あるくみるきく_瀬戸内シーカヤック日記

瀬戸内を中心とした、『旅するシーカヤック』の記録

『芸予ブルー』_テーマカラー of 印象派_”瀬戸内シーカヤック日記”

瀬戸内シーカヤック日記: 阿部真央らいぶNo.1 in ナミキジャンクション

2010年03月30日 | Weblog
2010年3月30日(火) 今日は、待ちに待った『阿部真央らいぶNo.1』in ナミキジャンクション。
夕方、急に予定が変わった会議が6時前に終わり、急いで会場に駆けつけた。 『あー、なんとか間に合った!』

今朝、会議予定が変更になったとのメールを見て、今日のライブは半分諦めていたのだが、幸運の女神は、なんとか見放さずにいてくれたようだ。
***
6時半。 定刻にライブが始まった。 立ち見だけの狭い会場には、お客さんがぎっしり。
佐野元春のコンサートに比べると、お客さんの平均年齢は約1/2。 佐野元春のコンサートがザッと平均50才前後なら、阿部真央は20台前半だ。 若いなあ!

ソッと会場を見回してみたが、どうやら私が最年長ではなさそうである。 見た目だけの判断ではあるが、ほっと一安心。
***
こういうライブハウスではガンガンと大音響で鳴らすため、正直あまり良い音とは思わないが、阿部真央の声は割れるほどのバックバンドの音にも負けず、しっかりと存在感を示していた。 さすが、阿部真央。

これまでの2枚のアルバムから、乗りの良い曲や、じっくり聞かせる曲などを織り交ぜながらプログラムは進行していく。

テンポの良い曲では、あの長い髪をまるで獅子舞のように振り乱しながら歌う阿部真央。 あの長い髪は、一つの演出なんだなあ。
表情も豊かで、喋りも短くはあるが会場からの声にもしっかり応えるなど乗りが良く、また昔の自分を語る場面では独特の味と迫力が感じられる。
***

『歌を作って歌うようになる前、16歳くらいまでは、自分を認めることができず、自分を好きになることができなかった』

『でも、歌を歌うようになって、CDを買ってくれ、コンサートに来てくれる人から、元気になったという反応をもらえるようになって、ようやく最近では自分を好きになれるようになってきた。 今は、逆にみんなから元気をもらっている』

『難しい事だけど、自分が目指しているのは、いつまでも純粋で、そして素直でいられる事』

『つきあっている人も、そうでない人も、結婚している人も、そうでない人も、相手の心を自分の思うようにすることはできない。 でも、人を好きになる事は素敵な事だから、私はいつまでもラブソングを歌い続ける』

***
圧巻だったのは、ラスト近く。 一人でギターを弾き語りした曲、『母の歌』

力強く深みと迫力のある阿部真央の声が最高に活きるのは、間違いなく静かな弾き語りだ! 個人的には、バックバンドなし/ギター一本での阿部真央ライブをじっくりと聴いてみたいと、心底思った。

まだ二十歳という若い歌い手、阿部真央。 ほんとうに将来が楽しみだ。

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瀬戸内シーカヤック日記: 春のお花見ドライブ旅行_一泊二日の萩&津和野

2010年03月28日 | 旅するロードスター/アテンザ
2010年3月27日(土) この週末は、妻と二人で、久し振りとなる一泊二日のドライブ旅行。

数週間前の夕食後。 二人で中国地方の地図を眺めながら、『どう。 どっか行きたいところある?』 『うーん、ここは行ったし、あそこも行ったし』 『なかなか行った事がなくてスゴいところって残ってないよなあ』 『そうよね。 今回は久し振りに萩にしようか』 『OK。 じゃあ、萩へのドライブ旅行で企画してみよう』

***

土曜日の朝。 少し早めに家を出て、高速道路をのんびりと走り、ICを降りてからは一般道を北上して萩へ。
今日は、萩で船に乗るつもり。 萩八景遊覧船。
 
運河に設置された乗り場から、ちいさな動力船に乗り込み、川を遡っていく。 まだ川風は冷たく、桜は3分から5分咲きといった感じ。 見頃は来週辺りかな?

