緑陽ギター日記

趣味のクラシック・ギターやピアノ、合唱曲を中心に思いついたことを書いていきます。

獨協大学マンドリンクラブ 創部50周年記念演奏会を聴く

2015-05-24 21:54:39 | マンドリン合奏
今日(24日)、東京銀座の銀座ブロッサムで「獨協大学マンドリンクラブ創部50周年記念演奏会」があったので聴きに行ってきた。
予想に反して意外に小さなホールであったが、ほぼ満席状態となった。創部50周年ということもあってOB・OGと思われるの方々がたくさん来ていた。



獨協大学が創立されたのは1964年。その翌年に古典ギタークラブから分離・独立して結成されたとのことである。
観客に年輩の方が多かったのでなるほどと思った。
プログラムは第一部は現役大学生による演奏、第二部はOB・OGによる演奏、第三部は現役生とOB・OGとの合同ステージという構成であった。
第一部の現役生によるステージを見て少し驚いたのは人数が20数名と意外に少なかったこと。
どこの大学でもそうなのだろうが、少子化により学生の数が減る中で、マンドリン・オーケストラという超マイナーな音楽サークルに自ら入りたいと入部する学生は極めて稀で、大抵はこんな楽しいサークルだよ、と言って音楽よりもレクレーションをアピールして新入生を勧誘、確保しているのが現状ではないかと思う。大学に入ってマンドリンやギターを始めた人が殆どではないだろうか。
こうして大学のサークルで初めてマンドリン音楽に触れて、大学を卒業し、マンドリン音楽から離れて何十年経っても演奏会を聴きに行く。これはマンドリン音楽そのものを聴きたいからではなく、マンドリンやギターに青春のありったけの力をぶつけた若き日の気持ちを再び甦らせ、懐かしさに浸りたいからではないかと思う。
マンドリン・オーケストラ曲には若い青春の有り余ったエネルギーをはき出すのにふさわしい曲がたくさんあった。
藤掛廣幸や鈴木静一などの曲がそうである。今日のプログラムの中には藤掛廣幸の代表作である「グランド・シャコンヌ」があり、この曲を聴きたいがために出かけたようなものである。

さて今日の演奏プログラムは以下の通り。

【第一部】
1.Euphoria for Mandolin orchestra(ユーフォリア) 作曲:堀 雅貴
2.桜舞い散る小径  作曲:武藤 理恵
3.風のカンティレーナ  作曲:長谷川 武宏

【第二部】
1.交響的前奏曲  作曲:Ugo Bottacchiari
2.波 -舟唄風セレナータ-  作曲:Carlo Graziani-Walter
3.グランド シャコンヌ  作曲:藤掛廣幸

【第三部】
1.マンドリンの群れ  作曲:C.Adolfo Bracco 編曲:久保田 孝
2.ヴェニスの一日  作曲:Ethelbert Nevin 編曲:中野二郎
3.序曲「メリアの平原にて」  作曲:Giuseppe Manente 編曲:久保田 孝

第一部の現役生による演奏であるが、基礎がしっかりとした技巧を土台にしていると感じた。基礎的な技巧がきちんと習得されているか、練習量が豊富かどうかは、奏者の指の動き、姿勢を見ればすぐに分かるもので、この大学の技量はかなりのものであると感じた。
3曲とも日本人作曲家によるものであったが、どれも明るく心地よい音楽でリラックスして聴くことができた。
初夏のよく晴れた気持ちのいい一日にふさわしいさわやかさを感じることができた。
武藤理恵氏は昨年から聴き始めた各大学のマンドリンクラブの演奏会のプログラムにも何度か目にした作曲家であるが、今日のプログラムの中で紹介されていた曲目解説を読むと、マンドリニストの青山忠氏の妻でピアニストであることが分かった。

