あるくみるきく_瀬戸内シーカヤック日記

瀬戸内を中心とした、『旅するシーカヤック』の記録

『芸予ブルー』_テーマカラー of 印象派_”瀬戸内シーカヤック日記”

瀬戸内シーカヤック日記: 『旅する櫂伝馬プロジェクト』_大崎上島で忘年会

2009年11月29日 | 旅するシーカヤック
2009年11月28日(土) 今日は、”櫂伝馬の島”大崎上島で『旅する櫂伝馬プロジェクト』の忘年会。

夕方、偶然竹原港で一緒になった、私と同様島外から『旅する櫂伝馬プロジェクト』に参加しているA君と、高速艇で大崎上島の天満港へ。
いつもは、ロードスターを山陽商船のフェリーに積むのだが、今回は初めて高速艇を使ってみた。 船旅好きな私としては、これも楽しみの一つ。
 
今日は、プロジェクトのコアメンバー5人とゲストの方1名の計6人。
まずはリーダー格であるK君の挨拶で乾杯し、プロジェクトの親分であるFさんから配布された企画案や関連資料を見ながら、先日行った大崎上島一周トライアル航海の話や、来年のプロジェクトへの期待で盛り上がる。
 
ビールを飲み、鍋をつつき、日本酒を酌み交わしながら、熱い心を持つ大崎衆と、櫂伝馬や瀬戸内の海洋文化、そして大崎上島の島起こしなどについて話す、とても充実した至福の一時。
連れて行っていただいた2次会でも引き続きおおいに盛り上がり、とても楽しい忘年会であった。
皆さん、いろいろお世話になり、ありがとうございました!
***
 
『旅する櫂伝馬プロジェクト』は、まだ企画&準備段階ではあるが、今回の話し合いで、その意義を再認識することができた。 ワクワクするなあ。 ほんと、これはやりがいがある!

『あるくみるきく_旅するシーカヤック』を続けてきた事で、縁が縁を呼び、『旅する櫂伝馬プロジェクト』の立ち上げに参画することができた。 旅するシーカヤックに加えて、新たなライフワークになりそうな予感。 本当にありがたい事だ。 
一歩一歩着実に準備を進め、ぜひとも成功させたいと思っている。

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瀬戸内シーカヤック日記: 大久野島日帰りツーリング

2009年11月23日 | 旅するシーカヤック
2009年11月23日(月) 朝起きると外は晴れで、寒かった土日から一転して気温も高く、昨日の雨で空気も澄んでいる。 絶好のツーリング日和。 2回続けて日帰りツーリングとなってしまうのは残念だが、ちょっくら行ってみますか!
***
いつもの浜にシーカヤックを降ろし、安全装備と日帰りセットを入れたソフトクーラーバッグを放り込むと、準備完了。

目指すは久し振りとなる大久野島。 大久野島の周辺は潮が複雑で流れも早いのだが、今日は小潮で時間もちょうど良い。
快晴の瀬戸内。 気温も高く、今日はスカノラックの出番はなさそうだ。 空気も澄んで、本当に気持ち良い。 
 
阿波島の南端をかすめ、小久野島を経由して大久野島へ。
***
浜にシーカヤックを引き揚げると、小さな娘さんを連れたお父さんが居られた。
『こんにちは。 今日は好い天気で気持ち良いですね』と挨拶すると、珍しそうにカヤックを眺め、『旅するシーカヤック』のステッカーを見られたのだろう、『ほんとですね。 あれで旅しておられるんですか?』と返ってきた。
『いえいえ、今日は竹原から出て日帰りツーリングなんですよ』 『なるほど。 今日は海の上は気持ち良いんでしょうね』 『ええ、今日は最高の天気で良かったですよ』

ちょうど昼時。 きれいな東屋の下をお借りして、お昼ご飯の準備。
 
今日は、玉子うどん。 ストームクッカーでお湯を沸かし、うどんスープを入れてうどんを温める。
 
卵を落とし、刻みネギをたっぷり入れると出来上がり。 美しい景色を眺めながら食べるうどんはおいしいなあ。
***
ゆっくりとお昼ご飯を食べ、食後はドリップコーヒーを楽しむ。

さあ、戻るとしようか。
大久野島の東岸に沿って北上し、そのまま本土へ漕ぎ渡る。
有名な『石風呂』に立ち寄ると、石風呂と釣りを楽しんでおられる方が居られた。 今日は人が少なく、ゆったり入れるそうだ。 釣れる魚はフグばかりだとか。 当分行っていないが、この石風呂にも行きたいなあ。

再び漕ぎ出し、穏やかな海を岸沿いに漕ぎ進み、出発した浜へ。
 
今日は約18kmほどのパドリング。 絶好のツーリング日和に恵まれ、なかなか良い一日であったなあ。

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瀬戸内シーカヤック日記: あるくみるきく_なぜか日帰り、情島ツーリング