***

船を降り、海辺で昼食を食べた後、走っている途中で偶然見つけた松蔭神社へ。
吉田松陰。 もちろん名前は聞いたことがあるが、あまり真面目に歴史を勉強していなかった私は、恥ずかしながら具体的なイメージが湧かないのは事実である。

松陰神社の後は、萩博物館へ。 ここで衝撃の出会いがあった。 それは、『旅する吉田松陰』

これを見た瞬間、妻と顔を見合わせて苦笑。 まさか、こんなところで『旅する。。。』なんてキーワードに出会うなんて!
しかもそれが、さっき神社にお参りしてきたばかりの吉田松陰だなんて!

その後、博物館の資料を拝見し、そして7分程度の映像を拝見して、これまで興味を抱く事すらなかった吉田松陰の生き様を知る事になった。 『うーん。 まさにこれは、今回は、ここに来るべくして来たんだなあ!』 感涙。
***
またまた、偶然を装った必然の旅に驚きつつ、夕方は『萩本陣』さんの温泉へ。
これが、様々なお風呂が完備されたきれいな温泉で、ゆったりのんびりお風呂を満喫することができ妻も大満足。

今日の宿は、うちの旅行の定番、ビジネスホテル。 一介の平サラリーマンなので、旅行とは言えそれほどお金は掛けられない。
今回見つけた宿は、一泊二食付きで、なんと二人で1万1千円でおつりが来るというのである。 つまり、一泊二食で一人あたり6千円弱。 『まあ、この値段じゃあ夕食は期待できないな。 いいじゃん、こんなに安いんだからさ』
と笑いながら待って出てきたのがこの食事!

『おいおい。 これってスゴいよな。 刺身もたっぷりあるし、サザエまで付いてるよ。 ボリュームもスゴいし感動!』 『ほんとよね。 これは食べきれないくらいあるよ』

生ビールを注文し、『グビリ』と一口飲んでから、おいしい夕食をいただいた。 『あー、もう、お腹一杯! ごちそうさまでした』 『満足満足。 この値段でこんな料理がつくなんて。 これこそ、期待を越えたサービスだよな』
***
部屋に戻り、夜は部屋に備え付けられていた吉田松陰や長州ファイブの本を読みながらビールとワインをゆっくりと飲む。

『学者になるのではないよ。 人は学んだ事をどう実行するかが大切だよ』

『また、それぞれの人の性質を考え、すぐれたところをのばすように教えました。 人は誰でも得意とするものがあり、また性質もちがっていて同じではありません。 だから松蔭は、各自の性質にあったように、また得意とするところを励むようにしむけました』

『まごころをこめてやればできないことはない。 どんなひとでも、まごころをこめて話し合えばきっとわかってくれる』 『何事をするにも、しっかり志をたてることが大切である』

いやあほんと、今回は萩に来て良かった! 意識していなかったけれど、これは縁。 今回は絶対、ここに呼ばれていたんだなあ。
***
翌日は、朝早めに萩を出て、津和野へ。
まずは、乙女峠に向かう。 ここは、二十数年前に訪れた思い出の場所。 ひっそりと、そして静かなこの場所は、桜が満開でとても落ち着いた良い雰囲気であった。 『ああ、懐かしい』

葛飾北斎の美術館を見学。 いやあ、北斎はほんとうにスゴいなあ! ここでも再び感動。
 
津和野の町を歩いていると、『鯉の里』というお菓子を発見。 え、なんで津和野で『鯛の里?』と思ったのだが、よーく見ると鯉の里(コイの里)であった。 あー、ビックリした。

その後も、津和野の通りをしばし散策。
 
うーん、久し振りにゆっくりと歩いて見たが、これはなかなか良い雰囲気である。
***
少し早めにお昼ご飯を食べて、津和野を後にした。

今日は、広島市内に用事があるのだ。

以前、シーカヤックのイラストを描いていただいた井上朝美さんの個展が、市内で開かれているのである。 これは行かねばなるまい!

訪れたギャラリーは、きれいな絵本の原画が飾られ、訪れたお客さんで賑わっていた。 私に気づいてもらい、挨拶を交わして、絵を拝見しつつ様々なお話を伺った。
『いやあ、さっき津和野で葛飾北斎の美術館にも寄って来たんで、感慨一入(ひとしお)です』 『北斎は、北斎漫画で有名ですよね。 じつは学生の頃は図書館で北斎漫画を借りては、原画のスケッチとかしてたんですよ』『え、そうなんですか。 あの北斎の原画って、ほんとリアルで微に入り細に入り描いてあってスゴいですよね』
うーん、ここでもつながった!

