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京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

「若者・よそ者・ばか者」がすすめる「人権尊重のコミュニティ形成」

2009-10-03 09:30:59 | 国際・政治

久しぶりの更新になります。やっぱり大学での仕事が忙しくなると、こちらの更新もなかなかまわらなくなりますね。それでも、時間を見つけて、こつこつ更新していこうと思います。

さて、昨日の夜は大阪府内や大阪市内の各地区で、子ども会や保護者会活動などに取組んでいる人たちの交流会に出てきました。といっても、ほんとうは交流会をすすめるための準備委員会のような会合なのですが。

週1回土曜日に保護者が交代でチームをくんで子ども会活動をしているところ、地元の大学生や高校生のボランティアの協力を得て活動しているところ、これから子ども会を立ち上げたいと思っているところ、高齢者の地域活動と連携を模索しようとしているところ、地元のまつりに子どもを参加させていこうとしているところ・・・・などなど、各地区がそれぞれの事情を抱えながらも、積極的に子ども・保護者を軸に地域社会の側から教育・子育て運動をすすめようとしていることがわかりました。(まぁ、準備委員会に出てくるところですから、「熱心なところ」が中心なのですが・・・・)

それで、集まったみなさんの話を聴いていてふと思ったのが、まちづくり運動などで誰が言い出したのかわかりませんんが、よく言われる「若者・よそ者・ばか者」という言葉。「ばか者」という言葉の使い方がいいのかどうか・・・・という問題はありますが、要するに、「まちづくりを活性化するためには、今までの枠組みにとらわれない人が必要」ということですね。

例えば「よそ者」。私などのような研究者に限定されませんが、その地区に外から入ってくる人々は、その地区の人たちがどんな状況にあるのかを少し客観的なところから見ることができます。また、長年にわたるその地区の人間関係のしがらみにとらわれず、出入り自由なところがあります。その分、新しい活動に取り組みやすいわけですよね。

同じように「若者」。当然ながら、その地区に生まれ育ってまだ時間が短いわけですから、人間関係のしがらみは「ない」とはいえないものの、年長者ほどではありません。また、地区外に出て外の刺激に触れてくることや、地区外で何か新たなことを身に着けてくる余裕もありますし、地区内で新たな取り組みをはじめて、時間をかけてそれを育てる余裕もあります。その分、まちづくり活動などを活性化するのには向いているわけですよね。

そして「ばか者」。ここでいう「ばか者」というのは、「ひとつのことを夢中になって、熱心にやりつづけていく人」とか、「今までの枠組みにとらわれない発想で新しいことをはじめて、成果があがりはじめるまで熱心にとりくむ人」という意味ですが。しかし、誰かが各地区で何かはじめて、ある程度軌道に乗るまで熱心にやりつづけないと、新しい活動は定着しませんよね。

そんなわけで「若者・よそ者・ばか者」がまちづくり活動の活性化には重要だ、ということになるわけですが、これは今の大阪府内や大阪市内各地区の教育・子育て運動にも言えることではないかな、と思います。

つまり、地区内から誰かが「こんな子ども会を作りたい!」とか、「こんな若者たちの集まりを作りたい!」と呼びかけ、最初のとっかかりをつくるところまで、しんどくてもとにかくやりつづける、ということ(=「ばか者」の領域)。その最初のとっかかりをつくった人たちのところに、地区内外から「若者」や「よそ者」が集まってきて、その地区内に新しい「風」が起きるということ。こうしたことが、今後の子ども会や保護者会活動には必要なのではないか、ということですね。

そうやって考えていくと、今まで解放教育・人権教育における地域社会での子育て運動は、学校とのつながりを意識して行ってきた部分がありますが、それを引き続き維持しつつも、例えば「人権のまちづくり」運動や「地域福祉」に関する運動など、「コミュニティ形成」にかかわる運動とのヨコのつながりを意識していくことも必要なのではないか、と思います。あるいは、このことは「学校・家庭・地域との連携」や「教育・福祉・まちづくりの連携」を通じて、「行政と市民との協働」によって「人権尊重を核にしたコミュニティ形成」をすすめていく、という営みでもあると思います。

ついでにいえば、本来、大阪市内ですすめられている「市民交流センター(仮称)」なるものは、こうした「人権尊重を核にしたコミュニティ形成」の拠点として、「学校・家庭・地域との連携」や「教育・福祉・まちづくりの連携」を通じて、「行政と市民との協働」をすすめていくものとして構想されなければいけないでしょう。また、地方自治体レベルでの社会教育・生涯学習施策こそ、こうした「人権尊重を核にしたコミュニティ形成」の取組みにふさわしい行政施策ではないのか、と私などは思うわけですが。

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