角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

作品と商品。

2011年11月28日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔4,000円〕
【2012年1月1日より4,600円】
見事なまでに真っ青な草履ですね。同系色の組み合わせはずいぶん編むのですが、これくらいよく似た色の組み合わせは珍しいと思います。緑好きさんに準ずる多さで青好きさんがいらっしゃいますから、きっとこの草履も近いうちにお選びの方が現れるでしょう。

『いやぁ、これはもう芸術作品だねぇ』。秋田市からお越しのおじさまが、展示してある草履を眺めながらおっしゃいました。もちろん素直にお礼を言いますが、特にご年配のお客様だとしたら、かつてのワラ草履と比較しての言葉が多いと思います。
実際「芸術作品」という言葉は、角館草履に重過ぎますしね。

先月のこと、角館樺細工伝承館に関わる知人が西宮家をお訪ねでした。町でときどき顔を合わせる先輩ですが、草履実演をじっくりご覧いただくのはその日が初めてと思います。知人曰く、『これは分かり易くていいもんだ』。

日常に樺細工実演を見ている知人は、私の草履実演と比較したんですね。樺細工の場合「今やっている作業が何なのか」、説明しても素人には分かりづらいことがあります。その点私の草履実演は、説明がなくても作業が分かり易いということでした。
こうした視点での評価は私も初めてで、とても新鮮に聞いたものです。

ここに「作品」と「商品」の違いがあるんじゃないですかね。「作品」は作り手が自身の思いの丈を表すことを第一とし、「商品」は消費者に特性を理解してもらうことを第一とする。つまり積極的に理解を求めるか否か、あるいは理解され易いものか否か、ここにひとつの相違点があると思うんです。

私の草履は広く愛して欲しいと願う、家庭用品・健康用品に属する商品と思っています。ですからこれからも実演を通して、分かり易さには極力務めたいですね。
コメント
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