『いやあ、いいですね。 ありがとうございました。 じゃあそろそろ帰ります』
***
久し振りの萩&津和野への旅。 安くて感動的な宿の発見、思いがけない吉田松陰との出会い、二十数年振りの想い出の地訪問、葛飾北斎美術館初&知人の個展訪問などなど、とても印象深いドライブ旅行となった。

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瀬戸内シーカヤック日記: 旅する櫂伝馬下見ツーリング_大奈佐美島、厳島、絵の島

2010年03月22日 | 旅するシーカヤック
2010年3月22日(月) 今日は、旅する櫂伝馬の下見のため、江田島市の北岸をクルマでチェックする事にした。
***
3連休なので、道が混まないうちにと早く家を出て、江田島市西能美島の北岸へ。
道路を走りながら、めぼしい場所ではクルマを停めて港の写真を撮り、休憩できそうかどうかチェックしていく。
 
最後のチェックポイントは、がんねムーンビーチ。
もう二十数年前になるが、友人と一緒に海水浴に来た事を覚えている。 懐かしい!
でも今は夏でも海水浴場としては営業していないと聞いている。 シーズンオフの今日は、誰一人居ない、静かな浜。

目の前には、大奈佐美島、そしてその奥には厳島/宮島が見えている。 ここまで来れば、宮島はすぐ目の前だ。

強風が吹き荒れた昨日とは打って変わって、今日は穏やかな快晴。 少し気温は低いが、空気も澄んで気持ちよい。

昨日は風が強かったので、幸いな事にクルマからシーカヤックを降ろす事なくカートップしたままである。 道具も一式積んである。
今日はクルマで下見だけのつもりだったが、せっかくだから漕いでみようか!

以前この辺りを漕いだのは何年も前。 折りたたみ式のフェザークラフトK-1を使い、安芸郡坂町の平成が浜から出発して、江田島北岸経由で宮島の南側まで漕いできたことがある。
その時は、まさにこの場所から大奈佐美島経由で宮島に渡り、誰も居ない浜でキャンプしたのだ。 そして翌日は、グルリと宮島を回り、大鳥居の下を漕いで、カヤックを畳んでフェリーとJRで家に帰ったのである。
***
ニヤックを浜に下ろし、パドリングパンツとスカノラック、そしてグローブを着用。 今日は少し気温が低いので、久し振りのスカノラックである。 漕ぐつもりがなかったので、食料は準備していない。
朝9時半。 安全装備とペットボトルのポカリスエットだけ積み込んで出発した。
 
がんねムーンビーチを出て、大奈佐美島との間の奈佐美瀬戸は、3連休の好天ということもあり、多くの釣り船やプレジャーボートが並んでいる。 その間を、白波を立ててボートが駆け抜ける。

久し振りとなる、海上交通が輻輳するエリアでのパドリング。 しっかり周囲をワッチし、音にも注意しながら注意深く海峡を横断。 大奈佐美島までは、約15分。

大奈佐美島を越えて宮島の東南端への海峡は、本船航路。 今日も、大きなコンテナ船が通過していった。 大奈佐美島から宮島の一番近い浜まで約15分。 計30分で、がんねムーンビーチから宮島までの最短距離を漕ぎ抜けた。

今日、ここを自分で漕いだ事で、櫂伝馬がこの海峡を横断する時の具体的なイメージが湧いてきた。 ワクワクするなあ!
***
宮島の浜でUターンし、絵の島を目指す。 ここは、小さいけれど雰囲気が良い島だ。
ただ、企業所有の島なので、上陸禁止となっているのが残念である。
 
再び大奈佐美島を経由して、がんねムーンビーチへ戻ってきた。 あー、気持ち良かった!
カヤックを積んでいて正解だったなあ。

***
カヤックをカートップし、着替えると11時半。 ちょうどお昼の時間である。
クルマで三高港へ行き、フェリー乗り場の近くにあったお店へ入る。

『こんにちは。 ラーメンお願いします』 『はい、ラーメンね。 船の時間は大丈夫?』 『ええ、フェリーに乗るんじゃないんで大丈夫です』

『今日は仕事?』 『いいえ。 今日は、がんねの海水浴場からカヌーを漕いで、宮島や絵の島あたりを回ってきたんですよ』 『えー、カヌー。 珍しいねえ』 『はい、土日はしなまみの方を漕いだんですが、今日はこっちに来てみようと思って』

