緑陽ギター日記

趣味のクラシック・ギターやピアノ、合唱曲を中心に思いついたことを書いていきます。

ジャチント・シェルシ作曲「ヴァイオリンのためのディベルティメント第3番」を聴く

2019-10-06 20:28:56 | 現代音楽
ものすごく暗く、荒涼としていて、恐ろしく不気味な現代音楽を聴きたいと思って探しているのだが、なかなか無いものだ。
これらの要素を全て満たすものでは無いが、現在録音で聴くことのできる作曲家として、シュトックハウゼンとジャチント・シェルシという作曲家が見つかった。
彼らの曲については以前記事にしたが、ピアノ曲ではなかなかの曲がある。
今日記事にしたジャチント・シェルシ(Giacinto Scelsi 1905-1988、イタリア)の場合、ピアノソナタ第3番が多く演奏されているし、Youtubeに投稿された録音の視聴回数も多い。

ピアノソナタ第3番は美しさも感じられるが、不気味以外の何もでもないピアノ曲を聴くのであれば、「Aitsi pour piano amplifié 」という曲がある。
Youtubeの録音を貼り付けておくが、現代音楽が嫌いな人は絶対に聴かない方がいい。

Scelsi - Aitsi pour piano amplifié [Audio + Score]


ジャチント・シェルシの曲の中でも不気味な要素が少ないうえに、意外にも珍しい作風を感じさせる曲があった。
無伴奏のヴァイオリン曲であるが、「ヴァイオリンのためのディベルティメント第3番Divertimento No. 3 for Violin 」(1955年)という曲。

Giacinto Scelsi - Divertimento No. 3 for Violin (1955) [Score-Video]


この曲はなかなかのものだ。
現代音楽が嫌いな人でもあまり抵抗なく聴けるのではないか。
特に第1楽章と第2楽章は古来の日本の音楽を彷彿させる。
日本的な美しい旋律がところどころ現れる。
第3楽章と第4楽章、とくに第4楽章は非常に高度な超絶技巧が要求される。
これほど難しいヴァイオリンの曲を聴いたことは無い。

この曲はもっと注目されていいと思う。
実はジャチント・シェルシの曲は複数の作曲家が共同制作者として関与したことが知られている。
すなわちシェルシが素材を与え、別の作曲者が実際に音符に移す作業を行う。
完成された曲が、どの程度シェルシの意向や感性などが反映されているかは分からない。

日本でも以前これと似たようなことが発覚し、クラシック音楽界のみならず世間一般においても事件として公にされたことがあった。
コメント    この記事についてブログを書く
« 芥川也寸志作曲 弦楽のため... | トップ | 久しぶりの日本酒(11) »

コメントを投稿

現代音楽」カテゴリの最新記事