あるくみるきく_瀬戸内シーカヤック日記

瀬戸内を中心とした、『旅するシーカヤック』の記録

『芸予ブルー』_テーマカラー of 印象派_”瀬戸内シーカヤック日記”

瀬戸内シーカヤック日記: 宮本常一写真講座

2009年09月27日 | 旅するロードスター/アテンザ
2009年9月19日(土) 周防大島にある東和総合センターで、第3回宮本常一写真講座が開かれる日。
午後2時から4時までの予定で、講演は今回のメインゲストである民俗写真家の芳賀日出男さん、トークセッションの聞き手は森本孝さんとなっている。

このうち森本孝さんは、観光文化研究所が発行していた幻の雑誌、『あるくみるきく』の元編集長でもあり、『舟と港のある風景(日本の漁村・あるくみるきく)』の著者でもある。 というわけで、『あるくみるきく_旅するシーカヤック』を標榜する私にとっては、お会いした事こそないけれど、漁村をメインに『あるくみるきく』を実践されてきた尊敬すべき大先輩。
これは行かねばなるまい。
 
↑ 『舟と港のある風景(日本の漁村・あるくみるきく)』 、 私が所蔵している『あるくみるきく』
***
お昼ご飯は、周防大島で最近お気に入りのカフェで、500円のワンコインランチ。 いつもながら、シンプルだが素材の良さが活かされており、おいしいランチである。 食後は+150円のコーヒーを飲みながら、森本孝さんが編集された一冊、『あるくみるきく_糸満の海』を再読。 うーん、やっぱりええなあ。
 
***
まだ時間があるので、車を置いて久賀の町中を散策すると、『パンの店』の看板が目に飛び込んで来た。 覗き込むと、時代を重ねた良い雰囲気のショーケースにパンがきれいに並べられている。 おー、ストライクゾーンど真ん中!
これは、是非とも入ってみねばなるまい。
 
お店に入ると、『いらっしゃい』とおばちゃんが出てこられた。 『こんにちは。 このパンは、ここで作ってるんですか?』
『そうなんよ。 昔はいろいろと卸しよったからたくさん作りよったけど、いまは少しだけじゃけどね』

『いろいろありますねえ。 これは何ですか?』 『これはカレーパン。 こっちはバタークリーム』
『これは?』 『これはねえ、半分アズキ餡で、もう半分はクリームが入っとるんよ』 『じゃあ、カレーパンと、これと、これください』

『はい、じゃあ240円』 そう、パンは一つ80円なのである。 安いなあ!
 
***
『久賀というたら、昔は大島の中心だったそうですね』 『そうよ、この前の道もバスが走りよったんじゃけん。 それが、今じゃあ海沿いの新しい道を車が走るようになって、ここらは素通り』 『前は賑やかじゃったんですか?』 『ええ、そりゃあ店も多かったし、映画館もそこにあったんよ。 最近じゃあ、日曜日は店を閉める。 そしたら人が外に買い物に行く。 客が減って店をやめる。 悪循環じゃねえ』

『ここは、いつ頃からやっとられるんですか?』 『そうじゃねえ、70年位前かねえ。 私しゃあ、大島でも別の所からきたんじゃけど、じいさんの代からやっとるんよ』
『やっぱり、地の人が買いに来てんですか?』 『それがねえ、岩国や柳井から買いにくる人が多いんよ。 一度買うてみたら、懐かしいパンの味じゃいうて、口コミでいろんな所から買いにきてじゃねえ。 まあ、そがに言うてもたくさん売れるわけじゃないけどねえ』

『ほんまですね。 パンの袋や雰囲気も、私らが子供の頃に食べよったパンを思い出します。 明日の朝に食べるんが楽しみですよ』 『ほうねえ。 ありがとう』 『じゃあ、また寄りますけん。 ありがとうございました』
***
午後1時過ぎに、東和総合センターへ。
『あるくみるきく』を読みながら開場を待っていると、『こちらが森本先生』という声が聞こえてきた。
振り向くと、写真で拝見したお顔が。 その方々とのお話が終わるのを待ち、立ち上がってご挨拶。

『森本さんですか? 初めまして。 「瀬戸内シーカヤック日記」のカヤッカーです』 『あー、あの。 豊島の事とか書いておられる』 『はい! 先日は、ブログにコメントいただきましてありがとうございました』

しばし横に座らせていただき、海洋大学での集中講義や東北芸術工科大学でのフィールドワーク手法の継承を含む最近の先生の活動や、瀬戸内の家舟の事、あるくみるきくの事など、しばしお話しさせていただいた。
『もう会場にも入れるようですから、今日はゆっくり楽しんでいってください』 『はい、ありがとうございます』
 
***
午後2時。 講演会がスタート。 芳賀さんが、初めて宮本常一と歩いた九州旅行の写真と、その時のエピソードが話される。
熊本駅で落ち合い、宮本の希望で最初に向かったのが通潤橋。
 
なんという偶然であろう。 この春に妻と出かけた九州ドライブ旅行で偶然最初に訪れた場所が『通潤橋』なのである。 この時は、ナビの誘導に従って予定外のルートで走っていたとき、偶然見つけて立ち寄ったのが通潤橋。 たまたまそこで出会った地元のおばちゃんに、宮本常一が芳賀さんに話して聞かせたと言う通潤橋の建設に関わる言い伝えを聞いたのである。

まるで、これまでの旅で何度もあった、偶然を装った必然である!

1時間の講演の後は、森本さんも加わってのトークセッション。


*** 以下、芳賀さんの講演、およびトークセッションより ***

『旅をして珍しいものを探すのではなく、あたり前の、ごく普通のものを見つける事が、宮本常一の凄いところ』 『見ようとして歩く事が大切だ』

『私ら写真家は、撮った写真をどこかに発表しようと言う気持ちがあるが、宮本常一の写真は、記録するための写真。 自分では覚えきれないからカメラに覚えさせる。 脳細胞の一部としてカメラを活用していたという事』 『普通ならフィルムがもったいなくてあんな使い方はできないが、オリンパスペンが出てきて、ハーフサイズになったから、あのような使い方ができるようになった。 オリンパスペンのペンは書くPenの事。 まさに、あのカメラのコンセプトが、宮本常一の使い方にピッタリであった』

『一眼レフが出てきてオリンパスペンが製造中止になったのは、偶然にも宮本常一が無くなった年であった』

『宮本常一の庶民精神は凄い。 どこかに飲みにいこうかと言われた時に、普通は鰻が食べたいとか、何が良いとか言うものだが、宮本常一は違った。 「気楽なところにしてくれ」と言うのだ。 気楽なところということで、その人の行き付けの店に行く事になる。 この、気楽なところにしてくれ、というのは本当に良い返事だ』

***

『宮本常一の知識は、本で勉強したものではなく、実際に旅をして学び、深めたものだから、その凄さが違う』

『宮本常一は普通のおじさんだ。 だが、同じものを見ても聞いても、宮本常一と言うフィルターを通して出てくるものが素晴らしい』

『宮本常一は、組織の中ではなく、一人で事を成し遂げる人』

『宮本常一の写真は、知識を持って撮った写真。 その知識があるからこそ、ごく普通のものの中から、意味のある、価値のあるものを撮ることができた』

*** 以上、引用終わり ***

あっという間の2時間が過ぎ、写真講座はお開き。 うん、良いイベントだった。 今回が3回目という事だが、機会があればまたぜひ参加したいものである。 森本さんにご挨拶をして、会場を後にした。

夜は、地元にあるお気に入りの居酒屋で一人で一杯飲り、海沿いの駐車場で車中泊。 なかなか充実した一日であった。
***
それにしても、数年前に宮本常一関連のイベントでお会いした香月先生と言い、森本先生と言い、観光文化研究所出身の民俗学者の方々は、皆さん気さくで話しやすい方々ばかり。
やはり、知らない土地に行って、初めて出会った地元の方々と親しくなり、着飾らない貴重な話を聞き取り、調査してまとめていくという仕事をするには、そういうキャラクターが必須なんだろうなあ。 良い勉強になった。

