大阪市 児相、4カ所目設置へ 市長が方針「3~4年かかる」 /大阪 (毎日新聞デジタル版 2019年4月13日付け)
上記の記事をリンクした上で、こちらからのコメントは以下4点です。
1.いまでも政令市なんだから、大阪市を分割して特別区にしなくても、4か所でも5か所でも、児童相談所を増やすことは可能です。なので、「特別区」設置(=大阪市解体)で「児童相談所を増やす」みたいなことを言ってきた人々の主張は、全く根拠がない。そのことが、この話でも明らかになりましたね。
2.児童相談所を増設し、起きてしまった深刻な虐待ケースの早期発見・介入を行うケースが増えたら、今度はその子どもたちを預かる一時保護施設や、そこからさらに児童養護施設や里親等々の社会的養護への移行をはかっていくことになります。そちらの一時保護施設、社会的養護の充実の方を、新市長はどのように考えているのでしょうか。さらには、このような社会的養護を経験した若者たちの「その後」の生活支援について、新市長はどのように考えているのでしょうか。児童相談所を増設すれば問題は解決…と思っているとしたら、「児童福祉って、そんなに甘い仕事じゃないですよ」と言いたくなりますね。
3.その一方で、根本的に子どもの虐待を防止していきたいと思ったら、貧困問題の解決や就労環境の改善等々、保護者のみなさんの生活環境の安定ということが、なによりも大事になってきます。そちらの方については、新市長はどのように考えているのでしょうか。児童相談所を増設して、深刻な虐待ケースへの対応だけできたらそれでいいと思っているのだとしたら、先ほどと同様「児童福祉、そんなに甘い仕事じゃないですよ」と言いたくなります。
4.そして、深刻な虐待ケースの早期発見・介入が次々にできるような児童相談所の職員配置、力量の形成も大事です。あるいは、まだ深刻にはいたっていないケースについても、その家庭と子どもの両方を地域社会でサポートしていけるような子育ち・子育て支援の充実、そのための公的機関の整備や民間団体などによるサポート体制の整備なども必要になります。さらには、学校園・保育所などでの子育ち・子育て支援の充実を通じて、積極的に予防的な取り組みをはかったり、あるいは、早期発見・対応ができるようにしておくことも大事です。そう考えると、これまで市職員を減らしてきたり、正規職員を非正規雇用に置き換えてきた流れそれ自体にストップをかけないといけませんし、また、学校の教職員不足、保育士の雇用条件の改善等々も必要になります。こういったことすべてに対して、新市長、積極的に取り組む意向があるんでしょうか? これもくり返しになりますが、児童相談所を増設していればそれでいいと思っているとしたら、「児童福祉、そんなに甘い仕事じゃないですよ」と言いたくなります。
以上4点をまとめますと、「新市長、子どもの虐待対策って、児相増やしたらおわりではありません。そこから先、やることいっぱいあるんです。そこまできっちりやってくださいね。でないと、子どもの虐待対策としては不十分ですから」という話になります。このことが、新市長に望むことです。