堀内剛志氏の名前を知っている方はギター愛好家の中でも少ないと思う。
1981年セゴビア国際ギターコンクールの覇者であり、ジュリアン・ブリームも絶賛した当時最高の日本人ギタリストだ。
彼のその後について1990年代前半だったであろうか、偶然見たNHKのドキュメンタリで知った。
このドキュメンタリのことと、Youtubeでたまたま見つけた1981年セゴビア国際ギターコンクール直後の演奏音源を2年目の記事で紹介したが、後で引っ込めてしまった。
今日偶然にも昨日(11/24)にYoutubeに投稿された彼の1980年、それは1981年のセゴビア国際ギターコンクールの前年に行われたであろうリサイタルの一部(テデスコのソナタ)の音源を見つけた。
Tsuyoshi Horiuchi : Guitar Recital 1980
しかしそれにしてもこの当時これほどの実力者がいたとは信じがたい。
彼が国際コンクールに優勝したときもそれほど騒がれなかったし、マスコミや雑誌にも殆ど登場しなかった。
実に、本当に惜しい。
下記に後で引っ込めてしまった2019/7/19の記事の一部を転載する。
もっと彼のことが評価されることを願って。
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今日Youtubeで偶然、1980年代初めにセゴビア国際ギターコンクールで優勝したある日本人ギタリストのライブ録音を見つけた。
このギタリストとは、堀内剛志氏のことだ。
堀内氏のことを知っている人は恐らくギター界でもわずかだと思う。
私が彼のことを初めて知ったのが、大学2年生の時。
現代ギター誌1983年6月号に、来日したジュリアン・ブリームのインタビューが掲載されていたが、ブリームが審査に関わった1981年セゴビア国際ギターコンクールの優勝者である堀内剛志氏のことを絶賛していたのだ。
ブリームは堀内氏に1位を付けたと言っていた。
それだけでなく、「本当に素晴らしい演奏だった。」 「日本人ギタリストは音楽というよりはギターそのものに心を奪われてしまっている。しかしホリウチはとても音楽的だった。」とも言っている。
(中略)
堀内氏の実演に初めて触れたのは1981年セゴビア国際ギターコンクールの模様を撮影したドキュメンタリー番組の録画がYoutubeで投稿されているを見たときであったが、今日見つけたのは恐らくコンクール優勝直後に行われたであろう、優勝者記念コンサートの録音だと思われる。
この録音で彼の真価が初めて分かった。
(中略)、間違いなく現在、巨匠級の演奏家になっていたに違いないほどのレベルの演奏だった。
まず音が現在のギタリストと全然違う。
全く別次元の音だ。
生命感に溢れ、エネルギーに満ちており、芯があり力強い。
聴いているとこちらもエネルギーが底から湧き出てくるのを感じる。
これは間違いなくギターが好きでたまらない、という人間から発せられるエネルギーだ。
テクニックも素晴らしく、この力強い音でよくここまで弾けるのかと感じさせる。
ブリテンのノクターンを聴けばより顕著に分かるはずだ。
最後の部分の和音と単音の美しさは、何回も聴いたはずのこの曲の演奏で初めて意識した。
彼の音と演奏には現代のギタリストが失ってしまったものが確実にある。
何が本当の音か、麻痺して分からなくなってしまった昨今の若手ギタリストには是非聴いて欲しい。
得られるものが必ずあるはずだ。
堀内氏の努力が埋没したままになっているのは忍びない。
こういう記事を書くことに迷いもあったが、そのことでもし彼の努力が報われるのであれば、と願いたい。
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1981年セゴビア国際ギターコンクールの覇者であり、ジュリアン・ブリームも絶賛した当時最高の日本人ギタリストだ。
彼のその後について1990年代前半だったであろうか、偶然見たNHKのドキュメンタリで知った。