2009年11月21日 | 旅するシーカヤック
2009年11月21日(土) 先週末は土日とも福山出張だったため、休み無し&多忙な2週連続の仕事を終え、待ちに待った週末。 さあ、この週末はどこ行こう?
天気予報をチェックすると、この3連休はあまり天気には恵まれないようだ。 久し振りに、近場でキャンプツーリングを楽しむとしようか。
***
朝からキャンプ道具を準備し、シーカヤックをカートップして出発地点の浜へと向かう。
 
ミニマムパッキングを心がけているのだが、やはり冬のキャンプツーリングでは、道具が嵩張る。 ニヤックのハッチは、ほぼ一杯だ。
今日の目的地は情島。 ほんの目と鼻の先であるが、静かな浜でキャンプを楽しむのが目的なので、漕ぐのはこれで充分である。
 
とはいえせっかくなので、目的地の浜に直行するのではなく、情島の集落の前を通り、南端を回ってキャンプ地の浜へ。
気温は低く、少し北風はあるものの、穏やかな冬の瀬戸内である。
***
予定の浜に到着! 以前キャンプに来たことがあるのだが、流木も多く冬のキャンプツーリングには絶好の浜である。

カヤックを引き揚げる頃には、空はどんよりと曇り、北風が強くなって、気温も下がってきた。
いつもならすぐにテントを張り、着替えて昼ご飯にするのだが、今日はなんだか気が重い。 もうしばらく様子を見てみる事にしよう。

流木を集めていると、どんどん北風が強くなる。 うーん、これは。。。
沖には白波が立ち始め、気温もグッと下がって来た。 残念だが仕方がない。 今日はキャンプは止めておこう。 お昼ご飯も浜に戻ってからだ。
ニットキャップを被り、手袋をはめ、スカノラックのジッパーを上げる。

こういう時にこそ頼りになるアークティックウインドは、向かい風をものともせずしっかりと水をつかみ、キャンプ道具を積んだニヤックは心強い安定性で、なんら不安なく漕ぎ進むことができる。

2週間振りのパドリング。 久し振りの向かい波、そして横波の中を漕ぎ抜ける感触を楽しんだ。
***
キャンプツーリングの予定が、渡った島でお昼ご飯も食べられないという、思いもかけぬ日帰りツーリングになった。 キャンプツーリング派の私としては、残念至極。 まあ、こんな日もあるさ。

シーカヤックを片付けていると、『つかぬ事を聞いてみるが、このフネはひっくり返らんのか?』と聞こえてきた。
見ると、犬の散歩をされている地元のおじいちゃん。 『こんにちは。 このフネは、見た目より安定性がええんですよ』

『ほうかね。 あそこになるカヌークラブの人らのフネは、ようひっくり返りよるよ』 『あ、音戸高校のカヌー部ですね。 あのフネはレース用で安定性が悪いんです』
***
片付けを終え、おじいさんの横に座って話を聞く。

『わしらも昔は、杉の板を合わせて小さい舟をつくって遊びよったのう。 手にはラケットみたいな板を付けて漕ぎよったよ』 『え、それってもしかいして三枚舟じゃないんですか!』 『なあに、そんなええもんじゃないよ。 わしは昔、大工の見習いをしよったけえ、余った板で作って遊びよっただけ。 でも、継ぎ目にはコールタールを塗って、水が入らんようにしよったよ』 『そりゃあスゴいじゃないですか。 大工さんじゃったんですか』

『大工言うても見習いよ。 中国から引き揚げてきて、親が学校行けえいうんじゃが、わしゃあ勉強なんかしとうなかった。 ほじゃあいうて、親が勝手に決めてきよったんよ』 『見習い言うて、最初の1年は道具なんか持たしてもらわりゃあせん。 最初に持つんは、ほうきととちり取りだけ』 『そうこうしよったら、便所の下の掃き出し口を作らしてもらえるようになる。 そしたら次は雨戸、その次は障子いうて、少しずつ仕事を覚えていくんよ』

『教えてもらえるか? その頃は、仕事を教えてもらういうことはなかったよ。 手伝いながら、親方が仕事するのを見て覚える』
『給料? そんなもんないよ。 ご飯を食べさせてもろうて、何ヶ月かに一回、映画を見に行くお金を貰いよった。 まあ、それが唯一の楽しみじゃったよのう』 『あとはの、余った板や木で、ちり取りや羽釜の蓋なんかを作って置いとくんよ。 それを人に買うてもろうたら、自分の小遣いになった』
***

『そうこうしよるうちに、大工は面白うないけん、船に乗ったんよ』 『何の船か? そりゃあ漁船。 五島列島の方で、鰯網や鯖釣り船に乗りよった』 『漁は、夕方出て朝に戻って来る。 鯖釣りの時は、朝鮮半島の近くにも行ったよ。 エンジンが壊れて、舵帆だけで3日かけて戻った事もあったのう。 食料はあったけん、なんともなかった。 でもエンジンをいらうわけでもないし、帆を操作するだけじゃけ、暇じゃった』

