2010年3月20日(土) この週末は、荒れ模様の天気で風が強く波も高くなる予報。 ただ、風が強くなるのは土曜日の午後からということなので、午前中に漕げば問題なさそうだ。
と言う訳で、いつもより少し早めに家を出た。 『じゃあ、行ってくるけえ』
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9時過ぎにキャンプ場に到着し、管理人さんに挨拶し、手続きを済ませる。 『じゃあ、今から着替えてちょっと漕いできます。 昼から荒れるっていうから、早めに上がる予定です』
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生名島キャンプツーリングの定番コースは岩城島一周なのだが、今日は趣向を変えてみようか。
と言う訳で、架橋が進んでいる『生名橋』を真下から眺めてみようと、生名島一周コース&佐島寄り道ツーリングに決定。
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生名島を時計回りに漕ぎ進む。 因島との間の海峡では、追い潮に乗って快調なパドリング。
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穏やかな春の海を漕ぎ進むと、見えてきた。 あれが、生名島と佐島を結ぶ生名橋である。
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橋脚の真下からのアングルは絶景。 この橋が架かったら上島町はどのように変わるのだろうか?
年に何度も上島町に通って定点観測している私としては、それはそれで密かな楽しみなのである。
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橋を越え、佐島港の端っこの小さな浜にシーカヤックを引き揚げた。 ちょっと散策してみよう!
ここ佐島には、私が好きな場所がある。 それは、『佐島八幡宮』
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こじんまりとした神社なのだが、この佇まいがなんとも良い雰囲気を醸し出している。
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青い空と掃き清められた白い砂、そして小さな社の黒い瓦と木の壁の色。 このコントラストが、たまらなく好きなのだ。
そしてここの空間の開放感! こんもりと茂った樹々に囲まれている神社が多い中、低い緑の木々が周囲にあるだけで、視覚的には青い空と白い砂がたっぷりと空間を占める。
そんな風に眺めてみると、ここの小さな社は、あたかも天と地とを結ぶ大切な役割を果たしているかの様にも感じられるのである。
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いくつかある社を回って海旅の安全を祈願し、八幡宮を後にした。
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再びシーカヤックに乗り込み、春の海に漕ぎ出す。 今日はパドリングジャケットなしで、薄い長袖のシャツ2枚重ねなのだが、漕いでいると額から汗が流れるくらい温かい。 『あー、もうしっかり春なんだ』
漕ぎ出してから約2時間半で浜に戻ってきた。 今日は実漕ぎ2時間のツーリング。 まだ風も吹かず海は穏やか。 『いやあ、気持ち良かったあ! 春の海は最高だ』
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キャンプ場に戻り、シーカヤックを洗ってカートップし、道具も潮抜きしてロープに干す。 明日は荒れる予報なので、漕ぐつもりは全くない。
いつものように自転車をお借りし、因島に買い出しに行くため、立石港へ。
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途中、久し振りに『立石』の地名の由来となっている『立石、磐座』に立ち寄ってみた。 それにしても、大昔にこんな巨岩を舟で運んで来たなんて! 驚きである。
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フェリーで因島へ。 今日のもう一つのお目当ては、『光洋軒手打ラーメン』
フェリーターミナルの1Fに、なんとも私好みの飲み屋さんが何軒も並んでいて前から気になっていたのである。
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少し遅いお昼ご飯。 光洋軒さんへ。 カウンターに座り、『ラーメンお願いします』
お店には先客が一人居られたが、私のラーメンが作られている間に出て行かれ、私一人になった。
