ちいさな幸せ

幸せの基準ってある?
それは自分の心の中にあると思う。
私は何時も陽だまりのような幸せの中に居た。

葬送の仕事師たち

2015年07月08日 | 読みました

        「柏葉あじさい」   沢山咲きました  大株になりました   (15―6―15)











身近になってきた時でもあって、飛びつくように読みみました。お葬式なんてもの
は、変化のないものだと思っていましたが、違っていました。勿論お金を掛けない
「家族葬」が多くなっていることは知っていましたが、それよりずっと、変化が大
きい事を知りました。

        

第一章 「葬儀のプロ」を志す若者たち

2年間船ま音学校で、びっしりのスケジュールで学。黒スーツをびしっと着ている。
「おしゃれの身だしなみも靴からです。靴にお金を掛けましょう。お金を掛けられ
ない人は磨きましょう」と先生は教える。

時間の経過によって筋肉が弛緩していくと、口がガバーと開き、ガスが出始めると
目玉も飛び出す。そして、口や鼻から体液がじわじわとにじみ出てしまう」腐敗防
止の対策を学。

原価2万円ほどの棺が7万とか8万円で売れる。着替えやご納棺などの実務もあり
ますが、大切な方を亡くして悲しんでいるご遺族を心で支える部分が、棺の原価と
売値の差だと学。

第二章 「それぞれの葬儀屋家業」

葬儀社はサービス業だと思う
白木祭壇=六灯(ろくとう)仏教で人が亡くなっていく道、天道、人間道、修羅道、
畜生道、餓鬼道、地獄道。六つの道を照らす灯りです。過っては、火力の関係も
あって、夜に火葬して、朝に骨拾いをしたんです。だから葬列は夜行った。葬列
の先頭に立った人が持ち、暗い夜道を照らした名残)

この頃のお葬式は遺影が中心になっていますが、祭壇のご本尊は掛け軸です。

村八分=葬式と火災だけは仲間はずれに市内。一時休戦。

逆さ水=湯潅「水を先に入れて、後お湯を足す」

昭和初期まで喪服は白だった。「家で通夜、葬列、火葬場や土葬の墓地で坊さん
が読経する小さな葬儀」から霊柩車の利用で葬列がなくなり、今の「通夜、葬儀、
火葬」になった。

無宗教葬が増えている。

修復も、エンバミングもしない遺体は少しずつ劣化してゆく、お葬式は徐々に死体
になっていく時間を引き受ける儀式

第三章  湯潅・納棺・復元の現場

故人に安らかな旅立ちを願う気持ちは、遺体への手の掛け具合、もっと言えば葬
儀全般へのお金の掛け具合とは関係ないと思っている。 人間は心臓が止った時
点で、即物的に物になる

湯潅=能登越中では「ユガン」といい、甥、いなければ兄弟が2人でする。藁縄を
襷とし、死者を新調のタライにいれ、髪を剃り、列席の近親者はかわるがわる必ず
左杓で水を掛ける。死体を起こし時は必ず「オイ」とか「サア」とか掛け声をかけ、
棺に納める

遺体を触るときは、絶対に素手は駄目、セイカンの危険がある。セイカン=普通の
ダニの100倍以上痒いヒダンダニの感染。遺体の傷の中にトンネルを作って大量
発生する。一人が感染したらあっつというまに大勢にうつる。

モザイク状=傷みの激しいものは透明のビニールの遺体袋を、二重にして、入れて
から納棺する。すると棺の窓から見るとモザイクが掛かったように見える。

第四章  エンバーマーたち

ホルマリンを含む薬液を使って遺体に防腐処置など(エンバーミング)を行う資格
保有者。痛んだ遺体を美しく整える人。緑色に、黒や黄色に変色した皮膚を「肌色」
にし、だらんと開いた目や口を閉じさせる。

日本で亡くなった外国人を母国に帰す多くの場合エンバーミングが必要。ホルムア
ルデヒドを何CC入れて、「エンバーミング証明書」と棺の中は遺体と洋服以外何
も入っていない事を証明する「梱包内容証明書」にエンバーマーがサインして、責
任を負う。

老衰で綺麗に亡くなったおばあさん、おじいさんには勧めませんが、長い闘病で亡
くなり、見るに忍びない姿になった故人様を、生前の綺麗な姿で送ってあげる意味
は大きいと思う。

IFSAで決められたエンバーミング処理(TD)には 
TD1.エンバーミング薬液を 使用しないTD1、
薬液を使用し、修復処置もするTD2
修理処置のみをするTD3
高度腐敗や焼死に対応するTD4がある

死亡から50日いないに火葬するとIFSAは自主規制している。喪明けとされる仏
教の「49日」神道の50日」を考慮した期間の設定。言い換えるとエンバーミング
は遺体を50日間自宅に寝かせておくことも可能なのだ。会社の記念行事を済ま
せてから、子供の結婚式や受験を終えてから、出産を控えているので、生まれて
退院してから葬式した例もある。