『食事はのう、専門のやつが一人おる。 なあに、そんなにウマい飯じゃあない。 ご飯とおかず。 まあ、腹一杯になるだけよ。 鰯網に入った大きなフグを、めんどくさい言うて、丸ごと一匹そのまま放り込んで鍋にしたりするんじゃけん、皿にドーンとフグがまるまる載っとっても、食べる気にゃあならんよのう』 『でもなかにゃあ、マメなやつがおって、フグをさばいて何日か塩漬けにして、その後陰干しするんよ。 ありゃあ美味かったよ』

『わしらは船に乗るとき、最初にイワシかサンマを貰う。 それを三枚に下ろして、切って餌にして、鯖を釣る。 そして釣った鯖の一部を餌にして次の魚を釣りよった。 そうやって、余った魚を自分らのもんにしよった』

『金? 金は良かった。 あの頃普通の船乗りで月給が4千円の頃じゃったが、最初は1万、良う働く言うて船を降りる前は月に3万ももらいよったけん、金には困らんかったのう』 『遊びに行ったか? ハッハッハ。 そりゃそうじゃろ。 それだけが楽しみじゃもん』
***
『最後に乗った船を、倉橋の人が買うたんよ。 そん時に、機関士が欲しいいうけん、まあひと月くらい広島見物しよう思うてきたんじゃが、そのまま居着いてしもうた』

その後も、名古屋での仕事、名古屋から広島に戻ってきてからの事、陸での仕事のことなどなど、おじいさんの波瀾万丈の一代記を聞かせていただいた。
『いやあ、こりゃあ面白い話を聞かせてもろうて楽しかったです』 『なあに、こっちこそ、呼び止めてしもうて悪かったのう』 『いやあ、ほんまにえかったですよ。 ありがとうございました』

残念ながらキャンプツーリングの予定が日帰りツーリングになってしまったが、思いもかけず地元のおじいさんに興味深い話を聞かせていただくことができた。 これも縁。
なかなか楽しい一日であった。 さあて、今日は久し振りに、『おでんのあわもり』に行くとするか!

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瀬戸内シーカヤック日記: 46周年?

2009年11月08日 | 旅するシーカヤック
2009年11月8日(日) 金曜土曜で岡村島キャンプツーリングを楽しんだ翌日。 朝起きると今日も秋晴れ。
『じゃあ、今日は野呂山にドライブに行ってみるか!』という訳で、幌を下ろしたロードスターで妻と二人、地元の定番ドライブコースの一つ、野呂山へ。
***
気持ちのよいワインディングを、ゆったりまったりと流しながら、秋の紅葉を堪能する。
途中で、美しく紅葉した木々を見つけた。 ロードスターを路肩に停め、一眼デジカメを取り出して撮影。 『うーん、これはなかなかきれいじゃあないか!』
 
再びクルマに乗り込み、山頂の駐車場へ。 そこからしばらく歩いて少し外れた場所にある展望台に行ったが、下界はもやがかかって今ひとつの眺望。
***
でもここはとても静かで雰囲気も良い。 ベンチに座ってお昼ご飯にしよう。

途中のコンビニで買って来たお弁当を取り出すと、『あれ、箸が一膳しかないよー』 『えー。。。』

そのコンビニで買った時、レジを打っていた人はなんだか新入りらしいおばちゃんで、弁当を暖めるかどうかすら聞いてくれなかったので、『なんだかなあ』と思っていたのである。
またその時、『クジを引いてください』とおばちゃんに言われ、私が一枚引いたクジが当たりだったようで、『あ、当たってますよ』と、二百数十円成りのお酒をもらったのだが、それで今日の運を使い果たしたのかも。。。 いやはや。

でも、いまさら誰に文句を言おうとも、ないものはない。 もう四十半ばのオヤジである。 慌てず騒がず、その辺りの木にぶら下がっている枯れ枝を物色し、丁度よいサイズと太さの丈夫そうな枯れ枝を二つに折って箸の準備を完了した。 『ようし、今日はこれで食べるぞー』

ベンチに座って弁当を食べながら、『いやあ、あのおばちゃんのお陰で忘れられない良い記念になったなあ』 そう思うと、なんでもないコンビニ弁当が、いつもより何倍もおいしく感じられるから不思議なものである。

そう、旅やドライブでは、思いがけないハプニングこそが想い出になるもの。 すべて予定通り、完全無欠の想定内の旅よりは、失敗したり、引っ掛かったり、流されたりする旅の方が、深く記憶に残るのだ。 おばちゃん、ありがとう! でも次は忘れないでね。
***
夕方からは、長男の運転で、家族4人『さしみ屋さん』こと『北吉鮮魚店』へ。
ここは、前日もGoさんたちとのキャンプツーリングの夜に来た、魚料理がおいしいお気に入りの店。 今回も、予約の時に『呉の○○です!』と言ったら、『ああ、はいはい』と分かっていただけた。 覚えていただけるのは、嬉しいものである。

