角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

次女の卒業。

2014年03月13日 | 家族の話




今日の草履は、彩シリーズ25cm土踏まず付き[五阡円]
同じような色柄の組み合わせはメリハリに欠けるとのご指摘もありそうですが、オーダーの中には一色使いをご希望される方もいらっしゃいます。男性用を意識した明るい茶系の一品も、きっと気に入ってくださるお客様が訪れることでしょう。

中一週間でブログ再開です。先回のブログに書いた通り、仙台に暮らす次女の卒業と引っ越しを済ませてきました。仙台市内の引っ越しだからと舐めてかかったらタイヘンですね。太白区から泉区へ片道40分、私の軽貨物自動車で四回往復しました。正直クタクタでしたよ。



卒業式はこれまで経験した中で最も規模の小さいものでした。卒業生が46人ですから、在校生・職員・来賓・保護者を含めても300人に満たなかったと思います。その分手作り感があって良かったですね。
間もなく卒業生入場というときに、急ぎ入ってきたお母さんとおばあちゃんがいました。そのおばあちゃんが思わず座ろうとしたのが、これから入場してくる卒業生の席なんですね。気づいたお母さんがおばあちゃんを制止すると、『あたしゃ目が悪いんだから近いほうがいいんだよ』。笑いをかみ殺すに必死でしたよ。



校長式辞や来賓祝辞に出てくる話題は、これからはじまるナースとしての使命とやりがいでした。患者さんの心に寄り添う看護、かゆいところに手が届く看護、言葉で言うのは易しくとも、並大抵の苦労ではないと思います。その苦労を超えて余りあるやりがいと充実感を、次女にも感じられる日を待ちたいものです。

もうひとつ話題となったのは、未曽有の大惨事となった東日本大震災でした。あの日から三週間後に入学式が行われる予定で、学校はもちろん入学生の家庭でも準備に追われていたわけです。『入学生全員の安否確認がとれたときの気持ちは、今でも忘れることができません』という校長先生の言葉には、皆一様に三年前を思い起こしたことでしょう。

2011年3月14日のブログに、その日のわが家を綴っています。長女は短大、次女は看護学校、三女は高校のトリプル入学を翌月に控えていました。そのうえ長女と次女は引っ越しが加わります。いつになれば動けるのか、ガソリンは買えるのか、学生の受け入れはいつから…。あのときの焦燥感といいますか不安感というのは、これまでの人生でそうはなかった気がします。

このたび次女は、1Kの学生アパートから2DKのマンションへ引っ越しました。勤務する病院まで徒歩10分足らず、駅もコンビニも近い好立地です。普通であれば嬉しい引っ越しのはずが、次女の口からは「離れ難さ」が出るんですね。その胸の内を推し量るに、次女にとって1Kのアパートは、度重なる余震と闘った「同士」だったんじゃないでしょうか。18歳で初めての一人暮らし、しかも数週間前にあの災害に見舞われた仙台市です。そのときの心細さを知るのは、自分とアパートだけなのかもしれません。

東日本大震災は、忘れてはいけない、忘れることなどできない出来事です。被災された方々は、今こうしている間も復興に向かって闘っています。けれどもあれから三年の月日が確かに経ちました。次女には気持ちを新たに、学生から社会人へと巣立ってほしいものです。
これから始まる新人ナースの心細さと、今度は2DKのマンションが共に闘ってくれるでしょう。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする