角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

備前の国の百貨店。

2014年03月23日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ22cm土踏まず付き[四阡四百円]
同柄色違いの組み合わせです。準定番のようにこちらの「卯プリント」を使用していますが、やはり可愛いですね。色調も穏やかで、うさぎの性格のように優しさが感じられます。卯年の人に優しい性格が多いかは分かりませんが、角館の草履職人は卯年であります。

岡山県からお越しのご夫婦旅。奥様が角館草履の健康効果に関心高く、気持ちを集中して私の説明をお聞きくださいました。試し履きに確信されたようで、ご主人にも試し履きをお勧めです。そしてご夫婦共に納得のうえ、ペア草履として不動の人気を誇る定番配色をお買い上げくださいました。

お買い上げ後もしばらく実演を眺めていらしたご主人が、『東京だとかの百貨店に行かれることはないんですか?』。
つまり「秋田県物産展」や「ものづくり展」のような、百貨店催事に出展しないのかのご質問ですね。このご質問は一年に何人かからあります。そして出展打診も過去にありました。

ずいぶん前のブログにも書きましたが、今のところそうした営業活動は考えていません。おかげさまで生産する草履の100%が西宮家の実演生活で完売します。東京に出たら五千円の草履を八千円で売るなんてことができるはずもありませんから、大きな市場を求めて県外に出たところで商いの実績は変わらないんですね。

そしてもう一つ大きな理由は、西宮家にお訪ねくださるお客様をお待ちしたいということです。実演生活も九年になり、リピーターさんのご訪問は日常になりました。わざわざ角館をお訪ねくださったお客様に、空振りはとても申し訳ないと感じます。大都市の百貨店に行けば、また別の出会いも数多く生まれるでしょう。でも私は「角館にいる草履職人」にこだわりを持ちたいと思っています。

こちらのご主人にもそうお答えすると、『お話を聞いていると、百貨店の催事でも充分人気になりますね』。ご主人のお話の内容とその語り口に「商い」を感じ、『もしかしてそうしたお仕事ですか?』とお訊ねすると、『はい、百貨店に勤務しています』。
西宮家にほど近い樺細工問屋が、ご主人の勤める百貨店に出展したことがあったんだそうです。旅行のついでにそのときのご挨拶も兼ねて角館をお訪ねでした。

その道のプロに私の草履実演が評価されたことは、素直に嬉しく思います。いつの日か県外遠征を考えるときが来たら、岡山県もきっと楽しいでしょうね。今夜のお楽しみはNHK大河ドラマ。備前は日本の歴史にとても重要な国であります。
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