座敷に座り、注文を取りに来られた娘さんに、『生ビールを一つと、豆腐を一丁そのままで!』と笑いながら言うと、その娘さんも覚えておられたようで、笑いながら注文を受けていただいた。

ビールと豆腐が運ばれて来た。 娘さんに、『今回は、私の誕生日なんですよ』と言うと、笑顔で『おめでとうございます』と返ってきた。 うれしいな!
そっとロウソクを取り出し、豆腐に立てて火を点ける。

前回、Goさんの誕生日の夜に、偶然クマちゃんが持参していたロウソクを島豆腐に立ててお祝いしたのだが、あれが最高に良かった。 ケーキではなく、さしみ屋さんの島豆腐で祝う誕生日。 瀬戸内カヤッカーらしくて好いじゃないか。
今日は私の46回目の誕生日。 もうこの年になると特に嬉しい訳ではないが、あのバースデイ豆腐がどうしてもやりたかったんだ!
あの時のブログを家族に見せて、『な、これ、ええやろ! わしもこれ、やりたいなあ』と言っていたのである。
***
家族も大好物のここの魚料理。 もちろん最初はおいしい刺身。
 
今日のおススメは? と聞くと、『穴子の湯引き』とのこと。 『じゃあ、それを2人前』と頼んだのだが、出て来た穴子の湯引きを芥子酢味噌で食すとなんともいえない旨さ。 おいしい魚介類に目のない息子二人が奪い合いになるほど。 『いやあ、こりゃあほんまにおいしいなあ』

これまで、鱧の湯引きはなんども食べたことがあるが、穴子の湯引きは初めてだ。 さしみ屋、最高!
***
メバルの煮付け、タコと穴子の天婦羅。 いやはや、これが美味いのなんのって。
 
あまりの美味さに『穴子の湯引き』と『天婦羅』を追加で注文。
 
最後の〆は、『出汁巻き玉子』 これまた絶品! 初めて食べた穴子の湯引きや、家では絶対食べられないサクサクおいしいタコと穴子の天婦羅などなど。 家族全員、大満足の魚料理三昧であった。

家族4人が腹一杯食べて、私はビールを飲んで、これで1万3千円でおつりが来る。 再び感涙。 地元にこんなええ店があって、幸せや。
***
思い掛けず木の枝で箸を作って弁当を食べた忘れられない紅葉狩りドライブに始まり、お気に入りの『さしみ屋さん』で、おいしい魚料理を家族でたっぷりと堪能した夕食まで、充実した一日。 これはなかなかええ46周年やったなあ!

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瀬戸内シーカヤック日記: あるくみるきく_岡村島キャンプツーリング(2)

2009年11月08日 | 旅するシーカヤック
浜に座って、瀬戸内の夕暮れの景色を堪能。 刻一刻と移り変わる空と海の色が、なんとも妖しく美しい。
 
日が沈むと、集めた流木に火を入れ、ビールを飲りつつ夕食の準備に取り掛かる。
 
ソロツーリングでの焚き火は、極々小さくするのが私の流儀。 焚き火を眺めながら簡単な夕食を摂り、ビールを楽しむ。
静かなキャンプツーリングの夜。 
***
夜中、『ポツリ。 パタッ。 ポトッ』という音で目が覚めた。
しばらくすると、『ポトッ、ポトッ。 パタパタパタ。 ドシャドシャドシャー』という音に変わる。 雨だ! それも、結構降り出した。

時計を見ると、2時。 天気予報では金土とも晴れなのに、突然の夜中の雨には驚いたが、単調な雨音を聞いているうちに再び眠りに落ちた。
***
2009年11月7日(土) 朝目覚めてテントの外をみると、雨は上がり、青空が覗いている。
ストームクッカーでお湯を沸かし、海を眺めながらコーヒーを飲む。 気持ちのよいキャンプツーリングの朝。

朝食は、だんご汁うどん。 パンで簡単に済ませる手もあるのだが、秋から冬に掛けての朝食は、やはり温かい食べ物が欲しくなる。 味噌仕立ての汁が、体を中から暖めてくれる。
食後は再びコーヒー。 夜中の雨で濡れたテントを乾かしながら、ゆっくりとした時間を過ごす。

荷物を片付けていると、すぐ上の道路に軽トラックが停まった。 降りて来た人を見ると、蒲刈のHさんである。
『あ、おはようございます!』 『おお、おはよう。 どっかで見たような顔じゃとおもうて停まってみたんよ』
このHさんは、昨年の横断隊の時、荒れて緊急避難した岡村島から蒲刈までの陸送を、同じくいつもお世話になっている蒲刈のIさんとともにサポートしていただいた方。
先日も、豊島のお好み焼き屋さんで偶然お会いし、『何かあったら電話せい。 海じゃあお互い様じゃけえ』と、電話番号を交換させていただいていた。

