすする。
***
『ごちそうさまでした』 お昼ご飯が済んだ頃には風が落ちていた。 うん、これならバッチリ渡れるぞ。

暖かいというより、暑いような陽気の中、大黒神島へ。 あっという間に島に渡り、岸沿いを漕いでいると、一隻の漁船が見えて来た。

見覚えのある船形。 これはもしかして、『豊島の家船』ではないだろうか?
よく見ると、船には黄色地に”金”の文字が入った金比羅さんの旗や、『室原神社』の名が入った安全祈願の旗が掲げられている。 これは、豊島の家船に間違いない!

近寄ってみたが、残念な事に人影は見えない。 おそらく前方に備えられた家船ならではの船室で、お昼ご飯の準備をされているのであろう。
***
小さな浜に上陸。 しばし休憩。

再び、日帰りツーリングセットを取り出す。
マルキルの水筒、イワタニのガスバーナー、コッフェル、シェラカップ、ランチジャー。 これらを黒い防水バッグに入れ、クルクルと巻き上げてパッチンと留めると、ちょうど赤いソフトクーラーにピッタリのサイズになる。
防水バッグをソフトクーラーに入れるので、防水は完璧。 この状態なら、前後のハッチ内に入れなくても、コックピットのフットペダル前のスペースにぴったりと収まるのだ。
日帰りツーリングなら、休憩やお昼ご飯の度に、一々ハッチを開けるのは面倒なもの。 日帰りツーリングならこれである!

お湯を沸かし、抹茶ラテをいれる。

穏やかできれいな景色を眺めつつ、シェラカップの抹茶ラテをすする。 うん、これはこれでなかなか良い一日じゃないか。

帰りには洞窟くぐりも楽しみ、無事に出発した浜へと戻った。

秋のお散歩ツーリングで久し振りに渡った大黒神島。 さて、次はどこ行こう?

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瀬戸内シーカヤック日記: しまなみキャンプツーリング(2)

2008年10月15日 | 旅するシーカヤック
久し振りに渡った島。
瀬戸内らしい最高の景色を眺め、ビールを飲み、本を開く。 これぞ、のんびりまったり、瀬戸内の島時間!
 
***
次第に日が傾いて来た。 さあて、そろそろ夕食の準備に掛かるとするか。

『里山こんろ』を取り出し、ビクトリノックスと薄いプラスチックシートを準備する。 このプラスチックシートは、まな板代わりである。
ビクトリノックスでキャベツをザクリと刻み、ピーマンを適当な大きさに切る。

里山コンロの炭に火を入れ、熾き火状態になったところで、ピーマンとウインナーを載せる。
ピーマンはうっすらと焦げ目が付き、ウインナーは皮がプチッと破れて、そこから油がジワリと滲みだしてくる。

うーん、たまらんなあ!

ビールを飲み、程良く火の通ったキャベツとピーマンを食べ、食べ頃のウインナーをガブリとやる。
夕暮れの瀬戸内の海を眺め、友人からもらった『鯨の缶詰』をつまみ、ビールをグビリ。

もう、何も言う事はない。
***
翌朝。 いつもの時間に目が覚めた。
テントの外を覗くと、まだ日の出前。 この時間が一番好きだ。
 
ベンチに陣取り、ストームクッカーに火を入れ、湯を沸かす。
温かいチャイをすすりつつ、次第に明るくなってくる東の空を独り静かに眺める。

空は雲一つない青空。
昨日、昼まで風待ちしていた時の、どんよりとした鉛色の空や鈍色の瀬戸内の海とは全くの別物である。
昨日のあの状況で、家で2時間、浜で2時間、じっくりと風待ちした甲斐があったと言うものだ。
日帰りツーリングと、キャンプツーリングでは、その楽しみの深さが全く異なる。 待てば海路の日和あり。
***
温かいうどんで簡単な朝食を済ませ、荷物を片付け、防水バッグにパッキングしていく。
全てのゴミをまとめて、これまたカヤックに積み込む。 さあ、出発だ!

