角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

玉川と桜並木。

2014年03月17日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き[四阡六百円]
エンジのいらかプリントをベースに、夜桜を組み合わせています。いらかは波を表していますから、タイトルは「川面の夕陽に映る桜たち」。あと一ヶ月と少しで現実に観られる光景です。今日もまた少し雪解けが進みました。穏やかな日差しと、散策される方々の笑顔がよく似合います。

「今日の草履」をお持ち帰りは、2月16日のブログでご紹介した劇団わらび座の女性スタッフさんです。このたびは遠くに暮らす姉妹のおふたりにプレゼントとのことでした。姉妹を想う女性の心に、角館草履がしっかり応えてくれることを私も期待しています。

交通量の多い道路はもちろん、よほどの小路でさえもう路面に雪はありません。冬期間通行止めとなる落合の桜並木道路も、あと少しで車の往来が可能になるくらい雪が融けていました。いよいよ本格的な春が目前ですね。





満開の桜と川面はよく似合います。今年の桜たちも、多くの人々の期待にしっかり応えてくれるでしょう。
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ミニ草履の使い道。

2014年03月14日 | 実演日記


今日の草履は、2月27日の「今日の草履」でご紹介したバスケットボール選手へのプレゼント第二弾です。贈り主である角館町内の女性が、今度は選手の足の健康にご利益があるようにと、ミニ草履をオーダーくださいました。選手の好きな色という「緑」を反映しお作りしたのがこちらです。スポーツ選手の足は命ともいえますから、ほんとに役立ってほしいですね。

カミさんが作る「ミニ草履」は冬場も一定の需要があることを、以前のブログでお伝えしました。その理由のひとつは、いわゆる観光土産だけではない使われ方があるからなんですね。ご自宅のトイレに飾るのは言うに及ばず、日ごろお世話になっているご近所さんへささやかなお礼や、何かほかに贈り物をする際の付録的な使われ方もあります。つまりご購入目的の巾が広いということでしょう。

年度末に定年退職される方が、職場のみなさんへ心ばかりの記念品を差し上げる習慣がまだ残っています。この記念品に「ミニ草履」のご用命が二件続きました。手作り品の素朴さと可愛らしさだけでなく、「トイレの神様・足の神様」というひとつの意義がありますから、私もこの記念品は面白いと思いますよ。

人前に出ることを得手としないカミさんには、自宅でコツコツ出来る仕事が合っています。そのうえこうして人様のお役に立っているのですから、これも「天職」といえるんじゃないでしょうか。
去年一年間で950個を売り上げたミニ草履。今年は私が作る大人用土踏まず付きを数量で上回るかもしれません。
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次女の卒業。

2014年03月13日 | 家族の話




今日の草履は、彩シリーズ25cm土踏まず付き[五阡円]
同じような色柄の組み合わせはメリハリに欠けるとのご指摘もありそうですが、オーダーの中には一色使いをご希望される方もいらっしゃいます。男性用を意識した明るい茶系の一品も、きっと気に入ってくださるお客様が訪れることでしょう。

中一週間でブログ再開です。先回のブログに書いた通り、仙台に暮らす次女の卒業と引っ越しを済ませてきました。仙台市内の引っ越しだからと舐めてかかったらタイヘンですね。太白区から泉区へ片道40分、私の軽貨物自動車で四回往復しました。正直クタクタでしたよ。



卒業式はこれまで経験した中で最も規模の小さいものでした。卒業生が46人ですから、在校生・職員・来賓・保護者を含めても300人に満たなかったと思います。その分手作り感があって良かったですね。
間もなく卒業生入場というときに、急ぎ入ってきたお母さんとおばあちゃんがいました。そのおばあちゃんが思わず座ろうとしたのが、これから入場してくる卒業生の席なんですね。気づいたお母さんがおばあちゃんを制止すると、『あたしゃ目が悪いんだから近いほうがいいんだよ』。笑いをかみ殺すに必死でしたよ。



校長式辞や来賓祝辞に出てくる話題は、これからはじまるナースとしての使命とやりがいでした。患者さんの心に寄り添う看護、かゆいところに手が届く看護、言葉で言うのは易しくとも、並大抵の苦労ではないと思います。その苦労を超えて余りあるやりがいと充実感を、次女にも感じられる日を待ちたいものです。

もうひとつ話題となったのは、未曽有の大惨事となった東日本大震災でした。あの日から三週間後に入学式が行われる予定で、学校はもちろん入学生の家庭でも準備に追われていたわけです。『入学生全員の安否確認がとれたときの気持ちは、今でも忘れることができません』という校長先生の言葉には、皆一様に三年前を思い起こしたことでしょう。

2011年3月14日のブログに、その日のわが家を綴っています。長女は短大、次女は看護学校、三女は高校のトリプル入学を翌月に控えていました。そのうえ長女と次女は引っ越しが加わります。いつになれば動けるのか、ガソリンは買えるのか、学生の受け入れはいつから…。あのときの焦燥感といいますか不安感というのは、これまでの人生でそうはなかった気がします。

このたび次女は、1Kの学生アパートから2DKのマンションへ引っ越しました。勤務する病院まで徒歩10分足らず、駅もコンビニも近い好立地です。普通であれば嬉しい引っ越しのはずが、次女の口からは「離れ難さ」が出るんですね。その胸の内を推し量るに、次女にとって1Kのアパートは、度重なる余震と闘った「同士」だったんじゃないでしょうか。18歳で初めての一人暮らし、しかも数週間前にあの災害に見舞われた仙台市です。そのときの心細さを知るのは、自分とアパートだけなのかもしれません。