今日は、ロープを持って来て欲しいとの依頼を受けて、岡村に来られたらしい。
『昨日、いつものように県民の浜から出てここにキャンプしとったんですよ』 『あんたも好きやのお』と笑い。
『そりゃあ、これがわしの道楽ですけえ!』 『冬でも漕ぐんや?』 『ええ、一年中ですよ。 それにしても、こんな所でお会いできるなんて、なんか嬉しいですねえ』
『ほんま、ビックリするわ。 まあ、気をつけて』 『はい、ありがとうございます。 今から蒲刈に戻りますけん。 またどっかで!』
***
全ての荷物をパッキングし、出発準備完了。
今朝は、穏やかな海。 天気予報でも、今日は安定した晴れの予報。 『じゃあ帰りは、南側ルートで行きますか』

この南側ルートは、西風や東風が吹くと荒れる海域。 またこのルートはほとんどが護岸されており、急に荒れてきてもエスケープできるポイントが少ない事もリスク要因の一つである。

潮流も複雑で、条件によっては瀬戸内とは思えないほどのサーフ波が立つ浜や、三角波が待つ岬、すぐ傍をドッドッドッと白波を蹴立てて流れる強い逆潮をフルパワーで漕ぎ抜けないと次の湾に入れない岬などなど、難所が多い。
地元の海を知り尽くした漁師さんも、蒲刈から漕いできたというと、『まさか南側を通ってきたんじゃないじゃろうな』と言われるほど。 少し風が強い日には、『今日は北側を漕いで帰れよ!』とアドバイスしていただくことも少なくない。
***
とは言え、今日のような天気なら、この変化に富んだ海を漕ぐのも、シーカヤックツーリングの楽しみの一つである。

相変わらずの読めない潮の中、追い潮で快調に進んでいたかと思うと、次の岬では強い逆潮の中を全力で漕ぎ抜ける。
以前漕ぎ渡った事のある斎島が、最初は前方に、そして途中からは左に眺められる。 このルートでは、ゴールまでの距離を測る目安がこの斎島なのだ。
 
出発してから2時間強。 無事、県民の浜に戻って来た。

天候にも恵まれ、人との出合いにも恵まれた、岡村島ソロキャンプツーリング。 橋が開通して以来、人と車の多さに嫌気がさして、御手洗までキャンプツーリングに来ても足が向かなかった岡村島だったが、ようやく落ち着きを取り戻し、浜のゴミが増えてはいたが、やっぱり良い場所だった。
秋も深まり、ますますキャンプツーリングに絶好の季節! 生野島、倉橋島、生名島、そして今回の岡村島と、最近は楽しいツーリングが続いているなあ。 またもや最高の週末であった。

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瀬戸内シーカヤック日記: あるくみるきく_岡村島キャンプツーリング(1)

2009年11月07日 | 旅するシーカヤック
2009年11月6日(金) この週末は3連休。 今だ不況の余波で月に二日の休業取得が続いており、この金曜日を休業にした。
木曜日の夜に天気予報をチェックすると、高気圧に覆われて好天の様子。
ようし、久し振りに岡村島に行ってみるか!
***
蒲刈の県民の浜に到着し、出艇準備。 少し風はあるが、秋らしく晴れて、最高のキャンプツーリング日和。

ここから岡村島までは、豊島、大崎下島の南側を通るルートと、北側を通るルートがある。 距離は僅かに南側ルートが短いが、いずれにしても14~15kmほど。 普通の巡航速度なら、約2時間のコースである。

風が無く穏やかな予報だったが、実際に浜に来てみると、北西寄りの風がそこそこ吹いている。 今日は、リスクの少ない北側ルートで行く事にしよう。
***
午前中は上げ潮。 途中までは、ほぼ追い潮で漕げる予定だが、この辺りは潮の流れが複雑だ。 島と島との間にある複数の瀬戸の潮流の押し合いへし合いの力関係が影響するため、場所によっては逆潮になる場合もある。
 
豊浜大橋の下でも、豊島側と蒲刈側、そして真ん中では、流れが異なっている。 これだから、瀬戸内は面白い。

太平洋の大きなうねりや、外房の迫力のあるサーフ、津軽海峡のまるで周りを滝に囲まれたような潮目、西伊豆半島のようなスケールの大きな景観こそないが、多様な景観と文化を残す大小多くの島が点在し、その中を複雑な潮流を読み、風裏を辿って、手漕ぎ舟でアイランドホッピングのキャンプツーリングを楽しむには、日本の中でも最高のエリアだと確信している。

三角島の南端で強い逆潮に遭遇。 少しでも手を休めると押し戻されるので、ザワザワと音を立てて流れる潮の中で、しばしフルパワーでのパドリング。
***
その後も、岬を交わすごとに変化する潮流の中、大崎下島の北岸を越え、岡村島に沿って南下して、今日の目的地である観音崎の浜に到着。 今日は、2回の休憩込みで15kmのルートを2時間半。 何カ所か遭遇した逆潮で想定より平均速度が落ちたようだが、なかなか気持ちのよいツーリングであった。
 