このドキュメンタリのことと、Youtubeでたまたま見つけた1981年セゴビア国際ギターコンクール直後の演奏音源を2年目の記事で紹介したが、後で引っ込めてしまった。
今日偶然にも昨日(11/24)にYoutubeに投稿された彼の1980年、それは1981年のセゴビア国際ギターコンクールの前年に行われたであろうリサイタルの一部(テデスコのソナタ)の音源を見つけた。
Tsuyoshi Horiuchi : Guitar Recital 1980
しかしそれにしてもこの当時これほどの実力者がいたとは信じがたい。
彼が国際コンクールに優勝したときもそれほど騒がれなかったし、マスコミや雑誌にも殆ど登場しなかった。
実に、本当に惜しい。
下記に後で引っ込めてしまった2019/7/19の記事の一部を転載する。
もっと彼のことが評価されることを願って。
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今日Youtubeで偶然、1980年代初めにセゴビア国際ギターコンクールで優勝したある日本人ギタリストのライブ録音を見つけた。
このギタリストとは、堀内剛志氏のことだ。
堀内氏のことを知っている人は恐らくギター界でもわずかだと思う。
私が彼のことを初めて知ったのが、大学2年生の時。
現代ギター誌1983年6月号に、来日したジュリアン・ブリームのインタビューが掲載されていたが、ブリームが審査に関わった1981年セゴビア国際ギターコンクールの優勝者である堀内剛志氏のことを絶賛していたのだ。
ブリームは堀内氏に1位を付けたと言っていた。
それだけでなく、「本当に素晴らしい演奏だった。」 「日本人ギタリストは音楽というよりはギターそのものに心を奪われてしまっている。しかしホリウチはとても音楽的だった。」とも言っている。
(中略)
堀内氏の実演に初めて触れたのは1981年セゴビア国際ギターコンクールの模様を撮影したドキュメンタリー番組の録画がYoutubeで投稿されているを見たときであったが、今日見つけたのは恐らくコンクール優勝直後に行われたであろう、優勝者記念コンサートの録音だと思われる。
この録音で彼の真価が初めて分かった。
(中略)、間違いなく現在、巨匠級の演奏家になっていたに違いないほどのレベルの演奏だった。
まず音が現在のギタリストと全然違う。
全く別次元の音だ。
生命感に溢れ、エネルギーに満ちており、芯があり力強い。
聴いているとこちらもエネルギーが底から湧き出てくるのを感じる。
これは間違いなくギターが好きでたまらない、という人間から発せられるエネルギーだ。
テクニックも素晴らしく、この力強い音でよくここまで弾けるのかと感じさせる。
ブリテンのノクターンを聴けばより顕著に分かるはずだ。
最後の部分の和音と単音の美しさは、何回も聴いたはずのこの曲の演奏で初めて意識した。
彼の音と演奏には現代のギタリストが失ってしまったものが確実にある。
何が本当の音か、麻痺して分からなくなってしまった昨今の若手ギタリストには是非聴いて欲しい。
得られるものが必ずあるはずだ。
堀内氏の努力が埋没したままになっているのは忍びない。
こういう記事を書くことに迷いもあったが、そのことでもし彼の努力が報われるのであれば、と願いたい。
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たまたま、先日(11/24)次の動画を発見して感動してしまいました。
https://www.youtube.com/watch?v=OwNPBYyz4eY
1981年セゴビア国際ギターコンクール後の収録のものですが、バッハ、テデスコ、ブリテンを演奏しています。
もしかしたら、以前に緑陽様に紹介いただいたものかもしれませんが。
アグアド
アグアドさんも同じタイミングで堀内氏の演奏をお聴きになっていたのですね。