*追記: 帰りに道の駅で、周防大島名物のサツマイモ、『東和きんとき』を一パック買って帰った。 家に帰ってパッケージをよく見ると、そこには『宮本農園』の記載が。。。 ということは、あの宮本農園で作られた”東和きんとき”ということである。 偶然とは言え、これにも驚いた。

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瀬戸内シーカヤック日記: 『旅する櫂伝馬プロジェクト』 大崎上島一周、航海トライアル

2009年09月22日 | 旅するシーカヤック
2009年9月21日(月) 幌を下ろしたロードスターを走らせ、大崎上島へと向かう。 今日は、待ちに待った『旅する櫂伝馬』の航海トライアルの日。

祝島の神舞で櫂伝馬を漕いだブログを読んでくださった大崎上島出身のFさんから『櫂伝馬に興味があるのなら、ぜひ一度、日本の1/3の櫂伝馬が残っている大崎上島に櫂伝馬競漕を見に来て下さい』とのお誘いを受けて始まった交流。
いろいろとやりとりしているうちに、普段から瀬戸内をシーカヤックで旅している事を話し、『せっかくだから、櫂伝馬で瀬戸内を旅したいですねえ』と言った事がきっかけで、Fさんも乗り気になり、『旅する櫂伝馬プロジェクト』の構想具体化を進めて来た。
 
***
最初のミーティングで決定した目的地の島までの距離は、約70km。 一泊二日で漕ぐとして、一日30km強を漕ぐ必要がある。 櫂伝馬は競漕には使われており、全力漕ぎで15分程度は13km/h程度のスピードが出せる事は分かっているが、長距離を漕いだことがほどんどないとのこと。
『シーカヤックなら実力が分かっていますが、櫂伝馬プロジェクトを実行するためには、櫂伝馬の航海性能をチェックする必要がありますねえ。 潮流や風の影響、巡航速度を確認する必要がありますよ。 大崎上島一周は30kmオーバーなので、テスト航海に丁度いいんじゃないですか』と提案し、今日の航海トライアルに至ったのだ。
***
9時の出発に向け、櫂伝馬の艇庫から『いなずま』を海に出す。 驚くほど立派な艇庫。 まるで、サンダーバードの秘密基地のようだ。 電動ウインチでつり上げられた櫂伝馬を、海に降ろす。
 
***
9時10分。 出発準備が完了し、出発!
先日調べた潮汐から、今日は半時計回りのコースをFさんに提言している。 少し沖合に出て、潮流に乗って漕ぎ進む。
片側7人、計14人の漕ぎ手と、リズムを取る太鼓、舵取りをする大櫂。 私は、太鼓側の3番櫂。 普段のシーカヤックツーリングでは使わないのだが、今日は様々な状況でのスピードを確認し、データを収集するため、GPSも持って来た。
 
中ノ浦を出発し、上げ潮に乗って鮴崎へ。 なんと時速は12-13km! でも、漕ぐのを止めてみると、それでも潮に乗って5km/h程度の速度で押されているので、実質は7-8km/h程度である。
じゃあ、ということで打ち込んで漕いで見ると、なんと時速15km/hを記録。 追い潮での櫂伝馬、早いなあ!

鮴崎を越えて舳先を西に向けると、ここからはしばらく向かい潮。 それも結構流れている。 GPSをチェックすると、7-9km/h。 うん、向かい潮でもなかなかいい感じである。
***
垂水、白水を越えて、大串へ。 ここでしばらく上陸して、お昼ご飯。
『なかなかキツいのう』 『もう半分以上来ましたよ』 『いろんな状況でのスピードが分かりました。 こりゃあなかなかええ感じじゃないですか』

いろいろとお話を伺うと、地元の方々が知っている限り、これまで櫂伝馬で大崎上島を一周した人はいないとの事!
『こりゃあ、凄い事で! あんたら、歴史に残るわ!』と、伴走していただいている櫂伝馬の大先輩。 『ほうですか! じゃあ、今日は絶対やり遂げんといけんですね』と私。
***
お昼ご飯を含めて30分弱で再び出発。 大崎上島の西岸を南下し、明石瀬戸へ。
漕ぎ続けて来た疲れと、向かい潮で、なかなかスピードが乗らない。 時速は、6-8km/h。
太鼓が気合いを入れ、みんなで声を出し、頑張って漕ぎ進む。 こりゃあ、ほんまにキツーイ!!!
 