荷物を降ろし、テントを張り、着替えて干すと、いつものスーパーに買い出しへ。
***
スーパーでビールと豆腐、お昼ご飯用のサンドイッチを購入し、浜に戻る。
海を眺めながら缶ビールを『プシュッ』と開け、まずは一口『グビリ』と飲る。 『うーん、こりゃあ冷えてて美味い!』
サンドイッチをパクリ、ビールをゴクリ。 目の前には瀬戸内の美しい眺め。 最高のお昼ご飯である。

簡単な昼ご飯を済ませると、貴重品を入れたペリケースと一眼デジカメを持って展望台へ。
蜜柑畑の間を縫うように急傾斜の坂道を登ると汗が噴き出して来る。 明日は立冬だというのに、まるで初夏のような暑さである。
 
ようやく辿り着いた展望台からの眺めは最高だ。 苦労して登った甲斐があるというものである。
 
***
ベンチに腰掛けて景色を堪能していると、カゴを持った若いおばあちゃんが上がってこられた。 どうやら、展望台に設置してある蜜柑の無人販売所に商品を置きに来られたようだ。

『こんにちは』 『こんにちは。 あんたあ、どうやって上がって来たん?』
『はい、歩いて上がって来ました。 今日は、蒲刈からカヌーで漕いできて、観音崎の浜のとこにテントを張らしてもろうとるんです』 『へえ、そうなんね。 よう来たねえ』 『ここからの景色が好きで、シーカヤックで漕いできたら時々上がってくるんですよ』

『蜜柑は今年はどうですか?』 『今年は豊作。 でも天気があまりようなかったけえ、去年ほど甘うはないねえ。 晴れて欲しい時に雨が降って、雨が欲しい時には晴れて。 今年は天気が変じゃったでしょう』
『まあうちはね、おじいさんが退職して年金生活じゃけえ、趣味で作りよるようなもんなんよ。 あまりお金にはならんけど、農園や展望台に来てくれた人らが買って喜んでくれたり、その人らと話をするんが好きな人じゃけえ、それで続けよる』

『なるほど、去年は橋が開通して凄かったでしょう?』 『去年はね、この展望台の所にもようけ車が上がって来て。 それでここは道が狭いし離合もできんから大渋滞。 おじいさんは仕事の手を止めて、一日中あの下の所で交通整理しよったよ』と笑う。 私も笑いながら、『そりゃあ大変でしたねえ。 ほんま、仕事どころじゃなかったですね』 『まあ、でもそれが好きなんじゃから』
***
『儂も、一袋買うてええですか?』と小袋を購入し、蜜柑を剥いて食べながら話を続けた。

『去年は大崎下島の御手洗(みたらい)の所でも渋滞しよりましたから。 ありゃあ凄かったですよ』 『ほうね。 あそこはええ所があるんじゃろ。 私は実は御手洗には行った事がないんよ』 『えー、ほんまですか! 目と鼻の先じゃないですか。 やっぱり、地元の人は意外に行かんもんなんですねえ』

『昔の岡村島はどうじゃったんですか?』 『私しゃあ、今治から嫁に来たんじゃけど、その三十数年前は人も千人以上住んどったから、賑やかじゃったよ。 食堂や銭湯も有ったし、蜜柑の集荷でも、今じゃあ週に一度じゃけど、その頃は毎日あった』 『それもね、普通の蜜柑は昼間に、そのままじゃあ商品にならんような缶詰にするような蜜柑は夜に集めよったんじゃから』 『そがあに忙しかったんですか!』

『子供らも大分減ったよねえ。 高校生になったら今治に通うか下宿するんじゃけど、その頃は、今治に『岡村寮』いうて、岡村島の高校生を預かる寮もあったほど。 うちの子供らが通いよった頃に売ってしもうて、その後は奨学金みたいな形で補助がでよったけどね。 まあ、下宿させたらお金もかかる』

『今治にはねえ、それ以外にも専門の下宿屋さんがあったんよ。 今治西高なんか、岡村島や大三島、岩城島なんかからも行くけど、岩城島なんか遠いけん、通えんじゃろう。 じゃから、賄い付きの下宿屋さんがあったんよねえ』

『蜜柑作りも、もう人が減ってやめてしもうとる畑もえっとあるよ。 上がって来る途中で、下のあそこらの畑を見たじゃろ。 あれはやめて1年よ。 畑を作るのは大変じゃけど、やめて畑が駄目になるのはあっと言う間』 『このすぐ下の畑は、急傾斜で甘い蜜柑ができるんよ。 じゃけえ、こがなええ畑の人らは大変でも蜜柑はやめん。 大切に作りよってじゃね』
***
『いやあ、いろいろ話を聞かせてもろうて、ほんま楽しかったです。 ありがとうございました』 『なあに、ええよね。 あんたあ、レモン食べるかい?』 『はい!』
『2個じゃけど、家に帰って使いんさい』 『はい、焼酎に絞って飲ませてもらいます』

