緑陽ギター日記

趣味のクラシック・ギターやピアノ、合唱曲を中心に思いついたことを書いていきます。

チェロの巨匠 ピエール・フルニエのバッハ 無伴奏チェロ組曲を聴いた

2012-03-10 21:56:19 | チェロ
こんにちは。
前回のブログでチェロの巨匠であるフランスのピエール・フルニエのCDを20年ぶり
に聴いた話をしました。
20年前にフルニエの演奏を聴くきっかけとなったのが、音楽之友社から出版された「
クラシック 不滅の巨匠たち」という本に紹介されていたフルニエの記事を読み、その
中でフルニエがギターのセゴビアの音を聴いて感動したことを知り、フルニエがどのよ
のな演奏をするのか聴いてみたかったことです。
しかし初めてフルニエの演奏を耳にした時、チェロの音が当時の私には強すぎて抵抗が
を感じた為、聴くことを止めてしまったんですね。今から思うと惜しいことでしたが。
先日20年ぶりにフルニエのCDを聴いてその素晴らしさに感動し、すぐに他の演奏も
聴きたくなり、バッハの無伴奏チェロ組曲のCDを買いました。





上のCDが1960年、フルニエが54歳頃のスタジオ録音、下のCDが1959年
のコンサートのライブ録音です。
無伴奏チェロ組曲というと、パブロ・カザルスの演奏が有名ですが、私は20代の頃
に初めて聴いたときにはあまりいい印象を持ちませんでした。
下は20代の半ばに買ったカザルスのCD。全曲聴かなかったかもしれない。



今回買ったCDはフルニエが最盛期の超名演です。ギター以外の弦楽器でこんな素晴ら
しい演奏を聴いたのは久しくないです。思い出せるのはヘンリク・シェリングのバッハ
の無伴奏バイオリン・ソナタやパルティータを聴いたとき以来かな。
このフルニエの演奏を聴いていると、音楽など芸術を人間が何故必要とするかがわか
るような気がする。フルニエの演奏は格調高いのに歌い方が実に自然である。内面から
泉のように湧き出てくるもの、そのものに従い弾いているように感じる。
当然であるが決して頭で計算した演奏ではない。
1959年のライブ盤ははじめスタジオ録音かと思った。後半になり疲れが出たのか
音が鳴りきらない箇所もあったが、技術的は完璧な演奏で、コンサートでこれほどの
レベルの高い演奏をする演奏家は極めて少ないのではないか。しかもバッハの無伴奏
チェロ組曲という難曲である。
フルニエはパリ音楽院でガブリエル・フォーレに指導を受けたようです。フォーレは
私の最も好きな作曲家なのですが、フォーレのように人間の深い精神性を表現できた
作曲家から多くのものを学んだにちがいありません。
フルニエの音楽をこれからも聴き続けていくと思います。偶然ではあるがこの演奏
に出会えて良かった。
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