まだ満潮の1時間前。 今なら、残っている上げ潮に乗って行けるだろう。
潮止まりの頃に、地方(じかた:本州側)に着き、そこからは動き始めた下げ潮に乗って、出発した浜に戻る予定。

途中、最後の海峡横断の時、左右から貨物船がやってくるのが見えた。
ちょうど途中で釣りをしている漁船があったので、そこまで漕いで行き、船が通り過ぎるのを待たせていただく事とした。
『こんにちは』 『おお、こんにちは。 どこへいくの?』
『はい、昨日竹原を出て島に渡り、今は出発した浜に戻る所です。 済みませんが、あの船が通り過ぎるまで、ここで待たせていただけませんか』 『ああ、ええよ』

『何が釣れるんですか?』 『今日は太刀魚狙い。 でもさっき始めたばっかりで、まだ釣れとらんよ』
『ここはの、深さが60mくらいあるんで』と、魚探を指差しながら教えていただく。 『え、そんなに深いんですか!』目の前に島があるのに、こんなに深くなっているとは驚きである。
このような地形だからこそ、潮流も複雑で、魚も多いのだろう。

『それにしても最近は、船のスピードが遅くなって、待つ時間が長くなってるんですよ』 『そうそう、わしも昔は、四国行きのフェリーに乗っとったんじゃ。 その頃は、80%の出力で走りよったが、今じゃあ50%よ』

『そうですか。 ほんま、どの船も遅くなっていますよね』 『昔は、この船の燃料も1Lあたり45円ほどじゃったが、今じゃあ110円くらいになっとるんじゃ』 『え、それじゃあ2倍以上ですね』
『ほうよ。 じゃけえ、今もエンジンを止めとるじゃろ』 『あー、そういやあ、そうですねえ』

その後も、四国行きフェリーの勤務形態や、自動操舵装置の事など、いままで知らなかった事を教えていただきながら、行き交う船を待たせていただいた。
***
『ありがとうございました。 そろそろ出発します』 『じゃあ、気をつけて』 出発した浜までは、あともう少し。 ほぼ潮止まりになり、想定通りの状況である。
船待ちの時間で少し時間を食ったが、無事に浜に戻って来た。

帰りには、お気に入りのラーメン屋さんでお昼ご飯を食べ、このキャンプツーリングの〆もバッチリ決まった。
秋の瀬戸内、しまなみキャンプツーリング。 最高の週末!

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瀬戸内シーカヤック日記: しまなみキャンプツーリング(1)

2008年10月13日 | 旅するシーカヤック
2008年10月5日(日) 3連休の後半二日を利用して、3週間振りとなるキャンプツーリングに出掛ける事にした。

***
朝6時に起床。 シーカヤックは昨日のうちにカートップしてあり、あとは食材を積み込むだけだ。
いつものようにMacBookを立ち上げ、天気予報をチェック。 今日は少し曇りがちではあるが、基本的に今日明日共に天気は良く、風も弱いとの予報。 波の予想も0.5m。 いいじゃん。

だがしかし、家の外からはカラカラ、ビューッという、なんともいやーな音が聞こえてくる。 カーテンを開け、窓を開いて外を見ると、けっこう強い風が吹いている。
PCで目的地付近の風を確認すると、6-9m/sの強風だ。 うーん、これは。。。 天気予報では穏やかなはずなのだが、実際には風が強い日が時々ある。
***
様子見モードに切り替え、2時間ほど家で待っていると、風が落ちてきた。 でもPCで確認すると、目的地付近の風はまだ9m/sのまま。 『一応行ってみるよ。 出せそうもなかったら帰ってくるから』と妻に言い、家を出発。

いつもの浜に到着。 だが、やはり風はピューピュー吹いている。 気温も低く、長袖シャツ一枚では肌寒いくらい。
どんよりとした雲と、鉛色の海。 うーん。。。 もうしばらく様子を見てみよう。
***
防潮堤に腰掛け、海を眺めていると、向こうから二人連れの方が歩いて来られた。 いつも散歩しておられる、地元の方々である。
立ち上がり、『おはようございます』と挨拶すると、『おはよう。 今日は今から出すん?』と返ってきた。
『ええ、いつものように渡ってキャンプしようと思ってるんですが、風が強くて様子を見てるんですよ』 『おお、今日は予報より風が強いなあ』

