今日の草履は、彩シリーズ22cm土踏まず付き[四阡四百円]
少しシブ目の配色ですが、バラエティの中には必要です。華やかで明るい草履に人気が集まるのはその通りながら、色好みは千差万別、これは性別や年齢とも合致しません。おじいちゃんがいておばあちゃんがいて、お父さんとお母さんと子どももいるのがまず一般的な「家族」。色々な配色が互いを引き立てると置き換えれば、草履も家族に共通するかもしれません。
この春耳に入ってくる様々なニュースや情報は、「家族」というものをあらためて考える機会になっています。親類や友人の子どもが高校・大学に合格した報はとても喜ばしく、家族で大いにお祝いするのがいいでしょう。わが家も一昨日の晩、社会へ巣立つ次女と三女のために、カミさんの生家でささやかな祝宴を開きました。
ただ様々な情報の中には心が痛むものもあります。深刻な病いが見つかった知人もいれば、家族に障がいが分かった知人もいます。広い世間を見ればいくらでもある話が、いざ知人の身に起こるとこちらも平気ではいられません。もちろん私に何かできるものではないにしても、本人や家族の心労を想うと心は晴れませんね。
昨春愛娘を失った友人がいます。当時も単身赴任していた彼は、あれから一年近く一人暮らしに耐えていました。励ます意味の同僚からの誘いも、あるときから断り続けたそうです。仲間と酒を飲んでいるうちは良くても、ひとり部屋に戻ってからが辛かったと言っていました。その身に置かれた者でなければ、心痛を計り知るなど叶いません。
その友人が四月から家族と共に暮らせることになりました。事情を理解してくれた職場のおかげです。彼からのメールには、『自宅から通えるようになりました』とありました。たった一行のメールでも、彼と家族の安堵が確かに伝わりましたよ。
嬉しいニュースを家族で祝うと同じように、悲しい出来事もまた家族で分かち合うのがいいと思うんです。誰かひとりが悪いのじゃなく、皆でその責任を分けるということでしょう。
この春接した報で私が最も嬉しかったのは、娘たちの卒業よりも友人の転勤かもしれません。