大災害の被災対応と復旧・復興に法の課題とはなにか 第1回
(序)
著者の津久井 進の略歴をみると、 1969年兵庫県にうまれ、1993年3月 神戸大学法学部卒業 、1995年1月神戸淡路大震災に会った経験が本書の元になったそうだ。1995年4月 神戸弁護士会(現兵庫県弁護士会)入会 し、1999年4月 芦屋法律事務所へパートナーとして入所 、2002年4月 弁護士法人芦屋西宮市民法律事務所設立(芦屋事務所) した。現在は西宮事務所にいる。取り扱い分野は一般民事事件、家事事件、震災関連事件、個人破産、個人再生、負債処理などを扱っているようである。日弁連災害復興支援委員会副委員長である。私が津久井進氏の災害問題の法制度を知ったのは、内橋克人編 「大震災のなかで」(岩波新書 2011年6月)のⅣ「復興のかたち」の中で氏が書いた「法は人を救うためにある」を読んだからである。津久井氏の災害問題への取り組みの出発点である阪神淡路大震災後に、「被災者生活再建支援法」、「マンション建替え円滑法」、「NPO活動促進法」、「耐震改修促進法」などが生まれたが、積み残された課題も多かった。それを踏まえて2011年3月11日の東日本大震災直後の被災対応と法問題を扱ったのが「大震災のなかで」である。それから1年後の今日、政府の震災関連法が矢継ぎ早に出される中で、その法が被災者のためになっているのかどうかを検証するために、本書「大災害と法」が著わされた。著者は震災津波災害後、岩手県弁護士会の巡回法律相談に参加し避難所を訪問した。被災者の方が抱えている問題の殆どが生活の法律問題ばかりであったという。生活上の悩みは多様であり、切実であり、また深刻であったという。「法は人を救うためにあるはずだ」という信念で、東日本大震災と福島第1原発事故の被災者の生活目線に立って災害法関連法を見渡す案内書になればと本書を書いたという。災害法は数が多い。主要な法律だけでも100を超える。本書は3部にわけて、第1部「法のかたち」で法の歴史と体系を概括し、第2部「災害サイクルと法」は本書の中核をなす内容である。第3部「法の課題」で今回の災害の法対応の問題点を総括し展望する。
(つづく)
(序)
著者の津久井 進の略歴をみると、 1969年兵庫県にうまれ、1993年3月 神戸大学法学部卒業 、1995年1月神戸淡路大震災に会った経験が本書の元になったそうだ。1995年4月 神戸弁護士会(現兵庫県弁護士会)入会 し、1999年4月 芦屋法律事務所へパートナーとして入所 、2002年4月 弁護士法人芦屋西宮市民法律事務所設立(芦屋事務所) した。現在は西宮事務所にいる。取り扱い分野は一般民事事件、家事事件、震災関連事件、個人破産、個人再生、負債処理などを扱っているようである。日弁連災害復興支援委員会副委員長である。私が津久井進氏の災害問題の法制度を知ったのは、内橋克人編 「大震災のなかで」(岩波新書 2011年6月)のⅣ「復興のかたち」の中で氏が書いた「法は人を救うためにある」を読んだからである。津久井氏の災害問題への取り組みの出発点である阪神淡路大震災後に、「被災者生活再建支援法」、「マンション建替え円滑法」、「NPO活動促進法」、「耐震改修促進法」などが生まれたが、積み残された課題も多かった。それを踏まえて2011年3月11日の東日本大震災直後の被災対応と法問題を扱ったのが「大震災のなかで」である。それから1年後の今日、政府の震災関連法が矢継ぎ早に出される中で、その法が被災者のためになっているのかどうかを検証するために、本書「大災害と法」が著わされた。著者は震災津波災害後、岩手県弁護士会の巡回法律相談に参加し避難所を訪問した。被災者の方が抱えている問題の殆どが生活の法律問題ばかりであったという。生活上の悩みは多様であり、切実であり、また深刻であったという。「法は人を救うためにあるはずだ」という信念で、東日本大震災と福島第1原発事故の被災者の生活目線に立って災害法関連法を見渡す案内書になればと本書を書いたという。災害法は数が多い。主要な法律だけでも100を超える。本書は3部にわけて、第1部「法のかたち」で法の歴史と体系を概括し、第2部「災害サイクルと法」は本書の中核をなす内容である。第3部「法の課題」で今回の災害の法対応の問題点を総括し展望する。
(つづく)