昨日私が記事にしたテデスコのソナタは1980年の録音ではなく、1981年セゴビア国際コンクール後のリサイタルの1曲だったようです(失礼しました)。2年前に聴いたのがこの演奏でした。
ただ音を出しているという次元を超えた、現代の生演奏ではもはや聴くことのなくなった素晴らしい演奏です。
お元気でしたか。
緑陽さんの書かれた記事は、毎回楽しみに読ませていただいております。
特に楽しいのは、緑陽さんの料理かな?(笑い)
私は若い時に2年ほど『札幌マンドリンクラブ』というところで、ギターを弾いていたことがあります。そのサークルが去年で50周年を迎え、記念コンサートを予定していたそうなんですけど。コロナで、今年に延期になりました。そして、先日、1年遅れで開催され、招待券をもらったので聴きに行ってきました。プログラムで楽しめたのは、ベートーヴェンのピアノソナタ悲愴の2楽章でしたね。
演奏に参加していた昔の友人10名ほどで会食をしたのですが、マンドリンを演奏していた人に、『あの曲好かったね』。といったら『一番難しかった』。と言っていました。
1981年のセゴビアコンクールで優勝した、堀内剛志さんの演奏、素晴らしいですね。
1970年代後半バルエコなんかが出て来てから、ギターを聞かなくなった時なんですね。Youtubeにセゴビアコンクールのダイジェストもあり、聴いてみたのですが、フィスクやグロンドーナ、岩永さんなどを差し置いての優勝ですから凄いですね。ファイナルのコンチェルトで、ロドリーゴではなくポンセの『南の・・・』を選択したのもセンスですね。(私は、ロドリーゴよりポンセの方が音楽的に上と思っています)
参加した岩永さんといえば、稲垣さんがライバルと認めていた人ですよね。稲垣さんも美音ですが、堀内さんに比べたら「音の持つエネルギ」「芯の強さ」「音楽の大きさ」を考えたら・・・。ブリームが「・・・しかもホリウチはとても音楽的だった」。も真実味がありますね。彼が80年代以降活躍してくれていたなら、バルエコやラッセルのようなギタリストの影響は緩和されたかもしれませんね。
緑陽さんの記事で、ブリームが審査員に加わっていたとのことで『ノクターナル』が課題曲だってわかりました。ノクターナルを演奏している堀内さんの表情がYouTubeで見ることができるのですが、音楽の事だけを考えているのが見て取れますね。
昨日、私のギターの先生に、堀内さんの事を聞いたのですが・・・。繊細過ぎる精神の持ち主で、優勝したプレッシャーに押しつぶされて、しかも、左指を痛めてしまい、ギタリストを断念したそうです。私の先生もタッチの強い素晴らしく芯のある音を出します。その先生が、『堀内さんは凄かった』。と言っていましたね。
緑陽さんの言うように、YouTubeで見る、若手ギタリストの貧弱な音には『もうやめてくれ』。となってしまいますね。彼らはセゴビアを知らないのでしょうね。いや本当に。(笑い)
それにしても悔やまれる逸材ですね。
ここ2年ほどは、中野剛志さんの影響でしょうね。経済に興味を持ち、色々な本を読み漁っています。少しは確信を持てるようになってきましたので。これから頻繁に、緑陽さんにコメントをさせていただきますね。(笑い)
寒さ厳しい折、緑陽さんに於かれましては、どうかご自愛ください。 fado(札幌)
お元気そうで何よりです。
コロナをきっかけに勤め先で在宅勤務が制度化されて、昨年から勤務日数の5,6割の割合で在宅で仕事をしています。1日の通勤時間が4.5~5hですからこれは助かります。
しかし体重が2,3キロ増えてしまったり、夜更かしは相変わらずで睡眠時間4,5時間、先ほどはギターを弾きながら寝てしまう始末でした。
さて堀内剛志さんの演奏ですが本当に素晴らしいです。実はこの1981年のリサイタルの録画が今から1年前にYoutubeに上がっているのを聴いて、度肝を抜かれてすぐに当ブログの記事に取り上げたのですが、もしかするとご本人がこの記事を見つけて読んだら気持ちを害したり迷惑に思われるのではないかと思い、その後記事を引っ込めてしまいました。
