大災害の被災対応と復旧・復興に法の課題とはなにか 第11回 最終回
第3部 「法の課題」 (4)
今回の東日本大震災では基礎自治体が損害を受けて災害対応に限界がある事が示された。といって国のトップダウンで各地の実情を知らない中央官庁が指揮できるとはとても考えられない。被害が深刻化した原因の一つに自治体の基本能力の不足という実情があった。地方自治体の財政国庫負担割合は宮城県が41%、岩手県は47%、福島県は40%であった。これでは地方自治とか権限委譲とは名ばかりで、総務省と財務省の強い監督下にある倒産会社と同じ扱いである事は先に述べた。 市町村は県を向き、県は霞ヶ関を向いて仕事をしている。国の事業の下請けに徹した公共工事中心の市町村行政では人的・物的な自治体機能が育たなかった戦後の悪弊の結果である。中央からの仕事の仕分けと解釈と報告に追い回されてきた地方の役人に、抜本的な主体的な仕事が出来るとは思えない。地方が力をつけるのはまだかなりの時間が必要である。アメリカは独立以来地方政府(州)によって国作りが行なわれ、日本は明治以来国によって国作りが行なわれた。中央集権制で知事さえ戦前までは官僚の任命によった。(今でも知事の半分は官僚出身である。形式的には選挙を経ているが) したがって地方政府という考えも存在せず、地方は中央の下請け機関とみなされてきた。
(完)
第3部 「法の課題」 (4)
今回の東日本大震災では基礎自治体が損害を受けて災害対応に限界がある事が示された。といって国のトップダウンで各地の実情を知らない中央官庁が指揮できるとはとても考えられない。被害が深刻化した原因の一つに自治体の基本能力の不足という実情があった。地方自治体の財政国庫負担割合は宮城県が41%、岩手県は47%、福島県は40%であった。これでは地方自治とか権限委譲とは名ばかりで、総務省と財務省の強い監督下にある倒産会社と同じ扱いである事は先に述べた。 市町村は県を向き、県は霞ヶ関を向いて仕事をしている。国の事業の下請けに徹した公共工事中心の市町村行政では人的・物的な自治体機能が育たなかった戦後の悪弊の結果である。中央からの仕事の仕分けと解釈と報告に追い回されてきた地方の役人に、抜本的な主体的な仕事が出来るとは思えない。地方が力をつけるのはまだかなりの時間が必要である。アメリカは独立以来地方政府(州)によって国作りが行なわれ、日本は明治以来国によって国作りが行なわれた。中央集権制で知事さえ戦前までは官僚の任命によった。(今でも知事の半分は官僚出身である。形式的には選挙を経ているが) したがって地方政府という考えも存在せず、地方は中央の下請け機関とみなされてきた。
(完)