***
明石港で休憩し、清風荘の建つ岬を越えると、ゴールは目の前。 水軍の舟は気勢を上げ、ゴールを目指して打ち込み、漕ぎ進む。
午後1時半。 出発した桟橋に戻って来た。 『やったー、到着! 大崎上島を一周したどー!』
 
***
みんなで喜びを分かち合い、頑張りを讃え合う。 最高の瞬間だ。
『トライアル航海は大成功でしたね。 いろんな状況でのスピードも確認できたし、天気次第だけど一日30kmくらいの航海なら大丈夫だと分かりました』 『来年、島へ行きましょう!』

大崎下島の櫂伝馬の歴史に、新たな1ページを加えた今日の航海。 そんな大事な時間を共有させていただくことができ、『瀬戸内海洋文化の復興、創造、そして継承』をテーマに海を漕ぎ続けている私にとっては、生涯忘れる事のできない一日となった!
***
夕方からの打ち上げにも参加させていただいた。 櫂伝馬が大好きなメンバーと飲み話す楽しい時間。
地元の方から、漁業の抱える問題や、櫂伝馬の歴史、大崎上島にとっての今日の櫂伝馬一周の持つ意味などなどを伺う。

大崎上島の明石にかつて栄えていた槙皮舟の話、櫂を造るための原木の『蜜柑割り』の話、竹原の的場で聞いていた、昔は子供の遊び用に使っていたと言う『三枚舟』の話、大崎上島を訪れた宮本常一の話などなど、瀬戸内海洋文化に関わる貴重なお話が次から次へと飛び出してくる。

大崎上島。 瀬戸内海洋文化を語る上で欠かせない重要な島である事を再認識した。 『あるくみるきく』をテーマに、もっともっとこの島に深く関わって、貴重な話を発掘して行きたいと思う。
***
さあて、今日の航海トライアルの成功で、来年の『旅する櫂伝馬プロジェクト』の実行がグッと現実的になってきた。
海上保安庁への連絡、目的地の島への連絡なども動き始めており、徐々に町を上げてのプロジェクトとして盛り上がりつつあるとのこと。 来年の初夏が楽しみだ!

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瀬戸内シーカヤック日記: 妻とのんびりまったり_ロードスターで俵山温泉一泊旅行

2009年09月20日 | 旅するロードスター/アテンザ
2009年9月19日(土) この週末は、妻の誕生日である。 以前から、強アルカリ性のヌメッとしたお湯で気持ちの良い、山口県の俵山温泉に妻を連れて行きたいと思っていたのだが、彼女の都合がギリギリまではっきりしなかった。

土曜日の朝。 妻に、『どう、せっかくの休みやから俵山温泉、行ってみるか?』と聞くと、嬉しいことに『うん、今日はええよ』との返事。
じゃあ、ということで、早速以前お世話になった宿に電話。 すると、『今日はいっぱいです』 まあ、そりゃそうやあなあ。 シルバーウィークやもんなあ。 そら、しゃあないわ。

妻に、『聞いてみたけど、さすがにこの連休はいっぱいらしいわ。 もしかしたら泊まれんかもしれんけどええか?』 『そうじゃろうねえ。 それでええよ』
『じゃあ、行き当たりばったりの旅や! ほんま、これが楽しいんやなあ。 行くで!』
***
その日の朝に突然決めた俵山温泉の旅。 洗濯を済ませ、一泊二日の最小限の荷物をちいさなバッグに詰める。 もう8時過ぎ。 秋の連休に、こんな突然の、そしてのんびりした準備で大丈夫か?

息子達に、『ちょっと母さんと旅に出てくるわ。 せっかくの誕生日の週末やしな。 日帰りになるかもしれんし、宿が空いとったら泊まって帰る。 後は頼んだで!』
すると、いつもの事だとばかりニヤリとし、『ほいほい、どーぞごゆっくり』と返ってきた。
***
ロードスターの屋根を開け、清々しい秋の空気を感じながら廿日市から山陽道に入ると、事故渋滞との情報。 アチャー! まいったなあ。
途中で一旦高速を降り、岩国から再度高速に乗って西へ。 高速を降りてから途中でお昼ご飯を食べ、気持ちのよい温泉で汗を流し、小休憩。
 
再びロードスターで山道を走り、俵山温泉へと到着した。
温泉街を歩きながらケータイを取り出し、温泉に関係している会社へ電話。 『すみません。 今日、宿泊プランで二人空いてませんか?』 すると、『今日は連休なんで、宿泊プランは一杯なんです。 でも、もしかしたら、ちいさな宿が、部屋を出してくれるかもしれないんで、あたってみますけど。 どうされます?』 『ぜひ、お願いします』

『じゃあ、連絡先を』ということで、ケータイの電話番号と名前を告げ、しばらく待つと、電話がかかって来た。
『二人でとれました』 『ありがとうございます。 じゃあ、お願いします』 ということで、その宿へ。
***
俵山温泉の宿泊パックとは、一泊二日、朝夕二食と温泉に4回まで入れるチケット付きで一人7000円と言う格安プラン。 白猿の湯は一回700円必要だから、二日で3回入ったとしてもそれだけで2000円オーバー。 それに、朝夕の食事が付くのである。
以前、一人で訪れた時にこのプランを使ったのだが、あまりのリーズナブルさと、ここのお湯の質の良さに、いつかは妻を連れて来たいと思っていたんだ。 強アルカリの俵山温泉。 肌がツルツル、すべすべになるのだが、中年オヤジの私がツルツルお肌になっても仕方がない。 ここは、やっぱり妻と来なければ!
***
夕方、ゆっくりとお湯に浸かり、宿に戻って夕食を食べ、ビールで乾杯。 『いつもほんとうにありがとう。 誕生日おめでとう!』
 
食後はしばし休憩し、再び温泉へ。 湯上がりは、部屋の窓を開けて涼しい風を感じつつ、静かな温泉街の夜の風情を堪能した。
***
翌朝。 今日も晴れ。 妻が寝ている間に山道を30分ほど散歩して、7時から再び温泉へ。
30分ほどの朝風呂が、最高に気持ち良い。 おいしい朝食をいただき、宿の女将さんに挨拶して出発だ。
『どうもありがとうございました。 おかげさまでゆっくりできました』 『どうでしたか? お湯が良かったでしょう?』
『ええ、最高でした。 ほんま、ゆっくりさせてもらいましたわ』 『今日はどこへ?』 『はい、今から角島へ行ってみようと思うとります』 『そら、ええですよ。 晴れたら景色もいいですしね。 お気をつけて』
***
今日もロードスターの幌を降ろし、日本海に続く山道を駆け抜け角島へ。
 
高台で美しい景色を堪能し、角島大橋を渡る。 静かな海辺で散歩を楽しみ、再び角島大橋を渡って川棚へ。
***
少し早いお昼ご飯は、瓦そば。 熱々で香ばしい瓦そばを妻と一緒においしくいただいた。 『ごちそうさまでした』
 
今日は快晴で日差しも強く、帰りの高速をオープンで帰るのは、さすがに妻には過酷そうである。 幌を上げ、エアコンをONにして、山陽自動車道を東へ。

廿日市インターの出口で40分ほどの渋滞。。。 うーん、シルバーウイークの遠出で、これくらいの渋滞で済んだのならよかったかな。

途中で給油し、計算すると16.1km/L。 普段の通勤で15km/L前後である事を考えるともっと伸びて欲しかったが、行きはオープンドライブでも、帰りの高速はクローズでエアコンON、最後にほとんどアイドル状態だった渋滞40分を考えると、まあまあ許せる範囲か。
***
秋の連休前半。 念願であった妻との俵山温泉一泊旅行を楽しむことができた。 宿泊パックを利用した節約旅行ではあったが、それでも妻も喜んでくれたようだ。 ほんとうに、いつも俺を支えてくれてありがとう。