『あんた自衛隊さん?』 お、久し振りに自衛隊と間違えられた。 日に焼けて、かつ坊主頭だからか、結構自衛隊さんか? と聞かれることも多いのだ。 私は笑いながら、『いいえ、普通の会社員ですよ』

『はい、ラーメンね』 『いただきます』


***

ラーメンを食べていると、他のお客さんが入って来られた。 ご夫婦のようだ。
するとお店の人が、『この人、今日は絵の島あたりでカヌーを漕いできたんじゃって』と紹介された。 『あんたあ、カヌーのプロかいね?』 『いえいえ、ごくごく普通の会社員です』と苦笑い。

それをきっかけに、しばし四方山話で盛り上がる。

『うちは呉なんですが、どんどん人が減って、年寄りばかりになりよります。 この辺りはどうなんですか?』 『ここらもいっしょ。 船の便が減って不便になるし、若い人はどんどん広島に出ていきよる』
『やっぱり船は減りよるんですか?』 『そうそう。 便が減って不便になると、また人が使わんようになる。 そしたらまた便が減る。 悪循環よ』

『今は、夜の9時を過ぎたらフェリーがないんよ』 『え、じゃあ広島で飲んで帰れんですね』 『ほうよ。 昔は11時過ぎまでフェリーがあって、広島市民球場で野球を見て、最終のフェリーで戻れよったんじゃけん』 『うーん、確かに。 夜9時が最終じゃあ、どがあもならんですね』

***

『ごちそうさまでした』 『ありがと。 また、近くに来たら寄りんさいね』 『はい、ありがとうございます』

下見のドライブではあったが、実際にシーカヤックで海峡横断の状況を確認することができ、また港の食堂での楽しい四方山話も楽しんだ。 なかなか良い休日じゃないか!

旅する櫂伝馬の準備は、徐々にではあるが関係者と共に一歩一歩進めている。 当日の天候だけは、まさに神頼みで、自分達の力ではどうにもならないが、後悔しないよう、出来るだけの事はやったと自分で納得できるよう、準備だけは確実にやっておきたいと思っている。

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瀬戸内シーカヤック日記: 春真っ盛り_お気に入りの生名島キャンプツーリング

2010年03月21日 | 旅するシーカヤック
2010年3月20日(土) この週末は、荒れ模様の天気で風が強く波も高くなる予報。 ただ、風が強くなるのは土曜日の午後からということなので、午前中に漕げば問題なさそうだ。
と言う訳で、いつもより少し早めに家を出た。 『じゃあ、行ってくるけえ』
***
9時過ぎにキャンプ場に到着し、管理人さんに挨拶し、手続きを済ませる。 『じゃあ、今から着替えてちょっと漕いできます。 昼から荒れるっていうから、早めに上がる予定です』

生名島キャンプツーリングの定番コースは岩城島一周なのだが、今日は趣向を変えてみようか。
と言う訳で、架橋が進んでいる『生名橋』を真下から眺めてみようと、生名島一周コース&佐島寄り道ツーリングに決定。
 
生名島を時計回りに漕ぎ進む。 因島との間の海峡では、追い潮に乗って快調なパドリング。
***
穏やかな春の海を漕ぎ進むと、見えてきた。 あれが、生名島と佐島を結ぶ生名橋である。
 
橋脚の真下からのアングルは絶景。 この橋が架かったら上島町はどのように変わるのだろうか?
年に何度も上島町に通って定点観測している私としては、それはそれで密かな楽しみなのである。
***
橋を越え、佐島港の端っこの小さな浜にシーカヤックを引き揚げた。 ちょっと散策してみよう!
ここ佐島には、私が好きな場所がある。 それは、『佐島八幡宮』

こじんまりとした神社なのだが、この佇まいがなんとも良い雰囲気を醸し出している。
 
青い空と掃き清められた白い砂、そして小さな社の黒い瓦と木の壁の色。 このコントラストが、たまらなく好きなのだ。
そしてここの空間の開放感! こんもりと茂った樹々に囲まれている神社が多い中、低い緑の木々が周囲にあるだけで、視覚的には青い空と白い砂がたっぷりと空間を占める。
そんな風に眺めてみると、ここの小さな社は、あたかも天と地とを結ぶ大切な役割を果たしているかの様にも感じられるのである。
***
いくつかある社を回って海旅の安全を祈願し、八幡宮を後にした。
 