その後、途中にある農園まで一緒に話しながら歩いた。 農園に着くと、『あんた、ここは写真撮るのにええ場所よ。 畑に入ってええけえ、ここから撮りんさい』 『はい! ありゃあ、ほんまここは眺めがええですねえ』
 
『じゃあ、私は帰るから、気をつけてね』 『ありがとうございます』
***
楽しかった昼からの展望台散策を終え、浜に戻って来た。
まだ夕食までには時間がある。 マットに座り、本を開く。 今日のお供は、『夕凪の街 桜の国(こうの史代)』
以前この映画をテレビで見たのだが、しみじみと考えさせられる良い映画、そして原作本である。 もしまだ読んでいない方が居られたら、ぜひ一度読んでみていただきたい。 ぜったい心に響くと思います。
***
のんびりまったりと海を眺めながら独りで過ごす、静かな時間。
 
次第に日は傾き、空と海の色の変化が楽しませてくれる。
 
さあて、そろそろビールを飲むか! いよいよ、待ちに待った時間である!

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瀬戸内シーカヤック日記: しまなみキャンプツーリング(2)

2009年11月04日 | 旅するシーカヤック
2009年11月1日(日) まだ暗い中起き出し、いつものようにケータイを取り出して天気予報を確認する。 天気の崩れは少し遅くなるようで、昼頃から雨との事。 これなら朝のお散歩ツーリングは楽しめそうだ。

ベンチに陣取り、ご飯を炊く準備をしていると、車中泊していたマサさんも起きて来られた。 『おはようございます』
私の今朝のメニューは、キャンプの朝食の定番の一つである、『釜炊きご飯』と『ベーコンエッグ』そして『みそ汁』
 
釜炊きご飯は艶艶と一つ一つの米粒が立ち、これだけでも充分おいしい。 ハフハフとご飯をかっ込み、カリカリベーコンとトロリとした目玉焼きを食べ、シジミのみそ汁をすする。 『うーん、美味い』
***
食事を終え、チャイ&コーヒーをゆっくりと楽しみ、片付けると海に出る準備。
『今日は、ここで過ごす二日目の朝の私の定番、お散歩ツーリングコースで好いですか? だいたい1時間くらいです』 『ええ、いいですよ』
 
海に漕ぎ出し、静かな朝の瀬戸内を漕ぎ進む。 気温も高く、快適な朝のパドリング。
鶴島を回り、龍神様にお参りし、亀島を回って、私が勝手に『フジツボ岩』と読んでいる岩の傍でしばし休憩。
 
その後は平内島に渡り、これまた私が勝手に『平内島の七つ穴』と読んでいる場所にご案内した。

この付近は潮流が複雑で定期船の航路もあるが、狭いエリアに散策に適した島が点在しており、最高のキャンプ場と出艇に適した浜もある。 航路にさえ気をつければ、初心者向けの半日コースは充分組める。
旅派の方には、少し足を伸ばせば岩城島一周&よし正での昼食コース、伯方島での塩ラーメン堪能コース、津波島キャンプツーリングコース。
もっと漕ぎたければ、弓削島一周キャンプコースなどなど、状況とコンセプトに応じたツアーも設定可能だ。

サラリーマンカヤッカーの私ではあるが、『このキャンプ場をベースに、いつの日かシーカヤックツーリングのガイドができると好いなあ』なーんて、楽しい夢を見ながらいつも漕いでいるのである。 個人的には、シーカヤックによる瀬戸内のアイランドホッピングツアーを堪能するには最高の場所だと思っている。
***
予定通り1時間ほどでキャンプ場の浜に戻ってきた。 『お疲れさまでした!』
パドリング日和に恵まれた二日間。 残念ながら、マサさんが誘っていただいていたカヌークラブの方々は都合が付かずご一緒できなかったが、最高のツーリングを堪能することができた。
ありがとうございました。 また機会があれば一緒に漕ぎましょう!

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瀬戸内シーカヤック日記: しまなみキャンプツーリング(1)

2009年11月01日 | 旅するシーカヤック
2009年10月31日(土) この週末は、しまなみ一番のお気に入りの島である『生名島』をベースにしたキャンプツーリング。 ご一緒させていただくのは、カヤック仲間のマサさん。
マサさんと出会ったのは、祝島の神舞の時。 私が櫂伝馬を漕がせていただいている間、一緒に祝島に行っていた妻が、櫂伝馬を追っての祝島散策を同行させていただき、いろいろとお世話になった。
それを切っ掛けに、とある3連休に私が長男と一緒に生名島に行った時、マサさんもお誘いしたのだが、その時は猛烈な風が三日間吹き続けて結局一度も海に出る事ができず、自転車と定期船で上島町を隅から隅まで巡った苦い思い出がある。

そのため家族の間では『もしかして風女(笑)?』と密かに噂のマサさんとのツーリング。 さて、今回はどんな天気が待っているのだろうか?
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9時半、キャンプ場の駐車場に集合。 いつも大変お世話になっているキャンプ場の管理人さんに挨拶してキャンプの手続きを済ませ、カヤックを浜に降ろし、出発した。
天気は快晴。 風もなく瀬戸内らしい穏やかな海。 絶好のツーリング日和である。
 