その方達も私の横に座られ、しばし歓談。

『今日は、この裏の山にある神社の祭りじゃ』 『そうなんですか。 屋台とか出るんですか?』
『なあに、小さい神社じゃから、掃除して、地元の人が集まって、お祈りをしてもろうて、それだけ』 するともう一人の方が、『じゃが、昔は賑やかじゃったよ。 ここに小屋を立てて、芝居をやりよった』
『芸人さんが来てたんですか?』と私。 すると、『なあに、自分らでやりよったんよ。 鬘をかぶって、化粧も自分らでして。 そうじゃなきゃおもしろうないよ』
***
『昔は、一ヶ月くらい前から練習を始めて、地元の上手い人に教えてもらいよった』 『この時期には、あちこちで芝居をやりよったよ。 そして、あそこの芝居が良かった、いやここが一番じゃ、いうて競いよったもんじゃ』
『芝居が上手かったら、他のとこから芝居をやりに来てくれいうて声がかかるんよ』 『それにな、贔屓の人には客から”はな”が出よった。 芝居小屋じゃあ、○○さんから△△さんへ、はなが出ました、いうて、しょっちゅうマイクで放送しよったのう』

『それに昔は、櫂伝馬競漕もやりよった』 思わぬ展開に、『えー、櫂伝馬はここらでもあったんですか!』
『そうよ、昔は港のとこがもっと広かったけえ、あそこで競漕しよったよ』 すると、もう一人の方が、『何年か前まで、たしか小屋に置いてあったよのう』
『櫂伝馬競漕は、大崎上島が有名じゃ言うて聞いとるんですが』と私。 すると、『そりゃあ、大崎上島は本場じゃけえ』
『昔は、大崎上島から櫂伝馬を借りて競漕した事もあったよ』 『櫂伝馬ゆうても作ったら高いけえ、その時は借りたんじゃ』
『その時は、わしが舟を出して借りに行ったんよ。 のう、覚えとろうが』

『いやあ、ここにも櫂伝馬があったんですねえ。 それに芝居のことも面白い。 今日はええ話しを聞かせてもらえて良かったですよ!』
***
『じゃあ、もうちょっと様子を見てみます。 フネを出しても、途中で風が強うなったら帰ってきます』
『うん、気をつけての』 『ありがとうございます』

様々な状況を勘案し、直感や嗅覚も含めて、今日はしばらく待てば風が落ちる予感がしている。
***
浜に着いてから待つ事2時間。 クルマの中でお昼ご飯を済ませ、12時過ぎにようやく風が落ちてきた。
空も明るくなり、気温も上がって来た。 ようし、これなら行けるぞ!

まさに、”待てば海路の日和あり”


シーカヤックを浜に降ろし、荷物をパッキングして出発準備完了。
今日は大潮。 この辺りは潮流が早くて複雑な上に、船の行き来も多く、漕ぐのに経験が必要な海域である。
今は引き潮。 潮止まりは14時頃。 風や潮流、航路を勘案して、今日のルートを決める。 さあ、出発だ。
周囲をしっかりワッチしながら漕ぎ進む。 まだ下げ潮が残っているので快調に進んで行く。 風も落ち、おだやかな秋の瀬戸内。

途中、渡った島の北岸では、東から抜けて来る風と潮流の影響で、少し荒れている。
横波を受けながら、向かい風の中を、一漕ぎ一漕ぎしっかりとキャッチしながら漕ぎ進む。 こういう時に頼れるパドル、アークティックウインドの本領発揮である。

岬を越え、少し東寄りの風の影響は残っている波の中を南下し、いつもの浜に無事到着。
***
フネを引き揚げると、すぐにケータイを取り出し妻に電話。 『2時間待ったら風が落ちたんで、海に出たよ。 今、無事に着いたから』

いつもの眺めだが、やはりすばらしい! ここは、私の一番のお気に入りの島である。 これぞ『しまなみ』

寝転んで空を眺めると、これは羊雲?

