緑陽ギター日記

趣味のクラシック・ギターやピアノ、合唱曲を中心に思いついたことを書いていきます。

東北・牡鹿半島ローカル線の旅(3)

2022-03-06 22:51:10 | 旅行
(前回からの続き)

14:15 石巻着。
13:51発、計画で乗車する予定だった小牟田行きが幅に遅れている。結局、13:51発は運休となった。
14:31発で行っても仙石線の乗り換え駅、前谷地で1時間待ち合わせだし、気仙沼線は遅れていないようだから、気仙沼には計画通りに到着することになる。だいぶ安心した。
これで講習会の友人を待たせることは回避された。

14:31、石巻駅発車。
14:40、鹿沼駅で貨物列車行き違いのために待ち合わせ。DD200という型式の小型のディーゼル機関車が牽引していた。
14:55、前谷地着。
乗り換え客が結構降りた。改札を出て電光の時刻表を見たら、気仙沼線の表示が無い。
もしかして気仙沼線は運転しておらず、代替バスのみとなったのか。
事前に調べた時刻表では、両方共並行運用(列車とバス)での時刻となっていた。

降りた乗客たちはみんな駅を出てすぐのバス停に行き、近くに待機している停車中のバスを待っている。このバスは15:10発柳津行のバスだ。
前谷地 – 柳津間は今日現在、バスのみの運行になってしまったのかと不安になり、私も彼らといっしょにバス停に並んだ。
しかし何か変だ。さっきヤフーの路線情報で15:56、前谷地発柳津行の普通列車が通常運行通りで表示されていたので、列車が運行中止となったとは考えにくい。
そこで駅に戻ってもう一度時刻表を確かめることにした。
駅構内の電光の時刻表はさっき見たとおり気仙沼線の表示は無く、石巻線のみの表示であったが、構内をよく見るとパネルの時刻表が上方に掲げられていおり、そこに気仙沼線の表示があった。
15:56、②番ホーム、確かにあった。バス停に向かった乗客たちにつられていっしょにバスに乗らなくてよかった。まずは一安心。

しかし待ち時間は1時間もある。
前谷地駅はとても小さく、しかも無人駅だ。暖房の効いた待合室などなく、改札口そばにベンチがあるだけ。ここで待つのはしんどいので、駅を出てどこか時間をつぶす所を探そうと駅を出てみたが、駅周辺には何も無い。



シャッターの降りたさびれた小さな商店がいくつかあるくらいで、あとは民家のみ。人も見かけない。
それでもあの寒い駅の中でさすがに1時間も待てないので、しばらく駅周辺を歩くことにした。

雪こそ降っていないが、冬の荒涼とした曇天であった。積もった雪がべしょべしょに溶けている。
これから日が暮れると凍ってアイスバーンとなるであろう。
しかし500mほど歩いても時間をつぶせそうな所は無かった。観光地の気配は全く無い。
商店も殆ど無い。あるのは寂れた民家だけだ。
踏切を渡ってしばらくのところで仕方なく駅に引き返すことにした。

ここでちょっと失敗に気が付いた。
前谷地に降りずに小牟田までそのまま行ってしまって、小牟田から柳津行の列車に乗れば、小牟田・前谷地間の乗車が未消化(未実現)とならずに済んだのである。
これは失敗したな。前もって用意周到に綿密な抜け目のない計画をしていればこのようなことにならずに済んだのである。
この小牟田・前谷地間のわずかな区間でのスポット路線を、これからいつ乗車できるチャンスがあるだろうか。
まあいいか。いつか東北地方を列車で行く機会はあるだろう。その時に立ち寄ればいいのだ。
近くに岩切・利府間に未乗車区間がある。そこを乗るときに乗ろう。

15:56、定刻通りに柳津行のワンマンカー(ディーゼル)1両編成が到着、乗車する。
16:18、柳津着。
運転手に女川で受け取った乗車証明書を見せて、気仙沼で精算することを告げると共に、柳津から気仙沼行きの乗り換え列車の時刻を念のため聞いてみた。
すると運転手は「バスでの乗車となります」との返答。何とこれは全くの予想外だった。この路線がバスに置き換わっていたとは全く気付いていなかった。
そういえば路線図での駅の数がやけに多かったのが気になっていたのであるが、駅というよりバス停であった。
気仙沼線は既に廃線となっていたのだ。



気仙沼行きのバスは改札を出てすぐのところにあった。16:44発なので25分の待ち合わせ。
小さな待合室があったので、そこで待つことにした。
暖房などは無く、寒い。外は日が暮れる頃であった。駅周辺な何もなく、曇天の中、荒涼としていた。
待合室には私の他、4人くらの待ち客がいた。おそらく帰省客か地元の人であろう。

寒い思いをして待っているとバスがやって来たので、待合室を出て乗り場に向かった。
長距離なのに粗末な路線バスの車体だった。
バスの後輪の床が盛り上がった、座席が一段高くなった座席に座る。
16:44、定刻通りの発車。
驚いたのは、バスは普通の一般道を走行するのではなく、鉄道の廃線跡に出来た専用道路を走っていることだった。
1車線の幅の道路で、信号も無ければ対向車も無い。
たまに反対方向から来るバスとかち合う時のみ、どちらかのバスが脇に待機する。
これは思うに運転は爽快だろう。バスの時間が遅れるのは悪天候などの障害が発生したときだけだろう。
この専用道路も志津川の手前までだった。この後は一般道に合流し、そこでの運行となった。
しかしこの後ずっと一般道での走行だと思っていたら、運行経路の殆どが廃線跡の専用道路で、途中、ところどころで一般道に合流というということが分かった。

日頃の寝不足、疲れのせいか、居眠りをする。
バスが雪道のせいで結構揺れるのと、下を向いて居眠りをしていたせいか、少し酔ったようだ。
バスに酔ったことなど今まで一度も無いのにどうしたのだ。
バスの後輪の直ぐ上の盛り上がった床の上に設置された座席を選んだのが良くなかった。
雪道というかアイスバーンによる揺れを感じ取った後輪の振動が座席に敏感に伝わってきているようだった。
このままいったらもしかして、気分が悪くなって最悪、ゲロを吐くのではないのかという不安に襲われた。気仙沼まであと1時間半以上もある。
昼に女川で食べた高級料理「女川丼」1,500円が、台無しとなってしまうのか。
じりじりと襲ってくる不安を感じるなか、そういえば着替えを入れるビニール袋を持ってきたことを思い出した。
最悪これに始末すればいい。とりあえず良かった。これでかなり気分は落ち着いた。
日はとっくに暮れていたが、外の景色を眺めているとほどなくして気分は元に戻った。

(次回に続く)
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