再びシーカヤックに乗り込み、春の海に漕ぎ出す。 今日はパドリングジャケットなしで、薄い長袖のシャツ2枚重ねなのだが、漕いでいると額から汗が流れるくらい温かい。 『あー、もうしっかり春なんだ』

漕ぎ出してから約2時間半で浜に戻ってきた。 今日は実漕ぎ2時間のツーリング。 まだ風も吹かず海は穏やか。 『いやあ、気持ち良かったあ! 春の海は最高だ』
***
キャンプ場に戻り、シーカヤックを洗ってカートップし、道具も潮抜きしてロープに干す。 明日は荒れる予報なので、漕ぐつもりは全くない。
いつものように自転車をお借りし、因島に買い出しに行くため、立石港へ。
 
途中、久し振りに『立石』の地名の由来となっている『立石、磐座』に立ち寄ってみた。 それにしても、大昔にこんな巨岩を舟で運んで来たなんて! 驚きである。
 
フェリーで因島へ。 今日のもう一つのお目当ては、『光洋軒手打ラーメン』
フェリーターミナルの1Fに、なんとも私好みの飲み屋さんが何軒も並んでいて前から気になっていたのである。
***
少し遅いお昼ご飯。 光洋軒さんへ。 カウンターに座り、『ラーメンお願いします』
お店には先客が一人居られたが、私のラーメンが作られている間に出て行かれ、私一人になった。

『はい、ラーメン』 『いただきます』
細めの平たい手打ち麺は、しっかりとスープが絡んでなんとも美味い。 もやしはシャキシャキ、チャーシューは厚くて味もしっかりしている。 うーん、好いなあ。

ラーメンを食べていると、『どう? うちの麺は手打ちなんよ』 『いやあ、おいしいです。 麺にしっかりスープが絡むし』 『そう。 ありがとう』

『麺は毎朝打たれてるんですか?』 『そうよ。 鹹水を入れて毎日打ちよる。 こんな麺を作りよる店は、もうほとんどないんじゃないかねえ』 『モヤシもシャキシャキでおいしいですね』 『そう、でもモヤシにはこだわってないよ』と笑う。

『毎年、中華街のある店の人が来て、うちの麺を仕入れて行くんよ。 そして、中華街に店を出しんさいいうて言われるんじゃけど、今更ねえ』

『私はねえ、あんまりこだわる言うのは好きじゃないんよ。 味って好みじゃが。 自分の舌に合うラーメンをつくる、それだけよね』 『この店は、もう長いんですか?』 『そうよね、母の代からやっとる。 昔は屋台じゃったんよ』

『昔はねえ、この長崎港の辺りは屋台がいっぱい並んどった。 造船が景気が良かった頃は賑やかじゃったし、忙しかったよ。 造船所の人が、お昼ご飯も食べにきよったしね』 『弓削や生名に帰る人らが、仕事が終わった後、ここの屋台で一杯飲んでから家に戻りよったんよ』 『それでね、30年位前にこのビルを建てよういうことになって、屋台をやめて、出来たビルに店を出した。 そしたら造船の景気が悪うなってねえ。 まあそんなもんよね』

『今日は、カヌーで生名島を一周してきたんですよ。 前からここの通りが気になっとったんで、今日は来てみたんです』 『ほうね。 ここは少し離れとるじゃろう。 じゃから、地元の人でも知らん人がおるよ』
『それにしても、遭難せんように気をつけんさいよ』 『はい、今日は昼から荒れるいうとったんで、午前中だけ漕いだんです』

『このおでんもうまそうですね。 このおでんを食べながらビールをキューッと飲ったら堪らんでしょうね』 『仕事帰りにおでんで一杯飲っていく人も多いよ。 うちは一年中おでんをやっとるからね。 うちだけじゃない、この回りの店は何軒もおでん屋よ。 そして一年中おでんがある』
『そりゃあ、競争が厳しいですね』 『なーにが、やっぱりそれぞれの味があるけえ、常連さんがそれぞれ居る』

『そうですか! 今度はぜひ、おでんとビールを楽しみにゆっくり来ますよ。 ごちそうさまでした』 『ありがとう。 またきんさい』
***

おいしいラーメンと、たのしいお話でお腹も心も満たされた。 買い出しのため、商店街を歩いていると、ふと目にとまったものが。
『ぶつだんに そっとチョコおく とわのあい』 いいなあ!