さあて、上陸した後はやっぱりこれでしょう! でも今日はエビスでなく発泡酒。
プシュッ。 トクトクトク、シュワワワー。 グビリ、ゴクゴクゴク。 いやあ、たまらんネ! 
 
どんどん晴れ間は広がり、気温も上がって来た。 最高の景色と、冷えたビール(実は発泡酒だけど)。
これ以上なにが要る?
***

ベンチに腰掛け、本を開く。 今日は久し振りに、『羊をめぐる冒険(村上春樹)』
この本も、何度読んだ事だろう。 でも、何度読んでもやっぱり良い。

夕方まで、まだまだ時間はある。 のんびりまったり、島時間をたっぷりと堪能するとするか。

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瀬戸内シーカヤック日記: 大崎上島の櫂伝馬

2008年10月06日 | 旅するシーカヤック
この週末、家に居たのには訳がある。
残念ながら雨で中止となってしまったのだが、10/5(日)に行われる予定であった、大崎上島の櫂伝馬競漕を観に行くことにしていたのだ。


大崎上島の櫂伝馬競漕
↑ youtubeで見つけた大崎上島の櫂伝馬競漕の様子

*** 今回の写真は、全て祝島の櫂伝馬の時のもの ***

大崎上島の櫂伝馬競漕を知ったのは、大崎上島出身の方からいただいたメールが切っ掛けであった。
祝島で櫂伝馬を漕がせていただいた時の私のブログを見られたその方から、大崎上島には日本の櫂伝馬の約1/3があることを教えていただき、そして櫂伝馬に関心があるようなら、一度大崎上島に見に来ないか、と誘っていただいたのだ。

***
その方によると、大崎上島の櫂伝馬は、村上水軍や鶴姫で有名な三島水軍からきているものだとのこと。
スピード重視の舟で、漕ぎ手は左舷、右舷にそれぞれ7人ずつ計14人、それに船頭、太鼓、剣櫂、台振りの全部で18人。
祭では地区ごとに別れ、4槽~5槽の櫂伝馬で1~3キロのコースを、一日かけて5回行い、優勝を争うのだそうだ。

実際、その方から送っていただいたVTRを拝見したが、その早い事!
祝島の櫂伝馬では、片側に10人の漕ぎ手が乗り込むため、前後の人とのピッチが狭く、全身で漕ぐと言う感じではないのだが、大崎上島の櫂伝馬では、まさに全身で漕いでいる。
また櫂も、祝島のものはシーカヤックのパドルで言えばナローブレード仕様なのだが、大崎上島の櫂はワイドブレードタイプ。
パワー重視で、競漕のイメージにピッタリだ。

その方によると、『櫂伝馬のレースは、練習をビッシリしてないと漕がせてもらえません』とのこと。 それはそうだろう。 VTRを見れば納得である。
全身を使って、パワーの必要なワイドブレードの櫂で長い距離を漕ぎ続ける。 一日に何本も。 地区の名誉を懸けて。

VTRを見ているだけで、緊張感が伝わって来て、自分が漕いでいるような気持ちになり、ドキドキわくわく、血が騒いでくる。
***


祝島の神舞で櫂伝馬を漕がせていただき、それを記したブログを通じて、また一つ広がったご縁。
大崎上島の付近は、シーカヤックでよく漕いでいるのだが、こんなすばらしい櫂伝馬競漕の歴史があり、今も続いている事は知らなかった。
ブログを通じた縁で、瀬戸内の海洋文化をまた一つ知る事ができた。 ありがたいことである。

今回は、雨のため残念ながら中止となってしまったが、来年はぜひ観に行き、そして機会があれば練習の時にでも漕がせていただきたいものである。
大崎上島の櫂伝馬競漕。 楽しみだ!

