緑陽ギター日記

趣味のクラシック・ギターやピアノ、合唱曲を中心に思いついたことを書いていきます。

エルネスト・ビテッティ演奏「アンドレス・セゴビア作曲 光のない練習曲」を聴く

2022-02-20 20:44:13 | ギター
エルネスト・ビテッティの演奏を久しぶりに聴いた。
アンドレス・セゴビア作曲 「光のない練習曲」
最も好きなギター曲の中の一つ。

Ernesto Bitetti: Estudio sin Luz




ビテッティの演奏を初めて聴いたのはいつだっただろうか。
多分、学生時代(1980年代前半)、兄がFMラジオから録音したアランフェス協奏曲を聴いたのが初めてだったと思う。
このアランフェス、なかなかの出来栄えで就職してから聴きたくなって中古レコードを買った。



その後、EMIだったか大手レーベルで浜田滋郎氏の解説付きで販売されたCDでのアランフェスの録音はあまり良くなかった。
そう、就職して20代の頃に初めてビデオデッキを買って初めてクラシックギターのビデオを買ったのもビテッティだった。



日本の曲だけを集めためずらしいアルバムも残した。



今日、久しぶりに「光のない練習曲」を聴いたが、ビテッティの演奏は素晴らしい。
感情が強くこみ上げてきた。
この「光のない練習曲」でセゴビアに次いでベストな演奏かもしれない。

この曲は、20代半ばで最悪の状態(「悲愴」を本能が求めるがごとくに聴きまくっていた時)よりも少し前に、ジョセフ:コスマ作曲、武満徹編曲の「失われた恋」とともに、あの暗い陽の当らない寮で何度も聴いていた曲だ。
東京に出てきた嫌というほど孤独感や寂しさ、荒涼としたものを感じて、胸が張り裂けそうな思いでいた頃だ。
ビテッティの演奏を聴いて、今の自分ならこの時の辛かった自分を抱きしめてあげたいと痛切に思った。

この頃聴いた「光のない練習曲」はエドゥアルド・フェルナンデスによる演奏だった。

ビテッティが使っている楽器はイグナシオ・フレタの70年代製作の表面板が杉材のものだ。
5弦の開放が「ゴーン」と鳴り響き、音の強い男性的な楽器だ。
私が最も理想とする音。タッチがビテッティのように強くないと太刀打ちできない楽器だ。
昨今の楽器では聴けない音。

おまけ。ディア・ハンターのライブ録音

Ernesto Bitetti plays Cavatina ( Live TV 1979 )
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2 コメント

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Unknown (けんいち)
2022-02-22 00:02:14
ビテッティって爪のものすごく長い人ですよね。あの爪でよく弾けるなあと思います。
光なき練習曲、私も好きな曲です。セゴビア作曲の唯一の名曲かも。
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Unknown (緑陽)
2022-02-22 21:07:06
けんいちさん、こんばんは。コメントありがとうございます。
私もたしか昔の現代ギターのインタビュー記事でビテッティの長い爪の写真を見たことがあります。
あとこれはちょっと記憶があいまいなのですが、フレットも短期間ですり減ってしまうとか。
「光のない練習曲」って暗くて、陰鬱でちょっと不気味なところがあり、セゴビアの意外な一面を感じますね。
リメンブランツアもいい曲ですが、おっしゃるようにこの「光のない練習曲」はセゴビアの音楽家としての実力を知る意味でも貴重な名曲だと思います。
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