緑陽ギター日記

趣味のクラシック・ギターやピアノ、合唱曲を中心に思いついたことを書いていきます。

ベートーベン ピアノソナタ第14番 「月光」を聴く

2013-01-05 23:41:20 | ピアノ
こんにちは。
前回のブログで今年はベートーベンのピアノソナタから聴き始めることを話しましたが、このピアノソナタはかの有名な第14番、Op.27,No.2、嬰ハ短調「月光」のことです。
この曲を初めて聴いたのは中学生の時、確かNHKテレビで放映されていた外国人のコンサートのライブ演奏で、第1楽章の美しい三連符に感動し、第3楽章Prestの超絶技巧に度肝を抜かれたことを憶えています。
この「月光」という副題はベートーベン自身が付けたのではなく、後世の人が第1楽章の印象をもとに付けたものが定着したようですね。フェルナンド・ソルの有名な練習曲Op35-22ロ短調も「月光」と名づけられているが、同様に作曲者とは別の人が付けたようだ。
さてこのピアノ・ソナタ第14番は一説による葬送の曲であるということであるが、私は全然そのように感じないです。単に、ベートーベンが静かな夜のしじまのなかで湧き出てきたインスピレーションをもとに作曲したのだと思っています。
特に第1楽章を聴いて思い浮かんできたのはガブリエル・フォーレの夜想曲第1番変ホ短調です。この夜想曲第1番は私の最も好きなピアノ曲なのですが、夜の孤独な静寂の中で、心に湧いてくる幻想、夜=暗黒の悲しみのようなもの、あるテーマを伴った悲痛なものではなく単に夜の雰囲気が生み出す悲しみのようなものを感じます。ベートベンのこのピアノソナタも同じように感じてきます。
第3楽章も第1楽章と同じ嬰ハ短調ですが、激しく情熱的でありながら私にはやはり夜を感じてしまいます。途中わずかに曲想が明るくなる部分があるのですが、この部分を聴くと静かな夜に思い浮かべた将来の希望のようなものが感じ取れます。
ベートーベンはこの曲を30歳の時に作曲したそうです。難聴が進んできた頃ですが、若いときにしか出せないエネルギーを感じます。
さて、私が今のところ聴いた演奏は次の3つです。

1.ゲザ・アンダ(Geza Anda、1921~1976、ハンガリー、のちにスイス)
  録音:1955年



2.エミール・ギレリス(Emil Gilels、1916~1985、ロシア)
  録音:1970年(ライブ)



3.アナトリー・ヴェデルニコフ(Anatoly Vedernikov、1920~1993、ロシア)
  録音:1974年



3枚とも素晴らしい演奏です。3者、演奏に個性があり、好みが分かれるところですが、
私はゲザ・アンダの演奏が好きです。特に第3楽章の演奏は若き作曲者が持っていた情熱を感じ取ったものであると思います。聴いていると気持ちが高揚してきます。
ただしこの録音、モノラルなのですが音にヴェールが掛かっているような、オブラートに包まれているような音で録音の状態は悪いです。最近はやりの電気処理した音に比べたら全然良いですが。TESTAMENTというレーベルから出ており、同じレーベルから出されたティッサン・ヴァランタンのフォーレのピアノ曲集も同じ様な録音状態でしたね。
次にエミール・ギレリスの演奏はライブ録音でありながら音が非常に美しく情感を持って聴こえてきます。
アナトリー・ヴェデルニコフは情感や情熱といったものを抑制しているように感じますが、聴くごとにじわりと感動が伝わってくる凄い演奏です。
私は気に入った曲は、どうしても色んな演奏家の録音を聴き比べしてしまうところがあり、このピアノソナタもしばらくは聴き比べが続きそうだ。
コメント    この記事についてブログを書く
« 今年の抱負 | トップ | ショパン ワルツ第10番 ... »

コメントを投稿

ピアノ」カテゴリの最新記事