最近、社長が稟議決裁を迅速にしてくれる。各部から集まる稟議書(~を買いたいのですが良いですか?とお伺いを立てる書類)を取りまとめる進達者としては嬉しい。
社長の机に、副社長の捺印済みの稟議書を置いておくと翌日にはサインをしてくれる。
昔、社長はなかなかサインをしてくれなかった。
「稟議書にサインをすることはね、お金を使うことに繋がるからね、嫌なんですよね…うぐぐー」と言っていた(「うぐぐ」は彼の口癖)。ここまでしないと堅実経営とは成しえないことらしい。
1ヶ月ぐらいの放置なんてザラだった。
その都度、私が書類を持って彼を追いかけ回し(当社の社長は社長室にはいない)、挙げ句、彼は私を見ると本気で逃げるようになってしまった。
社内鬼ごっこ状態である。
森のくまさん、逆バージョンとでも言おうか。
スタコラサッサと逃げるんである。
あれ?さっきまでいたのに、と辺りを見渡すと、両手をゆさゆさと揺らしながら小走りに去って行く彼の背中を目撃したときは切なくなった。
終いには、彼の家に稟議書を持っていき、サインをもらうようになった。
それがあまりにも嫌だったのだろう。
「私、なるべく早くサインしますので、家には持ってこないでください。うぐぐ」
と懇願された。
またどうせ溜めるんでしょ?と疑心暗鬼だったのだが、きちんとサインをするではないか。
社長は気持ちを入れ替えた。
稟議書の起案者にとっても業務を円滑に行うことができるので良いことだ。
私にも会社の流れの一部である責任感が芽生えて、気持ちにハリが出てきた。
稟議書を管理して10年目の私。
失われた10年を取り戻すべく、この業務をきちんとこなしたい。
社長の机に、副社長の捺印済みの稟議書を置いておくと翌日にはサインをしてくれる。
昔、社長はなかなかサインをしてくれなかった。
「稟議書にサインをすることはね、お金を使うことに繋がるからね、嫌なんですよね…うぐぐー」と言っていた(「うぐぐ」は彼の口癖)。ここまでしないと堅実経営とは成しえないことらしい。
1ヶ月ぐらいの放置なんてザラだった。
その都度、私が書類を持って彼を追いかけ回し(当社の社長は社長室にはいない)、挙げ句、彼は私を見ると本気で逃げるようになってしまった。
社内鬼ごっこ状態である。
森のくまさん、逆バージョンとでも言おうか。
スタコラサッサと逃げるんである。
あれ?さっきまでいたのに、と辺りを見渡すと、両手をゆさゆさと揺らしながら小走りに去って行く彼の背中を目撃したときは切なくなった。
終いには、彼の家に稟議書を持っていき、サインをもらうようになった。
それがあまりにも嫌だったのだろう。
「私、なるべく早くサインしますので、家には持ってこないでください。うぐぐ」
と懇願された。
またどうせ溜めるんでしょ?と疑心暗鬼だったのだが、きちんとサインをするではないか。
社長は気持ちを入れ替えた。
稟議書の起案者にとっても業務を円滑に行うことができるので良いことだ。
私にも会社の流れの一部である責任感が芽生えて、気持ちにハリが出てきた。
稟議書を管理して10年目の私。
失われた10年を取り戻すべく、この業務をきちんとこなしたい。