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京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

注意深く見守りましょうか。

2008-02-18 09:16:34 | 国際・政治

大阪府に橋下知事が就任して、彼がドーンセンターやワッハ大阪、府立青少年会館などの公共施設の整理・売却等の方針を打ち出して以来、このブログへのアクセスもやや増加傾向にあるようです。

私の見たところ、橋下知事が就任後の約半月ほどの間、いろんな騒ぎを起こしながらもマスコミを通じて発信している内容からすると、どうも、次のようなプロセスでの行財政改革を考えているようです。

つまり、こういうことでしょうか。

(1)まずは、例えば府の税収・国からの補助金等、毎年の歳入の範囲内で予算を組み、歳出を抑制する、いわゆる「身の丈改革」的なものを行うことが、今の府知事の最大のねらい。

(2)(1)のために、かつては必要だったかもしれないが現状では意味をなさない、あるいは不要と思われる施策は一律カットし、その施策についた予算・人員・施設も当然、削減する。そのためには、残す施策に優先順位をつけなければいけないので、まずは行政施策の「評価」にこだわる。

(3)(2)を行うために、府の条例等の諸規則を改廃したり、国の法令等に対する府としての解釈を変更し、府の行政がさまざまな施策の整理・統廃合を行っても(道義上はさておき)、法令上は問題のないようにする。

(4)(1)(2)(3)を行うために、マスメディア、特にテレビを通じて、世論誘導を行う。すなわち、これまでの府行政の非効率性や不採算性などを指摘する情報をマスメディアを通じて流すとともに、「知事である私が改革者で、それに反対する者は抵抗勢力だ」というイメージを形成する。(=そのためには、「知名度抜群で、過激な発言やパフォーマンスであちこちで物議をかもしてもでも、毎日のようにテレビに出続けている人」というのは、(4)のタスクを遂行するのにぴったり。)

どうですか? 実はこれ、この何年かの大阪市の行財政改革の動きから推測して、「財政難に陥った地方自治体が破綻を回避するためにやりそうなことって、こういうこと?」と考えてみたら、こんなパターンが出てきたのですが。

しかし、ここからは私の記憶にもとづいて書くので不確かなところもありますが、例えばこの間の大阪市の市政改革は、これを前市長の任期の数年間を使って、例えば外部からアドバイザー的に自称「改革屋」と称する都市経営論などの学識経験者等を招き、その知恵を借りながらやりました。また、最低限かもしれませんが、そのプロセスで一応、審議経過などの情報公開が行われるとともに、議会や市職員の組合、市民運動などからの反対意見や批判が出せる機会もあったように思います。

そういったことから考えると、まず彼が用いている行財政改革の手法はそう目新しいものでもないし、「なりふりかまわず行財政改革しなくちゃ」と思うのであれば、当然、打つべき手かなという風に理解できなくはありません。

しかし、数年かかって大阪市がやってきた、それでも市内にさまざまなひずみや無理がでてきていることを、数ヶ月でなしとげようとすると、その無理やひずみは大阪市以上に、いろんな部分に及ぶのではないでしょうか。特に大阪府政の場合、その府からの補助金によって府下各自治体の施策がなりたつ部分もある以上、その無理やひずみは、府下全域に、府民生活の隅々に及ぶ危険性もあるでしょう。

そういった危険性に対して、橋下府知事が今後、どういう配慮をしながら行財政改革を行っていくのか、注意深く見守っていくことにしましょう。

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