世界の中心で吉熊が叫ぶ

体長15センチの「吉熊くん」と同居する独身OLの日常生活

「最後だとわかっていたなら」

2014年09月19日 21時44分46秒 | Weblog
会社を早退し、大学時代からの友人・潤一くんのお父様の通夜に参列した。

親族席に施主として座る潤一くん。
お父様が天に召されてからこの一週間弱をどんな気持ちで過ごしていたのだろうと考えると胸が痛む。
私は彼のお父様とは面識はない。潤一くんとの会話にあがる様子を繋ぎ合わせ、優しそうな人だなと想像していた。今日見た遺影のお父様も優しそうで、そして、ちょっと眉毛が潤一くんに似ていた。

容態が悪いという知らせを受け、海外から帰国した潤一くん。
お父様とは7時間、一緒にいられたらしい。
お父様、きっと潤一くんの帰りを待っていたんだろう。




寒色系の花々で流線状にあつらえられた祭壇。
その上に遺影。
鎮魂のメロディが流れる中での黙祷。

施主のあいさつで、潤一くんが詩を朗読した。
事故で娘さんを亡くしたお母さんの詩とのこと。



「最後だとわかっていたなら」
作・ノーマ コーネット マレック / 訳・佐川 睦

あなたが眠りにつくのを見るのが
最後だとわかっていたら
わたしは もっとちゃんとカバーをかけて
神様にその魂を守ってくださるように
祈っただろう

あなたがドアを出て行くのを見るのが
最後だとわかっていたら
わたしは あなたを抱きしめて キスをして
そしてまたもう一度呼び寄せて
抱きしめただろう

あなたが喜びに満ちた声をあげるのを聞くのが
最後だとわかっていたら
わたしは その一部始終をビデオにとって
毎日繰り返し見ただろう

あなたは言わなくても
分かってくれていたかもしれないけれど
最後だとわかっていたら
一言だけでもいい・・・「あなたを愛してる」と
わたしは 伝えただろう

たしかにいつも明日はやってくる
でももしそれがわたしの勘違いで
今日で全てが終わるのだとしたら、
わたしは 今日
どんなにあなたを愛しているか 伝えたい

そして わたしたちは 忘れないようにしたい

若い人にも 年老いた人にも
明日は誰にも約束されていないのだということを
愛する人を抱きしめられるのは
今日が最後になるかもしれないことを

明日が来るのを待っているなら
今日でもいいはず
もし明日が来ないとしたら
あなたは今日を後悔するだろうから

微笑みや 抱擁や キスをするための 
ほんのちょっとの時間を
どうして惜しんだのかと
忙しさを理由に
その人の最後の願いとなってしまったことを
どうして してあげられなかったのかと

だから 今日
あなたの大切な人たちを
しっかりと抱きしめよう
そして その人を愛していること
いつでも
いつまでも 大切な存在だということを
そっと伝えよう

「ごめんね」や「許してね」や
「ありがとう」や「気にしないで」を
伝える時を持とう そうすれば
もし明日が来ないとしても
あなたは今日を後悔しないだろうから






実はここ二日ほど、母ヨーコたんと喧嘩をしていた私。
っていうか一方的に私が電話で逆上しただけなのだが。
ずっと心が苦しくて痛かった。心が鉛のようになるのは久々で時々仕事をする手が止まってしまっていた。

今日の通夜でこの詩に出会い、帰りのバスの中で即、母にごめんねメールを送信。
だってあの喧嘩が彼女との最後になってしまったら嫌だもの。
そうなる可能性も少なからずあるわけで、そうしないために、なんの躊躇いもなく、送信。
(帰宅後、母から電話がキター!!)




通夜振る舞いのあと、喪主であるお母様と潤一くんにあいさつをすることができた。
・・・色々かけて差し上げたい言葉はたくさんあるのだけれども、・・・言葉にできない。
「このたびは大変だったね。ご愁傷様です」
と彼の肩に手をやるのが精一杯だった。
彼は精一杯、気丈に振舞っていた。

お父様がいたから私は潤一くんと出会うことができた。

潤一くんのお父様の安らかな眠りをお祈りいたします。


今日、早退する時、広場に曼珠沙華の花が咲いているのを発見。
出勤時には目に入らぬ角度で、退社時には真っ暗で、今までここに咲いているのを知らなかった。