世界の中心で吉熊が叫ぶ

体長15センチの「吉熊くん」と同居する独身OLの日常生活

スペシャル「第九」2008

2008年12月21日 22時24分22秒 | Weblog
鳥肌が立った。

9月から楽しみにしていた第九のコンサートに行ってきた。
第四楽章の最後で、私の肌は鶏肉の皮のようにブツブツと何かが突起したんである。

私が第九の存在を知ったのは、小学校五年生のときだ。
担任の福田先生が『歓喜に寄す』を学級の歌に制定し、ドイツ語の歌詞を教えてくれた。あれから19年近く経つが、忘れることなく、あの合唱の部分が頭に残っている。
一人カラオケでは必ず歌う定番曲である。

そんなこんなで、大学時代から今に至るまで、年末には毎年生の第九を聴いている。

少しだけドレスアップをして東京芸術劇場へと出掛ける。今日は先日購入したパールのネックレスを着けていった。
コンサート会場に到着すると、優雅に振る舞う自分がいる。
他の女性を見ると、やはり着物姿がちらほらいる。
ロビーでは、音楽評論家か?っつーぐらい、蘊蓄を話している殿方も見受けられた。
このような異空間に身を置き、いつもとは違った自分を演出するのも楽しい。リフレッシュになる。


さて第九。



東京交響楽団
スペシャル「第九」2008
ベートーヴェン
交響曲 第9番 二短調 作品125「合唱付」

指揮   大友直人
ソプラノ 佐藤しのぶ
メゾ・ソプラノ 井戸靖子
テノール 小林祐太郎
バリトン 三原剛

合唱 東響コーラス


◆第一楽章
宇宙の始まりを思わせる。壮大なSFを感じるのは私だけ?
冒頭の微かな音が次第に大きくなっていくところに神秘を感じる。
吉熊を膝の上に座らせて聴いていたんだが、つい聴くことにのみに集中してしまったので、吉熊を持つ手を緩めてしまった。
通路に転がっていく吉熊を慌てて拾った。

◆第二楽章
ティンパニーのリズムが好き。太鼓の達人みたいなティンパニーの人の動きに、耳と目が釘付けであった。

◆第三楽章
癒しのメロディ。
α波が会場にどっぷり散布され、若干眠くなる。てか、隣の女性は爆睡していた。

◆第四楽章
ハイライト。
ソプラノが突き上げる超音波のような高音のところで、無になる。何も考えられなかった。
ただ、今、自分の目の前に流れている美しい音楽に聴き入っていた。
最後の最後、各楽器と合唱が激しく絡むところで鳥肌が立った。

“funken!”で昇天。


気持ち良い!

ベートーヴェンは天才だと改めて感じた。
この音楽が、聴覚を失ったベートーヴェンが作ったなんて信じがたい。
ミナクル!
ブラボー!

思えば小学生のとき、
「第二音楽室のベートーヴェンの肖像画…目が光るらしいよ」
と噂が流れて、信じきっていた自分…。
なんとも愚かであった。
偉大なる天才に、なんてことをっ!


指揮の大友さんは背中で音楽を奏でる人だと思った。
時々片足を上げてタクトを振るっていて、ノリノリだった。
また、100年に1人の逸材と言われている佐藤しのぶさんの華麗なソプラノに酔った。
遠くからでもその抜群のスタイルと美しい顔立ちがよく分かった。


今年の第九はとても穏やかな気持ちで聴くことができた。

来年はどんな自分で、この曲を聴くのだろうか。
コメント (6)

「敬愛なるベートーヴェン」

2008年12月21日 22時11分19秒 | Weblog
映画「敬愛なるベートーヴェン」をレンタルして観た。
以前第九についてをこのブログに記したときに、マイミクみな殿に勧められ、ずっと気になっていた。
今日の第九の演奏会までには観ておきたく、昨日の飲み会のあと深夜に観た。

あらすじ
音楽学校に通う学生アンナ(ダイアン・クルーガー)は、作曲家ベートーヴェン(エド・ハリス)が楽譜を清書するコピストを務めることになった。ベートーヴェンを尊敬するアンナは彼の粗暴な振る舞いに驚くが、一方のベートーヴェンはアンナが優れた才能の持ち主であることを見抜き、徐々に彼女に信頼を置くようになっていく。



「私は神と同等!」という俺様発言はもとより、アンナに尻は見せるわ、不潔だわ、セクハラするわ…もうダメオヤジ全開なベートーヴェン。
甥のカールを溺愛しているが、ベートーヴェンの片想い。
カールは叔父にお金の無心しかしない。
凹むベートーヴェン…の背中が切ない。


第九初演前の4日間。

譜を写すアンナが美しくて、くらくらした。
ペンを走らせるアンナには窓からの光が当たり、アンナを暗い部屋から浮き上がらせている。
せっせと写している彼女の細く白いうなじにドキドキしてしまった。むっは~。
そんなアンナに、ベートーヴェンは幾つかの質問をし、アンナの答えが気に入らないとキレる…。
どうも媚やお世辞が嫌いで、気の強い女が好みのベートーヴェン。
そんな野獣のような彼の言動に一向に怯まないアンナの凛とした強さ。
ベートーヴェンも次第に彼女に惹かれていく。

第九の初演直前、楽屋で怖じ気づくベートーヴェンに「私がついています」と勇気づけるアンナ。
耳の不自由なベートーヴェンは、舞台の隅に佇んで指を動かすアンナを見ながらタクトを振るう。

このシーン、泣けて泣けて…。
二人の間にある師弟愛、友情があの美しい音楽とネチネチと絡み合う。なんだかとても官能的なシーンであった。
ふたりの結びつきは、男と女のそれではなく、あくまで音楽の求道者たる師弟の絆である。
それが物凄く崇高に感じられた。

第九やベートーヴェンについて、本作品を観て、より深く知ることができた。

素敵な映画を教えてくれてありがとうございます。みな殿。

コメント (4)