というのも90年代半ばにたまたま実家で、指を故障されたあとの堀内さんが出演されているNHK番組を見ており、指の故障の理由も分かっていたからです。
しかし先日別のYoutube投稿で彼の演奏を聴いて、このまま彼が埋もれたままになっているのは実に残念だし、彼のことがもっと高く評価されてしかるべきだと感じて、思い切って再び記事にしました(しかし反面、そっとしておいたあげた方がよかったのかもと思っているのですが)。
先のNHKドキュメンタリーで堀内さんは欠落した指でアルハンブラの想い出を弾いてくれたのですが、凄く瑞々しい生気に溢れた音でした。
fadoさんの先生がおっしゃるように現役の堀内さんの生の音はもっと凄かったのでしょう。
堀内さんのことをインターネットで調べて見たら、「復活のコンサート」という言葉が検索で出てきました。もしかすると再起を図ろうとしていたのかもしれません。
確かにYoutubeで氾濫している、貧弱な音を過度な電気処理でごまかしているギタリスト諸氏の演奏はもううんざりですね。
何でもっとタッチを研究しないのかと。
fadoさんも昔マンドリン合奏をやられていたのですね。私の母校マンドリンクラブでは再来年に55周年記念演奏会をやるかもしれないなんて話が出ていて大いに期待しています。
ギター以外では、若い頃に聴きまくったチャイコフスキーの「悲愴」(ベートーヴェンの第8番ではありませんが)をまた聴きまくろうと思って、1枚500円ほどの中古CDを10枚ほど買い込み、これから聴く所です。
北海道もさぞ寒くなったでしょう。私の高齢の母も今年春にとうとう施設に入ってしまい、年末年始に帰省して約1年ぶりに会う予定です。
ではfadoさんもお体を大切になさって下さい。
こちらの記事を教えていただきました。
兄の音を覚えていてくださり、
本当にありがとうございます。
感謝の気持ちでいっぱいです。
コメントを読ませていただき、涙が出てきました。
記事にあげることに迷いもありましたが本当に良かったです。
ありがとうございます。
お兄様のギターの音は聴く人が意識していなくても深く心に刻まれるものです。
それほど素晴らしいものを持っています。
お兄様のこの演奏を聴いた全ての人々が、ギターの真の魅力である、瑞々しい生命力に満ちた音楽を感じ取っていることを確信しております。
ご挨拶が遅れまして申し訳ありません。
心に染み入るお気持ちを
本当にありがとうございます。
みなさんのコメントも
拝見させていただき
胸を打たれました。
ご心配いただいております
コンクール後の出来事につきましては
今後のプレッシャーなどではなく
ギターと自身の関係性を変えたくは
なかった故の出来事であると
受け止めていただけますと幸いです。
現在兄は
公の場でギターを弾くことはありませんが
音楽を変わらず愛しぬいて暮らしております。
父が亡くなったばかりの時
父の眠る部屋から聞こえてきた
埴生の宿
兄のギターの音色はまさしく
父を空へと押し上げていました。
本当にありがとうございます。
お兄様の現在のご様子をお聞きし、安心いたしました。
お兄様はとても誠実な方ですね。苦難を乗り越えられてきたのですね。
いただいた文面から伝わってきます。
私も2年半ほど前に父を亡くしました。
亡くなったあと病院から実家に運ばれていた父の顔は、生命を失っているようには見えませんでした。
私もお兄様と同じように父の近くでギターを弾きました。
私の最も好きなギター曲である「最期のトレモロ」という曲を弾いていました。
大切なお父様との素敵なエピソード。
ありがとうございます。
本当はメッセージを
させていただきたかったのですが、
コメント欄しか見つからず、
長々と失礼いたしました。
今後も音楽と共に
どうか幸多き人生をお過ごしください。
今回このような形ではありましたが、お話できたことを嬉しく思います。
お兄様とともに、実り多き日々になりますようお祈りいたしております。