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瀬戸内シーカヤック日記: おでんの『あわもり』

2008年10月05日 | Weblog
おでんの『あわもり』 私が唯一通う飲み屋さんである。

通うと言っても月に2、3回ほどであるから、それほど頻繁にという訳ではないが、それでも最近は顔見知りの方も増えてきた。 ようやく準常連、前座から二枚目に昇進、といった所か。
初めて行ったのはいつだったか覚えていないが、安くておいしいおでんと、昭和の雰囲気がたっぷりと残ったお店の雰囲気は、私のストライクゾーンど真ん中。 一目惚れである。
***
先週、今週と、珍しく土曜日の夜に家に居ることになったので、2週続けて通ってしまった。

昨日の夕方、
ガラリと引き戸を開き、暖簾をくぐって店に入る。 『こんにちは』 『あら、いらっしゃーい』とおばちゃん。
カウンターだけの店内を見回すと、何人か顔見知りの方が居られた。
コクリと頭を下げ、笑顔で会釈。 すると、その方々もニコリと笑顔で会釈を返していただいた。

お気に入りの特等席、おでん鍋の近くの席に陣取る。
『ビールもらえますか。 キリンの大瓶で』 『はーい、大瓶ね』
ここ『あわもり』には、生ビールはない。 大瓶、小瓶の瓶ビールのみ。 銘柄はキリンとサッポロである。
水が張られた保冷機で、しっかりと、だが適温に冷やされたビールの大瓶が取り出され、布巾で瓶の外側に着いた水が拭き取られる。
コップにビールを注ぎ、まずは一杯。 『ゴクゴク、ゴクリ』 いやあ、ウマい!
『かわ、お願いします』 『はーい、かわ』
この『かわ』が、ここ『あわもり』の自慢の一品である。 最初にこの『かわ』を頼む常連さんが多いことでも、その人気が分かると言うもの。
***
串を外し、塩をパラリと振りかけ、ゆるく溶かれたカラシに付けて頬張る。 うん、これこれ。 やっぱり最初はこれだ!
この『かわ』は、冷めると硬くなっておいしくなくなるので、最近は食べ終わるまで他のおでんは注文しないことにしている。

『かわ』を食べ、ビールをゴクリ。
隣に座っておられる方々と、四方山話を交わす。 この、なんと言う事もない会話が、またビールとおでんの味を引き立てるのだ。
『厚揚げ、下さい』 『はーい、厚揚げ』
ここの大きなおでん鍋では、その周囲にグルリと厚揚げ、そしてコンニャクが並べてある。 それも、鍋に入れた順番に並べてあるので、じっくりと煮込まれたものから、さっき入れられたものまで、歴史が違うネタがならんでいるのだ。
最初の頃は、『しっかり煮込んだやつ下さい』とか、『ちょうど好いくらいのを』と注文していたが、通っているうちにおばちゃんがお客さんの好みを覚えて、好みの煮込み具合のを出してくれるようになる。
本当の常連さんになると、カウンターに座ったとたん、何も言わなくても『あわもり』と、『いつものやつ』らしいおでんが出される光景も何度か拝見した。 まさに、阿吽の呼吸である。

こういう細かい気遣いがあるのも、こういうお店に通う楽しみの一つであろう。
***

『タマネギは、人気あるんですね』 『そうなんよ。 血液がサラサラになる、言うてね』
『ネギマ、入れてもらえますか』 『はーい』

ビールがなくなった。 『すいませーん。 あわもり、大で』
最近のパターンは、ビールの大瓶を飲み、次は『あわもり』の大。 『氷水ももらえますか』 『はいはーい』
コップになみなみと注がれた泡盛。 おでんを食べ、あわもりをちびちびと飲りながら、時々氷水を飲む。

おばちゃんやおじちゃん、そしてカウンターの他のお客さん達と話しをしながら、楽しい一時。
おばちゃんに、『ここのおでん、何か秘密のものが入ってるんじゃないですか? 週末になると、不思議とここに来たくなる』、と笑いながら言うと、おばちゃんも『そうよ、ええもんが入っとったりしてねえ!』と笑いながら返してくれる。
ほんと、この『あわもり』は、店の雰囲気といい、おばちゃんの人柄といい、楽しい常連さん達といい、ついつい通いたくなる店なのだ。

『じゃあ、そろそろ帰ります。 串は6本』 すると、勘定が算盤で計算され、『はい、○○円ねー』 しっかり飲んで食べて、ほぼ1500円前後である。 いやあ、安いなあ!

『ごちそうさまでした』 『気をつけて』 さてさて、次はいつ来よう!

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