大災害の被災対応と復旧・復興に法の課題とはなにか 第7回
第2部 「災害サイクルと法」 (4)
4)「災害サイクルと法」の最後の章は災害に備える防災と減災を図る法制度である。日本は「防災大国」といわれる。道路行政と同じく、防災の中核を占める公共土木工事の根拠となる法律が目地押しである。「砂防法」(1955年)、「森林法」(1951年)、「地すべり防止法」(1958年)、「急傾斜地災害防止法」(1969年)、治水については「河川法」(1964年)、「水防法」、「特定都市河川浸水被害対策法」、「海岸法」(1956年)などが日本をコンクリートで固めてきた。災害別には、台風について「台風常襲地帯の『災害の防除特別措置法」(1958年)、「活動火山対策特別措置法」(1973年)、「豪雪地帯対策特別措置法」(1962年)、「東海南・南海地震に係る地震防災対策特別措置法」(2002年)などなどである。防災神話は自然災害を押さえ込むことに膨大な費用を投じて、なおその災害の度に崩壊してきた。そして防災目的より公共事業そのものが目的化したのではないかという疑念があった。海が見えない防潮堤では波の恐ろしさがわからない、三陸縦貫自動車道路よりも生活道路・高台連絡道路建設の方が重要なのではないだろうか。地震対策では「建築物の耐震改修の促進に関する法律」(1995年)が生まれたが、個人の住宅は対象になっていない。建築基準法は1978年の宮城県沖地震を受けた新耐震基準である。なお災害対策基本法で定める県、市町村の防災計画・防災訓練はなおざりで官僚作文に過ぎず、真剣な地元での具体的討議が必要である。
(つづく)
第2部 「災害サイクルと法」 (4)
4)「災害サイクルと法」の最後の章は災害に備える防災と減災を図る法制度である。日本は「防災大国」といわれる。道路行政と同じく、防災の中核を占める公共土木工事の根拠となる法律が目地押しである。「砂防法」(1955年)、「森林法」(1951年)、「地すべり防止法」(1958年)、「急傾斜地災害防止法」(1969年)、治水については「河川法」(1964年)、「水防法」、「特定都市河川浸水被害対策法」、「海岸法」(1956年)などが日本をコンクリートで固めてきた。災害別には、台風について「台風常襲地帯の『災害の防除特別措置法」(1958年)、「活動火山対策特別措置法」(1973年)、「豪雪地帯対策特別措置法」(1962年)、「東海南・南海地震に係る地震防災対策特別措置法」(2002年)などなどである。防災神話は自然災害を押さえ込むことに膨大な費用を投じて、なおその災害の度に崩壊してきた。そして防災目的より公共事業そのものが目的化したのではないかという疑念があった。海が見えない防潮堤では波の恐ろしさがわからない、三陸縦貫自動車道路よりも生活道路・高台連絡道路建設の方が重要なのではないだろうか。地震対策では「建築物の耐震改修の促進に関する法律」(1995年)が生まれたが、個人の住宅は対象になっていない。建築基準法は1978年の宮城県沖地震を受けた新耐震基準である。なお災害対策基本法で定める県、市町村の防災計画・防災訓練はなおざりで官僚作文に過ぎず、真剣な地元での具体的討議が必要である。
(つづく)