東日本大震災は、忘れてはいけない、忘れることなどできない出来事です。被災された方々は、今こうしている間も復興に向かって闘っています。けれどもあれから三年の月日が確かに経ちました。次女には気持ちを新たに、学生から社会人へと巣立ってほしいものです。
これから始まる新人ナースの心細さと、今度は2DKのマンションが共に闘ってくれるでしょう。


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明日から五日間お休みです。

2014年03月05日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き[四阡六百円]
同じ柄の色違いを組み合わせてみました。これだけはっきり色調が異なると、プリント柄が同じとは教えられなければ分かりませんね。冬の在庫作りに楽しんだ布たちも、もうだいぶ品切れになってきました。人気の定番配色を編み貯めながら、オリジナル配色ももう少し頑張りたいと思います。

寒の戻りとは言いながらも、降る雪はとぎれとぎれになってきました。雪と雨が紙一重で落ちてきますから、積雪量は日に日に少なくなっています。東京からお越しの女性が『もっと春めいているのかと思いましたぁ』と言ってましたが、地元民にしてみればこれでも春の近さを感じているんですね。

明日から五日間お休みをいただきます。三女に続いて次女の卒業式、そして引っ越しを済ませてきます。この年度末最大の大仕事ですよ。これが終われば、桜まつりに向けた在庫作りもラストスパートという感じでしょうか。一ヶ月半も経てば開花の便りをお伝えできるでしょう。

屋根から滴り落ちる雨音も、そして角館人の心も、すでに冬ではありません。
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年度末の大掃除。

2014年03月04日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ22cm土踏まず付き[四阡四百円]
青と緑はそれぞれに人気の色です。シーチング(無地)の緑が、メーカーの都合で最近変わりました。かつては若干深みのある色でしたが、今の緑は少し明るくなっています。メーカーの都合ですから致し方ないのですが、明るい緑もそれはそれで違和感はないと思っています。

弥生三月の序盤は、「角館雛めぐり」の散策が結構多いです。ただしやっぱりお天気次第ですね。三月は晴れると春の日差しを感じて良いのですが、その分だけ寒の戻りに寒さがひとしおです。今日大阪からお越しの女性三人旅も、『やっぱり寒いですぅ』。関西からでは無理もありませんかね。

さて、区切りの年度末に付き物のひとつが「大掃除」。掃除というより要らなくなったものを棄てる、あるいは場所を移すという作業があります。これは子どもの卒業などによって生活が変わるための、避けて通れぬ大仕事です。わが家も仙台に暮らす次女が、卒業と同時に引っ越すことになりました。勤務する病院へ徒歩圏内に移るわけです。

引っ越しではなくとも、やはり卒業と同時に社会人となる三女も、それなりの片づけに追われています。確かに部屋に置かれているものが高校生と社会人ではまるっきり異なりますからね。ついでに綺麗に掃除もしてくれればいいのですが、そういうことはオヤジの出る幕ではありませんか。

秋田市からお越しのおばさまが花瓶に飾ってあるイ草を見て、『はは~、こういう使い方もあるんだなぁ』。イ草は香りもいいですから、装飾用にも一定の需要があります。おばさまにもお勧めすると、『いや、まず家の中を片づけないと。飾りはその後だなぁ』。

懸命なご選択と存じます。
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三女の卒業。

2014年03月01日 | 家族の話




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き[四阡六百円]
エンジのいらかと紺のいらかを、左右互い違いに編んでみました。冬場の在庫作りならではのデザインですね。綺麗な草履の中に面白い草履、こうした「個性」も角館草履の特徴ではないでしょうか。こういう趣味のお客様って、必ずいらっしゃるんですよ。

本日三女が高校を卒業いたしました。体育館の寒さとは裏腹に、心温まる、そして少し目頭が熱くなる素晴らしい卒業式でありました。想えば保育園から四度の「卒業」に接し、子どもの成長というのは目覚ましいものです。「男子三日会わざれば括目して見よ」の格言は、性別と無関係によく分かります。成長していないのはむしろ親のほうではないかと気づかされました。





「人生において、万巻の書を読むより、優れた人物に一人でも多く会うほうがどれだけ勉強になるか」

担任の先生が卒業生に対して贈った言葉です。書物をないがしろにするのではなく、この言葉の意味はおっさんになって近年よく分かります。また別の先生は、卒業生ひとりひとりの「個性」を褒めていました。進学、就職とこの先進路はさまざまですが、若き時代の一年間を過ごしたこの仲間たちと、やがて再会するときが必ずやってきます。年齢を重ねても個性は大事にしてほしいものですよ。

身びいきのそしりを覚悟の上で、わが家の三女も個性ではなかなかのものを持っている気がします。一昨日三女が作った笹餅には、草履のイラストと共に「¥5000」の文字が入っていました。



「決して安価ではない草履を編んでいるのだから、しっかり働きなさい!」と叱咤激励のつもりかもしれません。四月には新社会人となる三女。これまで以上にツラいことが待っているのは間違いないでしょう。気づかないうちに成長していた娘と互いに叱咤激励しながら、51歳のおっさんも頑張って行こうと思います。
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