角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

「皮肉」、あれこれ。

2009年02月16日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き〔四阡円〕
黒基調の落書きプリントをベースに、合わせはエンジです。黒地の洋柄はお洒落感が強く出ますね。これまでの新柄とはちょっと違う、「可愛い」より「綺麗」が似合うと思います。
平生地はこちらです。




角館に真冬が戻ってきました。最高気温でもマイナス2℃、朝から冷たい風と雪が吹きつけています。このところの暖冬から一転の真冬日、今日から46歳の“おじさん職人”には、米蔵の寒さはちと厳しかったです。
それにしても大雨の火振りかまくらから二日後の真冬日ですよ、なんでこう上手く行きませんかね。自然の成せる業に人間ごときが太刀打ちできるワケがないとはいえ、下界に暮らす私たちにこれは「皮肉」と感じざるをえません。

こんな天気と裏腹に、ここ数日お客様の数は案外多いです。正直二月に入ってこれほどお買い上げがあるとは予想していませんでした。
先日の東京仕入れがあったため、今の草履コーナーは配色が豊かに揃っています。常連さんたちもこれをとても喜んでくれるのですが、はじめてお買い上げくださるお客様がお選びになる配色は、相変わらず定番配色①が多いんですね。
もちろんお客様の気に入った配色をお履きいただくのが一番なんですが、これもちょっぴり「皮肉」でしょうか。

配色についてもうひとつ、昨年12月に予定より奮わなかった「クリスマス草履」が、二月に入ってすでに三足お買い上げをいただきました。まず可愛ければ季節に大きな問題はないのですが、三人のうちおひとりは『あっ、このクリスマス可愛いっ!』と、はっきりクリスマスを意識してお買い上げです。これも軽い「皮肉」ですかね。

東京からお越しの姉妹ふたり旅、とってもおしゃべりが大好きな、実演席に良くお似合いのおふたりでした。
ふたりバラバラに米蔵内を歩いていて、お姉さんのほうが草履を気に入ってくださり、そのとき編んでいた定番配色①の出来上がりを待ってお出でです。そこへ妹さんが合流し、『あらっ、草履買うの?』。

実は妹さんが趣味で布草履を編むのを、お姉さんから聞いていました。『買うの?』と訊かれたお姉さん、『そう、この草履はイ草に巻いて作るから、とってもしっかりしてるの。あっ、でもあなたに頼んだ草履ももらうからねっ、あれはあれで柔らかくてイイのよぉ』。
もしかして妹さんが「皮肉」にとられたら困ると思い、草履職人はしばし沈黙を守りました。

今日46歳を迎えた草履職人に、今朝カミさんから『はい、プレゼントっ』と手渡されたモノは、車載用の「灰皿」でした。ソーラーライトが付いた灰皿は案外高いのを知っています。若者向きの赤い灰皿、次女が選んだものらしいです。
それにしても、いつも禁煙を勧めている家族が灰皿ですかっ。これって究極の「皮肉」じゃないですかね。

コメント (3)
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