緑陽ギター日記

趣味のクラシック・ギターやピアノ、合唱曲を中心に思いついたことを書いていきます。

恐怖の向き合い方(1)

2021-08-21 21:37:56 | 心理
ネガティブ、マイナスの感情と言われるものには、恐怖、不安、怒り、憎しみ、不満、悲しみ、寂しさ、孤独感、あせりなどといった様々なものがある。
人間である以上、これらの感情を感じることは避けられない。
人間が生きていくために必要な感情であるからだ。

これらのマイナス感情は通常、感情を引き起こす体験が去っていけば、おのずと自然に解消するものである。
しかし何らかの原因、理由により、これらのマイナス感情が絶えず継続的に生じることがある。
このマイナス感情が意識的、無意識的にかかわらず継続的、持続的に発生している状態を、心の苦しみ、心の病、一昔前のいい方だと神経症、ノイローゼなどと言った。

このマイナス感情の中で、最も解消されにくく、扱いの難しい感情は、自分の体験上、「恐怖」であると言いたい。
恐怖が原因となっている心の病としては、対人恐怖症を始めとする様々な恐怖症と言われるものだ。
人と対面したり、特定の状況においてのみ発生するのであれば、それほどでもないだろうが、1日24時間、寝ても覚めても、どこにいても、どんな状況下であっても、絶えず恐怖を感じている状態というのが、最も救い難い恐怖症なのだ。
それも、まともに感じると「ギャー」と叫んで気絶してしまうほどの強さを持つ恐怖だ。
このような強い恐怖はまともに感じると心が崩壊する危険があるから、大抵は潜在意識に抑圧されている。
しかしいくら潜在意識に抑圧されていても、無意識的には24時間いつでも感じているために、抑うつ、エネルギーの枯渇、何とも言えないどうすることも出来ない苦しさ、といったものに苦しめられる。

恐怖だけであるならばまだいいのであるが、恐怖という感情は、他の様々なマイナス感情を派生させる。
例えば強い恐怖が絶えず心に生じていると、それがために言いたいことが言えない、したいことが出来ない、いつも苦しい、人と親しく出来ない、独りで居ることを余儀なくされる、人から責められるのではないか、責められないために責められない人間に1秒でも早くならなければならないと強迫観念にかられ実際そう行動する、自分は愛されない人間だ、自分は周りから嫌われている、といった、恐怖がトリガーとなった感情、恐怖から逃れるためにとった行動から派生する感情、すなわち、冒頭にあげた、怒り、不安、憎しみ、不満、悲しみ、寂しさ、孤独感、強迫感、あせり、自責などといったあらゆるマイナス感情が同時に連動して湧き起ってくるのである。
しかも多くの場合、これらの派生感情が絶えず連動して発生してきていることに当の本人は意識できずに、無意識下で起きていることに気付かない。
このような心の状態が長く継続的に続くと、うつ状態となる。
薬物療法で治らないうつ病の殆どはこのパターンによるものだと思われる。
それゆえに、心の苦しみのうち恐怖をメインに起因するものが最も辛いものであると言えるのである。

しかもやっかいなことがある。
それは恐怖を無意識に抑圧している場合、意識下に昇らせることが容易でないばかりでなく、恐怖を解消、浄化するのが他のマイナス感情に比べて非常に困難であることだ。
マイナス感情のうち、悲しみ、孤独感といった感情は、意識下にまで引き出すことは比較的容易だし、意識下で感情を感じ尽くすならば時間とともに自然に開放、浄化されていく。怒りも同様だろう。
しかし恐怖はそれを行うのはたやすくない。
恐怖が他のマイナス感情に比べ、肉体に現れる現象、例えば破壊的な肉体硬直、痛み、痙攣、めまい、貧血、パニック、フラッシュバックなどの苦痛をもたらすことにもよる。

そもそも恐怖が絶えず持続してしまうのは何故なのか。
ここで言う恐怖は対人関係から来るものに限定して考えたい。
対人的に感じる恐怖は、単独あるいは複数の人から精神的に攻撃されたり、責められたりすることで起きる。
しかし仮にその他人からの精神的攻撃、責めが、理不尽であり、自分には本質的には無関係でむしろその人自身の心の問題が原因であった場合、その事実を客観的に理解できずに、しかもその原因が言われた自分自身にあると受け止めたとしたならば、心にどのような影響が生じるだろうか。

それは「自分が悪いから、自分に落ち度があるから責められるんだ。だから人から責められないような人間に一生懸命ならなければならない」という、自分自身への規範、観念、メッセージを自ら潜在意識に刷り込み、自動回路のように心の奥深くに強固に根付かせてしまうのではないか。
その結果、この観念、メッセージが潜在意識に強固に張り巡らされ、その状態が続いている限り、恐怖の感情が絶えず起きて苦しみに満ちた人生を歩まざるを得なくなるのである。

(この続きは後日にします。続きはこの苦しい自動回路や恐怖をどうしたら解消していけるかについて書いていくことにします)

【追記202108222007】
脱字修正、一部加筆。
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