***
キャンプ場に戻り、夕方から夕食の準備。
今日のメインは新鮮ワカメ。 これを豆乳シャブシャブにしていただこう!

夕暮れの瀬戸内海を眺めながら、新鮮なワカメをいただく。 茶色いワカメを豆乳でシャブシャブすると、なんとも美しい緑色に。 これをポン酢につけて食すと、わずかにヌメリもあり、まさに春の味覚。 最高だ! 『あー、やっぱり春だなあ』
 
食後は、差し入れでいただいた『イカの一夜干し』をつまみに一杯。
新鮮ワカメの豆乳シャブシャブにイカの一夜干し。 最高の晩酌である。 『ごちそうさまでした!』

***
翌朝は、予報通り黄砂で視界が悪く、風も強い。 これではやはり漕げそうもない。
 
いつもよりゆっくりと起き出し、朝食の後はコーヒーとチャイをゆっくりと楽しみながら、のんびりまったりと朝の時間を満喫。
***
今回は、久し振りにお気に入りの佐島八幡宮を散策することができ、因島のおいしいラーメン屋さんも開拓した。
そして夜は、春を感じる新鮮ワカメをたっぷり堪能し、差し入れのイカの一夜干しもいっしょに最高の晩酌を楽しんだ。

これで2010年のシーカヤックツーリングは12日目。 季節的には厳しい冬から春の三ヶ月で二桁とは、今年も風が強い週末が多い中、結構良いペースで海に出ることができている。
それにしても、春のキャンプツーリングは、いろいろな楽しみがあるなあ。 さて、次はどこ行こう?

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瀬戸内シーカヤック日記: 春を感じた生野島キャンプツーリング

2010年03月14日 | 旅するシーカヤック
2010年3月13日(土) 朝から降っていた雨も昼前には上がり、空が次第に明るくなってきた。 風もなく穏やかな海。
想定外だった朝の雨と風でどうなることかと思ったが、これなら充分行ける。 予定通りキャンプツーリングに出発するとしようか!
***
目指すは、お気に入りの島の一つである『生野島』
浜を出発してしばらくは、まだまだ雲が多く残っていたが、生野島に到着する頃には晴れ間も出てきた。
 
行き交うフェリーや運搬船に注意しながら漕ぎ進み、1時間ほどで到着。
***
荷物を運び、シーカヤックを引き揚げると、いつものように、お気に入りの東屋の下へ。
ベンチに座って絶景の瀬戸内の景色を眺め、『あー落ち着くなあ。 やっぱりここが一番ええ』
 
お昼ご飯はお弁当とビール。
缶ビールのプルタブを”プシュッ”と開けると、”シュワワワワー”という、聞き慣れた音が聞こえてくる。 『あー、こりゃあ辛抱たまらんなあ』

プラスチックの小さなコップを取り出し、ビールをゆっくりと注ぐ。 ”トクトクトクトク_シュワー”

『いただきまーす!』 暖かな春の日差しに照らされながら、冷えたビールを『グビ、グビ、グビリ。 プハーッ』 おお、これは美味い! 最高だ。
***
お昼ご飯の後は、しばし浜を散策。
 
瀬戸内らしい多島美が堪能できる、抜けの良い景色。 様々な鳥のさえずり。 波の音。 そして暖かい春の日差し。
数えきれないほど通っている生野島だが、ここの景色を眺めているだけで心底癒される。
***
散策を終えると、お気に入りの東屋の下に戻り、再びビール(正確には発泡酒だけど)。
今日は、春らしいラベルに惹かれて『金麦』を買ってきた。
 
汗ばむほどの陽気の中、キリリと冷えたビールを堪能する。 まさに至福の一時。

ラジオを聞き、iPodで音楽を楽しみ、景色を眺めてビールを飲む。 ただそれだけ。
***
翌朝。 6時前に目が覚める。
テントの布越しに、柔らかい朝の薄明かりが感じられる。 日の出までの静かな一時。

昨晩のキムチ鍋の残りにご飯と野菜を入れ、雑炊に。 最後に卵を落として出来上がり。
次第に明るくなる東の空を眺めつつ、温かい雑炊を食べる。 『おー、これは旨いなあ。 ほんま、ええ出汁が出とる』

東の島から日が昇ってきた。 雲一つない空に輝く朝の太陽。 今日も、良い一日になりそうだ。
 
おいしい朝ご飯を食べ、コーヒーを飲み、ゆったりと流れる島時間を味わう。
さあて、そろそろ戻るとするか。

天候に恵まれ、久し振りの生野島キャンプツーリングを堪能した。 またまた最高の週末だったなあ!