第五章 火葬場で働く人々

全ての火葬場で利用者でも写真の撮影は禁止されている。理由は火葬場職員が
写りこむ可能性があるからです。写りこんで火葬場の職員だと明らかになると、
差別の目にさらされるからだと聞いています。

黒の制服を着て行うのが炉まえの仕事、作業着を着て「火室=ひしつ」とよぶ火葬
炉の裏側で、ご遺体を焼く仕事を、職員全員でローテーションを組んで公平にやっ
ている

人が亡くなった後、法律的にしなければならないのは7日以内に役所に死亡届を提
出して、火葬許可を受け取り火葬するだけである。

仕事は好きとか嫌いとかでするものではなく、本気でやれば好きになる。

ご遺体の臭気に慣れるまで時間がかかった。車から降ろした瞬間に、臭うご遺体は
臭う。水死体や、腐敗が進んだご遺体。言いようの無い腐乱臭が館内に蔓延する。
行旅死亡人、つまり行き倒れや孤独死など、遺族に弔もらわれない遺体に多い。

一口で言うと、生活のためと割り切ってしてきた仕事ですが、人の最後の瞬間に立
ち会う非常に大切な仕事だと思うようになりました。とりわけ、身寄りの無い方の
場合、自分が最後の最後に立ち会った一人の者だという思うと気が引き締まるので
す。近ごろ特に。

火葬完了後、台車ごと「前室=ぜんしつ」とよぶ、炉前と火葬炉の間の空間に移動。
サウナの中にいるような熱気を感じたが、骨に触れても火傷しない程度を目安に、
十分ほど自然に覚ます。散らばった骨を火箸で拾い集め、人体標本のように整える
=「整骨」。遺族には、その後に「火葬が終わりました」と告げる。

ご遺体を綺麗に焼くには、棺の中にはご遺体だけにするのが理想。ドライアイスや
副葬品を沢山入れたくなるお気持ちは分かるが、副葬品を除けるときにどうしても
(デレッキ=鉤棒)でご遺体を傷つけてしまう事があるので。

人はどんな家に生まれるか選べずに生まれてきて、人生が始まる、そして辛いこと
も楽しいことも経験して人生が終わる。その人が火葬炉の扉を越えたら、家柄も血
筋も楽しいことも辛いことも全部一緒に過去になるお金持ちも貧乏人も、名声のあ
った人も無かった日とも、全て平等に全てが無になる。骨になり灰になる

第六章 「超多忙社会」に向けて

葬儀会館を建てようとすると、近所から反対運動が起こる。「ダビアス」も閉館す
る他社の葬儀会館をを名前を変えて使う。「ダビアス」は「明日荼毘に付す」とい
うことをもじり「アス」は[US=私たち、家族」の意味も兼ねている。会館名で
あると共に、シンプルな葬儀プランの事をさす。

「1日葬」つまり通夜を省いて告別式だけを行う。

「思いを汲み取る」亡くなった男性の趣味は水墨画だった。「お葬式に飾りましょ
う」と提案、ダンボール一杯の絵があったので、「思い出コーナー」を作り、そこ
に展示した。奥さんは「個展を開くのが主人の夢でした」と喜びの涙を流された。

悲しみの中に少しの感動を創りあげるお葬式は伸びます。私たちのメソッドを広く
アジアに「輸出」することも視野に入れております。13年に台湾進出を果しまし
た。社員を台湾に滞在させ、現地葬儀社のコンサルティングサービスを行ってい
ます。

「家送葬通販=家で送る葬儀用品」棺、骨壷、仏具のネット販売を2009年に立
ち上げ、2014年6月までに2000件以上、其のうち棺が約900件で、月16個
売れた計算。

あとがき

記事を書くための準備は2012~2014まで断続的ではあるが続いた。今思え
ば恥いるりたくなるくらい無知だった。通夜と告別式が葬儀社の仕事だと思って
いたし、遺体の清拭、湯潅、納棺もサクサクとおこなわれると思っていた。通夜
と告別式が表舞台なら其の前段階など裏方の仕事のほうが遥かに長く、大変だ。
自分たちが心をこめて火葬したら、誰をもちゃんと送れる」極めつけは火葬場の
職員たちだ。遺体を「きれいに焼く」ことがミッションだと口を揃える彼等の仕事
は壮絶だ。

霊柩車の運転手は言う。「コップの水をこぼさない」車内に水がほぼ満杯のコップ
を置いても、其の水がこぼれないように、揺れないように運転する事を心がけて
いる」という。霊柩車に乗って仰天。加速も減速もまったくわからず、揺れない、赤
信号にブレーキを何時掛けたのかも感じられず、しかし停止線にぴったり止ってい
る。これならコップの水もこぼれない。


読んで良かったと思います。自分の死後、体がどのようになるのか知ったことは、
よかったです。思っていたことと違っていましたから。でもあまりに赤裸々で、辛
い時もありました。でも、それが現実なのだと、思い直し読みきりました。
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