下げ潮に乗り、岩城島の東岸に沿って南下し、赤穂根島を越えて津波島へ。 津波島でしばし休憩した後、いつもの岩城島の浜に上陸。

少し歩くと、そこは『浜』 なんと分かりやすい地名だろうか。
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時間はちょうどお昼時。 お気に入りの『よし正』さんに行き、定番の『よし正定食』を注文。
 
650円でこのボリュームと味! 『ごちそうさまでした』 大満足のお昼ご飯。
***
ターミナルに立ち寄り、夕食の鍋用に『レモン豚』を購入して再び浜に戻る。
その途中、これまたお気に入りの『タムラ食品』に立ち寄り、最近オレンジページでも紹介された『芋菓子』を購入。
 
見ると、いつもは見かけない『芋せんべい』というのがある。 イモを薄切りにして揚げたお菓子のようだ。
『これ、初めて見ましたけど何ですか?』 するといつも居られるご主人とは違う若主人が『これは、秋だけの季節限定商品です』 『そうなんですか! じゃあ買ってみます』
その後、シーカヤックで生名島から年に何度も来てはこの芋菓子を買っている事を伝えると話が盛り上がり、『芋菓子』に使われている芋は、芋焼酎に使われている芋であること、芋せんべいは普通のサツマイモであること、タムラ食品の芋菓子がオレンジページで紹介された経緯、1月だけで地元でも人気だと言う冬限定商品の話などなどを伺った。 『え、そんな1月限定商品があったんですか!』
いやあ、様々なお話を伺うことができ、なかなか楽しい一時。 これぞ、シーカヤック旅の醍醐味である。 支払いをすると、ラッキーな事に芋菓子の値段もサービスしていただいた。 これはぜひ、密かに地元で人気だと言う1月の限定商品を買いに来ねばなるまい!
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ここからは、岩城島の西岸を北上して生名島に戻るルート。
 
時に複雑な潮流に遊び、しまなみの景色を楽しみ、秋らしい澄んだ海での漕ぎを堪能した。
***
浜に戻ると道具を片付け、着替えて自転車で因島に渡り、いつも潮を流している銭湯へ。
大きな湯船に浸かり、体を伸ばして疲れを癒す。 ヒゲを剃っていると、横に居られたもう一人のおじいさんに話し掛けられた。 『そこは、鏡が見えにくいやろ。 こっちと変わっちゃろうか?』 『あ、ありがとうございます。 こっちで充分見えますから』

そこから、なんとも言えず私好みの良い雰囲気を醸し出しているおじいちゃんとの話が盛り上がる。

若い時分、大阪に出てヤンチャしていた時期の話。 とある事情で因島に戻ってきてからの商売と様々な武勇伝。 息子に代を譲ってからの事などなど。
『なあ兄ちゃん。 やっぱり男いうのは苦労して、世間を知らんといけん』 『そりゃあ造船が良かった頃は、笑いが止まらんくらい儲かりよったわ』
『上手くいって勢いがある時には人は寄って来る。 でもなあ、やっぱり人の本性が分かるのは困っとるときや。 人生には山谷があるが、困っとる時に助けてくれるんがほんまの男よ』

様々な経験を積まれた年配の方々から、そのような昔話を伺うのが大好きな私は、『いやあ、ほんまですね』 『へー、そんな事があるんですか!』 『そりゃあそうですよねえ。 いやあ面白い。 ワッハッハ!』 などと、二人で盛り上がった。

一緒に浴槽から上がり、体を拭いて脱衣所へ。 『いやあ、今日は久し振りに笑うたの』とそのおじいちゃん。 『ほんま、面白い話を聞かせてもろうてありがとうございました。 わしゃあ、そがあな話を聞かせてもらうんが大好きなんじゃけえ。 またこの銭湯で会うたら、相手してやってつかあさい』と私。
『ほうか。 兄ちゃん、またここへ来いや』 『はい!』

因島の銭湯で出会ったおじいちゃんに伺った波瀾万丈の一代記。 なぜだか銭湯やおでん屋さんなどで、そういう過去を歩んで来られた経験豊かな方々に話し掛けられ、話が盛り上がる事が多いのが不思議である。 一番好きな映画が『仁義なき戦い』シリーズである私(ちなみに2番目に好きな映画は『世界最速のインディアン』、そして『男はつらいよ』シリーズ)。 これも縁である。
旅するシーカヤックで、私が一番好きな時間の一つ。 ありがとうございました!
 
スーパーで買い出しし、フェリーで生名島に戻るときれいな夕日。 いやあ、最高のパドリング日和のツーリングと銭湯での『あるくみるきく』 最高の一日であった。 マサさんは風女じゃなかったんだ(まあそりゃそうだ)。 失礼しました!
さあて、じゃあそろそろ晩ご飯の準備に取り掛かるか。

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