第二部はOB・OGによる演奏であるが、1曲目の「 交響的前奏曲」は私の学生時代に弾いた記憶のある曲名であったのだが、曲が始まると全く違う曲だった。
家に帰り古い楽譜の束から探し出して見つかったのは、マネンテの「交響的間奏曲」であった。似た曲名であるが作曲者も違う。イタリアらしい曲。
第2曲もイタリアの曲であったが、3曲目は藤掛廣幸の「グランド・シャコンヌ」であった。
この藤掛廣幸の「グランド・シャコンヌ」は思い出深い曲だ。何故かというと私が初めて聴いたマンドリン・オーケストラ曲であるからだ。
大学に入学してすぐに新入生をサークルに勧誘するための催しがさかんに大学構内で行われていた。
ある日、学生会館の少し広い広間に立ち寄ったら、マンドリンクラブの新入生歓迎演奏会が行われていた。
そしてその演奏会でまさに初めて聴いたマンドリン・オーケストラ曲がこの「グランド・シャコンヌ」だったのだ。
その壮大な音楽を耳にしたときの何とも言えない感動は今でもはっきり憶えている。
この時の光景は今でも忘れられない。演奏者の顔まではっきりと覚えている。マンドリンとギターの合奏がこんなにも迫力のあるものだとは今まで露ほども思っていなかったのである。
演奏者の上体が指揮棒の動きに合わせるかのように揺れ動き、そこから放たれるエネルギーの大きさに圧倒された。
独特の日本的、それも今の時代には感じ取ることができなくなった、70年代の日本の時代に感じていた情緒あふれる曲であった。マンドリン・オーケストラ曲の屈指の名曲である。
私は大学のマンドリン・オーケストラで幸いにも4年生の最後の定期演奏会でこの曲を弾くことができた。

今日、獨協大学のOB・OGの方々のこの曲の演奏を聴いて、大学時代の、既に忘れ去っていた様々な記憶が走馬燈のように蘇ってきた。

下は学生時代に弾いた「グランド・シャコンヌ」のギター・パート譜の一部。



第三部の合同演奏はこれもイタリアの曲であるが、最後の「序曲「メリアの平原にて」 」を聴いた時、あれ、これ弾いたことがある!、と心の中で叫んでいた。
家に帰って楽譜を引っ張り出してみてみたら、「メリアの平原」が出てきたのである。
このマネンテの曲は正直言って演奏困難なことだけしか覚えていない。次のフレーズで思い出したくらいである。





マネンテの曲は先の「交響的間奏曲」の他に代表作「華燭の祭典」も弾いたが、特に「華燭の祭典」は学生時代に弾いた数多くのギター・パートの中でも技巧的に最も難しい曲であった。

2時間ほどの演奏会であったが、最後はアンコールを演奏してくれた。
OB・OGの方々は久しぶりに昔の仲間に会って再会を喜び合ったに違いない。
私の母校のマンドリン・クラブも7年ほど前に、現役生とOB・OGとの合同による記念演奏会をやるから参加してくれ、と連絡があったが、その当時は勤め先のシステムの入れ替えで土日も無いほど多忙であったので実現できなかった。今から思うと残念でならない。
あと2、3年で10年経つのでまた記念演奏会をやるのであろうか。もし誘われたら万難を排してでも演奏会に行くつもりだ。

暑くも寒くもなく、さわやかないい一日だった。今日の演奏会も終わった後にすがすがしいいい気分を味わうことが出来た。
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2 コメント

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Unknown (Tommy)
2015-05-25 16:11:50
グランド・シャコンヌを下記のサイトで聴きました。
学生時代の私が聴いていればモチベーションを得て
音楽にもう少し傾聴していたかもしれません。

何となく将来に力強く向かえるような希望を与えて
くれる、そんな明るさを感じられました。
ありがとうございます。

https://www.youtube.com/watch?v=6PUhCg8U6J8
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Unknown (緑陽)
2015-05-25 23:49:26
Tommyさん、こんにちは。いつもコメントありがとうございます。
リンクを貼っていただいたYoutubeの録音、聴かせていただきました。ありがとうございます。
作曲者自身の指揮による貴重な映像でした。
他に小編成から大編成まで、他の録音もいくつか聴いてみました。
小編成では各パートの音が分離して聴こえ、ハーモニーの美しさを感じやすいのですが、反面迫力に欠け、大編成では迫力は感じるが、あるパートの大音量が他のパートの音をかき消してしまい、音が不明瞭に聴こえたり、音が揃わないなどのマイナス面も感じました。バランスを取るのが難しい曲だと改めて感じます。
本当に力を与えてくれる曲ですね。この曲を聴くと楽しかった70年代の頃を思い出します。
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