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京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

今度は「多様な教育機会確保法案」に思うこと。(5) ―新しい超党派議連の法案を読んでみる(その1)―

2016-03-06 20:57:04 | 受験・学校

http://ponchi-blog.cocolog-nifty.com/blog/2016/03/pdf-6dc4.html

上記のブログページから、今日、あらためてこの法案を読んだのですが・・・。

第3条「基本理念」の1にある「全ての児童生徒が安心して学校における普通教育を十分に受けられる環境の確保」に向けての諸施策、この法案には文部科学大臣が基本指針をつくる程度のことしかなくって、あとはさっぱり出てこないんですけど。

ということは、裏を返せば、この基本理念の1の実現に向けての諸施策は、あんまり「やる気がない」ということですかね、超党派議連&文科省? ただのリップ・サービスかしら?

たとえば、「安心して学校における普通教育を受けられるように」と多くの子どもや保護者、現場教職員、地域住民等々が願って、「全国学力学習状況調査(いわゆる全国学力テスト)」の廃止だとか「教職員の増員・勤務環境の改善」「道徳の教科化の廃止」、あるいは対人関係に不安を持つ子どもに余計なことしないようにと言って「アクティブ・ラーニングを一斉に適用しない」とか言い出したら、文科省や超党派議連、どうするんだろう??

あと、法案推進派の人々は、この基本理念の1の実現の部分については、どういう考えをもっているんだろう??

そうそう、この法案でいう「普通教育」って、現行の教育基本法や学校教育法にもとづく教育の内容を指すんですよね?

とすれば、今現在の小中学校などで行われている「普通教育」の中身がやっぱり、前提になるということかと。

ということは、基本理念の2の前半にある「不登校児童生徒が安心して学校において普通教育を十分に受けられる環境を整備しつつ」ということで、超党派議連&文科省的には、今後も「学校復帰」を一方で目指していくとも読み取れますね。

あるいは、その基本理念の2の後半にある「不登校児童生徒が行う多様な学習活動の実情を踏まえ、不登校児童生徒の個別の状況に応じた必要な支援」を行う前提にも、現行の教育基本法や学校教育法にもとづく「普通教育」があるわけですよね? 

とすれば、「これって普通教育にもどすか、もしくはそれに準じる学習活動を、個々の子どもの状況に応じて、学校外で多様にやる」ことが前提になっているのでは?

そして、この法案によると、この法案でいう「不登校児童生徒」って、「相当の期間学校を欠席する児童生徒のうち、学校における集団の生活に関する心理的な負担その他の事由のために就学困難な状況として文部科学大臣が定める状況にあると認められる者」をいうのだそうです。

とすれば、この文部科学大臣の定める状況に「あてはまらない」子どもは、この法律による支援等々の対象には「あたらない」と言われる危険性があるわけで・・・。


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