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『はい、ラーメン』 『いただきます』
細めの平たい手打ち麺は、しっかりとスープが絡んでなんとも美味い。 もやしはシャキシャキ、チャーシューは厚くて味もしっかりしている。 うーん、好いなあ。
ラーメンを食べていると、『どう? うちの麺は手打ちなんよ』 『いやあ、おいしいです。 麺にしっかりスープが絡むし』 『そう。 ありがとう』
『麺は毎朝打たれてるんですか?』 『そうよ。 鹹水を入れて毎日打ちよる。 こんな麺を作りよる店は、もうほとんどないんじゃないかねえ』 『モヤシもシャキシャキでおいしいですね』 『そう、でもモヤシにはこだわってないよ』と笑う。
『毎年、中華街のある店の人が来て、うちの麺を仕入れて行くんよ。 そして、中華街に店を出しんさいいうて言われるんじゃけど、今更ねえ』
『私はねえ、あんまりこだわる言うのは好きじゃないんよ。 味って好みじゃが。 自分の舌に合うラーメンをつくる、それだけよね』 『この店は、もう長いんですか?』 『そうよね、母の代からやっとる。 昔は屋台じゃったんよ』
『昔はねえ、この長崎港の辺りは屋台がいっぱい並んどった。 造船が景気が良かった頃は賑やかじゃったし、忙しかったよ。 造船所の人が、お昼ご飯も食べにきよったしね』 『弓削や生名に帰る人らが、仕事が終わった後、ここの屋台で一杯飲んでから家に戻りよったんよ』 『それでね、30年位前にこのビルを建てよういうことになって、屋台をやめて、出来たビルに店を出した。 そしたら造船の景気が悪うなってねえ。 まあそんなもんよね』
『今日は、カヌーで生名島を一周してきたんですよ。 前からここの通りが気になっとったんで、今日は来てみたんです』 『ほうね。 ここは少し離れとるじゃろう。 じゃから、地元の人でも知らん人がおるよ』
『それにしても、遭難せんように気をつけんさいよ』 『はい、今日は昼から荒れるいうとったんで、午前中だけ漕いだんです』
『このおでんもうまそうですね。 このおでんを食べながらビールをキューッと飲ったら堪らんでしょうね』 『仕事帰りにおでんで一杯飲っていく人も多いよ。 うちは一年中おでんをやっとるからね。 うちだけじゃない、この回りの店は何軒もおでん屋よ。 そして一年中おでんがある』
『そりゃあ、競争が厳しいですね』 『なーにが、やっぱりそれぞれの味があるけえ、常連さんがそれぞれ居る』
『そうですか! 今度はぜひ、おでんとビールを楽しみにゆっくり来ますよ。 ごちそうさまでした』 『ありがとう。 またきんさい』
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おいしいラーメンと、たのしいお話でお腹も心も満たされた。 買い出しのため、商店街を歩いていると、ふと目にとまったものが。
『ぶつだんに そっとチョコおく とわのあい』 いいなあ!
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キャンプ場に戻り、夕方から夕食の準備。
今日のメインは新鮮ワカメ。 これを豆乳シャブシャブにしていただこう!
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夕暮れの瀬戸内海を眺めながら、新鮮なワカメをいただく。 茶色いワカメを豆乳でシャブシャブすると、なんとも美しい緑色に。 これをポン酢につけて食すと、わずかにヌメリもあり、まさに春の味覚。 最高だ! 『あー、やっぱり春だなあ』
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食後は、差し入れでいただいた『イカの一夜干し』をつまみに一杯。
新鮮ワカメの豆乳シャブシャブにイカの一夜干し。 最高の晩酌である。 『ごちそうさまでした!』
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翌朝は、予報通り黄砂で視界が悪く、風も強い。 これではやはり漕げそうもない。
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いつもよりゆっくりと起き出し、朝食の後はコーヒーとチャイをゆっくりと楽しみながら、のんびりまったりと朝の時間を満喫。
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今回は、久し振りにお気に入りの佐島八幡宮を散策することができ、因島のおいしいラーメン屋さんも開拓した。
そして夜は、春を感じる新鮮ワカメをたっぷり堪能し、差し入れのイカの一夜干しもいっしょに最高の晩酌を楽しんだ。
これで2010年のシーカヤックツーリングは12日目。 季節的には厳しい冬から春の三ヶ月で二桁とは、今年も風が強い週末が多い中、結構良いペースで海に出ることができている。
それにしても、春のキャンプツーリングは、いろいろな楽しみがあるなあ。 さて、次はどこ行こう?