緑陽ギター日記

趣味のクラシック・ギターやピアノ、合唱曲を中心に思いついたことを書いていきます。

練習不足なのにいい演奏をしようと欲張るから緊張による葛藤により夥しい汗をかいたヴィラ・ロボス前奏曲第1番

2023-04-22 21:32:49 | ギター
演奏会本番、何の緊張もなく気持ちよく演奏できる人がいる一方で、極度の緊張で思うように弾けない人がいる。
私は後者の方だ。

人前で弾く機会は今まであまりなかったが、古い記憶では高校時代に音楽の授業で、先生や生徒たちの前でクラシックギターを弾いた体験があった。
1回目はタレガのタンゴを弾いた。
この曲は、この時以来、全く弾いていないのだが、何故か不思議なことに緊張もせず全くのミスもなく弾くことができた。
そして全く想定外であったのだが後日、担任の先生(何かにつけて私の顔を見て「顔が青いね」と言ったり、ささいなことで私の頭をパシンと叩いたりしたものすごく嫌な先生だったが)から、ある日、「音楽の〇〇先生から聞いたけど、お前のギターのことえらく絶賛していたぞ、「これほどの演奏、これまで聴いたことがない」とか言っていたぞ」と言われたのである(ちょっと自慢になったが)。
この出来事は、当時、いつ貧血で倒れてもおかしくないほど青い顔をして、殆ど誰ともしゃべらず勉強ばかりしていて暗かった私にとって自信を与えてくれるものであり、とても嬉しかったことが思い出される。

何故このときのタンゴの演奏が上手くいったのか、改めて考えてみると、私は当時この曲がものすごく好きだったのである。
中学2年生の時に初めて買ったクラシックギターのレコード、それは6弦時代のナルシソ・イエペスのレコードであったが、このレコードの中にタレガのタンゴが収録されており、その音楽と演奏にすっかりとりこになっていたのある。
早速、全音のギターピースを買って何度も練習した。
そしてこの曲に自信を持っていた。そして独学のくせにクラシックギターにも根拠の無い自信をもっていた。(中学時代、エレキが一番だと信じて疑わなかった同級生にこの曲を聴かせて、その信念をぐらつかせたこともあった。)
中学、高校時代のことを思い出してみると、この頃は本当にクラシックギターに熱狂していたと思う。
この「好き」という思いに完全没入することが、本番で上手くいく鍵なのではないかと思う。

高校3年生のとき、セゴビアのレコードで聴いたヴィラ・ロボスの前奏曲第1番に感動し、好楽社からマックス・エシッグ社の輸入楽譜を取り寄せ、これも音楽の授業で弾いたが、この時はやや練習不足であまりいい出来ではなかった。
やはり練習不足では本番でいい演奏にならないということである。
ただ、家での練習で完璧に弾けても本番で上手くいかないこともある。
しかし、「演奏しているときに、弾いている音楽に自ら感動する」ことができるのならばうまくいくのではないかという気がしている。
それは音楽に没入し、音楽の波に自然に乗っている状態である。
「雑念」の全く入っていない状態である。
先の「タンゴ」を弾いたときもそういう状態だったと思う。

先ほど、ヴィラ・ロボスの前奏曲第1番を弾いてみたが、結構雑念が入った演奏である。
原因は練習不足であろう。

練習不足なのにいい演奏をしようと欲張るから緊張による葛藤により夥しい汗をかいたヴィラ・ロボス前奏曲第1番 2023年4月22日夜
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