2129冊目はこの本。
安富歩『満州暴走 隠された構造 大豆・満鉄・総力戦』(角川新書、2015年)
国際商品化した大豆の生産地としての満州と、その大豆生産の拡大が輸送ルートとしての馬車・鉄道の拡大を招き、さらに輸送ルートの拡大が大豆生産のさらなる拡大を招く・・・。そしてその馬車・鉄道の拡大は都市の急速な発展を招き、鉄道を含む旧・満州の諸利権の争奪戦を生みだし、その結果を手にした日本からの人口の流入を促し、植民地化を加速していく・・・。
ひとつひとつの部分的な合理性の追求の動きも、それがある一定のレベルを越えて集積していくと、非合理を生みだし、制御不能になる・・・という構図かと。こういう構図は、おそらく旧・満州国だけでなく、日本社会のいろんなところに見られる。