2158冊目はこの本。
貝谷久宣『気まぐれ「うつ」病』(ちくま新書、2007年)
この本も先月読んだ1冊。2007年とちょっと古めの本だが、学生の卒論指導の必要があって(=「うつ」をテーマにした卒論を書く学生が居る)、このところ「うつ病」論関係の本を何冊か読んでいる。
ただ、いろんな本を読めば読むほど、最近の「うつ」に関する議論が、よくわからなくなる。
この本が扱っている非定型うつ病なるものも、そのような「うつ」に関する議論のひとつ。
なんらかの社会生活上の適応に困難を抱え、気分の落ち込みや過敏等のメンタル面で生きづらさを感じている人がいて、なおかつ、こうした人に精神科医療が投薬も含めて、適切なケア・支援を行おうとしていること自体は、基本的に私は肯定的な見方をしている。
ただ・・・。そのような人々の状態を説明し、何らかのケア・支援を行う概念として、はたして「非定型」の「うつ」と称することが妥当なのかどうか・・・。シロウトの感覚でしかないのだけど、たとえば何か別の診断名をつけるというか、そういう方向を考える道筋もあるような気もする。