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瀬戸内シーカヤック日記: 息子と飲む酒_おでんの『あわもり』

2009年09月09日 | Weblog
夕方、長男といっしょにバスで広へ。 向かうは、お気に入りの飲み屋であり、私にとっては唯一行き付けの店と言える『おでんのあわもり』

カウンターに並んで座り、いつものようにキリンビールの大瓶を注文。 おっちゃんが運んで来たグラスは二つ。 いつもなら苦笑しながら、『あ、グラスは一つでいいですよ!』と断るのだが、今日は長男と顔を見合わせてニヤリと笑うだけ。
静かに乾杯し、『おめでとう』
 
飲んでいると、おばちゃんが奥から出て来た。 私を見るといつものように、『あ、いらっしゃい』
歩きながらこちらの様子をしばし伺い、『もしかして、息子さん?』 私は、『そうなんですよ! 今日から解禁なんで、一緒に来ました』

『そう、良かったねえ。 今日が誕生日?』 すると、『はい』と恥ずかしそうに返事する。
『誕生日プレゼントは、あわもりだけじゃないじゃろう?』 息子は時計を指差し『これ、買ってもろうたんです』 『どれどれ。 ほー、こりゃええねえ』 『言うても、そがあに高いやつじゃないですけどね。 それに、先週末に家族で焼肉を食べに行ったんですよ』と私。
 
あわもり名物の『かわ(皮)』や、定番の厚揚げ、コンニャク、タマネギなどをつまみながら、ビールを酌み交わす。

彼が生まれてから20年か。 はやいものだ。
産まれたときはあんなに小さかったのに、今では私よりも二回りも大きくなった。 幼稚園の頃から『男はつらいよ』の大ファンで、寅さんに憧れていた彼。 小さい頃からカヌーに乗せ、二人で釣りに、サイクリングに、そしてキャンプに行った。

キャンプでは焚き火が好きで、火の世話をし、火を囲んでみんなで歌を歌い、焚き火の後始末をしていた。 テントで寝るより外に出したコットでシュラフに包まって寝るのが好きだった。 また水遊びが好きで、川や海に行くと、プカプカと浮かび、いつまでも楽しそうに遊んでいた。
カヌーも好きで、小学校の高学年以降は、妻や次男をタンデム艇の前に乗せて、川を下り、海を漕いでいた。 ほんと、頼もしかったなあ。 大雨の後、増水した江ノ川の激流をタンデム艇で下った時のことは、いまでも二人の語り種になっている。

中学生になり、クラブ活動で忙しくなってからは、一緒にカヤックを漕ぐ機会もほとんど無くなってしまったが、中学、高校ともに卓球部のキャプテンを務め、友人に慕われ、学生生活をエンジョイしていた。

開高健を思わせる風貌で、釣りバカ日誌の浜ちゃんのようなキャラクター。 我が家のムードメーカー。 仕事でも様々な教育を受けさせていただき、先輩方に教えていただきながら実務で経験を積んでいるようだ。

私たちは彼を育てたが、同時に私たちは彼に育てられたということも実感している。
 
おばちゃんや、いつもの常連さん達とも楽しい会話を交わしつつ飲む楽しいお酒。
『どう、あわもり飲んでみるか?』 『うん』
『おばちゃん、あわもり。 ラムネで割ってやって』 するとおばちゃんは、『ラムネで割るとねえ、飲みやすうなるけえ、飲み過ぎんように気をつけんさいよ』
***
『このラムネはどこのですか?』 『呉のラムネ屋さんよ』 『ほうですか。 私は、倉橋のラムネやのおっちゃんとは知り合いになって、時々買いにいきよるんですよ』 『あー、あの倉橋の。 時々テレビに出よるよねえ』 『そこです。 あそこのラムネを詰める機械はスゴいんですよー』