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瀬戸内シーカヤック日記: 出雲蕎麦&温泉堪能_日帰り島根ドライブ

2010年03月07日 | 旅するロードスター/アテンザ
2010年3月6日(土) 雨模様の週末の初日は、久し振りに中国山地を越えて島根へドライブ。
島根へドライブと言えば、その目的は『出雲蕎麦』と『温泉』
***
アテンザワゴンで中国山地を目指して北上し、雨の峠を越えて、最初の目的地である『一福』さんへ。
私は蕎麦と言えば出雲蕎麦、それも一福さんが一番のお気に入り。 日本海シーカヤックツーリングの帰りはもちろん、年に何度かはここの蕎麦と温泉をセットにしたドライブを楽しんでいる。

妻は、温かい『天婦羅蕎麦定食』

私は前から気になっていた、地元の牛肉を使った数量限定メニューだという『牛丼セット』と『ざるそば』
 
牛丼は、おそば屋さんらしいあっさりした味付け。 ちょっとイメージとは違っていたが、ずっと前から気になっていたメニューだったので、ようやくこれを食べることができて気が済んだ!

牛丼セットの割り子蕎麦。 うーん、やっぱりここの蕎麦は旨い。
そしてざるそば。 割り子蕎麦と基本的には同じだと思うのだが、割り子に予めそばつゆを掛けておいて食べるのと、ザルからそばをたぐってつゆにつけて食べるのでは、食味と食感が全く違うのには驚いた。 新たな発見。

たっぷりのおいしい蕎麦を堪能し、そば湯もいただいた。 『ごちそうさまでした』
うー、今日は少し食べ過ぎた。 お腹一杯。 やっぱり俺は一福の出雲蕎麦やなあ。 はるばるここまで来た甲斐があったというものだ。
***
次は温泉なのだが、まだ満腹状態なので、少し散歩をしようということに。
少し離れた場所までクルマで移動し、山道の途中にクルマを停めて、雨の上がったあぜ道を散策。
『今日、峠を越える時に、何カ所かでフキノトウを見かけたんだ。 もうトウがたっていたけど、探せばあるんじゃないか』

静かなあぜ道のあちらこちらにフキノトウはあるのだが、いずれもすでに大きく成長しており、食べるのには適さない。

途中で出会った地元の方にも聞いてみたが、あまりこの辺りにはフキノトウはないし、もう季節は終わったよ、との事だった。
『残念。 でもまだ雪がある季節にこの辺りに来るのは難しいしね。 まあ春を感じられたからよかったなあ。 じゃあ、温泉へ行こうか』
***
再びクルマに乗り込み、温泉に向かう。 今回は、これまで行った事がない温泉に行こうと言う事で、あえてこれまで避けてきた『加田の湯』へ。
昔から通っていた『千原温泉』や『ラムネ温泉』が、最近メジャーになって人が多くなり、ゆっくりと浸かれなくなっているのは寂しいものである。 妻も、『ラムネ温泉は人が増えてちょっとね』、ということだったので、昔地元の人に聞いたことがある加田の湯へ。

山道を走っている途中、川沿いのある場所で、ピピッと来た。 なんだか匂いがする!
クルマを停め、『この辺り、なんか気になる。 ちょっと探してみようか』

川辺の土手に歩いて行くと、

まだフキノトウと言えるレベルの、ちょうど良い大きさのフキノトウがいくつもある。 年齢も忘れ、うれしくなって一生懸命フキノトウを採集。
さすがにまだ小さいものは残り少なかったので、採れた量はそれほど多くないが、食べて春を感じられるくらいは充分ある。
これで今週末の夜はフキノトウで一杯飲れるかな? 楽しみだ!
***
加田の湯。 初めて訪れる温泉だが、人も少なく泉質も良く、お気に入りの温泉がまた一つ増えた。
 
入って当分の間は、私一人の貸し切り状態。 三瓶山系らしい茶褐色に濁ったお湯は、ゆっくり浸かると体の芯まで温まる。
静かな温泉で、ゆったりのんびりの1時間。 最高の一時!
*** 
雨の週末。 出雲蕎麦と温泉をたっぷりと堪能した!
いやあ、好いドライブだったなあ。

