世界の中心で吉熊が叫ぶ

体長15センチの「吉熊くん」と同居する独身OLの日常生活

雨にも負けぬサラリーマン ~宮沢賢治 最期の2年半~

2010年05月13日 22時35分50秒 | Weblog
昨夜の「歴史秘話ヒストリア」は、宮沢賢治について。「雨にも負けぬサラリーマン ~宮沢賢治 最期の2年半~」

私が宮沢賢治を知ったのは小学校5年生のときだ。熱心な担任の福田先生が「雨にも負けず」を教えてくれた。暗記して一人づつ先生の前で披露できないと下校できなかった。他にもカール・ブッセ「山のあなた」や朱熹の「偶成」、「喜びの歌」のドイツ語バージョン、百人一首なども覚えないと下校できなかった。

ようやく覚えた「雨ニモマケズ」。家族に報告したら、父が自室から井上陽水のカセットテープを取りだしてきて、「ワカンナイ」をニヤニヤしながら再生してくれた。「雨ニモマケズ」をモチーフにした歌だった。

そんな経緯があるので、私の中で宮沢賢治は特別な存在なのである。
昨夜の放送は、宮沢賢治のサラリーマン時代にスポットを当てた内容だった。
宮沢賢治ったら、農業か作家を生業として生きていたんじゃね?と思い込んでいたのだが、彼は亡くなる2年半前からはサラリーマン、しかもバリバリの営業マンとして石灰の企業で働いていた。自らDMを出し、商品のキャッチコピーの考案もしていた。そして、上司に報連相とかしていて、観ていて同じ会社員として非常に親近感が湧いた。

常に他人のことを思いやり、他人の幸せを願っていた宮沢賢治。
身を粉にして働いた結果、出張先の東京で倒れてしまう。
「雨ニモマケズ」は、そのとき書かれた。

雨にも負けず
風にも負けず
雪にも夏の暑さにも負けぬ
丈夫なからだをもち
慾はなく
決して怒らず
いつも静かに笑っている

一日に玄米四合と
味噌と少しの野菜を食べ
あらゆることを
自分を勘定に入れずに
よく見聞きし分かり
そして忘れず

野原の松の林の陰の
小さな萱ぶきの小屋にいて
東に病気の子供あれば
行って看病してやり
西に疲れた母あれば
行ってその稲の束を負い
南に死にそうな人あれば
行ってこわがらなくてもいいといい
北に喧嘩や訴訟があれば
つまらないからやめろといい

日照りの時は涙を流し
寒さの夏はおろおろ歩き
みんなにでくのぼーと呼ばれ
褒められもせず
苦にもされず

そういうものに
わたしはなりたい



そういう者に…やはり私はなれないと思う。昔は「そういう者」にならなければという気概もあったのだが、今では「そういう者」になれたらいいなー…と、ぼんやりと思うでくのぼーだ。でもやっぱり惹かれてしまうのは、純真なときにこの詩に出会うことができたからだと思う。

昨夜の番組で宮沢賢治の知らなかった一面を知ることができた。



もう一つ好きな詩。

「春と修羅・序」

わたくしといふ現象は
假定された有機交流電燈の
ひとつの青い照明です
(あらゆる透明な幽霊の複合体)
風景やみんなといっしょに
せはしくせはしく明滅しながら
いかにもたしかにともりつづける
因果交流電燈の
ひとつの青い照明です
(ひかりはたもち、その電燈は失はれ)

これらは二十二箇月の
過去とかんずる方角から
紙と鑛質インクをつらね
(すべてわたくしと明滅し
 みんなが同時に感ずるもの)
ここまでたもちつゞけられた
かげとひかりのひとくさりづつ
そのとほりの心象スケッチです



今日も明滅しながら生きた私。
明日も明後日も風景やみんなといっしょにせはしくせはしく明滅しながら、いつかぷつりと切れるんだろうなあ…。

「日本昔ばなし」の常田富士夫さんによる朗読。
銀河鉄道の夜 エンドロール.mp4






最後は、高校時代、教科書に載っていた詩。
最愛の妹とし子の臨終の詩。賢治の慟哭の気持ちが伝わってくる。
当時は何も思わなかったが、今になって改めて読むと泣ける。

「永訣の朝」

けふのうちに
とほくへいってしまふわたくしのいもうとよ
みぞれがふっておもてはへんにあかるいのだ
(あめゆじゅとてちてけんじゃ)

うすあかくいっさう陰惨〔いんさん〕な雲から
みぞれはびちょびちょふってくる
(あめゆじゅとてちてけんじゃ)

青い蓴菜〔じゅんさい〕のもやうのついた
これらふたつのかけた陶椀〔たうわん〕に
おまへがたべるあめゆきをとらうとして
わたくしはまがったてっぽうだまのやうに
このくらいみぞれのなかに飛びだした
(あめゆじゅとてちてけんじゃ)