『このラムネはいくらですか?』 『うちはねえ、90円で出しよる。 儲けはないけど、おでんも一本90円じゃし、90円に合わせとったら計算が楽じゃろう』
『おでんもね、ネタによって値段を変えたら、いうてお客さんから言われるんじゃけど、そんなのできんよ。 面倒じゃしねえ』 ほんと、このおいしいおでんが、どれでも一本90円。 安いしウマいし、最高だ。 おばちゃん、本当にありがとう!
***
ふと息子の方を見ると、あわもりを全部、氷の入ったグラスに入れてしまったようだ。 『それ、濃いじゃろう』 一口飲むと、『うん、こりゃあキツい』
おばちゃんがグラスを取り、中身を半分ほど別のグラスに移して、減った分だけラムネを注ぎ足した。 『これで飲んでみんさい』 『あー、飲みやすいです。 ウマいです』

『じゃあ、そろそろ帰ろうか。 家でかあさんが、料理を作って待っとるけえ』 『ほうじゃね』
『おばちゃん、お勘定お願いします。 ほんま、今日は一緒に来れてよかったです』 『ほんま、よかったねえ』
***
楽しみにしていたこの日。 いきつけの『あわもり』で、おいしいお酒と楽しい時間を堪能した。 感慨無量である。

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瀬戸内シーカヤック日記: チャートワーク_旅する櫂伝馬プロジェクト

2009年09月05日 | 旅するシーカヤック
2009年9月5日(土) MacBookを立ち上げ、2010年の潮汐表をチェックする。 海図を広げ、大崎上島から手漕ぎ舟で目的地の島を目指すルートを検討。 距離を測定し、ポイントとなるいつくかの瀬戸の潮流を勘案して、出発時間や通過時間をイメージしていく。

旅する櫂伝馬プロジェクト。
先日あった連絡では、実行に向けて町との調整も進みサポートが得られそうだとのこと。 来年の初夏の実行に向けて、打ち合わせや航海トライアルなど、準備を進めようということになり、ルートや潮流のチェックを依頼されたのである。
 
Fさんはその島と大崎上島の櫂伝馬との関わりの歴史を調べ、その島を初夏のある日に櫂伝馬で目指す目的も筋が通ったようだ。 あとは、確実に準備を進めるのみ。 シーカヤックとは違う、伝統的な舟で行う海の旅。 本当に楽しみだ!

今日の検討結果は、次回予定している航海トライアルの時に報告する予定。
***
検討が終わるとお昼前。 今日、妻はバレーボールの試合で外出しており、家には私一人。 せっかくなので、最近おいしいランチを見つけたお店『焼肉黒瀬』にお昼ご飯を食べに行くことにしよう。
この焼肉屋さんは、肉屋さんが営業しており、先日妻と一緒に行った時に食べた『ホルモン焼肉定食』がお気に入りとなった。

熱々ジューシーで、香ばしくそして旨味がぎっしり詰まった焼きたてのホルモン。 ごはんがおいしいなあ。
このおいしさで、900円でおつりが来るのだ、安い!
***
今朝、妻が試合に出かける前、『今日、買い物と夕食、お願いね』 『カレーでええ?』 『まかせる』
ということで、家に帰ってからは、ランチを食べたお店に隣接している肉屋さんで購入した肉を使って夕食のカレーを作る。

ジャガイモを切る時に、包丁の切れ味が鈍かったので、水砥石を取り出し、包丁を二本研ぐ。 切れのわるい刃物は、使っていて気持ち悪いものである。 あー、スッキリした。

洗濯物を取り込み、BSでやっていた『野獣死すべし』を見ながら、たくさんのタオルを畳む。
この映画は、十代の頃に映画館に見に行ったことを覚えている。 少しディープだが、あの狂気が演じられる松田優作はやっぱりスゴい。 そして、かつて大ファンであった小林麻美を久し振りに見ることができたのもうれしい。
***
旅する櫂伝馬の準備に向けたチャートワーク、おいしい『ホルモン焼肉定食』、夕食の準備、包丁研ぎ、そして『野獣死すべし』。 久し振りに家でゆっくりと過ごした一日であった。

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