晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

池波正太郎 『忍者群像』

2018-04-22 | 日本人作家 あ
この前読んだのが「剣客群像」で今回が忍者、あと他に
「仇討群像」という作品もありますが、これはまたいつ
の日にか。

こちらが想像しうる行動は相手も忍者だと判っているは
ずで、さらにその裏をかかないといけないので忍者もの
は書くのが大変だ、と池波さんもあとがきでこぼしてい
るくらい(それがまた楽しみでもあるそうです)、まあ
読んでるほうもけっこう大変なもので。

さて『忍者群像』ですが、短編集です。書くまでもあり
ませんが、全編の主人公は忍者。

本能寺の変で、秀吉が毛利との戦を中断して引き返す、
例の有名な「中国大返し」ですが、これには信長側に、
そして明智側にも忍びがいて・・・という「鬼火」。

十七年前に山に逃げていた明智光秀を討った岩根小五
郎という忍びのもとに仲間から「明智は生きている」
と教えられ、もしや自分が討ったのは影武者?・・・
という「首」。

秀吉の天下取りのために次に狙うのは関東の北条氏。
ですが小田原城は「難攻不落」との噂もあり、秀吉は
得意の籠城攻めにしようとしますが、秀吉が北条側に
送り込んだ忍びによれば、家臣に「城を出て戦おう」
と言っているものがいるのですが、忍びの寅松はいか
にして・・・「という寝返り寅松」。

徳川家と真田家の合戦の際に真田幸村と忍びに命拾い
された武士が、あれから数十年のち、大坂でふたたび
幸村と忍びと相対することに・・・という「闇の中の
声」。

実質的に家康の天下となり、あとは秀頼をこちら側に
従わせるだけとなりましたが、そうやすやすと応じる
はずもなく、秀吉の筆頭家来でありながら三成が嫌い
という理由で東軍についた加藤清正は忍びの者を使い
・・・という「やぶれ弥五兵衛」。

徳川家の家臣、水野監物忠善は剣術、弓馬が好きでし
たが世の中は戦が絶えて数十年。そんな水野に幕府の
老中、酒井忠勝は三河の岡崎に国替えを命じます。
これには特に意味は無かったのですが水野は「自分に
尾張家の見張りをせよとの御命令だ」と勘違いします。
そして酒井が水野家に送り込んだ忍びによると、監物
が名古屋城に侵入しようと・・・という「戦陣眼鏡」。

江戸初期の幕府転覆計画「慶安の変」に、自分は長宗
我部元親の子と名乗る忠弥という槍道場主。忠弥は、
軍学者の由井正雪と通じていて・・・という「槍の忠
弥」。

短編ですので、忍びが騙し騙されの応酬というにはい
きませんが、しかしそこは短編の名手、短いあいだに
もアッと驚く「仕掛け」が施されています。

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