蒼鉛〔さうえん〕いろの暗い雲から
みぞれはびちょびちょ沈んでくる
ああとし子
死ぬといふいまごろになって
わたくしをいっしゃうあかるくするために
こんなさっぱりした雪のひとわんを
おまへはわたくしにたのんだのだ
ありがたうわたくしのけなげないもうとよ
わたくしもまっすぐにすすんでいくから
(あめゆじゅとてちてけんじゃ)

はげしいはげしい熱やあえぎのあひだから
おまへはわたくしにたのんだのだ
銀河や太陽、気圏などとよばれたせかいの
そらからおちた雪のさいごのひとわんを……
…ふたきれのみかげせきざいに
みぞれはさびしくたまってゐる
わたくしはそのうへにあぶなくたち
雪と水とのまっしろな二相系〔にさうけい〕をたもち
すきとほるつめたい雫にみちた
このつややかな松のえだから
わたくしのやさしいいもうとの
さいごのたべものをもらっていかう
わたしたちがいっしょにそだってきたあひだ
みなれたちゃわんのこの藍のもやうにも
もうけふおまへはわかれてしまふ
(Ora Orade Shitori egumo)

ほんたうにけふおまへはわかれてしまふ
あああのとざされた病室の
くらいびゃうぶやかやのなかに
やさしくあをじろく燃えてゐる
わたくしのけなげないもうとよ
この雪はどこをえらばうにも
あんまりどこもまっしろなのだ
あんなおそろしいみだれたそらから
このうつくしい雪がきたのだ
(うまれでくるたて
こんどはこたにわりやのごとばかりで
くるしまなあよにうまれてくる)

おまへがたべるこのふたわんのゆきに
わたくしはいまこころからいのる
どうかこれが天上のアイスクリームになって
おまへとみんなとに聖い資糧をもたらすやうに
わたくしのすべてのさいはひをかけてねがふ

朗読『春と修羅』/「永訣の朝」「松の針」「この森を通りぬければ」


コメント (2)

百花繚乱

2010年05月13日 22時33分10秒 | Weblog
空気が透き通っているせいか、お日様の力を間近に感じた日。

道端の猫にゃん。


近所の薔薇。


この時期は花が一気に咲いて、なんだか勿体ない気がする…とは母ヨーコたんの談。

本当、この時期はどこもかしこも花だらけだ。
冬も冬なりにきれいな花は咲くけれども春の比ではない。

一年中、こんなに花が咲き乱れていればいいのに。
コメント (2)

部長とランチ

2010年05月13日 22時27分25秒 | Weblog
通常、昼休みは自分の机で仕出し弁当を食べている。食事の他に、サンシャイン牧場の世話、喫煙、化粧直し、歯磨き、株価チェックなどをする。1時間の内にこれらのことをしなければならないので忙しい。

「木曜日、一緒にお昼ご飯を食べましょう」
と●●●ィ~(部長)に誘われたのは二日前。私の他に後輩男女も一緒にとのこと。
「いいですね!」と言うところを動揺して「いいですよ~」と言ってしまった。どんだけ上から目線なんだ、私。

12時の鐘と同時に、4人で会社近くの喫茶店へ入店。
着席してイタリアンなんとかセットを注文。
…って何を話したらいいんだろ。
アルコールも入ってないのに。
素面で次期社長と何を…!?
ちょっとしたお見合いみたくなっちゃっていた。
鹿威しの音が聞こえたような気がした。

先日、「残念な人の思考法」を読んだ旨を報告した。●●●ィ~の机の上に置いてあったあの本を目撃し、「残念な人=自分」だと思ってガクブルしながら購入したんですよ!ということも併せて言った。
彼的には、「やはりコンサル会社の人の書いた本はつまらない」とのこと。
オススメの本は?と訊かれたので、林真理子先生の「下流の宴」を推奨した。さすが●●●ィ~。粗筋を知っていた。びっくり。

あとは来月、都内の老舗ホテルで行われる後輩女子Cちゃんの結婚式の話をした。
私とCちゃんの最近の楽しみは、YouTubeで一般人の結婚式で流れるDVDを観ることである。見ず知らずの人の生い立ちやら出会いやらの模様を観てひたすら感動するというなんとも非生産的な時間の費やし方である。
「YouTubeにそんな使用方法があるんですね」と言う●●●ィ~の結婚式では、あのような催しはしなかったらしい。「過去を振り向きたくないので…」とニヒルに笑っていた。

私なんて結婚しなくても、あれは作成したいと思っちゃうのに。てか、密かに使用する写真とか選んでいるのに!

さて、後輩男子タイスケくんはというと…。
借りてきた猫にゃんみたく大人しくしていた。普段はカツオみたいなのに。
ただ、ギリシャ問題などの経済ネタになると、●●●ィ~はタイスケくんのみに話を振っていた。適材適所ね。

イタリアンなんとかセットはやたらボリューミー。トーストとナポリタンという組み合わせでお腹いっぱい。

●●●ィ~に奢ってもらった。ラッキー。

気疲れしたが、とても楽しかった。
コメント (4)