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京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

「地のもの」ってだれ?

2010-07-22 11:37:31 | いま・むかし

これは大阪市内や府内の話ではなく、兵庫県内のある市のある地区(ここではA地区とします)で起きた話です。また、いわゆる被差別(地区)の話ではありません。

実はそのA地区では、長年、自治会長を続けてきた年配の男性が、急遽、ご家庭の事情で転居することになったとのこと。そこで当然、自治会の今の役員たちが集まって、次の自治会長を決める話し合いがもたれました。

で、問題はその話し合いの中身。そこで問題になったのが、「地のもの」から自治会長を出すかどうかということなんですよね。

たとえば、この何年か熱心に自治会の活動にかかわってくれたBさんという人がいるのですが、「その人はどうか?」という話が出たときに、「いやいや、あの人は引越ししてきた人で、地のものではないから」という理由で「ダメだ」となったとか。ちなみにこのBさん、「引越ししてきた人」とはいうものの、もうこの町内に住んで20年近くになるんですが・・・・。

あるいは、「Cさんはどう?」「Cさん、最近、どうも体の具合がよくないみたいだ」「元気だったら絶対、Cさんなんだけどなぁ」という話になったときに、「じゃあ、Cさんところの婿さん、Dさんはどう? いつも子ども会の行事とか手伝ってくれるし、頼んだらやってくれるんとちがうか、しっかりしてはるし・・・・」という話が出たとか。で、あわててCさんの妻が、「いやいや、うちの婿(Dさん)は、最近仕事がめちゃくちゃ忙しいから無理」と断ったとか。

実はこのDさん、地元出身ではなく、Cさんの娘と結婚して「妻の両親と同居する」ということで、7年前に転居してきた人。だから、7年ほどしか住んでないDさんでも、もともと長年この町内で住み続けてきたCさんの「娘婿」ということであれば、Cさんという後ろ盾があって「地のもの」と認められるんですかね?

結局、この自治会ではうだうだとこういう議論を役員間で重ねた結果、今まで副会長だったEさんが後任の自治会長になるという話で落ち着いたようです。

で、この話を聴いて私が率直に思ったのは、<「地のもの」っていったい、だれなのか?>ということ。このA地区でのケースを見る限り、たとえば「○○年くらい住んでる人」という感じで、単純にその地区での居住年数だけでは決まらないみたいですよね。A地区のケースを見る限りでは、親戚関係とその地区での居住年数、この両方で「地のもの」かどうかが決まる面もあるようです。

そういえば、他の地区では、「地のもの」がだれかを、どのような基準で判断しているんでしょうか・・・・? だれか、「地のもの」の基準に関する研究をやっているんでしょうか? いろいろと興味がわく話ではあります。

ただ、はっきりといいます。「日ごろからゴミの分別のチェックとか、町内の清掃とか、実際に自分たちの暮らす地区のために積極的に動ける人」を自治会役員に選ばず、「あの人は地のものだから」という理由で、「自治会の役員で集まって宴会やるような場だけには来るけど、他はまったく、なんの活動もしないような人」を役員に選んでいるようでは、その自治会の活動、先細りです。というか、そんな人を役員に選んでいるような自治会には、「未来がない」といってもいいでしょうね。

たとえ居住年数が短くても、古くから住んでいる人たちとの親戚関係がなくても、自治会はあくまでも「同じ町内に暮らす人々の共助のための自治組織」なのですから、その観点に沿って、役員には「ほんとうに自分たちの暮らしをよくするために動いてくれる人」を選ぶべきですよね。あらためてそのことを、このA地区の話で感じました。

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