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瀬戸内シーカヤック日記: 鶴見良行 エビと魚と人間と_南スラウェシの海辺風景(2)

2010年03月05日 | Weblog
先日注文した、『みずのわ出版』の『エビと魚と人間と_南スラウェシの海辺風景(編集:森本孝)』が届き、毎晩仕事から帰った後、晩酌のビールを飲みながら、少しずつ読み進めてきた。
***
 
この本は、特に漁民の視点/海からの視点で東南アジアを歩いて考察し、そして貴重な記録を残した『鶴見良行』さんの、フィールドノートと自筆原稿が出版されたものである。

森本孝さんから紹介を受けて購入したものの、正直な話、実際に手にしてみるまで『自筆原稿の意味!』を理解する事はできなかった。
***
だが本を開いて読み始めると、普段目にする美しくそろった活字とは違い、一字一字丁寧に綴られる文字から伝わってくるその人の”ひととなり”に加え、後で写真を張るために確保されたスペース、修正の痕跡、写真に添えられたメモなどなど、まるで著者の息遣いまで感じられる様なリアルな鶴見良行氏の世界を実感できたような気がしたのは、とても新鮮な感覚であった。

さらに鶴見良行氏の、船/舟や海洋民族に対する知識や観察眼の深さ、川沿いの農業と淡水魚を対象とした漁業、そして海の漁業と製塩業との関連など、柔軟な発想と洞察の鋭さは、海からの視点を大切にする『旅系/文化系シーカヤッカー』には、とても興味深いものだと思う。

*** 以下、引用 ***

つまり目下のところ、トビウオの卵を食べるのは、日本人だけで、それもごく最近始まったのだ。 (中略) その2は、やはり加工されて、”カビアまがい”となる。 ガードしたのキャバレーで出されるカビアの前菜は、トビウオ卵に色つけしたものである。 (中略) 採取漁業の漁獲が、ガード下のカビアまがいに変じるまで、遠い南スラウェシの漁民と日本の消費者まで結びついている。

バジャウは、自分たちだけの墓場と旗を持っている。 その旗は男と女の顔をもつ一対の吹き流しで、儀式のときはあい対して立てるという。

支柱の長さは、日常の用で舟がどれほどの荷を積むかとかかわっている。 というのは、ダブルアウトリガーは定量を積んで、両側の浮きが海面に触れているとき、舟はもっとも素直に直進するからだ。
(*カヤッカー注: アウトリガーカヌーのアウトリガーは、”浮き”ではなく”錘”であるというのが、『海洋文化セミナー』で教えていただいたミクロネシアのアウトリガーカヌーの考え方。 この辺りを考察してみるのも面白いかもしれない。)

丸木舟を漕ぐ櫂は、それ自体が舵だった。 浅い川や気水沼地では、水中深く入る舵はむしろ邪魔である。 櫂が舵だという理屈は、今日の東南アジア海船にも残っている。
(*カヤッカー注: 先日話を伺った阿賀の御漕船では、艢の櫓が舵を兼ねているとのお話であった。 また、大崎上島の櫂伝馬でも、舵はなく艢の大櫂が舵の役目を果たしている。 この櫂伝馬の大櫂はよく考えられていて、直進でスピードを出すときは櫂をわずかに水に入れ、最小限の抵抗で直進性を確保するとともに、舟を曲げる時には少し深めに入れて抵抗を作り出すようになっている。 シーカヤックのスケグとラダーを組み合わせた様なものだと考えてよいだろう! 素晴らしい海洋民族の知恵。)

*** 引用終わり ***

東南アジアの、それも特に海洋民族に軸足を置いた民俗学者、鶴見良行さんの息遣いまで感じられそうな貴重な本。
整ってはいるが味気ない活字がならんだ本とは一線を画す貴重な記録。

恐れ多いのは承知の上で、サラリーマンカヤッカーである私との共通点をあえて探せば、『ビール党』な事くらいではあるが、下記の一文がとても気に入った。

『白い袋は、飼料のビール滓。 ビール党の私は、イスラムの国なのに、養魚の発展を祈って、毎晩ビールを飲んだ』 いいなあ、鶴見良行!

 

興味がある方はぜひ、みずのわ出版のHPで確認してみて下さい。

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