晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

海堂尊 『ブラックペアン1988』

2011-11-11 | 日本人作家 か
この作品は「チームバチスタの栄光」から続いている、東城医大病院
の勤務医、田口と、厚生労働省の白鳥が主軸となるシリーズものから
のスピンオフ的な内容で、「バチスタ」シリーズでは、東城医大病院
の院長である高階が、ここではまだ肩書きは「講師」で、高階はこの
病院にとんでもない”モノ”を持ち込んで、それがちょっとした騒動
から大問題に発展し・・・といった具合。

さらに、まだ学生の田口と、のちに「ジェネラルルージュ」で登場する
速水がちらりと登場し、シリーズで登場する看護士の藤原、猫田なども
出てきたり、なるほど、バチスタ手術の”あの事件”の十年近く前に、
こんなことがあったのか・・・と、ちょっと感慨。

主人公は、世良という研修医なのですが、世良はバチスタシリーズに
出てきたかどうか、ちょっと記憶が定かではありません。この世良が、
東城医大の外科学教室の権威、佐伯教授の下で研修を受けることにな
るのですが、ちょうどそのころ、帝華大から派遣されてきた講師の高階
がアメリカで開発された、自動吻合器「スナイプAZ1988」という
医療器具を使用することで外科学教室は紛糾。

この器具は、非常に困難な食道がんの手術に効果覿面なのですが、佐伯
は、腕の無い若い医師が安易にこういった道具に頼るのは良くないと
使用に否定的。そして教室で、謎の医師、渡海がスナイプAZを使用し
なくても立派に手術ができることを証明することに。

しかし、高階の手術はスナイプ使用で成功実績を挙げ、それを面白くな
い佐伯は、そこまでなら、経験の無い若手医師だけで手術をさせてみろ
と言い出すのです。そして、その手術の助手に任命されたのが研修医の
世良だったのです・・・

医療分野の問題提起という難しいテーマを、人間ドラマも組み合わせて
分かりやすく仕上げる文才は素晴らしいの一言。
渡海という医師は、その後のスピンオフに出てくるのか、ちょっと興味
あります。


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